皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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レッドキングさん |
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| 平均点: 5.29点 | 書評数: 999件 |
| No.179 | 5点 | 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー | 2019/03/11 11:29 |
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| なるほど、毒殺の本質は虚栄心か。虚栄心から、ケレンミたっぷりの心理実験劇を演じる虚をつかれて、毒殺されちまう男ってのが、またエスプリ効いてて。
そういえばわが国でも「ヒ素カレー事件」って毒殺事件あったな。確かにアレもいろいろ「虚栄心」の臭いがした。 |
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| No.178 | 7点 | 宿命と真実の炎- 貫井徳郎 | 2019/03/08 17:00 |
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| 連続警官殺しのフーダニットホワイダニット。偽の連続と真の連続、連続と不連続、思い込みと操り、「レクター博士とクラリス捜査官」・・・。
「後悔と真実の色」の続編で相変わらず面白いが、前作では それぞれ一癖あって「犯人」の可能性さえ匂わせていた刑事達も すっかり「善玉」にキャラ付けされて、その分だけ緊張感がなくなってしまった。またタイトルのダサさは前作を一回り上回った。 が、ヒロイン女刑事の設定が良い。「容姿が平均に満たなく」て、「陰でブス呼ばわりされて」いて、「可愛げのない三十路女」ってのが良い。普通、ヒロインには、とびきりの「いい女」をキャラ立てして来るだろうに。 |
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| No.177 | 5点 | 慟哭- 貫井徳郎 | 2019/03/05 07:15 |
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| 某有名作と真反対のトリック。あっちは✕✕人物を〇〇人物として、〇〇時間を✕✕時間と誤認させるトリックだったが、これはその全く反対のトリック。ひょっとするとあの作品、これにヒントを得たのかな、こっちの方が先だし。残念ながらあっち先に読んじまったから、どうしてもインパクトは薄れる。もっともいくらでも前例あるんだろうな。こういうのって。
トリックは それとして別に評価したいが、小説自体としては「後悔と真実の色」の「習作」みたいなもんだ。それに この事件て半分しか解決されてないじゃん。 |
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| No.176 | 4点 | 黄色い部屋の謎- ガストン・ルルー | 2019/03/03 01:06 |
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| 前半の密室トリックよりも、後半の人物消失トリックの方が面白い。それにしても・・・話がたるすぎ。 | |||
| No.175 | 6点 | ビッグ・ボウの殺人- イズレイル・ザングウィル | 2019/03/03 00:48 |
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| 「心理的」密室トリックの元祖とのことなので、その世評信じて2点オマケ付き。特許権は大事だから。
※ところで「物理的」密室トリックの元祖って何て小説なんだろう。 |
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| No.174 | 5点 | 有限と微小のパン- 森博嗣 | 2019/03/03 00:22 |
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| 標準的な密室トリックで1ポイント、バーチャルトリックで1ポイント、あと あの「女ルパン」てか「女モリアーティ」の人物トリックで1ポイント。以上3ポイント×2点が評価点だが、長くて物語性の燃費が悪いのでマイナス1ポイント。
※ヤク中ホームズ以降、名探偵ってのは奇人変人あるいは異形と相場が決まってて、なかにはもっと「普通の人」いてもいいじゃんとも思ってたが、こういう探偵てのも実につまらん。 |
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| No.173 | 6点 | 妖奇切断譜- 貫井徳郎 | 2019/03/02 21:05 |
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| 明治初期を舞台にした連続バラバラ殺人事件。全ての屍体の一部、それもそれぞれ別の一部が持ち去られていたとくれば、どうしたって「あの名作」連想する。しかもホワイダニットも結果「アレ」だし。「アレ」ほどトリッキーじゃないが、そのかわり「妖異金瓶梅:赤い靴」「魍魎の匣」の味付けもあって、「グロ」越えて「ヘド」に至るほどのスパイス効いてて好きな人にはたまらんだろう。 | |||
| No.172 | 8点 | 後悔と真実の色- 貫井徳郎 | 2019/02/27 20:49 |
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| 存在するだけで嫉妬や悪意を買う男、自分自身の憎悪や嫉妬に苦しむ男、自分の痛みには過敏だが加害者であることには無自覚な男達、失ってみて初めて思い知る価値ある事柄・・・
警官ヒーローものかと思いきや、主役のどん底転落とわずかな再生兆しの物語。「指切断猟奇連続殺人」テーマにも関わらず、江戸川乱歩賞でも鮎川哲也賞でもなく、また直木賞でもなく山本周五郎賞にこそふさわしい作品。なんというか「読んでよかったな」としみじみ思える話で、それがフー・ホワイダニットミステリと自然に同居してるってのが凄い。・・・ただ、タイトルがダサい。 |
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| No.171 | 5点 | ブルー・ベル- アンドリュー・ヴァクス | 2019/02/23 17:10 |
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| ローレンス・ブロックの痛いアル中探偵よりは、グッと楽しい生活を持った主人公にホッとする。彼の仲間達と巨大雌犬ペットがまた実によい。これシリーズ物のアニメかドラマにできるんじゃないか。
ところでこの作家、妙に「小児性愛」への憎悪にこだわっているね。なんかあったのかな。 |
