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ことはさん
平均点: 6.34点 書評数: 222件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.22 7点 メグストン計画- アンドリュウ・ガーヴ 2019/08/29 00:54
きれいな3部構成。計画、実行、実行後。どこもよどみなく楽しく読める。
2部の冒険小説風の味がカーヴなんだろうなぁ。冒険小説はそんなに好きでない私でも楽しめた。
(ジャンル投票は冒険小説にしました)
ラストは、ささっと終わる。これもカーヴ印。
うん、楽しい。ガーヴの特徴がでているという意味で、確かに代表作。でも、これが代表作だとインパクトは薄いかなぁ。ガーヴがメジャーにならないのはその辺りにあるのかなぁ。

No.21 7点 ギャラウエイ事件- アンドリュウ・ガーヴ 2019/08/29 00:44
冒頭の二人の出会いから再会まで、とても楽しく読める。
ここの流れはいかにもガーヴ。なるほどクロフツ風との評がでるのもわかる緻密さ。いい。
そこから一転、剽窃事件へ。試行錯誤の道行きが楽しい。最後は冒険小説風で、ここはちょっとベタすぎかなぁ。
どうしてもいいたいのは、ラスト! ああ、これは、エピローグが必要でしょ! 読んだ人、わかるよねぇ。

No.20 7点 死と空と- アンドリュウ・ガーヴ 2019/08/29 00:40
ガーヴは3部構成が多いけど、これも3部構成。
よくできたサスペンス。瀬戸川さんが「夜明けの睡魔」で「幻の女」より面白いと書いていたけど、まあ、それは言い過ぎにしても、持ち上げたくなる気持ちはわかる。これが絶版とは!
2部の脱走のスリリングさ、いい。古き良きイギリスの冒険小説のイメージですね。
ラストが、ささっと終わるのが、インパクトが薄くなってしまうかもしれないけど、でもこれはそれがはまっているように思う。
「ギャラウエイ事件」「メグストン計画」より好き。

No.19 5点 - エラリイ・クイーン 2019/08/12 15:08
ン十年ぶりの再読。 (展開のネタバレあり)
「三角形の第四辺」とつづけて読んでみて、共通点が多いなと感じました。状況証拠だけで法廷まですすんで、最終的に無罪判決になる展開。犯人の立ち位置など。(発表順もつづいているので)「三角形の第四辺」のリベンジ?
確かに「三角形の第四辺」よりはいいけど、積極的に評価する気にはならないなぁ。
第2の事件をよく考えると、犯人も見えてきてしまうし、だいたい登場人物が少なくて、展開の可能性が少なくて思いついてしまう。
「最後の一撃」より後のクイーン長編では、平均よりは上だけど。

No.18 5点 三角形の第四辺- エラリイ・クイーン 2019/08/12 14:48
ン十年ぶりの再読。
以前の記憶では、クイーン長編38作中で、これと「真鍮の家」が最低評価2作でした。
再読してみて、事件が起きるところまで、なかなかそそられる状況設定で面白かったですが、その後は(皆さん書かれていますが)警察が無能すぎる、ラストの決め手も弱いなど、弱点だらけで、お勧めできません。
しかし、クイーン好きとしては、ラストの決め手のクイーン好み感や、説得力の弱いドンデンなども楽しめたので、最低評価からは脱却。(「最後の女」「心地よく……」のほうが下かな?)
4点と迷った5点

No.17 6点 ヒルダよ眠れ- アンドリュウ・ガーヴ 2019/03/20 00:02
瀬戸川さんの文庫解説に共感。犯人が絞られる展開はあっけないし、後半になってくると視点人物は変わるし、最後の自白は冗長すぎる。
でも、途中の展開は私立探偵小説のようで、少しずつ見えてくるヒルダのキャラクターは、気味が悪くてザワザワする感じでよい。「傑作」「名作」ではないけど、後々まで残る個性的的な「佳作」ではあると思う。
いいところと、残念なところのある、ガーヴの習作というところ。
あ、最後の章(数ページだけだけど)は、ガーヴ印。(お話でも、そんな風にするかよっで感じ。苦笑)

