皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ことはさん |
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平均点: 6.21点 | 書評数: 284件 |
No.24 | 8点 | 遠い砂- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 01:07 |
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これはいい。冒頭の出会いから風景描写がよくて、事件が起きるまでも楽しく読める。
事件発生から捜査の過程もスリリングで、主人公ふたりの葛藤も味がある。特に主人公のモチベーション(それは読者のモチベーションにも直結するけど)が、明快なのがいい。 「遠い砂」を読んで、「メグストン計画」「ギャラウエイ事件」を思い起こすと、あれらは主人公のモチベーションが弱いと思う。こっちのほうが好き。(福島正実訳好きとしては、それで数割増しているとは思うけど) それに、ラストシーンはツボ。「ギャラウエイ事件」にもこういうエピローグが必要でしょ! 今のところガーヴで一番いい。 |
No.23 | 6点 | 地下洞- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 01:01 |
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これもガーヴらしく3部構成。
事件発生、恋愛サスペンス、そして……。 1部の洞窟描写は味がある。いいね。 2部の恋愛サスペンス、悪くない。でも1部からの引き続きとしては、違う方向に行っている感が……。 と思ったら、3部でそっちの方向?! なんだ、この違うベクトルの話を3つ繋げた話は。嫌いじゃないけど。1部が一番好きかな。 |
No.22 | 7点 | メグストン計画- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 00:54 |
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きれいな3部構成。計画、実行、実行後。どこもよどみなく楽しく読める。
2部の冒険小説風の味がカーヴなんだろうなぁ。冒険小説はそんなに好きでない私でも楽しめた。 (ジャンル投票は冒険小説にしました) ラストは、ささっと終わる。これもカーヴ印。 うん、楽しい。ガーヴの特徴がでているという意味で、確かに代表作。でも、これが代表作だとインパクトは薄いかなぁ。ガーヴがメジャーにならないのはその辺りにあるのかなぁ。 |
No.21 | 7点 | ギャラウエイ事件- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 00:44 |
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冒頭の二人の出会いから再会まで、とても楽しく読める。
ここの流れはいかにもガーヴ。なるほどクロフツ風との評がでるのもわかる緻密さ。いい。 そこから一転、剽窃事件へ。試行錯誤の道行きが楽しい。最後は冒険小説風で、ここはちょっとベタすぎかなぁ。 どうしてもいいたいのは、ラスト! ああ、これは、エピローグが必要でしょ! 読んだ人、わかるよねぇ。 |
No.20 | 7点 | 死と空と- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 00:40 |
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ガーヴは3部構成が多いけど、これも3部構成。
よくできたサスペンス。瀬戸川さんが「夜明けの睡魔」で「幻の女」より面白いと書いていたけど、まあ、それは言い過ぎにしても、持ち上げたくなる気持ちはわかる。これが絶版とは! 2部の脱走のスリリングさ、いい。古き良きイギリスの冒険小説のイメージですね。 ラストが、ささっと終わるのが、インパクトが薄くなってしまうかもしれないけど、でもこれはそれがはまっているように思う。 「ギャラウエイ事件」「メグストン計画」より好き。 |
No.19 | 5点 | 顔- エラリイ・クイーン | 2019/08/12 15:08 |
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ン十年ぶりの再読。 (展開のネタバレあり)
