皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
みりんさん |
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平均点: 6.67点 | 書評数: 424件 |
No.19 | 9点 | ポオ小説全集4- エドガー・アラン・ポー | 2025/01/12 23:06 |
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記念すべきポオの書評100件目です。海外作家で100件超えはまだ25人。これでサムネからポーのページに飛びやすくなった(^^)
※↓元祖判定は何も調べずにテキトーに言ってます 『黄金虫』『黒猫』『盗まれた手紙』などポオ小説全集Ⅳは脂が乗り切ったポオの黄金期の作品が結集。『シュヘラザーデの千二夜の物語』はアラビアンナイトのすげえ捻くれたパロディ。捻くれ者でもないと批評なんてやらないか。『ミイラとの論争』はユーモア系のオチになっているが、何気に現代のSFに蔓延るコールドスリープの元祖か?『天邪鬼』は『告げ口心臓』や『黒猫』と似た犯罪小説だけど、これも乱歩『赤い部屋』に登場するプロバビリティの犯罪の元ネタか??で、1番驚いたのは『長方形の箱』ですね。これ古今東西のミステリーに蔓延る「○れ○○りトリック」の原型じゃねーの??江戸川乱歩が巻末解説でエドガー・アラン・ポーの探偵小説(広義)は『モルグ街』『マリロジェ』『黄金虫』『おま犯』『盗まれた手紙』の5編と言ってるけど『長方形の箱』も入れようぜ。『アルンハイムの地所』は前にも読んだ事あるけど、それ以外で直近で確実に読んだはず!なんだこの既視感!?と疑問に思ってたら全集Ⅲの『庭園』の完成版でした(笑) あと『パノラマ島奇談』の元ネタですね。『タール博士とフェザー教授の療法』のどんでん返しも良いよねぇ…そして奇しくもマイベストの『跳び蛙』がポオ最後の怪奇小説となっていた。あとそういえば全集のはずなのに『灯台』が載ってねえぞ!未完だからスルーしたのか? 全体的に難解で格調高い文章であったが、ポオの全作品を読む価値はあった。 ポオはキャラクターで物語を動かす作家ではないし、ドラマ性も希薄であるから退屈なのも多いけれど、人間の持つ普遍的な性質や心理に注目し、時には世界の法則を捻じ曲げるような奇想を生み出している。評点は本作の評価というよりは、探偵小説(眉唾)、密室、暗号小説、SF小説(眉唾)、怪奇小説(眉唾)など、あらゆるジャンルの小説の始祖であるポオの偉大さに敬意を表して9点とした。 |
No.18 | 7点 | ポオ小説全集3- エドガー・アラン・ポー | 2025/01/10 03:14 |
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回を重ねるごとに面白くなっていくポオの全集3。 【ややネタバレ】
全集3ではついに『モルグ街の殺人』が収録。推理小説(眉唾)と密室事件(ガチ)の始祖にして、「意外な犯人ランキング」で185年連続1位の座を守り続けてきた名作。かれこれ5回以上読んだが、いまだに「たしかにあいつは背丈が低い〜」からの一連の流れを忘れていて毎度ツッコむ。 現実の事件を元にデュパンが分析能力を発揮する『マリー・ロジェの謎』。小学生の頃、TVで長年未解決の殺人事件の再現ドラマを見て、名探偵さながら被害者の身内を疑っていたことを思い出すね。そのすぐ後に犯人(外部犯)が捕まってたけど。 全集2の『ジューリアス・ロドマンの日記』もそうだったけれど、『メエルシュトレムに呑まれて』や『陥穽と振子』のようなサバイバル系の小説でポオが必ず描写するのは未知のものに対する好奇心。それは死への恐怖を超越するレベルの根源的な欲求として描かれており、生き残ったのは副次的な結果のような気がする。ポオがあらゆる奇想に長けるのもこれが原点なのだろう。 怪奇小説は有名作の『楕円形の肖像画』『赤死病の仮面』など多数。無分子の物質が心だのその運動が思想だの…カルト超えてオカルト小説『催眠術の啓示』。あと犯罪小説『告げ口心臓』はほぼ『黒猫』なんで『青目爺』に改題した方がいいぞ。 ユーモア系では『週に三度の日曜日』『眼鏡』『早まった埋葬』が良い。1800年代は日付変更線の概念ないのか?島荘もどっかで似た感じのユーモア小説書いてたっけな。『眼鏡』は何気に叙述トリックか?『早まった埋葬』は語り手の気持ちがすごくよく分かる。子供の頃、火葬が理解できなかった。まだ生き返るんじゃねえの?とか死後も痛覚だけは残ってたらどうすんの?と心配していた。 『エレオノーラ』は『モレラ』『ベレニス』『ライジーア』等を読んでいれば、話の展開がほぼ予想できるのだけれど、最後はリドル・ストーリー?生まれ変わりか? |
