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ミステリの祭典

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皇帝のかぎ煙草入れ

作家 ジョン・ディクスン・カー
出版日1954年12月
平均点7.90点
書評数51人

No.11 8点 E-BANKER
(2010/08/05 22:03登録)
カーの作品でも1,2を争う名作(との評判)。
この名作を今さらながら初読しました。
いやぁ、「見事なプロットでした」というのが感想です。
分かってみると、そんなに複雑ではないプロットなんですよねぇ・・・(婚約者の動きが突飛だっただけで)
他の方の書評どおり、「かぎ煙草入れ」が大いなる欺瞞の象徴なので、これに気付くか騙されるかで、最後のサプライズの大きさも違ってくるかもしれません。
全体的にコンパクトにまとまっていて、まったく冗長さのないところも高評価です。
ただ、キンロス博士のキャラがやや薄いような気がしますけど・・・
まずは、「名作」という評価でよろしいかと思います。

No.10 8点 kanamori
(2010/06/18 21:01登録)
作者の代名詞である怪奇趣味がまったくないスマートな本格編です。
有名な心理トリックについてはある程度途中で察することができましたが、トリックを隠蔽するための小道具の使い方や叙述の巧妙さなど、カーのテクニックを存分に味わう事ができました。
小道具の煙草入れについてはトリック成立に寄与すると同時に、その形状によりトリックを暴露するための小道具でもある訳で、そこに一番感心しました。

No.9 9点 ミステリー三昧
(2010/05/15 12:22登録)
<創元推理文庫>
フーダニットの真相は今まで読んできた中でNo.1かもしれません。もう15作近く読んできたけど、意外性と説得力、両方の面で成功している作品には出会えていなかったので、この真相には驚きました。見事に暗示にかかっていました。こんなシンプルなのに気付けなかった。まさか「あの一文」にこんな重要な意味があったとは。辛抱強く読んできた色恋沙汰にもミスディレクションとしての機能がしっかりあったし、最終的には本格ミステリの出来の良さが際立つ読後感に成り得ていたので、安心、安心。
確かにディクスン・カーの最高傑作かもしれません。悪い部分が見つからないので評価もしやすい。悪い部分があったらビシビシ突っ込む気だったけど、なかった(強いて言うなら、動機が微妙)。本当に安心してオススメできる作品。カーの作風には当てはまらないのが懸念材料だけど、カーにしてはトリックよりもロジックに重きを置く珍しいタイプの正統派本格ミステリなので、外せない一冊であることは言うまでもないでしょう。

No.8 9点 りゅう
(2010/03/15 18:24登録)
 再読。秀作である。何といっても心理的盲点を突いたトリックが秀逸。犯人にとっても予想外の出来事が起こり、謎をより一層複雑なものにしている。
 主人公のイヴにとって不利な状況証拠が次々と見つかり、まるで誰かにはめられたかのようにして逮捕されるという筋書きも面白かった。
 表題でもある「皇帝のかぎ煙草入れ」が、探偵役のキンロス博士が犯人を推理するうえでの重要な鍵となっている。

No.7 8点 あびびび
(2009/12/06 15:18登録)
翻訳モノにしては読みやすいと感じた。ページ数的にも読みやすく、トリックも秀逸。

映像にしてもきっと盛り上がるだろうと思ったが、「皇帝のかぎ煙草入れ」という題名でいいのかどうか。

No.6 8点 測量ボ-イ
(2009/05/31 16:32登録)
(多少ネタばれ有)

この作品は、機械的あるいは物理的トリックの多いカ-の
作品では珍しく心理的トリックを用いています(クリステ
ィ女史が絶賛したと聞きます)。
でも内容は読みやすく出来栄え自体はなかなかのものと僕
は評価しています。
はっきり言って、あまりカ-らしくない作品なので、世間
一般ではそこそこ評価されても、いわゆる「カ-キチ」「
カ-マニア」の間では不評と聞いています。

No.5 8点 シュウ
(2008/12/15 22:47登録)
帯に「ダマされたと思って騙されてください!!」とあり、絶対騙されないつもりで読んでいたのですが結局騙されました。
でもこれは騙されずに済むのは無理ですね。ちょっと偶然起こる事柄が多すぎるような気もしますが巧みなミスディレクションのおかげで
読者が真相に自力でたどり着くのはかなり難しいと思います。しかしストーリーの面白さもあって読後の納得感と爽やかさはなかなかのものでした。

それにしても当時のフランスではよくあったことなのかそれともトリックのためなのか分かりませんが
隣り近所の家のドアが同じ鍵で開くというのは怖いものがありますね。

No.4 10点 Tetchy
(2008/12/03 00:58登録)
カーのケレン味が好きな人は物足りなさを感じるほど、珍しく読みやすい作品だが、実はこの作品ではかなり高度なテクニックが多用されている。
まずこの題名からして、既にミスディレクションとなっているのだ。
あまり詳しい事を書くと興が削がれるので止めておくが、一度読了してから、改めてこの題名に留意してもらいたい。

そして本作の意外な犯人。これについてもかなり高度なミスディレクションが成されており、読者は絶対に犯人を見抜けることが出来ないよう、巧みに作者によって誘導されてしまう。

とにかく整然としすぎて、熱烈なカーファンであればあるほど、この作品を高く評価しないきらいがあるのだが、私は本作はカーのベスト5に選ぶほど好きである。

"Seeing is believing"ならぬ"Seeing is deceiving"のシチュエーションを好んで使ったカーだが、本作はその中でも最高のミスディレクションの蓄積で成り立っている傑作である。

No.3 8点
(2008/12/01 19:47登録)
クリスティーを脱帽させたというこのアイディアは推理パズルでもよく借用されているようですが、実は短いパズルには全く向いていないトリックだと思います。
いいかげんな扱いを見ると、最初から説明されている登場人物の性格設定と、問題の箇所前後20ページぐらいをもう1度じっくり味わってみてください、と言いたくなります。カーがいかに細心の注意をはらって問題の箇所を書いているか、それがわからない無神経な人には、カーには珍しくすっきりとまとまりすぎた本作は、つまらない小説かもしれません。

No.2 7点 ロビン
(2008/11/07 00:05登録)
いやあ、意外な犯人だった。自分もすっかり騙されてました。カーものにしては読みやすく、話も無駄がなくコンパクトにまとまっていた。
意外性はあるのだけど、都合のよさが目に付いて、どうも小粒感が拭えない。肝心要の伏線も、あの嗅ぎ煙草入れの存在一つだからなあ。

No.1 9点 あい
(2008/06/10 16:34登録)
凄い面白かった。トリックがうまくはまっていたし、真犯人はかなり意外だった。しかしなによりもかぎ煙草入れについての推理は感動した。

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