皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
バードさん |
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平均点: 6.14点 | 書評数: 324件 |
No.28 | 8点 | 流星の絆- 東野圭吾 | 2023/06/04 21:31 |
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量産型東野作品の一つと予想していたが、予想よりはるかに好きな内容だった。某立ち位置のキャラが犯人というやり方は手垢のついた方法で、はっきり言って特に良さを感じなかったが、ドラマパートは全体的に楽しめた。
東野さんの人物描写は淡泊という意見もあり、自分もその傾向はあると思っているが、本書のキャラ描写には説得力があった。個人的には政行、行成の描写が上手いと感じた。読後感も悪くなく、作中のキャラ達はそれぞれの贖罪後に幸せになって欲しいですな。 |
No.27 | 7点 | 秘密- 東野圭吾 | 2022/02/23 12:24 |
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少しずつ読み進めようとしていたのだが、ページをめくる手が止まらず二日で読了。ストーリーはほぼ予想通りで、あっと驚くことは無かったが魅せ方は非常に上手く、読者の期待には応えるいい作品に仕上がっている。ラストも正直予想はしていたが、余韻を残しつつ平介にも読者にもそれ以上突き詰めることを許さない良い締め方だったと思う。 |
No.26 | 7点 | ナミヤ雑貨店の奇蹟- 東野圭吾 | 2021/04/29 11:18 |
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各話がつながる瞬間(伏線回収?)がミステリとして面白い。
また、最適な道を選べていない、生い立ちが不幸、重大な問題を抱える、といった様々な悩み人達が紆余曲折しながら幸せを追い求める過程が、物語としても面白い。 ミステリ・SFのギミック的面白さと読み物的な面白さを両立できている良いバランス。 弱点は時系列の把握が少しめんどくさい点。伊坂さんの『ラッシュライフ』で似た感想を抱いたが、時系列順でないとやはり読んでいて多少のストレスがある。 ただし、本作はそういうマイナス点を打ち消す程度に、プラスの点が良かった。 |
No.25 | 6点 | むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 | 2020/09/05 10:00 |
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(少しネタバレあり)
面白ギミックてんこ盛りの本書。ただ、その隠し方は全体的に上手と思えず。水星のヒントなどは直球すぎるし、そうでなくても、ヒントが胡散臭い(断片的な記憶と他人の日記)ので、何かを誤認識させる仕掛けがあると、こちらも身構えるからね。 本作はミステリに慣れる前(トリックやロジックの蓄積がほぼ無いうち)に読むべきだった。もっと早く出会っていれば、大好きな一冊になっていたと思うと少し悔しい。 |
No.24 | 6点 | マスカレード・イブ- 東野圭吾 | 2020/07/23 12:25 |
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『マスカレード・ホテル』ファンに向けた続編(前作の過去話)。
本作(と前作)のテーマである「仮面」は、ミステリ小説と相性がいいので、私は本シリーズを気に入っている。というのも、読者が見ることが出来るのは、「年」も「性別」も「体形」も「名前」も「性格」も全て、作者が付けた仮面越しのキャラだからである。 キャラの仮面が取り去られ、素顔が暴かれる瞬間のカタルシスが好きなのよ。 最後に個人的な嗜好を述べる。普通の警察物の新田パートよりも、ホテルマンとして、少し変わった視点から仮面の下を覗く山岸パートの方がトリッキーで好き。 |
No.23 | 9点 | 赤い指- 東野圭吾 | 2020/01/05 09:58 |
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メインの仕掛けは同作者の『容疑者x』に似ている。
本書と『x』とを比べると互いに勝っている点(以下参照)があり、総合的な出来は互角と感じた。本書の人間ドラマに心を打たれたので、私個人は本書の方が好き。ということで、『x』よりも一点高い、9点とする。 ・本書が勝っている点 1 : 殺人事件そのものを強引にすり替えた『x』に対し、本書では犯人だけを置き換えるので、ほぼ無理がない。仕掛けはシンプルなほど良いというのが、私の信条なので、本書の仕掛けの方がhighレベルと思いました。 2 : 家庭内の憎愛がテーマなので、万人が感情移入しやすい。一方、『x』の犯人の愛は共感できない人も多そう。 ・『容疑者x』が勝っている点 1 : 『x』は、仕掛けの種を最後まで隠す構造なので、真相解明で大きな衝撃を読者に残せる。本書の展開ではそういう効果は期待できない。 2 : 物理トリックでごり押しする作風のガリレオシリーズで、毛色の違うトリックを披露した点。一方加賀シリーズでは、本書の発売当時、既に『悪意』などが世に出ており、本書ぐらいの仕掛けに対しては耐性のある読者も多かっただろう。 |
No.22 | 4点 | 超・殺人事件―推理作家の苦悩- 東野圭吾 | 2019/09/24 10:12 |
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本書はミステリの短編集よりも推理作家周りのブラックジョーク集である。(もちろんミステリ要素のある話もあるが。)
