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パメルさん
平均点: 6.14点 書評数: 571件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.16 5点 栞と噓の季節- 米澤穂信 2024/01/14 06:54
高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門を主人公にした図書委員シリーズ第二作。
返却本に挟まっていた押し花をラミネート加工した栞。その花は猛毒のトリカブトだった。堀川と松倉は、持ち主を探し始める。校舎裏でトリカブトが植えられていた痕跡を発見し、その場に瀬野という女生徒がいた。翌日、栞は自分のものだと告げた瀬野は、二人から栞を奪い燃やしてしまう。
人は常に他者の視線にさらされている。他者と一体化することで、自分の「個」としての特性を覆い隠し、その場の色に染まった自分に安心する。人の目が気になりだす思春期以降に顕著な行動様式だ。本作は、その成長過程にいる若者たちを鮮やかに描き出している。
堀川と松倉と瀬野の三人は、それぞれの理由で事件の真相と謎を追っていくが、瀬野は大小の嘘をとり混ぜたりするため、事の究明は一筋縄ではいかない。堀川と松倉の二人もまた、自分が拠って立つ規範や信条から、嘘を交え事実の隠蔽を図らなければならない。
嘘をつくというのは本質的には悪とみなされる行為だ。しかし、なぜ嘘をつかなければならなかったのかということを探ると、そこには嘘をついた当人しか理解し得ぬ心の動きがある。嘘を通して生まれる新たな人間関係が素敵な青春ミステリ。

No.15 5点 遠まわりする雛- 米澤穂信 2023/10/19 19:08
古典部の面々が登場するシリーズ4作目。日常のちょっとした謎を解き明かす7編からなる短編集。
「やるべきことなら手短に」学内の幽霊騒ぎの真相は。普通に事件を解かせると思わせておいて、捻るというところは巧い。
「大罪を犯す」普段怒らない千反田が、数学の授業中に怒ったという。理由はかなり理路整然としていて、説得力がある。
「正体みたり」合宿で訪れた民宿で見た幽霊の正体は。幽霊の正体見たり枯れ尾花とはよく言ったものであるが、こういうアプローチとは思わなかった。旧家の一人娘としての苦悩が仄かに垣間見える。
「心あたりのある者は」成り行きで推理ゲームをすることになったホータロー。そのゲーム対象になったのは、校内放送だったが。ケルマンの名作「九マイルは遠すぎる」を意識している割には物足りない。
「あきましておめでとう」初詣で神社に行ったホータローと千反田は、一体どうしたことか蔵に閉じ込められてしまう。清く正しいジョブナイル冒険小説の味わい。
「手作りチョコレート事件」バレンタインデー当日、伊原の手作りチョコレートが忽然と消えてしまう。キャラの内面に踏み込みつつ、それが意外性に繋がっている。
「遠まわりする雛」生きひな祭りという祭りで、千反田が豪奢な格好で街中を歩くのに傘持ちという助手を頼まれたホータロー。コース上にある橋の工事は、祭りの日は工事を外すように手回ししたはずなのに。連作の締めとして、ある意味これ以上ないものに。新たな関係が予感する終わり方。

