海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

クリスティ再読さん
平均点: 6.40点 書評数: 1325件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.125 7点 神狩り- 山田正紀 2016/09/12 23:20
山田正紀の出世作にして日本SFでは名作として知られる作品である。昔から好きな作品なんだが、今回これを書こうと思ったのは、評者も本作をなぜか「ハードボイルドっぽい」という印象をもち、どうもそう思う人が多いみたいだ...というあたりがずっと気になっていたからなんだよね。まあ直接には「背徳のメス」という社会派兼ハードボイルドの作品について「主人公のエゴイズム」というあたりをキーにできないか、とも思いついたこともある。
まあ本作の主人公、島津もあまり褒められた人物じゃないな。尊大・傲慢といったあたりはカワイイものだが、情報工学と言語学がクロスするあたりの天才科学者という設定で、「古代文字」の研究の行きがかりから「神を狩る」プロジェクトに巻き込まれ、周囲の人々が次々に犠牲になることを通じて、ドロップアウトしつつほぼ妄執に近い形で神と対決しようとする...学生運動をハメてまでしてコンピューターを使おうとするあたり、「俺的正義」な(それに少し今で言えばセカイ系な)クサさがある。まあここらへんのキャラ造形が結構斬新で、ハードボイルドっぽい印象が出ているわけだ(ちなみに続編の「神狩り2」だと老残の身をさらすことになる...)
実際読み直して、どうもネタはチョムスキーあたりだけみたいだ、と気が付いて、ちょっとびっくりしている。この人のネタの消化力は凄まじいものがあるのは重々承知だが、チョムスキーをネタにここまでのフィクションを書けるというのは本当にすごい構想力である。

であと本作って、滑り出しは国際謀略モノみたいに始まって、キャラ造形はハードボイルドっぽくて、オカルトネタの絡んだSF、というホィートリー⇒ブラックバーンみたいな流れのジャンルミックス小説なんだよね...ここらちょっと不利に働いたのかもしれないな、と今にしてはちょっと思うところもあるな。
最後に本サイトだとネタばれせずに面白みが分かって貰えると思うんだが、本作と「ホッグ連続殺人」を並べてみるといいと思うよ。どうかしら?

No.124 7点 悪党パーカー/人狩り- リチャード・スターク 2016/09/11 12:51
評者学生時代ミス研じゃなくて映研だった。大学生活最初にオールナイト行ったのが当時人気絶頂だった鈴木清順で、トリの「殺しの烙印」を見た後で先輩に「これって深夜プラス1とあと、奥さんに撃たれるあたり人狩りですね..」と言ったら、一目置いてくれたよ。ミステリ読んでおくものだね。
でまあ本作、アウトフィットという呼び方とか余計な知識が付く(苦笑)だけでなく、かつて「ハメットの後継者」って宣伝文句があったくらいの、ウェストレイクの文章のハードな良さが堪能できる。

シボレーに乗った若い男が便乗をすすめてくれたが、パーカーは、糞くらえと断った。

いきなりこれで始まる...グズグズせずにズバっと核心に切り込む文章の鋭さが素晴らしい。ノってるなあ。省くべきを省く省筆のセンスが極めて映画的である。ここらへん、私立探偵小説じゃない悪漢小説だけど、「ハードボイルド」を存分に楽しめる。

No.123 7点 明治断頭台- 山田風太郎 2016/09/08 21:42
金瓶梅をやったついでに、名作の誉れ高いが未読だった本作を読んだ...まあ両者ともパズラー風歴史短編の最後で全体の構図が変わるような連作の仕掛物で共通点があるんだが、1954年の金瓶梅と1979年の本作だと、25年の歳月がたっているわけで、実際にはそこらの評価ということになると思う。
金瓶梅はミステリの枠を破ろうとする覇気に満ちた作品(実際ミステリからハミ出てる)だけど、本作は一種その逆で、ジャンルにこだわらない自在さを得ていながらも、あえて「ミステリ」に愚直にこだわったようなところがある。本作の物理トリックメインなところってそういう風に評者はみたんだけど、まあ皆さんの本作高評価はその「あえて」のあたりにあるような気もするんだよ。
でまあ、最後にひっくり返しがある、とわかってれば、実はそう意外な結末でもないように思う。第1話が事件なしで邏卒の皆さんのキャラ造形だけで終わってるのは、一種の伏線だって評者は気が付いてたな。だから結末の「姫を護りきって壊滅する」邏卒たちってのが、実に風太郎固有の味わいで感銘がある...
まあそういう風に、トリックがファンタジーなのも含めて、風太郎らしい作品なんだけど、「こだわり」が分かるだけに何か窮屈な感じもする。本作いい作品には違いないんだが、評者は金瓶梅のアナーキズムの方を買いたいな。