今回ブラックジョークの潜在的な難しさについて少し思うところがあったので少し書いてみる。ブラックジョークの基本は他人の不幸は蜜の味という奴で、人間の嫌な性質を利用している。 この「他人の不幸」が曲者で、決して「自分自身やその周辺の不幸」ではジョークとして成立しない。そしてこの他人か自身の周辺かの線引きは完全に個人の性質に依存するため、万人受けするブラックジョークなるものは原理的に存在しないのである。 なぜこんなことを思ったのかというと、このケースが本書で私自身に当てはまりまして。 問題は二番目の「超理系殺人事件」と四番目の「超高齢化社会殺人事件」で、まず「超理系殺人事件」の方は理学を学んでいる身としてどうにも「他人の不幸」と思えず、どにかく馬鹿にされているように感じた。同様に「超高齢化社会殺人事件」の方も周りに認知症の方がいるため、それを茶化した終わり方にもやもやを感じた。 もちろんジョークなんだからそうカリカリするなと言われればそれまでだが、本書はどうしてもこの二編に引きずられ全力で楽しめなかった気がする。(他の話は結構好きなのもあったけどね。) なのでこれまで読んだ東野さん作品の中では低めの点数とするが、あくまで個人の感想なので(悪徳セールスみたいな言い訳だけど)、これから読む方は私の感想などは気にせず是非「他人ごと」として本作のジョークを楽しんでほしい。 上記二編以外の感想 ・超税金対策殺人事件 これは単純に笑った。主人公の仕事がなくなるオチだが、そりゃあんなひどい仕事をしたらそうなるよね(笑)。 ・超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇) 本短編集の中でミステリ要素が一番強い話。叙述トリックに気が付くことを犯人あてに組み込むという技巧が光る良短編。オチもそりゃそうだ(笑)という感じでコメディ要素もいい。 ・超予告小説殺人事件 小説の展開通り殺人が起こるが、最後は作者自身が小説の展開通り死んでしまうというオチ。 昔ジャンプで連載していた「アウターゾーン」にありそうな話。結構好きです。 ・超長編小説殺人事件 上手さとかはなく、ひたすらページ増設によるごリ押しのパワーギャグですね。本短編集中で一番ブラック要素が薄いと思う。全体の中では微妙。 ・魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚) 体をはった一発ギャグならぬ、小説をはった一発ギャグ。読む前に目次を見ないほうが良いと思います。 ・超読書機械殺人事件 東野版の「笑ゥせぇるすまん」。ミステリ要素はないが、本読みとして心にとめておきたい話ではあるかな? |
No.21 | 6点 | 悪意- 東野圭吾 | 2019/07/24 11:14 |
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前評判を気にしすぎるべきでないとは分かっていながら、少し期待値を上げすぎた。
事件の始まりから手記形式で、この手記は信用できないんだなと悟る。作中作や手記を使う方法は信用できない語り手の応用なのだなと今回改めて気がついた。 今回信用してはいけないのは事件の筋書きではなく、登場人物の人物像というのがこの作品特有の面白い仕掛けである。この効果については良くできていたと思うから野々口は上手く書いていると思う。ただ東野さんはその辺にもう一手間かけるべきだったと思う。というのも信用できない手記以外に日高の生前の描写がほとんどなく、それらの読者への提示の仕方が後だし的なので、最終章で実は日高は正義漢で~、と言われても説得力にかける。事前に手記での人物像に違和感を持たせる伏線を忍ばせておけば個人的にはもっと良くなったのでは?と思う。 問題の動機についてはそれほど衝撃的でもなかったかな(申し訳ないけど)。同じ作者なら「殺人の門」の方が殺害の動機うんぬんという点においては上と思います。 |
No.20 | 7点 | マスカレード・ホテル- 東野圭吾 | 2019/02/14 17:20 |
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映画化記念に読むことした、超にわか者です(笑)。
けっこう楽しめた、というのが素直な感想。少なくとも最近読んだの東野作品では一番好き。 メインのx4の犯行よりも、個別の事件が面白かったかな。警察とホテルマンの違いが良くかけており、かつ重苦しい犯罪なしにハラハラさせられた。エピソードの中では教育実習生とのやりとりが一番いい。 多くの登場人物に味があり、それも評価ポイント。 |
No.19 | 5点 | 眠りの森- 東野圭吾 | 2019/01/10 11:17 |
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ここ最近東野さんの作品で当たりを引けない。本作も微妙っす。
推理要素が少なくいまひとつ熱中できなかった。加えて物語を通して身代わりが多くて(恋人の身代わり, 正当防衛の身代わり, 犯人の身代わり(これは違う気もするけど))読みにくかった。身代わりを多用することで物語の謎に深みを出したかったのだろうけど、単に問題を複雑にしてるだけに思えた。以上。 |
No.18 | 5点 | 11文字の殺人- 東野圭吾 | 2018/12/19 10:07 |
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これは意外な人物を犯人とすることで驚きを生むタイプの作品であるが、注意して読むと犯人の正体に序盤で気づけそうだと感じた。その辺りの点がやや盛り上がりにかける理由だろうか。