No.17 | 7点 | ポオ小説全集2- エドガー・アラン・ポー | 2025/01/05 03:42 |
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『ナンケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』 7点
現代的な叙述トリックを匂わせるような冒頭から壮大な冒険譚が始まる。序盤1/3が船内での反乱、中盤1/3が漂流サバイバル、残り1/3が南極秘境冒険小説。この「漂流サバイバル編」の冷徹さは類を見ません。もう少しジャ○プ漫画のように主人公側に都合の良い展開があっても良いのではないでしょうか。物語が進むにつれてピムの精神が荒廃し、人の死に対する感傷が鈍感になっていく様も読み取れます。 ポオは話の面白さで読ませる作家ではなく、発想力や文章力で黙らせる作家という認識であったがそれは間違いで、本作に関しては話の面白さに引っ張られた。それだけに5時間も夢中にさせといてぶん投げはやめてほしかった。乱歩…夢Q…なぜ短編作家達はすぐに長編をぶん投げるのか…(n=3) ちなみにSFを大きく発展させた記念碑的な作品でもあるらしい。ほんとか? 『沈黙』 3点 わけわからん。あれか?過ぎたるは及ばざるがごとしみたいな話か? 『ジューリアス・ロドマンの日記』 5点 こちらも冒険譚であるが『ピムの冒険』と比べると大した苦難はなく退屈。そしてこれもほぼぶん投げ。スー族への過剰なる警戒心を読むと、手記者のロドマンは南極冒険の一件を経て成長したピムのよう、その分緊張感は薄れるけどね。この冒険の根源にある動機は353pに明確に記されていて、「未知なものに対する燃えるような愛」、イイネ。 『群衆の人』 6点 趣味は人間観察。今回のターゲットは都会人の罪を背負った老人。孤独を恐れ、群衆に溶け込むことで安心を得る、まさに大いなる不幸。そんな醜悪な人間の心を読み解く方法も価値もない。 それじゃあ、他者の観察を生き甲斐とする語り手もまた罪悪の権化ではないか? ※前読んだのよりコチラの翻訳の方が良さそう 『煙に巻く』 7点 難解な書物をなんでもかんでも深読みする奴へww 残念でした!お前らの期待しているような高尚な中身なんてありませーんwwwwwww ということか? ポオ作品も200年の時を経て神格化され、一部が『関係ニヨル、結合ニヨル、又自身ニヨル危害』のような存在になっているような(笑) 『チビのフランス人は、なぜ手に吊繃帯をしているのか?』 7点 パトリック卿の妄想やり取りが大袈裟で面白いし、オチでも笑ってしまった。本作だけでなく、節々にレイシストの気質あるよねポオ。 全集1はイマイチでしたが全集2はポオ唯一の長編『ピムの冒険』や最後2つのユーモア小説が面白くて、満足感の高い仕上がりになっとりました。 |
No.16 | 4点 | ポオ小説全集1- エドガー・アラン・ポー | 2024/12/30 21:39 |
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ポオはいままでアンソロジー(コレクション?)を中心に読んできましたが、そういうのに載らないようなマイナーな小品を拾う目的で全集に手を出しました。しかし、アンソロに載らないということにはやはりそれに値する理由があるはずで、まあ端的に言えばつまらんのが多いということです。あと古すぎて社会風刺的なお話が刺さらないことや、当時の流行文学に対する当て擦り(例:『ハンス・プファアルの無類の冒険』『エルサレムの物語』)も上手く馴染めないという欠点があります。
