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パメルさん
平均点: 6.14点 書評数: 565件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.30 6点 祈りの幕が下りる時- 東野圭吾 2023/12/04 06:52
加賀恭一郎シリーズ第10作。
アパートで女性が殺されていた事件と河川敷でのホームレス焼死事件。それぞれ同時期に近い場所で殺された事件だった。今回の事件には、加賀の人生にとって重要な過去の出来事が大きく関わっている。彼が子供の頃に家を出ていった母親が残した謎のメモ。そのメモに書かれていたのと同じ内容が書かれたカレンダーが、殺人事件の現場となった部屋で発見されるのだ。
その内容が何を意味するのか。その謎を解き明かした時、事件が解決するとともに、加賀が母について一番知りたかったことも彼の前に現れる。加賀が日本橋署にこだわって異動してきたことも、どのような経緯で母と生き別れになったのかということも、シリーズを通しての謎が明かされスッキリする。
ただ本作は、ミステリとしては地味で派手な仕掛けはない。暗号らしきものが登場するが、暗号とは少し違った意味合いを持つので、謎解きに大きく関わってくるものの、そこに驚きがあるということはない。
縁もゆかりもないはずの人物が入居していたアパートの部屋で殺されていた女性から、少しずつ様々な人物をたどっていき、一本の線につないでいく地道な作業に執念が感じられ、大事なピースがはまった時には感動を呼ぶ。加賀恭一郎という男の謎と人間的魅力、物語全体を貫く切なさ。本作は、どんでん返しや大きなトリックを楽しむものではなく、人間関係のドラマで読ませる作品といえるだろう。

No.29 7点 白鳥とコウモリ- 東野圭吾 2023/09/06 07:22
「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」と男が自供した殺人事件。それは港区・竹芝桟橋の近くに止められていた車の中から、白石健介の遺体が発見されたことに端を発する。 
被害者の足取りを追うのは、警視庁捜査一課の五代刑事と所轄の中町刑事のコンビ。彼らは丹念な捜査の末に、倉木達郎の存在に到達する。そして三十年以上も前に発生した金融業者殺人事件と倉木の接点を見つけ出し、ついには自白を引き出すことになる。
そのプロセスは端正な警察ミステリそのものであり、ここまでも十分な読み応えがある。ところがページの残量を見れば、これがまだ物語の序盤に過ぎないことが容易に知れ、それが一層の期待感を抱かせる。実際、本作の主題はむしろここからだ。警察の取り調べにより、事件の経緯や動機が、次第に明らかになる中、その余波に直面する二人の人物がいた。加害者・倉木達郎の息子、和真。そして被害者・白石健介の娘、美令である。
加害者の家族と被害者の家族。立場としては、対極にあるように見える二人だが、事件のあらましを知るにつけ、共に苦悩の日々を余儀なくされる。そこに介在するのは現代社会特有の不寛容さで、二人は世間の好奇の目に晒され、ネットの悪意に塗れることとなる。
加害者であろうが被害者であろうが、等しく好奇の俎上に載せられるネット社会。果たして人は、家族の罪をいかにして背負うべきなのか。本当の罪とは何か、本当の罰とは何かを深く考えさせられた。

No.28 6点 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人- 東野圭吾 2023/05/24 06:51
コロナ禍の日本の地方都市で起きる殺人件が題材となっており、当時の世相を反映している作品。
神尾真世はコロナ禍で自粛が広がる最中、故郷で開かれる同窓会に出るか出ないか迷っていた。恩師が父・英一だったから、何ともばつが悪い。だが翌日、その父は自宅で他殺死体で発見される。真世は、翌日現場検証に立ち会うべく生家に行くと、警察相手に横柄な物言いをする男が現れる。父方の叔父・武史であった。
イリュージョニストである彼は、真世に警察より先に自分の手で真相を突き止めたいと言い、あの手この手で手掛かりを集め始めるが、警察の強面たちをも煙に巻く探偵術には恐れ入るばかり。観客相手に鍛えた洞察力といい、アメリカ仕込みの対話術といい、まさに現代版シャーロック・ホームズというべきか。本書の読みどころも、「謎を解くためなら、手段を選ばない」その名探偵ぶりにある。
表題の「名もなき町」は伊豆周辺の温泉町を想定しているのだろうが、もちろん架空のもの。真世の同級生をはじめ地元民は寂れてゆく町の復興に懸命だが、コロナ禍のために風前の灯。その意味では、本書はコロナ禍を正面から取り込んだミステリ初の町興しものではあるまいか。
また被害者の神尾英一はなぜ殺されなければならなかったのか。真世の同級生たちもその中に容疑者がいるかもしれないと平静ではいられない。同窓会ものとしても今風な趣向が凝らされている辺りはさすが。
ラストで突然明かされる真世のあることに関する鬱屈には驚かされた。武史と真世のコンビはよかったが、武史のキャラクターはもう少し掘り下げて欲しかった。シリーズ化はするのだろうか。今後の二人の活躍を見たいものだ。