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| No.170 | 5点 | 八百万の死にざま- ローレンス・ブロック | 2019/02/23 16:51 |
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| レイモンド・チャンドラーが、クリスティやクィーンのミステリを「リアリティがない」とか否定して「ハードボイルド」ジャンルを作ったみたいな話を聞いた。チャンドラーが本当にそんなことを書いたか言ったのかは知らない。ありがちな「伝聞神話」かもしれん。ただ言えることは、この作品のアル中探偵には、マーロウなんかより遥かに「リアリティ」を感じるし、何より魅力的だ。
「それから、最高に下らないことが起きた」・・・最高だ。 |
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| No.169 | 7点 | 夢果つる街- トレヴェニアン | 2019/02/23 16:25 |
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| 「カラマーゾフの兄弟」やフォークナーを、純然たるミステリの尺度で測ったところで・・4~5点位なものだろう・・測ったところで意味がないように、これもミステリとしてのみ評価するのはもったいない。が、連続殺人フーダニットの骨格もユニークな解決ロジックも備えている立派なミステリでもあり、このサイトではミステリとして評価したい。ただ、この主人公は、マーロウ、アーチャー等とは一線を画した、見事な「文学上」のキャラである故、どうしても点数にオマケが付いてしまうのはやむを得ない。 | |||
| No.168 | 1点 | 殺人鬼2- 綾辻行人 | 2019/02/22 16:18 |
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| ここまで行くと、むしろ、すがすがしい。大いに評価したい。 | |||
| No.167 | 7点 | さよなら神様- 麻耶雄嵩 | 2019/02/17 15:55 |
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| 鈴木太郎が本当の神様であるならば、彼の託宣する真理が「事実的に不可能」(AはBであり得ない)であっても、その不可能性を突き崩すためには「ロジック」(AはBであり得る)を紡ぎあげるだけでよい。
が、鈴木太郎がただの少年だった場合、せっかくのロジックも「真理の必要条件」(AはBであり得る)を満たすだけで、「十分条件」(A以外はBであり得ない)は満足させられない。 ミステリとして完結させるには、名探偵=神への信仰か、作者=神視点の「確固たる事実」の提示が必要となるが、ここでは曖昧さを残したまま余韻をもって終わらせている。予想もしなかった叙述トリックと自殺トリック、それから仰天「因果転倒」ネタにプラス1点のオマケ付けちゃう。 ※にしてもさあ、麻耶にこんなこと言うの野暮だけど、あんな「ロジカルな」小学生達、いるわけないじゃん。 |
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| No.166 | 4点 | ロートレック荘事件- 筒井康隆 | 2019/02/14 22:59 |
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| ついロートレックの絵画自体を考察してしまった。あの描写って何だったんだ?ミスリードだったのか?それともヴァンスや黒死館の衒学趣味をちょびっと真似たものだったのか?
真相解明部での「作者注」みたいな伏線自慢がウザい。ああいうのは読者に「ああ、ここで既に伏線が張られてたんだ。すごいなあ」って見つけてもらって感心してもらうべきもんで、その方が奥ゆかしくないか? |
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| No.165 | 5点 | リア王密室に死す- 梶龍雄 | 2019/02/14 22:16 |
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| 西村京太郎や笹沢佐保の類の「旧世代」感覚の作家だろうが、変に「胸キュン」郷愁感を醸し出してくれる人だな「海を見ないで陸を見よう」といいこれといい。「正統派」密室トリックもどんでん返しオチもよいな。 | |||
| No.164 | 6点 | 清里高原殺人別荘- 梶龍雄 | 2019/02/14 22:09 |
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| 設定どんでん返しトリックは素晴らしい。不可能刺殺トリックがチトちゃちだが、こういう類のラストは大好きだ。 主人公、あの女と逃げ切ってほしい。 | |||
| No.163 | 6点 | 龍神池の小さな死体- 梶龍雄 | 2019/02/14 22:06 |
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| 人物どんでん返しトリックは素晴らしい。「龍神池」なんてケレンミたっぷりなよだれ垂れそうな題名ついてんのに、アリバイ時間トリックってのがちと物足りない。 | |||
| No.162 | 8点 | 貴婦人として死す- カーター・ディクスン | 2019/02/13 18:55 |
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| 心中自殺しかありえない状況にして殺人。足跡の偽造が不可能という設定下での足跡トリック。360度+αに「開かれた空間」にして他殺不可能な「密室」。
4人の・・いや、アクロイドネタ含めて5人の容疑者が浮かんだが、あの犯人だけには思い至らなかった。やられた。 |
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| No.161 | 5点 | 羊たちの沈黙- トマス・ハリス | 2019/02/12 18:29 |
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| 二人のモンスター「ドクターレクター」と「バッファロービル」が実によい。テーマは「皮」。「皮」を利用した「密室」消失トリックが、もっときっちり作り込まれていて、「皮」を主題にした連続殺人犯特定のロジックがキチンと展開されていたら、本格物としても傑作になっていたろう。惜しい。 | |||
| No.160 | 6点 | 丸太町ルヴォワール- 円居挽 | 2019/02/10 17:11 |
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| 実在する街を舞台に、虚構されたミステリ空間で展開するロジックのお話。ヒロインのコテコテの関西弁がたまらない。(あんな言葉話す女、現実にはいないんだろなあ、て思ってたが実際に存在していた。) | |||