「三角形の第四辺」とつづけて読んでみて、共通点が多いなと感じました。状況証拠だけで法廷まですすんで、最終的に無罪判決になる展開。犯人の立ち位置など。(発表順もつづいているので)「三角形の第四辺」のリベンジ? 確かに「三角形の第四辺」よりはいいけど、積極的に評価する気にはならないなぁ。 第2の事件をよく考えると、犯人も見えてきてしまうし、だいたい登場人物が少なくて、展開の可能性が少なくて思いついてしまう。 「最後の一撃」より後のクイーン長編では、平均よりは上だけど。 |
No.18 | 5点 | 三角形の第四辺- エラリイ・クイーン | 2019/08/12 14:48 |
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ン十年ぶりの再読。
以前の記憶では、クイーン長編38作中で、これと「真鍮の家」が最低評価2作でした。 再読してみて、事件が起きるところまで、なかなかそそられる状況設定で面白かったですが、その後は(皆さん書かれていますが)警察が無能すぎる、ラストの決め手も弱いなど、弱点だらけで、お勧めできません。 しかし、クイーン好きとしては、ラストの決め手のクイーン好み感や、説得力の弱いドンデンなども楽しめたので、最低評価からは脱却。(「最後の女」「心地よく……」のほうが下かな?) 4点と迷った5点 |
No.17 | 6点 | ヒルダよ眠れ- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/03/20 00:02 |
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瀬戸川さんの文庫解説に共感。犯人が絞られる展開はあっけないし、後半になってくると視点人物は変わるし、最後の自白は冗長すぎる。
でも、途中の展開は私立探偵小説のようで、少しずつ見えてくるヒルダのキャラクターは、気味が悪くてザワザワする感じでよい。「傑作」「名作」ではないけど、後々まで残る個性的的な「佳作」ではあると思う。 いいところと、残念なところのある、ガーヴの習作というところ。 あ、最後の章(数ページだけだけど)は、ガーヴ印。(お話でも、そんな風にするかよっで感じ。苦笑) |
No.16 | 5点 | 死時計- ジョン・ディクスン・カー | 2019/03/07 23:51 |
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30年ぶりの再読。ゴタゴタしていた印象だけで、内容はほとんどおぼえていなかった。印象通りゴタゴタしている。
真相をきいても「え、そんな情景だったっけ?」と感じて納得感も、腑に落ちる感もなく、解決はぴんとこない。 「カーはチェスタトン風の話(なにがおきているかわからない話に説明をつける)を長編でやりたいという所がある」と書いていたのは、「新カー問答」だったかな?(間違いかも。未確認) これもその傾向の話だなと感じた。私の中でこのくくりは「帽子収集狂」「死者はよみがえる」「アラビアンナイト」などだけど、どれもピンとこない。 フェル博士とハドリー首席警部の討論は面白かった。それがあってこの点数かな。カーの中では、中の下の位置。 miniさんの「読者は何が謎のポイントなのかを把握し難い、これでは謎が解かれても驚きを感じ得ない」は、非常に共感! そうそう! |
No.15 | 6点 | 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー | 2019/02/26 02:17 |
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実をいうと、最初に読んだカー作品。なんでこれを最初にとったのかなぁ。ネットもない時代で、情報が少なかったから、本屋の店頭で手にとれるものを選んだだけだったかも。
それにしては、カー入門としてはいい作品を選んだかも。カーの特徴「密室」「怪奇趣味」「ドタバタ」「ラブコメ要素」がいい塩梅に配置されている。佳作。 カーの「ラブコメ要素」はあまりのれないときが多いのだけれど、これは素直に楽しめた。 再読してみると、ミステリ要素としては、プロット展開(自殺?他殺?)で楽しませようとしていて、トリックは添え物に近い感じを受けた。 採点は、最初に読んだカー作品という思い入れを加えないで、この点。点数以上に思い入れはある作品。 |
No.14 | 7点 | 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー | 2019/02/15 00:58 |
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新訳で再読。