No.27 4点 マスカレード・ナイト- 東野圭吾 2023/01/20 07:50
練馬のワンルームマンションで、一人暮らしの若い女性の他殺死体が発見される。そんな中、練馬で起きた殺人事件の犯人が、ホテル・コルテシア東京カウントダウン・パーティー会場に現れるので逮捕してくださいという密告状が警視庁に届く。
以前、同ホテルにフロントクラークとして潜入経験のある新田浩介は、その経験を買われて再度潜入捜査官に任命される。また、フロントクラークからコンシェルジュとなった山岸尚美にも再度捜査への協力が求められた。
コンシェルジュとは、お客様の様々な要望を聞く係である。山岸は、ホテルマンに「無理です」は禁句という信念のもと、お客様の無理難題を解決していく。共感できる部分もあるし、考え方は立派だがいくらなんでも無理があるのではないか。

以下ネタバレしています。


相変わらずのリーダビリティの高さはさすがだが、取引に大々的に警察を巻き込もうとするのは、目的に比べてリスクが高すぎるし、犯人たちの行動も無理矢理感が否めない。日下部が実は、ホテル側の人間で山岸をテストしていたというのも最後に明かされるが、従業員のテストに一般の宿泊客を巻き込むのは不自然だし、あり得ないことではないだろうか。
新田と山岸が、恋愛関係に発展するのではと思っていたがそれはなかった。今後、山岸がロサンゼルスに勤務することが決まったところで物語は終わっているが、新田と山岸の進展はどうなるのか気になるところです。

No.26 6点 マスカレード・イブ- 東野圭吾 2022/05/18 08:53
「マスカレード・ホテル」の続編だと思っていたが、そうではなく前日譚であった。「マスカレード・ホテル」の前日譚なので、新田刑事とホテルのフロントクラークの山岸は、同じ事件に関与しながらも接点はなく、お互いの存在を知らない。その中で新田、山岸の両人が必然性を持って絡んでくる描き方が巧みな4編からなる連作短編集。
「それぞれの仮面」は山岸、「ルーキー登場」は新田、「仮面と覆面」は山岸と交互に主役が交代し、最後の「マスカレード・イブ」のみ新田と山岸の両人が登場する。山岸登場編では、刑事事件ではなく、ホテルに泊まる客にまつわる人間ドラマ的ミステリを山岸が解く。それも真実を暴くためではなく、客の「仮面」を守るため、ホテルマンとしての務めを果たすためという話になっている。それでも、推理ものとしての面白さは十分に味わえる。新田刑事登場編では、刑事事件であり警察捜査の過程を描くミステリで読ませる。
前作「マスカレード・ホテル」を読んでいればこその遊び心ある関連性が散りばめられているなど、シリーズ作品としての読みどころが盛りだくさん。

No.25 6点 ラプラスの魔女- 東野圭吾 2022/02/18 08:48
気象の分野では科学の発達により、あるレベルまで可能になったものの、全てが確実に判明するわけではない。この先、完璧な予測能力を手に入れることはあるのだろうか。この作品は未来予測をテーマにしている。理系出身の作者ならではの科学知識を活かしつつ、不可解な事件をめぐるSFミステリとしてサスペンス豊かに描いている。
ある温泉村で、宿泊客の一人が硫化水素ガスによる中毒で死亡するという事件が起きた。事故の検証に訪れた地球科学が専門の大学教授・青江は、現場で奇妙な若い娘を目撃した。やがて青江は、その娘・羽原円華の不思議な力を知ることになるとともに、図らずも事件に関わっていく。
フランスの科学者ラプラスは、物質のあらゆる状態を知ることが出来るならば、未来は計算によって予測できるという概念を提唱した。いわゆる「ラプラスの悪魔」だ。本作では、このラプラスの概念を大胆に導入したうえで、悪魔や魔女としか思えない人物の登場とともに、予測を裏切る展開を次々と見せていく。
また円華のボディーガードを依頼された元警察官の武尾、事故死の調査を担当し、後に青江教授と知り合う麻布北警察署の刑事・中岡など、複数の視点から物語は語られていく。最初は、おぼろげで断片的だった事件の全貌や怪しげな人物の秘密が徐々に明らかになっていく構成になっている。
しかも、冒頭から円華の身の回りで起こる不思議な現象、現場に現れる謎の人物、ある映画監督の家族を襲った悲劇とその後を綴ったブログなど、その先を知りたくなるエピソードに満ちている。それまでの緊張感が最高潮に達するラストまで一気読み必至。