ストーリーはそれほどひねったものでもなく分かりやすい。人物描写が薄めな気もするがそれほど気にはならかった。 |
No.17 | 4点 | さまよう刃- 東野圭吾 | 2018/11/28 11:34 |
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自分にあわない作品だった。(あわなかった点1 謎がない。 2 登場人物に感情移入できなかった。 3 決局主人公(長嶺)が目的を達成せずに死ぬラスト。 4 テーマが暗すぎてエンタメとして楽しめない。)
全体的に話をまわすのに都合のいい展開も多かった気がする。上手く表現できないが、私には本作の登場人物が役者の演じるキャラに見えたということかな。(ドラマ向きかも、とも思った。) |
No.16 | 4点 | 名探偵の呪縛- 東野圭吾 | 2014/03/25 10:18 |
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前作の「名探偵の掟」が自分のどストライクだったので期待して読んだら・・・、う~ん。
前作の方が面白かった、はい。 |
No.15 | 4点 | 殺人の門- 東野圭吾 | 2014/03/19 08:49 |
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タイトルにつられてずいぶん昔に読んだのだがミステリではなかった。
こういうのもありなのかもしれないけど暗すぎる話は個人的にあまり好きじゃないので印象はよくない。(あとちょっと長すぎた。)ただこの長さが殺人の門を開けるのがいかに重大なことかも表現できてて上手いとは思わされた。 |
No.14 | 6点 | 予知夢- 東野圭吾 | 2013/12/16 07:39 |
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基本的には同シリーズ1冊目の「探偵ガリレオ」と同じよみごたえだったが2話の霊視ると4話の絞殺るが上手いと思わせてくれたので「探偵ガリレオ」より1点アップの6点で。 |
No.13 | 5点 | 探偵ガリレオ- 東野圭吾 | 2013/12/15 07:43 |
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湯川助教授初登場のこの作品、科学、物理的見地から事件をときほどくのが今作品のテーマだがそれをふまえてこの感想、科学とミステリはやはり相性が悪いと思う。
よく科学捜査が発展した昨今では探偵は活躍させづらいといのは聞くがこの本読んで痛感した。新しい挑戦ではあったかもしれないが短編集としては並程度か平均やや下くらいの満足度。 |
No.12 | 8点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2013/11/15 17:08 |
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今までのガリレオシリーズは小難しい物理トリックのよせ集めという感じで実はそれほど評価してなかった、しかしそれもあってかこの作品には完全にやられた。
メイントリックの種類をがらりと変えるというシリーズものとしてはある意味イレギュラーなやり方で、これまでの作品をよく読んでいた読者ほどびっくりさせられたと思う。 湯川の友人石神のキャラは素晴らしいかった、極端なキャラというものをしっかり堪能させていただいた。 |
No.11 | 5点 | 学生街の殺人- 東野圭吾 | 2013/10/16 21:10 |
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自分は好みは派手なトリックとよく練られたロジック、この作品に関しては前者は無い。真犯人自体は消去法でわかるかもしれないが実は真犯人が殺人犯を操作していたということの証明は中々よく筋の通った説明で好みだった。
話のラストはいい感じで読み物としての雰囲気は〇、ただし事件自体は何となく盛り上がりも無くそれゆえ中盤あたりまではわりと退屈、それに少し長いかなとも思った。 |
No.10 | 8点 | ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 | 2013/10/12 10:28 |
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よく「仮面山荘殺人事件」と同じしかけと言われ比較されているので自分もそのように感想を書くとする。
自分が思うに仮面に比べ叙述トリックのレベルが1ランク上がっていると思える、仮面ではあくまで主人公だけが蚊帳の外ということだけを隠していたトリックだったが今回はその視点に本当の仕掛けがあり高度に感じた。その一方で登場人物たちはどうにも感情移入しにくいタイプが多く仮面ほどの物語性はない。 個人的には読み物の仮面に対し技の今作といった印象、ということで点数は仮面と同じで。 |
No.9 | 9点 | 名探偵の掟- 東野圭吾 | 2013/09/28 13:25 |
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個人的にはこれだけ上手くミステリを皮肉ってる作品はほかに無いと思う、10点をあげたいところだがそれをやるのは流石に他の正統派本格物に失礼なので自重。
それぞれの話にテーマがあり上手く皮肉をきかせている、印象深い話が密室、ご都合主義、殺すなら今、私が犯人などいくつもあり天下一や大河原警部など登場人物のコミカルさも良かった。 ある程度ミステリを読んだ人ほど作者のメッセージが伝わると思うので読者の読むタイミングによっても楽しめるかどうかが変わると思う。 |