怪奇小説、SF風の冒険譚、ジョーク系などが幅広く収録されていますが、やはり純粋に楽しめるのはアンソロ常連の『ベレニス』『リジイア』『使い切った男』『アッシャー家の崩壊』『ウィリアム・ウィルソン』。ちなみに、『アッシャー家の崩壊』が好きな方にぜひぜひ読んでいただきたいのが平石貴樹の『だれもがポオを愛していた』。おすすめです。 『メルツェル家の将棋指し』は特に評価は変わらずイマイチ。まあ小説ではないしな。 初読で良かったのはポオお得意の美女病蘇生ものの『モレラ』、比較対象は土俵にも上がらなければ勝てるという謎の教訓を含んだジョーク小説の『名士の群れ』、対立する名家の破滅、馬と人間の主従の逆転を描いた怪奇小説の『メッツェンガーシュタイン』、誰もが一度は考える金儲け、世の中を賢く生き抜く術の詰まった『実業家』などなど。 |
No.15 | 6点 | ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人- エドガー・アラン・ポー | 2024/11/09 11:09 |
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某理由から『ベレニス』を再読したくて、どうせならと登録しました。本サイトのサ…(以下略)
実はちょっと前に一読している短編集なのですが、初読ではお話についていくので精一杯だった覚えがあります。新潮文庫ミステリー編と比較すると、詩を含めてマイナーなのが結構載っています。 記憶薄めの感想をいくつか 『告げ口心臓』 前も思ったけど、被害者と犯人はどういう関係?読み飛ばした? その時は罪悪感のある等身大の人間だなんだとか書いたが、ふつうに異常な感覚神経の持ち主ですね。 『ベレニス』 【ネタバレ注意】 ポーこそが死者蘇生のモノマニアではないかというくらい鉄板ネタ。偏執狂の語り手はベレニスに対する恋慕の情はなく、あくまで分析対象であることが強調されているのがポイントか。1835年の作品なので、何気に犯罪小説などを除いて○○が犯人の元祖だったりする?? 『詐欺-精神科学としての考察』 どの国どの時代にも巧妙な詐欺を考えつくやつはいるもんですね。 『楕円形の肖像画』 ドッペルゲンガーを扱った『ウィリアム・ウィルソン』と同じく、短編ながら前衛的というか着想が凄いですよね。 残りの80ページくらいに作品解題とポーの用語集あり。満足度アップ。 |
No.14 | 7点 | アッシャー家の崩壊/黄金虫- エドガー・アラン・ポー | 2024/11/08 02:36 |
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某理由から『アッシャー家の崩壊』を再読したくて、どうせなら新しい訳で読もうということで登録しました。本サイトのサルガッソー海をさらに荒らす私は海の藻屑です。
ただ、ポーに振り落とされずに余裕を持って楽しめる小川高義さんの翻訳はなかなか良いぞよ。愛する女性との死別を描いた『アナベル・リー』『ライジーア』『大鴉』が3作並んでいて比較しやすい所も超ナイス。 『アナベル・リー』と『ライジーア』は愛する女性の名がそのままタイトルになっているだけでなく、語り手の思慕の情も似通っています。例えば引用すると↓ 「夜空に星が出るたびに 美しきアナベル・リーの輝く星が見えている」 「ライジーアの美しさが私の精神に染み込んで美神が居を定めたようになってからは、現実界に存在するさまざまなものを見るにつけ、あの大きな明るい双眸が私の内部にもたらす感覚と似たものを呼び起こされていたのだった-(中略)-望遠鏡で天の星を眺めていても、その一つか二つにはそんな感想を抱いた」 などです。詩と小説で表現媒体は違えど、同一のテーマでしょう。『ライジーア』は更に意志の超越や死者蘇生(ポー愛好)が加えられますが。『大鴉』に登場する大鴉の定型句「ネバーモア」は『ポー詩集』の阿部保訳では「またとない」と翻訳されていましたが、こちらでは「もはやない」となっています。死別に対する冷徹なアンサーであることを考えると、「またとない」の方が適していそうです。 この次が『ヴァルデマー氏の真相』。これまた生死の境界の曖昧さが催眠術の例を用いて説かれている。しかしこちらは上3作と違って、意志の強さや情は絡んで来ず、怪奇小説風味な終わり方となっています。 |
No.13 | 7点 | 黒猫/モルグ街の殺人- エドガー・アラン・ポー | 2024/11/04 23:36 |
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本日2度目の『モルグ街の殺人』であるが(^^;)、これは素晴らしい!
