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sophiaさん
平均点: 6.99点 書評数: 289件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.13 8点 Iの悲劇- 米澤穂信 2019/11/04 23:06
山間部の廃村に人を呼び戻すプロジェクトに携わる公務員たちの話。雑誌掲載したものを軸にした連作短編集ですが、書き下ろしを挿入したり順番を変えたりして一つの壮大な作品に再構築しています。雑誌掲載分を読んでいた人たちは、まさかこんな話だったとは思っていなかったんじゃないでしょうか。考えさせられる一冊でした。

No.12 7点 犬はどこだ- 米澤穂信 2019/09/03 00:27
二つの依頼に共通点があることは早い段階で読者には分かっているのですが、いかんせん報連相のなっていない二人の調査員たちは気付きません。しかしながら二つの依頼がどう絡み合うのかまでは終盤まで読者にも分からないという構成。絡み合ってからは急加速で面白くなりました。ネットから現実世界に移った鬼ごっこの構図の反転が鮮やか。しかし、最後あっさりしすぎでは?更なる高評価もあり得た作品だと思うのでちょっともったいなかったですね。あと、主人公がなぜ犬捜しを専門にしたいのかがよく分かりませんでした。タイトルに「犬」を入れる程であれば語って欲しかったです。語ってましたっけ?
余談。「鎌手」は「構ってちゃん」ってことかと思ってました(笑)それと「2ちゃんねる(今は5ちゃんねるですが)」という言葉が小説にはっきり出てくるのは新鮮でした。

No.11 7点 本と鍵の季節- 米澤穂信 2019/02/25 19:23
図書委員の男子高校生二人の友情(?)物語。謎解きは基本的に松倉君が主導権を握っているのですが、堀川君の方も単なるワトソン役には収まらず、後半の話では松倉君を上回る冴えを見せます。地味ではありますが、日常の謎という括りで見ればどの話も高い水準にあって楽しめると思います。

No.10 5点 リカーシブル- 米澤穂信 2018/11/30 00:19
正直なところタイトルもピンと来ませんし、あらすじを読んでもあまり興味を引かれなかったのですが、私の好きな米澤作品でなおかつこのミス上位に入っていたので読んでみました。結果、やっぱり期待はずれでした。半分読んでも3分の2読んでも面白くならない。情景描写や回想が多いですし、伏線も次々に出てくる割に途中で回収されることがなくストレスが溜まりました。最後まで読んでしまわないと何も分からないタイプの作品で、「さよなら妖精」並みに読むのに根気が要りました。それで肝心の真相ですが、ちょっと無理があると思います。いつの時代なのかと。しかも結局何一つ解決してないですよね。

No.9 7点 真実の10メートル手前- 米澤穂信 2018/09/17 19:12
●真実の10メートル手前 7点・・・「満願」のあの話みたいなオチですね。今回のこのオチは蛇足なのでは。後味を悪くする必要があったのでしょうか。文字通り手前で終わっておけば。
●正義漢 8点・・・短いながら視点の切り替えが見事に決まった一編。
●恋累心中 8点・・・「満願」のあの話みたいな動機ですね。それが今回は他人に害を及ぼしているから始末が悪い。心中の方の動機はありがちです。
●名を刻む死 6点・・・読み終わっても「名を刻む死」というレトリックがいまいちピンと来ず。
●ナイフを失われた思い出の中に 9点・・・これが一番。なかなか泣かせますね。ちょっと展開が都合よすぎる気もしますが。「さよなら妖精」の書評でも書きましたが、こんなすごい手記を書く10代はいないでしょ(笑)
●綱渡りの成功例 5点・・・それだけのこと?と思ってがっかりしました。そんなことで誰も責めないと思うのですが。完成度は一番低い。この短編集を出すために急いで書き下ろしたのでしょうか。

No.8 8点 王とサーカス- 米澤穂信 2018/07/31 21:54
殺人事件自体はそう大したことはないけど、それに付随して起きたことがすごかった。糞坊主に腹立ちますね。タイトルもしかして「オートフォーカス」とかけてます?違いますか(笑)

No.7 5点 ボトルネック- 米澤穂信 2018/07/25 01:16
後味悪いですね(笑)回想シーンでノゾミがイチョウのおばあさんを「殺してやりたい」とか言ったときに、何かおかしな方向に行っちゃうんじゃないかという予感はしましたが。タイムパラドックス系と言いますかパラレルワールド系と言いますか、こういうタイプの作品でバッドエンドってあまり記憶にありません。設定や展開は大変面白かったので、感動系に仕立てて欲しかったですねえ。百歩譲ってバッドエンドでもいいんですけど、もっと上手い終わり方があったのではないでしょうか。ちょっと難解な終わり方をしたせいでどうもすっきりしないです。