No.14 6点 巴里マカロンの謎 - 米澤穂信 2022/02/08 08:41
小市民シリーズの第四弾で、四編からなる連作短編集。
「巴里マカロンの謎」小鳩は、小山内に誘われてパティスリー・コギ・アネックス・ルリコに行き、新作マカロンを食べる。小山内は3つのマカロンを注文したが、出てきたのは4つ。増えたマカロンには指輪が入っていた。どのマカロンが増えたのか、犯人は誰かといった点についての推理の進め方は実に論理的。
「紐育チーズケーキの謎」小鳩は小山内に誘われて礼智中学校の文化祭に行く。そこで小山内がトラブルに巻き込まれ、その騒ぎの中でCDがなくなってしまう。小鳩は、そのCDがどこに消えたのかを推理する。派手さはないが、隠し場所に意外性がある。
「伯林あげぱんの謎」4つの揚げパンのうち、ひとつだけマスタードが入れてある。堂島、門地、真木島、杉の4人はマスタード入りに当たった者が記事を書くことにした。そして一斉に食べたが、誰もが美味しかったと言った。この不思議な現象は思い込みが原因。オチは気付いてしまったが良く出来ている。
「花府シュークリームの謎」古城が無実なのにもかかわらず、飲酒の疑いで停学になった。この事件を小鳩と小山内が誰の犯行かを解き明かす。何気ないやり取りが真相につながる。犯人はわかりやすい。
ほのぼのとした中にブラックな味わいが楽しめるシリーズだが、本作は少し弱めか。全体的に地味な印象はあるが、登場人物たちはそれぞれ魅力的であり、読後感も爽やか。「春季限定」「夏季限定」「秋季限定」ときて、このタイトルというのは番外編という位置づけなのだろうか。「冬季限定」としなかった意図を知りたい。

No.13 6点 犬はどこだ- 米澤穂信 2021/10/23 08:20
故郷の八保市に戻り、紺屋S&R(サーチ&レスキュー)という犬を捜す商売を始めた紺屋長一郎。開業早々、二つの依頼が舞い込む。一つは、孫の行方を捜して欲しいというもの。もう一つは、神社に伝わる古文書の由来を調べること。犬捜しではないことに不本意な長一郎だったが、探偵になりたいと押しかけてきた高校の後輩・ハンペーこと半田平吉と調査にとりかかる。
本当は人捜しなどしたくない長一郎だが、彼の視点では意外なほど本格的なハードボイルドな語りが楽しめる。一方、ハンペーの視点はトレンチコートやサングラス、マティーニという形から入りたいハンペーらしい、ユーモラスな語りが楽しめる。途中、「オロロ畑でつかまえて」が引き合いに出されるように、萩原浩氏の「ハードボイルド・エッグ」のような雰囲気。
この二人の視点が交互に語られ、それぞれの調査が描かれ、失踪人捜しと古文書調査がどのように一本に繋がっていくのかという意外性が読みどころ。途中で挿入される長一郎とGENのチャットもいいアクセントとなっている。やがて、現代の病巣ともいえる犯罪があぶり出され、追う者と追われる者、それに介入する主人公というよくある図式が展開される。
ラストは、それが一瞬にして反転する鮮やかな逆転劇が用意されている。悪くなないが、何故かもどかしさを感じた。普通ならば、途中経過の調査報告をもっと頻繁にするのではないだろうか。

No.12 6点 本と鍵の季節- 米澤穂信 2021/07/26 08:31
堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。ある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を当ててほしいというのだが。図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生二人が挑む全六編。
「913」先輩女子から開かずの金庫の番号を当ててほしいと頼まれる。
「ロックオンロッカー」美容院に行った彼らが店に漂う不穏な空気を感じ取り、その事情を推理する。
「金曜日に彼は何をしたのか」テスト問題を盗んだ疑いがかけられた兄のアリバイを見つけてほしいと相談を持ち込む後輩男子。
「ない本」自殺した級友が最後に読んでいた本を探す。
「昔話を聞かせておくれよ」「友よ知るなかれ」どこかへ隠されたお金を探すことに。隠された現金は発見できるのか。
1話から4話までは、2人が本や鍵にまつわる謎に対し、異なるアプローチで推理力を発揮、時に食い違い、時に補完し合って事件を解決していく内容。5話から6話では、謎に向き合うなかで、彼らの意外な苦悩が見えてくる。内面の屈折とほろ苦さが魅力の作者らしい青春ミステリに仕上がっている。