No.122 3点 おしどり探偵- アガサ・クリスティー 2016/09/05 21:27
本作、初期のクリスティのファンアート的な部分が強く出ていて、要するに探偵ごっこ+夫婦漫才の短編集である。評者こういうの苦手だ...「ビッグ4」ほど破綻してはいないけど、ノリは一緒。
トミー&タペンスだったら評者は中期以降の「NかMか」か「親指のうずき」とか熟年になってからの方がいいや。評者としては苦手感が最初から漂ってた作品集なので、いままでずっと敬遠してきてやっと読んだわけだ。ふう、これでお役御免でほっとしている。

内容的には「死のひそむ家」のトリックって、後の中期ポアロ物のトリックの原型だよね。最初の最初からこの人「毒物の女王」だったわけでね...
あというと、本作は訳題もう少し何とかならんか、と思う1冊。創元版の「二人で探偵を」の方がずっと、いい。

No.121 6点 休日の断崖- 黒岩重吾 2016/09/05 21:09
本作は無頼派の業界紙社長が、友情の名のもとに、ビジネスマンの友人の死の真相を探るのと同時に、いわれなき汚名を晴らそうとする...というわけで、一見ハードボイルドっぽく見える筋立てなんだけど、「背徳のメス」と比較するとそれほどハードボイルドな印象ではない。
まあ、イマドキの私立探偵小説だったらこんなんもアリなんだろうけど、主人公は友情とか正義とか大義名分の立つ感情に則って動いている分、「社会派」になっている感じもするな。
あ、本作一応アリバイ崩しもの。清張の「点と線」とか「時間の習俗」だって社会派アリバイ物のわけだが...まあリアリティはあるけど、期待するようなもんじゃないか。どっちかいうと共犯者の動きかたとかもう少し工夫ができたかな、とも思う。
まあ、ママのいるクラブっていういかにも昭和なオヤジ世界を中心に描いた作品で、そこらにレトロな価値を見出すのもアリかもしれないね(あと飛田とか今でもあんな感じみたいだよ。時が止まってんな)。

No.120 7点 背徳のメス- 黒岩重吾 2016/09/05 20:57
ミステリ史的に言えば本作とかいわゆる「社会派」の確立期の名作ということになるんだけど、本作については別に「ハードボイルド」という言い方もされるあたりが面白いな。社会派もハードボイルドも、ミステリの枠に文学性とリアリズムを持ち込んだ、という点で軌を一にするわけで、日本でハードボイルドがさほど流行らない理由は何か、といえばそれは当然「松本清張がいたから」という当たり前な理由になるんだが...
じゃあ何で松本清張は「社会派」であって「ハードボイルドでないの?」か、何で本作が「ハードボイルドな印象があるの?」というとこれは難しい問題になると思う。結構評者それが引っ掛かっていたんだが、今回読み直してその理由が何となくわかってきた。本作は「主人公のエゴイズムを軸に話が動いている」という点が「ハードボイルド」な印象を生んでいると思うんだ(これは同じ作者の前作「休日の断崖」と比較するといい)。
まあ植って男、本当にワルい奴で、「自分の正義」以外では絶対に動かないエゴイスト。そこが何かいい。魅力的に書けるあたりさすがの筆力。文章はいわゆる「ハードボイルド体」には遠いし、少々若さが目立つ青臭さもあるけど、独特のねちっこさがあっていいな。
これはホント個人的な感想になるんだが、評者現在大阪ミナミに住んでいる。黒岩重吾って大阪の図書館だと「郷土作家」のカテに入れられる人でね...本作とかでも全部リアルな地名で通してあるので、評者の生活圏での事件ということになって、時代を越えても地誌的なリアリティを強く感じていた。ちなみに頻繁に出る「ユニバース」ってダンスホールは現在大箱のイベント会場になっていて、行けばかつての栄華の名残を堪能できるよ。
まあそういう意味でも「リアリティのあるミステリ」を作り出した画期的な作品の一つであるし、また本作の上で社会派とハードボイルドがたまたま交錯する瞬間のようなものを感じるのもまた一興。

No.119 10点 妖異金瓶梅- 山田風太郎 2016/08/28 08:52
本サイトだと「本格/新本格」カテになるんだけど、本作のカテって本当は「奇書」だよ。中国四大奇書がネタだってことだけでなく、「ミステリの枠を借りながら、ミステリの限界をユニークに突破した作品」という意味で黒死館とかドグマグとか供物同様の奇書だと思う...
まあ本作、なかなか類例も少なく実現の難しい魅力的な「名犯人小説」の上に、直接的な動機はもちろんその都度示されるのだけども、本当の意味での「性格的な動機」が一番の見せ場である「凍る歓喜仏」の中で犯人の啖呵によって示される...これが本当に感動的である。前半がある意味同じスキームを繰り返して強調していたのが、ここら辺から怒涛の結末を迎える。本作のまさに「エロスの論理」が、ミステリと水滸伝世界の「タナトスの論理」を凌駕し屈服させる力技を示すのだ!
まあ、前半の繰り返しスキームさえ、「愛する者」は「愛される者」の隠された罪を暴くのだが、それは「愛ゆえに」である...という遊戯のルールに則ったものである。だからそれがトリック的にファンジーだからどうだってんだ。本作はこういう遊戯性と愛で揺れる振幅の中にある作品なので、西門慶家での血の匂いのする酒池肉林は、その遊戯性ゆえに「ソドム百二十日」の形式性と極めて近いもののように思うよ。
評者風太郎作品ベストテン選べるほどには読んでないのだが、まあ本作風太郎最高傑作に挙げる人も結構いるようだね。それが頷ける風太郎的傑作であると同時に、極めて日本らしいジャンルである「奇書」にカウントしたい名作である。