No.16 5点 死時計- ジョン・ディクスン・カー 2019/03/07 23:51
30年ぶりの再読。ゴタゴタしていた印象だけで、内容はほとんどおぼえていなかった。印象通りゴタゴタしている。
真相をきいても「え、そんな情景だったっけ?」と感じて納得感も、腑に落ちる感もなく、解決はぴんとこない。
「カーはチェスタトン風の話(なにがおきているかわからない話に説明をつける)を長編でやりたいという所がある」と書いていたのは、「新カー問答」だったかな?(間違いかも。未確認)
これもその傾向の話だなと感じた。私の中でこのくくりは「帽子収集狂」「死者はよみがえる」「アラビアンナイト」などだけど、どれもピンとこない。
フェル博士とハドリー首席警部の討論は面白かった。それがあってこの点数かな。カーの中では、中の下の位置。
miniさんの「読者は何が謎のポイントなのかを把握し難い、これでは謎が解かれても驚きを感じ得ない」は、非常に共感! そうそう!

No.15 6点 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー 2019/02/26 02:17
実をいうと、最初に読んだカー作品。なんでこれを最初にとったのかなぁ。ネットもない時代で、情報が少なかったから、本屋の店頭で手にとれるものを選んだだけだったかも。
それにしては、カー入門としてはいい作品を選んだかも。カーの特徴「密室」「怪奇趣味」「ドタバタ」「ラブコメ要素」がいい塩梅に配置されている。佳作。
カーの「ラブコメ要素」はあまりのれないときが多いのだけれど、これは素直に楽しめた。
再読してみると、ミステリ要素としては、プロット展開(自殺?他殺?)で楽しませようとしていて、トリックは添え物に近い感じを受けた。
採点は、最初に読んだカー作品という思い入れを加えないで、この点。点数以上に思い入れはある作品。

No.14 7点 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー 2019/02/15 00:58
新訳で再読。
うん、やっばりこれはよくできている。だれることもなく一気読み。誰にでもお勧めしやすい。
でもね、この平均点はできすぎでしょ。ミステリ史に残る傑作のような点数だけと、そこまでではないよなぁ。
カーにはもっと面白い作品がいくつもある。これは一発ネタという感じで、インパクトが薄い。
カーの傑作はいろいろアイディアをてんこ盛りして、サービス満点なのがいいんでしょ!(そのかわり整理ができてないところがあるけど、それはお愛嬌)
ということでこの点数。私の好みでは、カーの中では中の上。

No.13 6点 サムスン島の謎- アンドリュウ・ガーヴ 2019/02/10 11:08
去年からガーヴをたくさん読んでいますが、本書は平均点の出来です。
観光地が舞台の2時間サスペンスのようなプロットです。
テレビのサスペンスより、品がいいのがガーヴの良さでしょう。
福島正実訳好きとしては、ガーヴに福島正実訳が多いのがうれしいです。本書も福島正実訳です。
ちなみに、舞台は実在の場所で、Wikiに航空写真があります。
本書の冒頭に地図が掲載されていますが、航空写真と比べても、かなり正確に書かれています。
私は航空写真をカラー印刷して、参照しながら読んだので、情景イメージが湧きやすかったのか、観光地の空気感を楽しめました。

No.12 10点 十角館の殺人- 綾辻行人 2019/02/09 13:50
みなさんの書評をみて、否定的意見にも「そうだよね」と理性では納得しますが、リアルタイムで読んで「こういうのが読みたかったんだ!」と興奮した大学生のころの感情を優先して満点にします。
単発作品と思っていたのに、書店の新刊で「水車館」のノベルスをみて、「館つながりでシリーズにするのかー」とワクワクしたあの頃が懐かしい!