No.11 6点 秋期限定栗きんとん事件- 米澤穂信 2021/04/17 08:29
小市民シリーズ3作目。中学時代にいろいろあって、高校ではなるべく目立たずひっそりと過ごしたいと思っている主人公と、同じ考え方を共有する女の子がコンビを組む。
ひっそりと生きたいにもかかわらず、いろんな事件が降りかかってきて、心ならずも名探偵の役割を果たしてしまうっていう本格ミステリの連作。前作の最後で、二人がコンビを解消して別々の道を歩み始める。それを受けて、今回は冒頭からそれぞれ別の彼氏彼女が出来て、二人は一体どうなるの?というあまりテンションが上がらない恋愛ストーリーも淡々と進行する。それと並行して、今回初めて二人以外の視点人物が出てくる。
その人物が新聞部の男の子で、街で起きている連続放火事件の謎に挑むコラムを掲載する。この放火事件を軸にしたミステリパートと、学園青春小説パートが並行して進み、最後にどんでん返しがある。このシリーズの面白いところは、萌えキャラ小説になりそうなのに、意外とダークなところに落ちていく点。今回も大変皮肉な結末が待っていて、その突き放し方が面白い。

No.10 5点 クドリャフカの順番- 米澤穂信 2020/07/06 19:20
古典部シリーズ第三弾。
ストーリーは、前作・前々作で予告されていた文化祭の前夜から始まる。古典部は文化祭で販売する文集「氷菓」を刷りすぎてしまった(予定の7倍)という問題を抱えていた。普通のやり方では、売れ残り赤字は免れない。さあどうするか。
3日のうちにこの不可能を可能にすべく、4人のメンバーはそれぞれ行動を起こす。「氷菓」を売り捌くことが出来るのかというミッション・インポッシブル的な話に、次々と行われる各行事が絡んできて抱腹絶倒の展開に。
古典部メンバー4人の視点を次々と変えながらスピーディーに進んでいき心地よい。そして一見、関係なさそうな事件が、やがて「クドリャフカの順番」の謎へと繋がっていく。
多くの伏線が結実して迎えるフィナーレは、ほろ苦く感動的。ただ青春小説としては面白いが、ミステリ的には、やはり弱いか。

No.9 6点 王とサーカス- 米澤穂信 2020/06/01 10:44
2001年にネパールで実際に起きた事件を題材に、事実を知ることと、それを伝えることの意義と疑問を真摯に問いかけている作品。
フリーライターの太刀洗万智がネパールで巻き込まれた王族殺人事件。ジャーナリストの血が騒ぐ太刀洗に情報と提供をしてくれた軍人の殺人事件。この二つの事件、どう関係があるのか。誰が味方で誰が敵なのか。正しさとはとても曖昧といえる。だから人は壁にぶつかるたびに考える。なにが正解なのかを。
真実を求めるためのジャーナリズムが時には誰かを傷つけることになっても、それは正しいことなのか。主人公が突き付けられる疑問や苦悩に読み応えがあり、深く考えさせられながらもスピード感があり心地よい。

No.8 6点 Iの悲劇- 米澤穂信 2020/04/06 08:59
限界集落と化した場所が各地で増えている。なにも衰退した地方ばかりとは限らず、都市周辺でも起きているという。この作品は、そんな誰もいなくなった集落を復活させようと、ある地方の職員が奮闘する物語。
南はかま市の市役所に勤める万願寺は、市長肝入りのプロジェクトチーム「甦り課」の一員として、山あいの小さな集落である蓑石に新しい定住者を募り、その支援と推進を続けていた。
新たに集まったのは、癖の強い個性的な人たち。それだけに住民同士の人間関係がこじれがちとなり、さまざまな摩擦がもとで小さなトラブルが生まれ、謎を含む事件へと発展していく。しかも容易に原因は分からず、解決が難しい。
個性的な移住民の登場はもちろんのこと、共同体の中で次々に起こる不可解な事件が興味深く、加えて地方の行政や役人の日常の描写がリアルなため、ドラマの展開から目が離せない。
さらに物語の中には、いくつもの伏線があり、最後で、すべての事件の背後に隠されていた意外なたくらみが明かされる。
結末を受け、いったいどうすることが真の正解なのかと考えさせられた。