No.6 7点 インシテミル- 米澤穂信 2018/06/02 03:00
だいぶ前に映画を先に観ていたんですが、内容をほぼ忘れたのもあって今回読んでみました。久々に評価の難しい作品ですねえ。作者がミステリー大好き、クローズドサークルもの大好きなのはひしひしと伝わってきますし、意欲作ではあります。私自身もクローズドサークルものは大好きで、特に「時計館の殺人」の舞台設定に似ている本作は大変楽しく読ませてもらったのは確かです。ただ、武器にメモランダムにカードキーにとアイテムが多すぎて混乱しますし、賢いキャラだった人物が終盤に突然どうしようもないアホな推理を披露するところや、探偵が間違った人物を犯人と指摘した場合に探偵は報酬減額されるのに助手はされないルール等にご都合主義を感じました。可もあり不可もありで7点というところでしょうか。

No.5 6点 さよなら妖精- 米澤穂信 2018/05/14 20:58
数年前に出た新装版の単行本を読みました。博物的に勉強になる部分は多いんですが(特に東欧の歴史)、物語に大きな展開がないのでちょっと退屈に感じました。ミステリー的主題が母国を突き止めることのみというのも渋いですし。個人的にはマーヤはいくつか謎を残して帰国するものだと思っていたのですが。ただ、随所にちりばめられた伏線から消去法で真実を突き止める手法には「折れた竜骨」の原型を見た気がします。新装版のボーナストラック「花冠の日」は追加して正解でしょう。カタストロフィは変わりませんが、後味の悪さが少しだけ和らいだ感じがします。最後にひとつだけ。こんなしっかりした長大な日記を書く高校生はいないでしょう(笑)

No.4 9点 追想五断章- 米澤穂信 2018/05/03 23:20
単行本でわずか230ページほどの作品ですが、そう感じさせないほどに密度の濃い作品でした。リドルストーリーという物を逆手に取った展開は見事。米澤作品の中では「折れた竜骨」に次ぐぐらいの出来ではないでしょうか。難を言えばタイトルですかねえ。堅苦しくてとっつきにくい。でもむしろこれがいいのかなあ。しかし全体に流れる物悲しさが何とも言えませんね。登場人物はみんな不幸ですし。

No.3 7点 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 2018/03/16 17:15
暗黒ミステリとも称されるイカれた短編集。そのイカれ具合が「玉野五十鈴の誉れ」までは程よかったんですが、最後の「儚い羊たちの晩餐」がさすがにやり過ぎなので1点マイナスしておきます。彼女がなぜあれを引き受けたのかが全く理解できません。この短編集はキ印の人がいっぱい出てきますが、彼女は間違いなく一番のそれでしょう。もう一つ腑に落ちないのは、対象が全てなのは彼女のこれまでの仕事ぶりから簡単に予測できたのではないかという点です。最後の最後に破綻してしまった、もったいない短編集でした。

No.2 10点 折れた竜骨- 米澤穂信 2017/07/05 02:51
これは凄い。SFミステリーとして山口雅也「生ける屍の死」に匹敵するかも。目次の各章タイトルを眺めただけで傑作の匂いがプンプンしましたもんね。現在のところ私が10点を付けた作品の中では唯一の21世紀の作品となります。

No.1 8点 満願- 米澤穂信 2017/05/16 20:31
「夜警」は伏線がちょっと分かりやすかったかもしれません。
「万灯」は冒頭の現在を受けてのオチの裏切りが見事。森下が急にヘタレになりすぎるところに違和感は残りますが。
「関守」は世にも奇妙な物語みたいな話。この短編集で一番完成度が高いのではないでしょうか。「サエノカミ」というキーワードを隠して話を進め相手の様子を窺うお婆さんの語り口が見事。
表題作「満願」は動機にいまひとつ納得できませんでした。人を殺すほどのことなのか。

sophiaさん
ひとこと
採点がやや甘いかもしれませんが、世評の高い物を中心に読んでいっているので仕方がありません。点数はミステリーとしてのみならず、読み物として面白いかどうかを考慮して付けています。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.99点   採点数: 289件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(30)
伊坂幸太郎(13)
米澤穂信(13)
綾辻行人(13)
島田荘司(12)
道尾秀介(12)
泡坂妻夫(9)
アガサ・クリスティー(9)
倉知淳(8)
恒川光太郎(8)