酔いたまえ。

No.118 6点 小人たちがこわいので- ジョン・ブラックバーン 2016/08/15 23:54
もう6・7年前なんだけど、実家に転がってた本作読んで、「おお、面白い!」となって、探してみたら時ならぬブラックバーン再評価の真っ最中。「何でイマドキ?」と思わんでもなかったが、評者これを「黒萌え祭」なんて呼んで、ありがたく論創社で出た3冊も読ませてもらったよ。で...なんだが、面白かったのは本作と「薔薇の環」くらいかな(「リマから来た男」は読めなかった...残念)。やはり創元のセレクション力はまともだったわけだ。
まあ本作、そう名乗ってないけど一種のクトゥルフ物だよ。背景世界もR.E.ハワードのホラーとかなり近いし、ラヴクラフトの「クトゥルフの呼び声」っぽいモチーフだしね。ジェット機の爆音が詠唱となるあたり秀逸で、こういうのがモダン・ホラーらしいあたりだから、SFとホラーの..とか今更言い出すのも評者は?と思う。それならラヴクラフトの「狂気山脈」とかどうなのよ。
というよりも、黒萌え祭なんだけど、どうもみなさん誤解してないか?どっちか言うとブラックバーンって作家は文章はうまいし、サスペンスも盛り上がるし、構成も工夫があってしっかりしているにもかかわらず、ネタがどうしてもB級で脱力する...という残念なあたりを、生温かい目で愛でる、というのがその趣旨だったように感じているよ。まあだから本作とかちゃんとクトゥルフ物の系譜にうまく入れるといいように思う。B級C級度で言ったら本作の比じゃないヒドいの結構あの世界あるわけでね...

No.117 6点 さらば愛しき女よ- レイモンド・チャンドラー 2016/08/15 23:29
チャンドラーって不思議な作家だと思う。評者はチャンドラーは大好きなんだけども、なぜこんなに一般人気があるのか良く判らないんだよね。清水訳の解説が稲葉明雄氏で、チャンドラー受容史みたいなことを書いているのを読んで少し納得がいっている。戦後に紹介された当初は人気なかったようなんだよね。スピレインやウールリッチは紹介当初から日本でも大人気だったようだけど、どっちかいえばチャンドラーは「読み方がわからない...」という感じで敬遠気味だったようなのだ。
で稲葉氏は「その手法と語法が前衛的なこと」を不人気の原因に挙げているわけだけど、評者はこれで納得した。要するにチャンドラーは「前衛芸術」ならぬ「前衛ミステリ」なんである。本作「さらば愛しき人よ」ってチャンドラーの中でも「人気作」になる方のものなんだが、こうして読むと、要素が結構バラバラなんである。一旦パルプフィクション的な私立探偵小説を書いたあとで、それを切り刻んで再構成したような(まあ元が短編を合体させて書かれているわけだし...)バラバラ感を感じるんだよね。だからマロイを巡る真相が何か取ってつけたようで、何となく流布されているマーロウとマロイの間の共感とか、そういうものは多分「長いお別れ」から見ての逆照射の結果なんじゃないか、と思わせる。
マロイは冒頭と落ちを付けるだけだし、アン・リアードンは助手というほどの活躍もしない。賭博船に乗り込む積極的な理由もないし、イカサマ医者に監禁されたのも何か白昼夢のなかのようだ。その代わり警官たち(元警官のレッドや署長遺児のアンを含め)が、腐敗のさまざまな様相を語る....「警官」小説じゃないかしら。
で、問題の文章だけど、こういうのだもんね。

それからベッドの上に坐って、足を床に触れた。床は裸のままで、ピンと針があった。雑貨小間物は左側です、奥さま。特大の安全ピンは右側です。足が床を感じ始めた。私は立ち上った。骨が折れた。

私は慌てて、頭を下げた。ライトが私の頭の上を剣のように横切った。クーペは停った。エンジンの音がやんだ。ヘッドライトが消えた。静寂。やがて、ドアがあいて、軽い足音が地面を踏んだ。再び、静寂。こおろぎの啼く声もやんでしまった。

タイトでシュール、それ自体で立ってる文章だと思う。これやっぱり前衛小説だよ。チャンドラーのそういうセンスを愉しむための作品。とはいえマーロウの造形はまだこの時点では、パルプフィクションのヒーローらしさを留めている。「ハメット=チャンドラー=マクドナルド・スクール」なんていったい誰が言った?