No.7 6点 追想五断章- 米澤穂信 2020/03/16 09:45
主人公は伯父の家に居候し、彼が経営する古書店でアルバイトしている菅生芳光。ある日、北里可南子という女性が訪れ、父親の参吾が書いた五つの短篇を探しているという。各篇を見つければ報酬を支払うという言葉に魅了され、芳光は仕事を引き受けることに。
わずかな手掛かりから、一篇一篇を探していく芳光。見つかった短篇はどれもリドルストーリー、つまり事の真相や主人公の決断など、肝心な結末を明確にせず、判断を読者の手に委ねる小説となっている。
この五篇が非常にバラエティに富んでいる。ルーマニアやインド、中国、ボリビアなどを舞台に、そこに伝わる奇妙な話や不可思議な出来事が語られていく。イマジネーション豊かなこの五篇が一度に読めるだけでも、かなり満足度が高い。
芳光の思い、可南子の思い、参吾の思い。謎が少しずつ解かれていくにつれ、それぞれの胸のうちが複雑に絡み合っていく。その心理の動きも丁寧に描かれている。そして最後までたどり着いた時、謎が解明されたという爽快感だけではなく、深くて重い余韻が残されることになる。ただ、真相が容易に予想できてしまう点は残念。

No.6 5点 さよなら妖精- 米澤穂信 2020/02/17 09:10
真実を明らかにするべきではないことを、明らかにする痛みと葛藤。この作品は、そんな真実の重さ、辛さが描かれている。
何事にも熱中できない主人公が、ユーゴスラビアから来た少女と交流し、成長していく。外国から来た少女の大人の側面と、日本で何の使命感もなく生きている主人公たちの心情を対比して描いている。
少女の持つ使命感と、芯の強さ。これは非常に魅力的。そして後半に登場する解きたくない謎。知ってしまうことの恐怖と、知らないでいたことの悲しみ。隠したい人間の心情と、明らかにしなければならないという心理。さまざまな思いが交錯して、登場人物たちが感情を発露させていく様は胸を打つ。
このストーリーの終わりに辿り着くのが、どうしても辛くなってしまう。そしてその感情が、登場人物たちの思いとリンクして深く感情移入してしまいました。
ミステリとしては弱いが、平和な日常が当たり前の国、時代に生まれた自分にとっては、考えさせられる作品だったことは間違いない。

No.5 6点 ボトルネック- 米澤穂信 2020/01/29 19:45
その場の状況に合わない言動をしたり、周囲を困らせたりしていながら、本人は気付いていない。はたから見て痛々しい。いわゆる「イタい」。この作品は、まさに人の「イタい」姿を敏感に感じさせる世代ならではのストーリーかもしれない。
リョウは、兄の訃報を受けて、すぐに家に戻らなければならなかった。その時彼は、二年前に崖から落ちて亡くなったノゾミを弔おうと現場に訪れていた。だが、ふいにめまいに襲われ気を失ってしまった。目を覚ましたのち家に帰ると、そこに見知らぬ若い女がいた。名前はサキ。この家の長女だという。リョウは、自分が生まれなかったもう一つの世界に迷い込んだというSF的な設定。リョウとサキは、お互いの知る世界の微妙な違いを探り、目をそらすことのできない真実へたどり着く。
「自分」の存在意義を考えさせられるパラレルワールドであり、青春時代特有の過剰な自意識、肥大した自尊心、歪曲した劣等感、臆病な心情、取り返しのつかないぶざまな過ちなどを真正面から突き付けてくる。苦さたっぷりで、若者に贈る手鏡のような作品。