うん、やっばりこれはよくできている。だれることもなく一気読み。誰にでもお勧めしやすい。 でもね、この平均点はできすぎでしょ。ミステリ史に残る傑作のような点数だけと、そこまでではないよなぁ。 カーにはもっと面白い作品がいくつもある。これは一発ネタという感じで、インパクトが薄い。 カーの傑作はいろいろアイディアをてんこ盛りして、サービス満点なのがいいんでしょ!(そのかわり整理ができてないところがあるけど、それはお愛嬌) ということでこの点数。私の好みでは、カーの中では中の上。 |
No.13 | 6点 | サムスン島の謎- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/02/10 11:08 |
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去年からガーヴをたくさん読んでいますが、本書は平均点の出来です。
観光地が舞台の2時間サスペンスのようなプロットです。 テレビのサスペンスより、品がいいのがガーヴの良さでしょう。 福島正実訳好きとしては、ガーヴに福島正実訳が多いのがうれしいです。本書も福島正実訳です。 ちなみに、舞台は実在の場所で、Wikiに航空写真があります。 本書の冒頭に地図が掲載されていますが、航空写真と比べても、かなり正確に書かれています。 私は航空写真をカラー印刷して、参照しながら読んだので、情景イメージが湧きやすかったのか、観光地の空気感を楽しめました。 |
No.12 | 10点 | 十角館の殺人- 綾辻行人 | 2019/02/09 13:50 |
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みなさんの書評をみて、否定的意見にも「そうだよね」と理性では納得しますが、リアルタイムで読んで「こういうのが読みたかったんだ!」と興奮した大学生のころの感情を優先して満点にします。
単発作品と思っていたのに、書店の新刊で「水車館」のノベルスをみて、「館つながりでシリーズにするのかー」とワクワクしたあの頃が懐かしい! |
No.11 | 6点 | 千年図書館- 北山猛邦 | 2019/02/05 19:15 |
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「私たちが星座を盗んだ理由」と同一タッチの短編集という帯。
それはその通りでしたが、「私たち……」よりはインパクトが薄いです。 でも全体的に良質な話でした。 【お願い】最後の話、ラストにああなった理由がわかりませんでした。誰か教えてください。 |
No.10 | 7点 | 私たちが星座を盗んだ理由- 北山猛邦 | 2019/02/04 23:57 |
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「嘘つき紳士」は平凡な感じだけど、他4作「恋煩い」「妖精の学校」「終の童話」「私たちが星座を盗んだ理由」はなかなかよい。
「終の童話」はとくに好み。これだけなら8点だけど、総合では7点。 |
No.9 | 10点 | 鋼鉄都市- アイザック・アシモフ | 2019/02/02 17:42 |
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SFとしては、世界設定が好み(地球人は広場恐怖症でスペーサーと対立している構図etc)
謎解きとしては、仮説の構築/崩壊を繰り返す展開が好み。 物語としてはバディ(相棒)ものとして楽しい。 アシモフは大好きな作家で、ミステリファンに読んでほしい作家です。 基本的にアシモフ作品は「謎と解決」型の作りなので(ファウンデーション・シリーズだって、思い返せば「謎と解決」型でしょ?)、多くのミステリファンが楽しめるはず。 若い頃によんで、思い入れがあるので最高点で! |
No.8 | 7点 | エラリー・クイーンの新冒険- エラリイ・クイーン | 2019/02/02 17:27 |
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「神の灯火」は、よくできていると思うけど、世評ほどは評価しません。
エラリーの「気付き」とタイトルは、クイーンのセンスを感じさせてくれて好きだけど。 「冒険」よりはかなり落ちる印象。 (2025/1 再読したので追記) 「神の灯」 再読して、雰囲気の盛り上げ、演出が記憶よりよく、評価があがった。新冒険の中では、やはりこれがいちばんよい。 「神の灯」以降の作は、やはり「冒険」より平均点がかなり落ちる。 「宝捜しの冒険」 盗難に宝探しをからめてテンポよく描く。ミステリ的にはエラリーがなにを仕掛けているかという点が面白さのポイント。 「空洞の竜の冒険」 竜のドアストッパーの事実から話が展開していく。手がかりの配置がいかにもクイーンらしい。 