No.116 6点 喉切り隊長- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/15 23:21
まあ本作、探偵役がジョセフ・フーシェだ、ということ。本当にそれに尽きる。
評者高校生の頃に、ツヴァイクの伝記小説「ジョセフ・フーシェ」を読んで、フーシェにはマジ憧れたぜ。高二病、だなぁ。まあフーシェの出る創作だとツヴァイクのそれがもう唯一無二の典拠になりかねないんだが、今だとツヴァイクのが「創作おおいじゃん」と指摘されてるみたいだ。それでも伝記小説にクセに下手な伝奇小説より波乱万丈なアレは一度読むといいよ(あとイマドキなら長谷川ナポレオンも面白い。これだと「喉切り隊長」で名前だけ出る元帥たちのキャラが理解できる)。まあ本作フーシェの愛妻家ぶりがキーになるとか、フーシェ・ファン的なポイントが実に高い。
でカーの小説「喉切り隊長」だが、読んだ印象は歴史ミステリと云うよりも、冒険小説と云うよりも、とにかく昭和初期の時代伝奇小説(丹下左膳とか砂絵呪縛とか)に近いテイストを感じる。まあそうだ、ニヒルな怪剣士とか、主人公を巡って争う二人の女性(貞淑vs妖婦)とか、洋の東西を問わず、エンタメの定石ってこうなんだよね、と思わせる。ひょっとしてだれか時代作家が本作をネタにしてない?と思うくらいだね(「センダ城の虜」が「桃太郎侍」に化けた伝でいえば...どうだろう、フーシェは鳥居耀蔵くらいか? あとわざと挑発して剣を抜かせて...は助六だよ)。
でまあ意外な犯人というか、ミステリとしてのネタで考えると、本作は皆さんがいうのとは別な視点で面白いと思う。それは最後まで具体的なキャラとして直接登場しない人物が犯人だ、ということね。まあ犯人像自体は明白というか、真相解明で否定される表面のロジックにちょいと違和感があって、説得力が薄いように思うよ...これだとフーシェじゃなくても気がつきそうな気がするな。まあフーシェ自身の立場からする腹芸が面白みなんだけどね。
けど本作ひらがな比率の高い翻訳(島田三蔵訳)が妙に読みづらい。ところどころ何言ってるかわかりづらいところもある...

No.115 8点 夜鳥- モーリス・ルヴェル 2016/08/15 23:11
評者中学生の頃の学校図書館に、ボロボロの「世界大ロマン全集」があって、その頃から変人だった評者はこんなのを耽読してたんだよ....中でも印象深かったのは以前にここで書いているエーヴェルスの「吸血鬼」とか、あと乱歩の「白髪鬼」のネタになったコレリーの「ヴェンデッタ」とかあるけど、中でも強烈な印象なのがモーリス・ルヴェルだった。
で10年ほどまえふと本屋の棚を見てると...あるじゃんルヴェル。狂喜乱舞して購入。そんなの再び読めるとか思ってなかったよ。でもしっかり名前は頭に刷り込まれてた。
で読むと、本当に内容が蘇る。この創元推理文庫版も同じく田中早苗訳で、それこそ同じ文章だから「ええ、ル・バングよ...あの死刑執行人(くびきりにん)のサ」とか鮮明に憶えていた。で改めて読むと、戦前に「新青年」に載ってたことが信じられないくらいに、モダンで読みやすい訳文が非常にイイ。クラシックな味のある文章の歯ごたえ感が心地よいな。またルヴェルの極めて優れた性質として、場面の絵的センスがいい。短い話を「光景」としてまとめ上げ、「絵」としてかっちり決めてみせるウマさがある。
まあ本作品集は今でいえば「ショートショート」くらいになるんだろうけど、当時は「コント」と呼ばれていたジャンルに当たる。考えてみりゃジュンブンガクの代名詞に使われちゃう芥川龍之介だって、どっちかいうとコレに該当する作品が多いように思うよ。どうやら当時のフランスの小説だと他に「ポルトレ(肖像)」とか「スケッチ」とかいろいろな視覚的な分類の短編のジャンルみたいなものがあったようだけど、そういう視覚的を刺激する名前のついたジャンルをルヴェルの作品は強く連想させる。
まあ類型的といわれるかもしれない話なんだけど、そういう普遍的な情念をセンセーショナルな「絵」にまとめ上げる手腕は大したものだと思う。普遍的な情念だからこそ、それを強調すれば結末はある残虐なものにならざるをえない...個人的には「或る精神異常者」(突発事故を目撃することを唯一の道楽とする男が、自転車曲乗りに毎日来場するようになった、。その狙いは?)「碧眼」(死刑になった情人の墓に備えるため、娼婦が病院から一時外出して客を取ったが...)「青蠅」(どうしても殺人を認めない犯人がその死体を前にして...)「情状酌量」(わが子が強盗殺人犯として逮捕された母親の奇策とは?)あたりがお気に入り。