No.4 7点 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 2019/12/28 17:31
「ラスト一行」にこだわり抜いた連作集だという。
冒頭の「身内に不幸がありまして」は、ある「お嬢さま」の身の回りを世話するために孤児院から引き取られた女性の手記から始まり、屋敷一面を血の海にした惨劇とその後が語られていく・・・。
前半の軸になっているのは、部屋につくられた「秘密の書棚」や横溝正史、泉鏡花といった作家名、「バベルの会」という読書クラブなど、少女の小説趣味にまつわる話。ミステリ読書の興趣をそそる設定や怪奇なエピソードにあふれており、それが小説にふくらみとたくらみを与えている。他の収録短編も、館にとらわれた者、まだ雪の深い早春の山荘、名家の娘と、クラシカルな探偵小説でおなじみの舞台と展開に事欠かない。
しかし正直なところ、最後の衝撃については落語のサギ程度で終わっている。あらかじめ「ラスト一行」がすごいと強調されると、つい裏読みしながら読むので逆効果と感じた。それでも意表をつく展開は十分に面白く、異端の文芸たるミステリの怪しい魅力を堪能できる粒のそろった連作集といえる。

No.3 6点 インシテミル- 米澤穂信 2019/08/20 01:27
常識外れの高額時給につられて、正体不明の施設の地下に一週間隔離され観察されるというアルバイトに応募した12人が、次々と死んでいく中を何とか生き延びようとするストーリーで、「バトルロワイアル」に似た設定を本格で行えばこうなるのかなと思う作品。
ボーナスとペナルティーで参加者を煽るルールに、古典名作にちなんだ武器が挑発的な解説と共に配給され、一人づつ死んでいく展開で、参加者それぞれが疑心暗鬼になっていく心理状態が丁寧に描かれ惹きつけられる。
一つ一つの凶器や殺しのシチュエーションにミステリー的な趣向が凝らされている点は好印象。
もともと「機構」の観察下で進行する実験というメタフィクション的な構造がある。証拠を偽造するメタ犯人に、探偵役を煽動する犯人という「操り」構造があって真相は最後の最後まで見えてこない。
「クローズド・サークル」「操りテーマ」「叙述トリック」「語呂合わせ」を露悪的に極端化したような作品。

No.2 5点 真実の10メートル手前- 米澤穂信 2017/11/24 01:12
「王とサーカス」のヒロイン、フリージャーナリストの太刀洗万智を主人公にした短編集。
ミステリ的には、電車の人身事故の背景を探る「正義漢」と高校生の心中事件に迫る「恋累心中」が良く出来ているが、ベストは豪雨による土砂崩れで孤立した家の老夫妻の秘密をめぐる「綱渡りの成功例」。
救出された夫婦を取材する話で、食事という、とりあげれば何でもない日常の出来事なのに、特殊な状況下では意味合いが異なる。あたかも罪のように捉え、人間がもつ営みの重さを静かに提示している。
アイデアが練られ、筆致は繊細で、プロットは驚きを秘めている。
ただどの作品も、テーマ・ストーリー共に地味すぎて「巧い」と感心させられる部分はあったが、「面白かった」という感覚は残念ながら少なかった。

No.1 7点 満願- 米澤穂信 2017/07/29 01:04
切りつけてきた男を交番勤務の巡査が射殺した事件の真相に迫る「夜警」
いわくつきの温泉宿で拾った遺書の謎を解く「死人宿」など一作ごとに舞台や設定は異なるがいずれも奇妙で不可解な出来事とその真相を解くロジックが丁寧に書き込まれた六つの短編が収録されている
表題作「満願」は周到な伏線がしかれたうえで驚きの真相が最後に明かされる
「柘榴」・「万灯」は生身の人間が持つ心理をしっかり描きつつ思いも寄らない展開を用意している
個人的には「関守」が一番好みだが全体的に上質で読み応えのある作品が揃った一冊

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パメルさん
ひとこと
7点以上をつけた作品は、ほとんど差はありません。再読すればガラリと順位が変わるかもしれません。
好きな作家
岡嶋二人 東野圭吾 
採点傾向
平均点: 6.14点   採点数: 571件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(30)
岡嶋二人(20)
有栖川有栖(19)
綾辻行人(18)
米澤穂信(16)
歌野晶午(15)
西澤保彦(15)
法月綸太郎(14)
横山秀夫(14)
松本清張(14)