翻訳は小川高義という方。『黒猫』『モル殺』はおそらく翻訳違いのをそれぞれ3つ以上は読みましたが、先ほど読んだ新潮文庫のポー短編集Ⅱの巽孝之の翻訳などに比べても圧倒的な読みやすさです。同時読み比べをすると、ワンセンテンスが短く、平易な語彙が用いられていることが明らかです。ポオの晦渋で格調高い文章を楽しみたい方にはおすすめできませんが、物語を全力で楽しみたい方にはこれがぴったりでしょう。 『本能vs理性 黒い猫について』 採点不能 ポーの飼っていた黒猫を例にとって本能と理性の境界の曖昧性について説くエッセイ。知的生命体という驕りによって、我々は理性を神格化する。 『アモンティリヤードの樽』 7点 こちらも犯罪小説。地下室、壁、モルタル、塗り固め、『黒猫』の人間版であり成功バージョン。やはり慢心は良くない。 『告げ口心臓』 5点 なんとこちらも犯罪小説。『黒猫』の使い回し多すぎ笑 しかしこちらは異常心理を持った犯罪者ではなく、罪悪感によって心臓が掻き乱されるような等身大の人間でありました。 『邪鬼』 8点 おいおいこれも犯罪小説だった。人間の行動原理は器官の作用によるもの。それとは別にひねくれた精神による作用「邪鬼」が存在するという。たとえば動機がないのが動機、というようなもの。それは魔性の情熱となり、人間を犯罪に駆り立てる。犯罪を白状させたのは理性かそれとも… 『ウィリアム・ウィルソン』 どっかで書評済み。 『早すぎた埋葬』 6点 こちらもどっかで書評済み…かと思いきやしてなかった。医学が未発達だった頃、生きたまま埋葬されることへの恐怖は尋常じゃなかったのでしょう。この作品集だけでも生者の埋葬は既に3作目、ポーはこのネタ多いよね。こちらはユーモア小説。ヨカッタネ |
No.12 | 5点 | 大渦巻への落下・灯台 -ポー短編集Ⅲ SF&ファンタジー編-- エドガー・アラン・ポー | 2024/11/04 17:36 |
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ゴシック編、ミステリ編に続きSF&ファンタジー編。前半の3つと『灯台』だけ拾い読みで良いと思います。『パノラマ島奇譚』が好きな方は『アルンハイムの地所』も読むべきかな。『ポー短編集Ⅳ 冒険編』みたいなのが一向に出る気配がないの、このアンソロのチョイスのせいだろ笑
『大渦巻への落下』 白髪になってしまった青年が、その原因となった奇怪な出来事を振り返る。これまた乱歩の『孤島の鬼』と似通っていますね。中身はまったくの別物で、サバイバル小説。語り手は生存本能よりも知的探求心が打ち勝ったからこそ生き延びた。図らずも人間讃歌になっていることが面白い。 『使い切った男』 今まで読んだポオ作品らしからぬコミカルな雰囲気。これなんでSF/ファンタジー編に入ってるの?と疑問に思っていたら、なるほど(笑) 『タール博士とフェザー教授』 これが本当の狂人の解放治療か!いやしかし現代の精神医療を風刺した夢野久作と保守派のポオでは逆のスタンスだな(すぐに登場人物の言動=作者の思想と決めつけるのは私の悪癖) 『メルツェルのチェスプレイヤー』 これははっきり言ってつまらなかった。プロに完勝する現代のコンピューターをポオに見せたい。 『メロンタ・タウタ』 2848年が舞台の正真正銘のSFだが、物語性がなくこれもつまらん。ちなみに未来予測は大外れ。いや2024年だからまだ断言はできないか…笑 『アルンハイムの地所』 なるほど、これも面白くはないけれど人工楽園系小説の始祖か。個人の資産で8兆円て… 『灯台』 とある灯台守が持ち場の灯台について違和感を抱く冒頭4ページだけで終わる、ポーの遺作?なにこれ、続きが気になりすぎるんだが。特に1.2メートルの厚みは怪しい、死体とか埋まってんのかな。 |
No.11 | 7点 | モルグ街の殺人・黄金虫 -ポー短編集Ⅱ ミステリ編-- エドガー・アラン・ポー | 2024/11/04 09:48 |
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ゴシック編に続きミステリ編ですが、編集者の趣味か?非ミステリも混じっています。3読目ともなればかなり余裕を持って読める。隠し場所の意外さに気を取られてサラッと流していたが、何気にデュパンは数学の公理は異教の伝説みたいなもんだとディスりまくっているのを見逃してはいけない。代数学専門の兄に読ませたら発狂しそうな内容だ。ポーは知り合いの数学者に大嫌いな奴でもいたのだろうか、それとも詩人としてのプライドか。論理の『モルグ街の殺人』、心理の『盗まれた手紙』と記憶しておこう。