No.114 7点 マン島の黄金- アガサ・クリスティー 2016/08/15 22:56
本短編集はクリスティ死後に編集された落穂拾いの短編集である。まあこの手の短編集というと好事家向けの域を出ないのが当たり前なのだが...さすがにクリスティ、そんなことはない。それだけでなく「評者的に必読」級短編が2つもあるという結構スゴい短編集だ。ミステリ色の薄い短編でイイのが多い。
必読1「夢の家」。評者は「終わりなき夜に生れつく」が大好きなせいか、あの作品で十分に展開された「夢の家」モチーフがすっごく気になっている。短編「リスタデール卿の謎」とか「親指のうずき」とか、あと「スリーピング・マーダー」もそうだね。どうやらこれがこのモチーフの初出。最初はホラーなんだね。
必読2「クィン氏のティー・セット」。どうやらこれは短編集の最後の作品「道化師の小径」のさらに後の設定の作品である。やはりクィン氏ものはサタスウェイト氏の懐旧のまなざしですべて眺められているからイイんである。まあ犯罪計画が今一つ腑に落ちないけど、サタスウェイト氏の主観描写によるフラッシュバックみたいな効果が生む緊迫感がいい。何十年かぶりにあう旧友宅での、アフタヌーンティの最中に未然に毒殺を防いじゃうという超名探偵ぶり(苦笑)。クィン氏好きだ...「愛の探偵たち」はあまり出来が良くないからなんだけど、なぜ本作が短編集に入らなかったのはホントに不思議(まあ「道化師の小径」はすごくキリのいい作品なんだけどね)。
あと「壁の中」は「愛の旋律」に近いアーチストの私生活をめぐる作品。辛口な良さがある。まあこれはウェストマコット作品として読んだ方が面白かろう。「孤独な神さま」は甘口なラブロマンス。けど男女ともオタっぽいのが何かイイ(これ誰か少女漫画にしないかな)。
ポアロが出る「クリスマスの冒険」「バグダッドの大櫃の謎」は両方とも「クリスマス・プディングの冒険」により長いバージョン(本短編集版が初出でそれを引き延ばしたらしい)が収録されていて、これはそっちのがずっといい。表題作「マン島の黄金」は実際にクリスティが依頼された宝探しパズルのシノプシスみたいな作品。ま、雰囲気は伝わるけど、現地にいかないとパズルにならないから、作品としてはご愛敬くらいのもの。それでも地図とか写真とか載ってると何か盛り上がるよね。この体験が「死者のあやまち」に使われたわけである。

No.113 6点 クリスマス・プディングの冒険- アガサ・クリスティー 2016/08/15 22:19
本短編集は、とにかく「おいしい」。食べ物描写に念が入っていて、それを読むだけでもイイな。で、収録は表題作70p、スペイン櫃の秘密70p, 負け犬100p, 二十四羽の黒つぐみ25p, 夢40p, グリーンショウ氏の阿房宮50p と、前半3作がほぼ中篇の体裁で、すべてガチのパズラーである。
本短編集は初期のキャラ別短編集みたいなものではなく、長編の抜粋か雛型みたいな内容である。もう一ネタ組み合わしてキャラをうまく設定すれば立派な長編になるくらいのもの。というか、「葬儀を終えて」の後の小暗黒期だと内容的に本短編集レベル以下の作品が結構あると思うよ....まあだからクリスティに純粋にパズラー以外求めないような読者なら、コスパよく充分満足のイケる作品集だろう。
個人的にはイギリスのクラシックなクリスマス料理って食べてみたいな....昔クリスマス時期に「プディング」を売っている店を見つけて、クリスマス時期になると買ってたのが懐かしい。評者のイギリス料理の印象はほぼクリスティの作品で培われたものじゃないかな。
で評者は次に「マン島の黄金」を読んだんだが、これが結構本短編集とバージョン違いがカブるのだ...詳細は「マン島の黄金」を見よ。