No.24 7点 マスカレード・ホテル- 東野圭吾 2021/11/01 09:13
都内で起きた3件の不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。ただ一つ共通する点は事件現場に残された不可解な数列の暗号のみ。警視庁の捜査本部は暗号解読の結果、この暗号は次の殺害現場を予告するものであることをつきとめる。第3の殺害現場に残されていた暗号から、次の犯行現場は「ホテル・コルテシア東京」で起きると捜査本部は推測するが、現時点で予測できるのは犯行現場のみ。第4の事件は未然に防げるのか。
舞台は東京の一流ホテル。主人公は連続殺人を阻止するためにホテルマンに化ける若き刑事・新田浩介。ヒロインはその教育係になった一流ホテルのフロントクラーク・山岸尚美。それぞれ己の分野にプロ意識を持っている二人はぶつかり合う。新田が「おれはホテルマンになりに来たんじゃなくて捜査に来たんだ」と言えば、山岸は「どこから見ても刑事にしか見えない今のあなたはホテルにとっても捜査にとってもいい結果になりません」と言い返す。
こうしてホテルのフロントに立つ二人は、連続殺人というメインプロットの他に、ホテルにやってくる人々のさまざまなエピソードに関わっていく。バスローブを盗む者、「この男を私に近づけないで」と言って写真を見せる女、目の見えないふりをする老婦人、新田に言いがかりをつけ執拗に絡んでくる男など。他人を疑いの目で見る刑事と、感謝の気持ちで接するホテルマンの違いがみられるなど、ホテル業務の大変さと山岸のお客様への対応の素晴らしさに感心させられる。
さまざまな怪しい客が来て、その都度さまざまな方法で解決していくストーリー展開の中で、実は殺人事件についての伏線が散りばめられてある。クライマックスのホテルでの結婚式で、それが見事に収束されて気の利いた台詞で締めくくられる。爽やかな読後感をもたらす極上のエンターテインメント作品。

No.23 6点 真夏の方程式- 東野圭吾 2021/08/03 08:52
物理学者・湯川学が活躍する「ガリレオ」シリーズの第6作にして長編第3作。
柄崎恭平は、夏休みを海辺の町・玻璃ケ浦にある伯母一家が経営する旅館「緑岩荘」で過ごすことになる。その玻璃ケ浦の海底から熱水鉱床が発見され、商業化を目指す候補地に挙げられる。
過疎化に悩む地域にとっての振興のきっかけになると期待する人々と環境保護の観点から反対する人々。そんな時、緑岩荘の宿泊客が死体で発見される。本書では「環境保護と海底資源開発」が大きなテーマとなっている。はじめから賛成・反対ありきではなく、事実と論理的思考によって妥協点を探る話し合いをするべきだとミステリを絡めて伝えたかったのだろう。
物理トリックも高度ではないし、フーダニットとしても途中で気が付く人も多いのではないか。本書ではホワイダニットがメインとなる。事件の真相は、オーソドックスで無関係と思えるエピソードなど、さらりと張った伏線が効いている。湯川が草薙に言った「今回の事件の決着を誤れば、ある人物の人生が大きくねじ曲げられてしまうおそれがある。そんなことは、何としても避けなければならない」が読後に心に刺さる。

No.22 6点 使命と魂のリミット- 東野圭吾 2021/05/26 09:38
研修医の氷室夕紀は、父を大動脈瘤の手術で亡くしている。現在はその時、執刀医であった西園教授の下で働いている。氷室はその手術に疑いを持っていた。その二人の勤務する帝国大学病院に、過去の医療ミスを公表しないと病院を破壊するという脅迫状が届く。
患者を診る医師を、研修医が疑いの目で見ている。患者の体をモニタリングしている病院の動向を、犯人が探る。その犯人を警察が追う。この作品では、監視する者を監視する視点から語られる部分が多い。このような描写は、各人の視点や立ち位置のズレを効果的に表現する手段にもなっている。
結末に関しては、性善説に傾きすぎてはないかと、賛否が分かれるでしょう。しかし、噂が広がり病院の信頼性が揺らいでいく過程は、リアルだしサスペンス性も高く惹きつけられる。そして技術の精度以上に、意識の持ち方が信頼性を決定するという事実を見事に描き上げている。
不満な点は、犯人の下準備を含めた犯行計画、実行があまりにも綱渡り的で杜撰にもかかわらず成功していくところ。もっと違った方法があっただろうと思えて仕方がない。