『群衆の人』は人間観察が趣味の語り手がとある老人に惹かれて尾行するお話。都会人なら誰しもが持つ感情、罪悪の権化、ただ集団にいるだけでは幸福も人生の意味も見出せないといった群衆の本質たるものが描かれているのだと思うが、まあよく分からん。翻訳もイマイチなそうなので他のでも読んでみるかな。 目玉は『ホップフロッグ』これが読みたかった!江戸川乱歩の『踊る一寸法師』はこれに影響を受けたらしいので。道化師とは基本的にいじられキャラなわけですが、それも度がすぎるとこういう結果を招いてしまうという教訓ですね。小学校の学級文庫に置いておくべきでしょう。ましてや彼は親友への暴力がきっかけになっているので、まだ幾分か優しいのですが… ホップフロッグは身体能力の欠如。それに対して、オランウータン(またもや笑)に仮装させたことは知性・品性の欠如を揶揄した皮肉でしょうか。天井を見上げるときたねえ花火が見えるという映像的に派手なラストは『踊る一寸法師』よりはるかに印象に残りました。 |
No.10 | 5点 | ポー詩集- エドガー・アラン・ポー | 2024/09/24 00:34 |
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短編『ライジーア』からポーの詩集に興味を持って読んだ。リズムや旋律、韻が大事な詩を翻訳版で読んで、果たして意味があるのか?それは知らん。
『大鴉』は詩人ポーが名声を得た出世作。愛するレノアを失った男はただの鴉を見るだけでも激情に駆られる。亡くなってしまった人はネバーモア(またとない)ゆえに正気ではいられない。うむ、こんな単純な解釈しかできん(^^;) 詩の内容がかろうじて理解できなくもないのは、私からするとこの『大鴉』と『アナベル・リイ』と『黄金卿』あたりか。 ポーは母親や義母、従姉妹の妻など、愛する女性達に尽く先立たれているそうです。その暗澹たる人生のためか、女性に関する詩は神秘的な美しさの陰で底知れぬ寂寥感を伴う詩ばかりですね。愛する女性の死を詠うポーの哀愁と憂鬱を感じ取れたらひとまずは良いのかな。 |
No.9 | 7点 | 黒猫・アッシャー家の崩壊 -ポー短編集Ⅰ ゴシック編-- エドガー・アラン・ポー | 2024/09/23 20:18 |
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【注意】【感想の最後にダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』のネタバレのようなものがあると思われる(うろ覚え)】
再読はほぼしない私だが、エドガー・アラン・ポーはお話について行くだけで精一杯なので2周するくらいがちょうど良い。巽孝之氏の解説を読んで結構満足。 『黒猫』は何度でも読める犯罪小説。 『赤き死の仮面』は初読時には雰囲気に惑わされていたが、7つの部屋は一体何を表しているのでしょうかね。最後が「死」を表しているのだとして、人生におけるターニングポイントのようなもの?それともすべて死にまつわる何か?うーんわからん。「仮面の人物に実体がなかった」というのも不思議だ。実体を伴わない方が恐怖が増大するというだけの理由でそうしたとは思えない。うーんわからん。結論:再読してもわからん。 『ライジーア』は意志は肉体を超越するということについてだけど。最後の"奇跡"については、ライジーアの意志なのか語り手の意志なのか、対象が謎ですよね。ポーの詩集も読んでみるかな。 『落とし穴と振り子』は幻想風味はなく、リアリティと臨場感溢れる脱出ホラー。まあまあ。 『ウィリアム・ウィルソン』はドッペルゲンガーを扱った恐怖小説。今読むとよくある話だなあと思ってしまいますが、やはりポーがこのジャンルの先駆者なのでしょう。 私の頭の中でガバガバゴシック方程式ができました。『ライジーア』+『アッシャー家の崩壊』=『レベッカ』 |
No.8 | 7点 | ポー名作集- エドガー・アラン・ポー | 2024/07/21 20:13 |
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エドガー・アラン・ポーのアンソロジーはこれで3冊目なので、再読作品も多かった。『モルグ街の殺人』『盗まれた手紙』『マリー・ロジェの謎』『お前が犯人だ』『黄金虫』『スフィンクス』『黒猫』『アシャー館の崩壊』の全8作が収録されています。