No.112 4点 刑事くずれ/最後の依頼人- タッカー・コウ 2016/08/07 23:07
このシリーズの最終作に当たる。けど...ホントにイキナリ断ち切ったような終わり方をして、シリーズ最終作らしい後日譚とかまったくない。この作品でいよいよ、ミッチが失職する出来事の元凶である元愛人のリンダが登場する。この女にハマってミッチは相棒の単独行を許し、ために相棒が殉職するという不名誉を引き起こした原因なんだけど、それほどの因縁の相手であるにもかかわらず、冒頭にちょっと登場しただけで、以降全然登場しない....あれれ、ってうちに最後のページになってしまう。異例な狙いの多い本シリーズらしさの最大のものはやはりこのことだろうね。
でまあ、この原因を推測するとなると、どうやら本シリーズ打ち切りの原因にも関わるようである。というのも、作者ウェストレイクが一貫して本シリーズの献辞の対象としている妻と、離婚したようなのだ。とすると...おそらくその妻とリンダとが重ね合わせになっているんだろうね。というわけで、ほんとうに献辞のとおり「やあ、さようなら」なんである。
まあ本作は、事件がいろいろと並行して進行して動き、ためにミッチが複数の相手に複雑な駆け引きを行うので、やはり本シリーズ他作品とは違って、一番ハードボイルドっぽい。それでも被害者の身元推定とか、結構推理力抜群の名探偵である。キャラの陰影もシリーズ全体の中でも深いので、ブチッとイキナリ終わるようなラストが残念な感じになって本当にもったいない。
結論:本シリーズは、ピークは2作目の「ヒッピー殺し」。やはり前半の方がサエてるね。だんだんミッチが魅力的にはなるんだけど、狙いすぎて自分の首を絞めてるような印象だ。難しいなぁ。

No.111 5点 刑事くずれ/牡羊座の凶運- タッカー・コウ 2016/08/03 22:05
本格モノ設定をリアルに、かつ60年代末風俗にうまくアドプトした本シリーズだが、評者は最初の3冊を前に読んで残りを読んでなかったよ。いい機会なので残り2冊も読むことにする。
本作実は「占星術殺人事件」である。別にアゾートは作らないが、本作のメタなネタはたぶん、占星術みたいなオカルトがリアルな事件の手掛かりになったり、動機になったりするというのを狙ったのではなかろうか(島荘だと煙幕以外の役割ないもんね)。一応ちゃんとリアルな範囲で、占星術が犯人発覚の手掛かりになっているし、(3つ目の事件の)動機にもなっている。ただし、それほど派手なものではないので、期待するとちょっと肩透かしか。
今回の背景はゲイコミュニティ。描写は差別的ではないし、ファッションとかインテリアの趣味がきっちり描けているので、リアリティがある。最初の被害者がガチのオネエだ。で、表面の関係から一歩踏み込んだら、それこそ人物相姦図になって収拾つかなくなるあたり、まあ結構らしく書けているな。で、このコミュニティの犯人以外の人々が、主人公のミッチと一緒に最後に犯人を罠にかけようとするのが、終盤結構サスペンスあり。警察官によるゲイいじめも背景に絡んでいるが、まあエンタメなので、ストーンウォール反乱のあとすぐあたりの状況とかはあまり窺われない。作者はたぶん単純にサブカルが好きなんだろうなぁ...
まだから割とイイんだけど、「ヒッピー殺し」と比較するとやはり落ちる。しかたないか。

No.110 7点 刑事くずれ/ヒッピー殺し- タッカー・コウ 2016/07/29 22:24
筆者は本サイトに書き込みをするような人だからまあミステリマニアの部類に入るのだろうけど、「密室もの」ってのはどうも苦手だ。
だってえ、いろいろな解法がありすぎるために、具体的な小説の中で一つに決定することが難しいから、推理してもムダになることが多いし、設定としてオタク臭が強いからリアルな小説とはそもそも相性が悪い...というわけで、長編の密室ミステリなんて評者はホントに厄介なものとしか思えないや(まあだから犯人の意図に反して密室になってしまう..とかはオーケーだよ)。
本作の凄いところというか、まさにその狙いは「リアルな密室もの」を書くことなんだよ。本作は現場が密室になることの流れの説得力や、犯人にとっての密室になることのメリット、それに狭い意味でのトリックとしての自然さ..と、「リアルな小説の中での密室」に非常にイイ回答をしている作品である。まあこの「刑事くずれ」シリーズ自体が、ちょっと大時代的なネタをほぼハードボイルド的と言っていい小説内容でコナしてみせる、という志の高いシリーズになっているんだが、その中でも出色である。あれっ、たぶん本文の中で「密室」という言葉さえ全く使ってないんじゃないかなぁ。
まだからトリックマニアはつまらながるかもしれないが、見どころはリアルに徹した作者の小説的処理の手際のよさである。若干メタな視点かもしれんがそれをとくとご堪能あれ。評者みたいな「密室嫌いな小うるさい読者」のための密室ミステリだよホントにこれはね。
あと本シリーズは、心に傷を負った元刑事絶賛引きこもり中が名探偵である。今のラノベでもありそうな設定なんだが、60年代にこの設定を考えたのはスゴいなぁ....