No.21 5点 黒笑小説- 東野圭吾 2020/12/28 17:55
タイトル通りブラックな味わいが味わえる13編からなる短編集。
まず目をひくのが文壇ネタのストーリー。「もうひとつの助走」「線香花火」「過去の人」「選考会」の4編がそれにあたる。特にお薦めなのが「線香花火」。小説灸英新人賞に入選したことで、すぐさま人気作家になると思い込んだ主人公にしたこの作品は、彼の舞い上がりっぷりで笑わせてくれる。もちろん戯画化されてはいるが、本屋でのこれ見よがしの態度や、親戚一同が集まっての宴会など、いかにもありそうな話。作家志望の男が見せる滑稽な姿には、妙な説得力がある。
出版業界に興味のある人、そして何よりも作家志望の人は読んだ方がいいかもしれない。それにしても自分の属する業界を舞台に、ここまで書いてしまうのだから恐れ入る。
しかし、作者の姿勢に堅苦しさは感じられない。重いテーマになるところを、ブラックな笑いを武器にして、軽やかに処理している。そこが本書の読みどころといえるでしょう。

No.20 6点 天空の蜂- 東野圭吾 2020/10/17 10:23
超大型特殊ヘリコプターが何者かに奪われる。ヘリコプターには爆薬が満載され、原子力発電所の真上でホバリングをしている。犯人は「日本にある全ての原子力発電施設を停止し、再び稼働できない状態にせよ、そうしなければ、ヘリを墜落させる」と脅迫してきた。
非常に難しく、デリケートなテーマを扱った緊迫感に満ちたサスペンスミステリ。「Not In My Back Yard」こと「NIMBY」。その意味は、「施設の必要は認めるが、自分の居住地区には建てないでほしい」。原子力発電所は周囲への影響が大きく、健康上のリスクが大きい施設。その反面、多くの人々に恩恵をもたらす施設でもある。「存在しないことによる安全性」か「存在することによる生活の利便性」か。
東日本大震災の前と後で読んだかで、読後感は違うのではないでしょうか。しかし、はっきりと答えが出たわけではない。考えさせられる作品であった。

No.19 5点 沈黙のパレード- 東野圭吾 2019/05/30 19:44
ガリレオこと物理学者、湯川が難事件を解明するシリーズ9作目の長編。
不可解としか思えない死亡事件を巡り、湯川と内海刑事が議論を繰り広げながら、捜査を進め仮説を立てては崩すというところが読みどころ。
また、推理の最中に某有名推理小説のタイトルを引き合いに出すという、海外古典ファンが思わずニヤリとしてしまう場面も用意されている。
最終的に辿り着く真相は意外性があるし、トリックも実現可能に感じる点は好印象。ただし、フーダニットとして読者は推理のしようがないし、トリックも専門知識が必要、そもそも、ストーリーに魅力を感じなかった。先が気になって仕方がないという感情が、残念ながら湧き上がらなかった。前作より約6年ぶりの作品だっただけに、長く待った分、ガッカリ度も大きい。

No.18 5点 赤い指- 東野圭吾 2019/02/18 13:10
加賀恭一郎シリーズの7作目で、倒叙形式のミステリ。
このシリーズの魅力の一つとして加賀自身の人間性があげられると思います。人情深い人柄でありながら、時にクールに鋭い洞察力で真相に近づく姿はカッコ良さを感じます。
いよいよ事件が解決という時に、「刑事というのは、真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するかという事も大切なんだ」と部下に言い放った言葉が心にしみた。時々、こういう心に響く言葉があるのも人気シリーズの所以なのでしょう。
また、相変わらずのリーダビリティの高さは、さすがと思わせてくれます。
随分と褒めましたが、ミステリとしては先が読めてしまう展開に、想定範囲内の結末と驚きは少なかった。ミステリとしても加賀父子との関係性のストーリーとしても中途半端な感じがした。もう少しページ数を増やしてでも、ストーリーに厚みを持たせてほしかった。