これ1冊でポーのミステリー系作品はほぼ網羅できると思われるので、ポーのアンソロジー何読もうって方はこれから読めばいいのではないでしょうか。特に世界初の名探偵オーギュスト・デュパンシリーズが3作とも揃っているのは嬉しいです。今回初読の『マリー・ロジェの謎』はニューヨークで実際に起こった殺人事件をポー自身がデュパンの名前を借りてプロファイリングしたエッセイといっても差し支えなく、あまりバディものとしての面白さはありません。しかし、デュパンの卓越した分析能力を目の当たりにすると、「推理小説」の原点はやはり推理≒ロジックであると認識しました。いつか私にもトリックではなくロジックを偏重する時代がくるのかもしれません。ちなみに安楽椅子探偵の元祖でもあるそうです。 『黒猫』は3読目ですが、異常心理犯罪小説として大変気に入っています。「乙女の本棚シリーズ」では絵本にもなっており、こちらも強くおすすめできます。 |
No.7 | 7点 | アッシャー家の崩壊- エドガー・アラン・ポー | 2024/05/24 02:35 |
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幻想的な館ものですね。途中で『早すぎた埋葬』と印刷ミスってないか?と不安になった笑
自分の好きな新本格の館系作品をトリックやプロットをそのままにして、ポーがリライトすれば、文学的価値の付与された隙のない作品になっただろうなあと意味のない妄想に耽ってしまった。 |
No.6 | 7点 | 黒猫- エドガー・アラン・ポー | 2024/05/24 02:31 |
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怪奇小説・・・と見せかけた異常心理犯罪小説。短編でここまで嫌悪感を覚えさせるキャラクターはそうそういないでしょう。 |
No.5 | 6点 | 赤死病の仮面- エドガー・アラン・ポー | 2024/05/24 02:29 |
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これがゴシックホラーってやつか。捻りの効いた皮肉なオチがいいね。 |
No.4 | 6点 | 黄金虫- エドガー・アラン・ポー | 2024/05/23 20:51 |
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こちらはかすかに読んだ記憶があった。
この作品がポーの存命中では最も人気な作品だったらしい。確かに暗号嫌いな人なんていないよねぇ… ポーすごいなあ、なんでも生み出してんじゃん。 昨今の複雑すぎる真相や暗号に親しんできた人こそポーを読むべきなのかもね ※ところで、ポーは短編単体での登録が結構あるっぽいけど大丈夫なのかな?? 始祖ポー(と乱歩)だけ特別枠? |
No.3 | 6点 | お前が犯人だ- エドガー・アラン・ポー | 2024/05/23 20:41 |
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「犯人はお前だ」って決め台詞もこれが初なのかな。始祖ポーは陳腐な使い方をせずに、演出が派手で面白いね。ポーってなんだか楽しい人だな。 |
No.2 | 8点 | モルグ街の殺人- エドガー・アラン・ポー | 2024/05/23 17:22 |
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さーて、最古典のお勉強の時間といくか…
『盗まれた手紙』はなんとも言えなかったし、コチラもどうせ今読んだらそこまでだよなと思いながら、重い腰を上げて読み始めると、、、Ohhh!密室殺人!!そして衝撃の犯人!!! 探偵小説の雛形を考案しただけじゃなくて、ハナからこんなにネジの外れたとんでもミステリを生み出していたのか。すごい、すごすぎるぞポー。 『オリエント』も『アクロイド』も『ABC』もネタバレされたのに、なぜこの作品だけ露知らず読めたのかが不思議である。 始祖への敬意 +1 ※ちなみに本サイトのどっかの書評(失念)で、「『モルグ街の殺人』が史上初の推理小説ってのは間違いの可能性がある」みたいな感じのことを読んだ記憶があります。wikipediaみた感じ、E.T.A.ホフマンの『スキュデリ嬢』(1819年)がよく俎上に載せられるらしい。 |
No.1 | 5点 | 盗まれた手紙- エドガー・アラン・ポー | 2023/08/07 17:47 |
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結構前に海外の古典短編集が6つくらい乗ってるやつ(著者はバラバラ)で読んでて、唯一覚えてるお話。なんかコナンドイルの赤毛連盟とかも乗ってたような気もするが思い出せん。
ふと登録されてるの発見して嬉しいので書いときます。 これにピッタリなことわざ知ってますよ。 『灯台下暗し』ドヤ |