No.109 8点 高い窓- レイモンド・チャンドラー 2016/07/19 23:05
本作は面白いわりに知名度がないのは、いわゆる「チャンドラー節」みたいなものが薄いせいなんだろうな...本作にはいわゆる名セリフはない。しかし細部へのまなざしが印象的だ。プリーズ警部補の葉巻の吸い方、フィリップスの帽子、モーニィ夫妻の夫婦喧嘩、モーニングスターの駆け引き、エレベーター係の老人などなど、デテール描写が新鮮というか衝撃的なくらいな覚醒感がある。
実は本作の直前に「占星術殺人事件」みたいなお約束をよしとする小説を読んでいたためか、チャンドラーなんて読むと、ミステリのコンベンションに対して斜めに構えた、オフビートなクールさが無性にカッコよく感じられる。そう、意外に本作はモダンな雰囲気があるんだよね。少なくとも70年代くらいの背景にしても違和感がないんじゃないかな。
でしかも、本作は短編をつぎはぎしたものではない、一貫したプランで書かれた作品なので、マーロウがちゃんと名探偵していて真相をしっかり暴いている。チャンドラーは合う・合わないがあるだろうけど、本作が一番つじつまの合った「無難な名作」になるような気はするね。
けど、ミステリとしてはホントにオフビートだと思う。家出した妻はあまり真相にからまないし、金貨は盗難かどうか微妙だし、マーロウは殴られもしないし、銃も撃たないし...派手なところはないんだけど、ロスマクみたいに地味に倒れない。ちょっと不思議な作品である。

No.108 5点 占星術殺人事件- 島田荘司 2016/07/19 22:36
さて当サイトで絶大な人気の作品だなこれは。評者本作は80年代中ごろに講談社ノベルズ版で読んでいる。だから当時の話題作ではあったけど、今みたいに本作のトリックが俗化していない時期だが、そういう頃に読んで若干モヤモヤした作品である。ようやくこのことが書けるな、単純にうれしい。
長編パズラーってのは評者は「なぞなぞ」ではなくて「パズル」であって欲しいと思っているんだ。この区別は情報論的なものだ、なんていうとかっこいいのだが、違いは「なぞなぞ」は最初にすべての手がかりが全部でそろっている状態だけど、「パズル」は不完全な情報が時系列でいくつも提示されて、それを正しい組み合わせで見たときに初めて解けるような問題だ、と仮に定義したい。本作だと竹越手記は単に「how」を提供して縛りを緩める働きしかないし、京都行きとその結末となる変造札に至っては本当に単に名探偵へのきっかけづくり程度のもので、何か情報を提供したものではない(請われて与えるヒントみたいなもの)だから、無くても全然困らない...というわけで、長編パズラーとして長さの必然性を感じないんだよね。つまり、事件のアウトラインを説明されたところで、名探偵らしくサクっと種明かししてもミステリとしては全然問題ない(が小説家としては困るだろうね)。まあこういう作品というと「オリエント急行」があるけど、あれだと終盤おもむろにポアロが目をつぶって考えると真相がわかっちゃう...申し訳ないが評者はこういうの安易に感じてイヤだな。
であと、ネタがわかったあとでの具体的な犯人指摘のロジックは評者は混乱してるようにしか思えないや。初めて読んだ時に、評者は真犯人の身の上のベタさがイヤなこともあって、いろいろ考察したんだけども、穴の深さと状態からのロジックは、真相が唯一の解釈であるとまでは言えないように思う。まあ同様の真相の唯一性のなさは密室トリックにも言えることではあるけどね。
あと細かい事言うと、昭和11年2月26日は、2月23日の記録的豪雪の後で、ぐちゃぐちゃになった汚い雪の上に新しい雪が積もったような状態だったらしい。有名な日の天気だし、ツッコまれるのを想定してなかったかなぁ。まあ、総じて梅沢手記は戦前の人の文章にも見えないし、狂気も感じない。地理感覚も戦後の人のものだよね...ここらは小説としての詰めの甘さのように感じる。
ま、とはいえマンガの探偵もののネタに使われるくらい有名になったら勝ちかもしれんけど、どっちかいうとそういうポピュラリティって「なぞなぞ」の明快さから来るものだということは否定できない。評点は小説として3点にトリックのオリジナリティで+2点する。