No.17 5点 超・殺人事件―推理作家の苦悩- 東野圭吾 2018/07/25 01:25
ユーモアと皮肉がたっぷりの8編からなる短編集。
かなりデフォルメされているとは思いながらも、出版業界の舞台裏や推理小説作家の苦悩を垣間見たような気分になれて嬉しい。
それぞれ面白いが、「超長編小説殺人事件」は馬鹿馬鹿しさを受け入れることができれば、かなり笑えると思います。
ただ、笑いを織り交ぜながらも出版業界の窮乏に対する強い危機感と使命感を示していて違った意味で興味深い。
ミステリとしての面白さは少ないため、点数はこの程度になります。

No.16 6点 夢幻花- 東野圭吾 2018/01/19 13:42
殺人事件の捜査が難航するなか、黄色いアサガオが事件に何らかの関係性があるのではないかという謎が浮上する。3人の視点で語られており、それぞれの人生模様が物語が進むにつれ複雑に絡み合っていき、謎が謎を呼ぶ展開で惹きつけられる。
リーダビリティも高く最後には、散りばめられていた伏線やエピソードが見事に回収されて鮮やか。
ただドラマ性やミステリとしての真相も強烈な印象を残すことはなかった。

No.15 5点 眠りの森- 東野圭吾 2017/06/06 01:22
華やかなイメージのあるバレエの世界だが現実はプロになってもお金を稼ぐのが難しく食事制限での体型維持を強いられるなど厳しくさらに閉鎖的な人間関係が当たり前というのを思い知らされる
そのバレエ団を舞台にした殺人事件
正当防衛問題を含んだ事件とその後に起きた殺人事件との繋がりは何か?と興味をそそられる
そしてバレエに情熱を注ぐ者たちゆえの悩みや憎しみがある真相に繋がっていく
後半に明かされる真相は美しくそして切ない
また余韻が残るラストも素晴らしい
ただミステリとしては淡々としていて盛り上がりに欠けるしトリックやフーダニットで驚かされるという事は難しい点が残念

No.14 5点 宿命- 東野圭吾 2017/03/15 12:23
殺人事件は発生するがフーダニット・ハウダニットに関してはこれと言って面白みは感じられない
この作品のキモはホワイダニットと登場人物の関係性
過去の秘密を暴き利用しようとする者と頑なに守ろうとする者との闘い
ミステリ要素は少ないのでそれを期待していると肩透かしを食らうかもしれない
運命のイタズラとはこういう事を言うんだろうと読後には脱力感を覚える

No.13 5点 私が彼を殺した- 東野圭吾 2016/09/09 10:51
フーダニットに特化した作品で物語自体に面白みは感じられない
「犯人は誰だろう」と推理しながら読み進めることに一番の魅力を感じる方にはオススメ
物語の雰囲気や世界観・スリルなどを味わいたい方には物足りなさを感じるでしょう

No.12 4点 どちらかが彼女を殺した- 東野圭吾 2016/08/04 12:52
登場人物を可能な限り排除し推理の過程を楽しむコンパクトにまとめられた作品
解決に必要な手掛かりはすべて示してあるので
「読者のみなさん解いてみてください」
そんな挑戦状を叩き付けられたような究極のフーダニット
試みとしては面白いと思うが利き腕から考えて●●の方が怪しいという程度で犯人を
特定するというのは納得できない

No.11 8点 白夜行- 東野圭吾 2016/05/28 11:39
主人公二人の関係性がこの物語の最大のポイント
二人が絡むシーンは描かれていないし心理描写もほとんど無し
読者に想像させるという手法を使っている
秘密の共有と幼い頃の体験が関係性のカギを握っている
歪んだ愛情を持つ男と心を失った女のこの世を生き抜こうとした哀しい物語
読後感は悪いが分厚い本でありながら捲るページが止まらない
夢中になって読んだ一冊

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パメルさん
ひとこと
7点以上をつけた作品は、ほとんど差はありません。再読すればガラリと順位が変わるかもしれません。
好きな作家
岡嶋二人 東野圭吾 
採点傾向
平均点: 6.14点   採点数: 565件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(30)
岡嶋二人(20)
有栖川有栖(19)
綾辻行人(18)
米澤穂信(16)
西澤保彦(15)
歌野晶午(14)
松本清張(14)
法月綸太郎(14)
横山秀夫(14)