No.11 6点 千年図書館- 北山猛邦 2019/02/05 19:15
「私たちが星座を盗んだ理由」と同一タッチの短編集という帯。
それはその通りでしたが、「私たち……」よりはインパクトが薄いです。
でも全体的に良質な話でした。
【お願い】最後の話、ラストにああなった理由がわかりませんでした。誰か教えてください。

No.10 7点 私たちが星座を盗んだ理由- 北山猛邦 2019/02/04 23:57
「嘘つき紳士」は平凡な感じだけど、他4作「恋煩い」「妖精の学校」「終の童話」「私たちが星座を盗んだ理由」はなかなかよい。
「終の童話」はとくに好み。これだけなら8点だけど、総合では7点。

No.9 10点 鋼鉄都市- アイザック・アシモフ 2019/02/02 17:42
SFとしては、世界設定が好み(地球人は広場恐怖症でスペーサーと対立している構図etc)
謎解きとしては、仮説の構築/崩壊を繰り返す展開が好み。
物語としてはバディ(相棒)ものとして楽しい。
アシモフは大好きな作家で、ミステリファンに読んでほしい作家です。
基本的にアシモフ作品は「謎と解決」型の作りなので(ファウンデーション・シリーズだって、思い返せば「謎と解決」型でしょ?)、多くのミステリファンが楽しめるはず。
若い頃によんで、思い入れがあるので最高点で!

No.8 7点 エラリー・クイーンの新冒険- エラリイ・クイーン 2019/02/02 17:27
「神の灯火」は、よくできていると思うけど、世評ほどは評価しません。
エラリーの「気付き」とタイトルは、クイーンのセンスを感じさせてくれて好きだけど。
「冒険」よりはかなり落ちる印象。

No.7 9点 エラリー・クイーンの冒険- エラリイ・クイーン 2019/02/01 12:29
平均点はいまひとつですね。やはり短編集は高得点は難しいのか。
友人にすすめたら「教科書みたい」といっていましたが、謎解きミステリの典型を体現しているからだと思います。
「シャーロック・ホームズの冒険」と並んで、謎解きミステリ短編集の基本図書ということで、この点。

No.6 6点 レーン最後の事件- エラリイ・クイーン 2019/02/01 12:22
ラスト以外は読みどころがないと思うけど、やっぱりラストの構想はいいので、6点で。
角川の新訳で再読したので追記。
後半に出てくる2つの推理は、かなり魅力的な推理なのだが、前半3分の2は、あまりにも冗長で偶然が多い。これで全体の印象が悪かったのだなぁと再確認できた。後半の事件だけで中編にまとめていたら、「神の灯」以上の傑作になっていたかもと思う。

No.5 7点 Zの悲劇- エラリイ・クイーン 2019/02/01 12:20
やはり、X,Yと比べると色々落ちる。雰囲気も変わってしまっていて、原因はこのころのクイーンの量産体制と邪推。
それでも最後の推理シーンはいいので、少しおまけで7点

No.4 10点 夏への扉- ロバート・A・ハインライン 2019/01/31 20:58
高2の夏休みに読みました。
読み始めたのは、午後4時位。読み終わったのは、午後6時半くらい。
夏の夕暮れで、いつもと違う世界にいる感じがして……。(あれ? 世界はこんな感じだったっけ?)
それは多分、深く深く作品世界に入っていたため、感覚器官がおかしくなっていたからでしょう。
思い出の作品なので、10点。
また、訳がいいんだよね。
「かくいう僕も、夏への扉を探していた」なんて……。
「かくいう僕も」というリズム感は、福島正実だなぁと思う。福島正実の口調は大好き。多分、福島正実の訳で評価は3割増。

No.3 9点 Yの悲劇- エラリイ・クイーン 2019/01/31 18:53
バニラの匂い、マンドリンが凶器など、そそられるガジェットが満載で、クイーンの生涯のテーマ「操り」の初出とか、注目点が盛りだくさん。
推理部分は今ひとつと思うけど、やっぱりこれは傑作。8点と迷うけど、9点で。

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ことはさん
ひとこと
ホームズ生まれの、クイーン育ち。
短編はホームズ、長編は初期クイーンが、私のスタンダードです。
好きな作家
クイーン、島田荘司、法月綸太郎
採点傾向
平均点: 6.34点   採点数: 222件
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