No.107 7点 タイタス・クロウの事件簿- ブライアン・ラムレイ 2016/07/19 22:29
評者一時クトゥルフ神話にはハマって、青心社あたりまで手をだしていろいろ読んだんだが、結局ラヴクラフト周辺くらいまでしか嗜好が合わなかったな。評者はどうもファンアートっぽい甘えが体質的に嫌いなんだよね。本サイトだと一応ラヴクラフトの創元の全集の評はあるんだけど、それに書く...のはちょっと本旨が違う気もする。なので、クトゥルフでミステリな作品があれば?と見渡すんだがあるんだよね。これがまあそう。
ラヴクラフトだと「恐怖」がメインなので、最終的に真相を知った主人公は惨殺体で発見されました...というオチ以外では終わらせれないわけだ。だから真相を解明して名声をあげる名探偵なんてものはそもそも不可能だけど、ホームズファンのダーレスを経てオカルト・アクション物の設定みたいなものになっちゃうと、オカルト探偵のバリエーションでクトゥルフ名探偵が成立する。ここで上手くやったのが本作のタイタス・クロウで、ホームズ風のキャラ小説としてうまく成立している。
とはいえ、オカルト探偵として成立しているのは本短編集と最初の長編「地を穿つ魔」くらいのもので、「タイタス・クロウの帰還」ともなるとSFスーパーヒーロー化しちゃって本サイトの守備範囲からは大幅にズレることになる。まあなので期間限定名探偵なんだけども、ラヴクラフトより後のクトゥルフが本質的にガジェット小説になってることと、ホームズに範を取った名探偵小説とは、意外なほどに相性がいい。まあホームズってガジェット小説の元祖でもあるわけなんだよね...というわけで、クトゥルフ+ホームズなタイタス・クロウの、犯罪者もとい魔道師相手の知的闘争という格好の本短編集、出来不出来はあってもそれなりにそれぞれ面白い。というのも、小説としての出来が今一つな短いものほど、ガジェット性が強く出ていて「そういう発想なんだよね」というのが納得できる利点もある。で、作家としてうまくなったあとの長めの作品、「妖蛆の王」とか「名数秘法」とか充分楽しめる作品である。とくに「名数秘法」とかホィートリー風の国際スパイ色までついているわけで、ある意味ホィートリーとかブラックバーン(そういやウルトラQぽさも共通する...)の後継者みたいなものかもしれないね。

No.106 5点 愛の旋律- アガサ・クリスティー 2016/07/19 22:21
クリスティの登場人物というと、表層と真相のダブルミーニングからくる作品的な「仕様」によって、アクションがかなり厳格にコントロールされているあたりが大きな特徴でもあり制限でもあるわけだが、初期を中心にたまにはキャラだけ作って行き当たりばったりな活動をすることもないわけではないようだ。ミステリだと「チムニーズ館」とか「牧師館の殺人」とかそういう「ゆるさ」を感じるんだが、本作は非ミステリでウェストマコットでは評者初遭遇のそういう感じのもの。なので、めまぐるしく起きる事件に行き当たりばったりに登場人物が反応しているような小説である。伏線を敷いてるくせにあえてぶった切るような突発事件が連続するので読んでて?となることが多い。当初ヒロインかな、と思われたジョーが早々とフェイドアウトして、サブヒロイン型のネルが結局メインヒロインになり、あとで投入されたっぽいジェーンは結局ネルに少しも勝ててない....で、問題は勝者のネルがどっちかいうとクリスティがイライラした書き方をしがちな他人依存型のキャラであり、女性の嫌らしさ満開なタイプであることだね。
でしかも、ヒーローであるヴァーノンが魅力薄。あれもこれも欲しがるタイプだ、とジェーンに非難されるがその通り。天才作曲家にちょいと見えない....まあそれでもジャーナリスティックではあるが、1920年代あたりの音楽状況はわりと押さえれてはいるようだ。要するにショスタコの交響曲2番みたいなものでしょう、冒頭のアレは。けど、オペラみたいなものにしてしまうと、バレエリュスの二番煎じで、フランス6人組+バレエ・スエドくらいでモダンだけどちょっとお安い感じになるのはどうしようもないね。「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」の罠にかかっている。
ウェストマコットの6作でも正直言って一番期待してなかった作品なのでいいんだが、まあ駄作の部類。マイヤーホルトって誰だよ(苦笑)。あ、あといいとこはネルの赤十字見習い看護婦奉仕の描写が、クリスティ実体験に即していて面白い。けどこれがあるからネルへの矛先が鈍ったのかもね。

キーワードから探す
クリスティ再読さん
ひとこと
大人になってからは、母に「あんたの買ってくる本は難しくて..」となかなか一緒に楽しめる本がなかったのですが、クリスティだけは例外でした。その母も先年亡くなりました。

母の記憶のために...

...
好きな作家
クリスティ、チャンドラー、J=P.マンシェット、ライオネル・デヴィッドスン、小栗虫...
採点傾向
平均点: 6.40点   採点数: 1325件
採点の多い作家(TOP10)
ジョルジュ・シムノン(98)
アガサ・クリスティー(97)
エラリイ・クイーン(45)
ジョン・ディクスン・カー(31)
ロス・マクドナルド(26)
ボアロー&ナルスジャック(24)
アンドリュウ・ガーヴ(18)
エリック・アンブラー(17)
ウィリアム・P・マッギヴァーン(17)
アーサー・コナン・ドイル(16)