「暗黒の家の冒険」 状況に1つ偶然が過ぎる点があるが、1つの疑問から一気に推理を展開するところはクイーンらしい。 「血をふく肖像画の冒険」 事件と推理は単純なもの。興味深いのは、事件が発生するまでをじっくりと描いていて、ライツヴィル以降の作品のようなタッチがあるところ。 「人が犬を噛む」 野球観戦中の事件を描く。状況が個性的で魅力的で、事件の構図はきれい。でも殺人事件の捜査より野球に興味があるところや、最後の処理など、捜査陣はこれでいいのか? 「大穴」 競馬にまつわる事件。展開はありきたりで、構図もわかりやすい。 「正気にかえる」 ボクシングという舞台設定を活かした手がかりと推理。なのだが、推理は自作の再利用なので高く評価できない。 「トロイの木馬」 アメフトの試合開始前に宝石の盗難が発生。隠し場所からまっすぐに犯人にたどり着く推理はシンプルだが、前振りが的確。 |
No.7 | 9点 | エラリー・クイーンの冒険- エラリイ・クイーン | 2019/02/01 12:29 |
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平均点はいまひとつですね。やはり短編集は高得点は難しいのか。
友人にすすめたら「教科書みたい」といっていましたが、謎解きミステリの典型を体現しているからだと思います。 「シャーロック・ホームズの冒険」と並んで、謎解きミステリ短編集の基本図書ということで、この点。 (2025/1 再読したので追記) 「アフリカ旅商人」 趣向はいいが、構成はシンプル。手がかりと推理だけで、すこし無味乾燥ぎみ。 「首吊りアクロバット」 ”なぜ、その殺害方法?”という疑問はよい。決め手の手がかりが提示から即解決な構成は、すこし残念。 「1ペニー黒切手」 ホームズのある作品をフィーチャーして、最後はポーのある作品をフィーチャーして締めと、なかなか気がきいている。犯行現場に残る手がかりが、クイーンらしくていい。 「ひげのある女」 だいぶ強引な構成の話だが、嫌いじゃない。”手がかりはたくさんあったよ”と説得するような推理は、ややクイーンらしくない。終盤の展開はホームズのある作品を思い出させる。 「三人の足の悪い男」 ミステリを読み慣れていたら、手がかりとその展開はわかってしまう。「事件の構図」と「後半の展開」は、以降のある作品を思い起こさせるが、エラリーの発言も含め、以降の作品の方が圧倒的に良作。 「見えない恋人」 ライツヴィル物を思わせる舞台に、シンプルな構図でまとまっている。タイトルの意図が最後にわかる構成はよい。 「チークのたばこ入れ」 短いページ数に事件が複数盛り込まれ、展開のキーにタイトルの”たばこ入れ”が絡んでくる見事な構成。推理も明確で、犯人名を最終行にもってくるたたみ方も鮮やか。本作のベストの1つ。 「双頭の犬」 本短編集中、もっとも雰囲気作りに力がはいっている。事件が起きるまでの描写も丁寧で、実験発生後、一気呵成に解決になだれ込む。本作のベストの1つ。 「ガラスの丸天井付き時計」 冒頭に事件の手がかりを前振りをしつつ、短いページ数に正しい手がかりと偽の手がかりを複数詰め込んで、推理の構築だけでよませる、これぞクイーンといった1篇。”こんなことする犯人はいないだろう”というところをスルーできない人には評価されないだろうが、私的好みでは、本作のベストの1つ。 「七匹の黒猫」 エラリーが偶然きいた不可解な話からはじまり、ほぼ視点をエラリーに固定して、息つく間もなく展開させる良作。被害者について地の文で描写されないところは、極めて初期クイーンらしい。 「いかれたお茶会」 中期のミッシング・リンクのこだわりに繋がる最初の例か? 私には展開も含めて、のれない作品。 |
No.6 | 6点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2019/02/01 12:22 |
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ラスト以外は読みどころがないと思うけど、やっぱりラストの構想はいいので、6点で。
角川の新訳で再読したので追記。 後半に出てくる2つの推理は、かなり魅力的な推理なのだが、前半3分の2は、あまりにも冗長で偶然が多い。これで全体の印象が悪かったのだなぁと再確認できた。後半の事件だけで中編にまとめていたら、「神の灯」以上の傑作になっていたかもと思う。 |
No.5 | 7点 | Zの悲劇- エラリイ・クイーン | 2019/02/01 12:20 |
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やはり、X,Yと比べると色々落ちる。雰囲気も変わってしまっていて、原因はこのころのクイーンの量産体制と邪推。
それでも最後の推理シーンはいいので、少しおまけで7点 |