皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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蟷螂の斧さん |
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| 平均点: 6.10点 | 書評数: 1711件 |
| No.491 | 6点 | アメリカ探偵作家クラブが選んだミステリBEST100- 事典・ガイド | 2013/10/03 20:44 |
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| 1995年、アメリカ探偵作家クラブ(ミステリの著作を発表している作家200名)が選んだベスト100。選出方法は、ジャンルを①古典②サスペンス③ハード・ボイルド、探偵④警察⑤スパイ、スリラー⑥犯罪⑦本格推理⑧歴史ミステリ⑨ユーモア・ミステリ⑩法廷とし、ジャンルごとに5作品を投票。結果、2090作品、880人の作家が選ばれ、総合ベスト100、並びに各ジャンルのベスト10が発表されたもの。本邦「東西ミステリーベスト100(2013年版)」のベスト10のうち、「Yの悲劇・エラリー・クイーン」(2位)「幻の女・ウイリアム・アイリッシュ」(4位)「火刑法廷・ジョン・ディクスン・カー」(10位)の3作品はランクインしていないという結果。日米の嗜好の差か?。米ではハード・ボイルド、スパイものが好まれている印象。なお、冒険ものは、ミステリーのジャンル外らしい。各ジャンルの1位は、①古典「シャーロック・ホームズ・シリーズ」(アーサー・コナン・ドイル)②サスペンス「レベッカ」(ダフネ・デュ・モーリア)③ハードボイルド・探偵「マルタの鷹」(ダシール・ハメット)④警察「死者の舞踏場」(トニイ・ヒラーマン)⑤スパイ・スリラー「寒い国から帰ってきたスパイ」(ジョン・ル・カレ)⑥犯罪「ゴッドファーザー」(マリオ・プーヅォ)⑦本格推理「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ)⑧歴史「時の娘」(ジョセフィン・ティ)⑨ユーモア「フレッチ/殺人方程式」(グレゴリー・マクドナルド)⑩法廷「推定無罪」(スコット・トゥロー)。本格ものジャンルでは、アガサ・クリスティがダントツ。上位20作品のうち8作品がランクイン。次に、ドロシー・L・セイヤーズが5作品。9位に「三つの棺」(カー)18位「災厄の町」(クイーン)となっている。その他、好きな作家、探偵、凶器、ミステリ映画などのアンケート結果も掲載されている。凶器では第1位が好きなダールの「冷凍の小羊の脚」で思わずニヤリ。本書のきっかけは、総合24位に「罪と罰」(ドストエフスキー)がランクインしており、本サイトでの書評ではミステリー分類に?マークがあったことより、興味を持ったものです。以下、関連文を参考までに記載。≪ミステリ史上の最高傑作といえば?もちろん『ナイン・テイラーズ』に決まってるわ。ちょっと待った、断然『時の娘』だよ。おいおい、『マルタの鷹』を忘れちゃいないか?いや、むしろ『バスカヴィル家の犬』をあげるべきだろうね。それじゃ『罪と罰』は?これもミステリよ。(中略)ただ愛好家同志あれこれ言い合っているだけでも楽しいものだ。≫≪『月長石』は、推理小説の枠内におさまりきらない小説でもあり、トップテン(古典部門)入りした作品の半数にも同じことがいえる。たとえば、『白衣の女』、『罪と罰』、『吸血鬼ドラキュラ』、『螺旋階段』、『エドウィン・ドルードの謎』もまた然り。これらは犯罪小説というより、むしろ謎という引き綱をつけた純文学である。私見を述べれば、両者の違いは、純文学がなにより観念を表現することを主眼としてかかれるのに対し、ミステリは、まず読者を楽しませることを第一主義とし、二次的な狙いとしてさまざまな観念を盛り込んで読者をひきつけるところにある。検査官(アメリカ探偵作家クラブの意味)は、純文学をリストから除外しようとするだろうか?いや、そんなことはない。たとえばドストエフスキーがラスコーリニコフというひとりの学生の恐ろしい心の起伏を推理小説とはまったく異なる目的で描いたのだとしても、『罪と罰』はやはり、後世の推理作家たちの尊敬すべき手本と位置づけてよいと思われる。というのも、1920年代から40年代までの流れがどうであれ、今日では、ほとんどの推理小説が純文学の要素をふんだんに持ちあわせているからである。・・・≫同感です。 只今、「レッド・オクトーバーを追え」(未読・ショーン・コネリー主演の映画は観た)の著者トム・クランシー氏の訃報がニュースで流れました。合掌。 | |||
| No.490 | 5点 | おんな牢秘抄- 山田風太郎 | 2013/10/03 13:35 |
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| ミステリー度を期待すると微妙な感じがします。時代劇なので、トリック自体は小粒になってしまうのは仕方ないことと思います。痛快時代劇として読めば楽しめると思います。 | |||
| No.489 | 5点 | ある殺意- P・D・ジェイムズ | 2013/10/02 12:04 |
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| ロンドンのある診療所で殺人が起こり、内部の犯行が明らかになる。警視による事情聴取が、一人ひとり行われる様子と登場人物の私生活が語られる。人間描写に定評があるとのことですが、この展開は冗長としか思えませんでした。顛末も想定内でした。 | |||
| No.488 | 5点 | 殺意- フランシス・アイルズ | 2013/09/30 09:09 |
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| 倒叙物の有名作ということで手に取りましたが、倒叙というより、犯罪心理小説(女性に翻弄される男のコメディタッチの物語)との感を持ちました。そういう意味では楽しめましたが、各登場人物に共感する点(感情移入)がなかったことが残念です。完全犯罪を狙うにしては、裁判で指摘されたように杜撰過ぎていましたね。そういう犯人像が作者の狙いかもしれませんが・・・。ただ、エピローグでの出来事については、何の根拠も提示されておらず、単に奇をてらったものとしか思えませんでしたので、その点マイナスとなりました。 | |||
| No.487 | 9点 | 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 | 2013/09/27 12:43 |
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| 倒叙ミステリー~法廷ミステリー~社会派ミステリーと変遷してゆき、どんでん返しも控えているという贅沢な作品ですね。展開が速かったので、じっくりと長編で読みたい気がしました。どんでん返しのテーマだけでも面白い作品に出来上がっていると思いますが、主題は、題名の通り「贖罪」(過去に罪を犯した人間が、それを償う意味は?)というヘビーなテーマです。また、ある種のタブー(カエル男も同様)に挑戦した意欲作とも感じることができました。また、悪徳弁護士の描き方がうまいですね。果たして、悪者なのか、はたまた善人?・・・読者を不思議な気持ちにさせます。やはり圧巻は、法廷場面でしょうか。 | |||
| No.486 | 8点 | ナイン・テイラーズ- ドロシー・L・セイヤーズ | 2013/09/26 10:10 |
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| 東西ベスト45位、英米ベストランクイン作品。素直に評判通りの作品だと思います。読むのに時間がかかりましたが、後味は心地良いです。表現が難しいのですが、文学的な香りがする異色作とでもいえばよいのでしょうか。 | |||
| No.485 | 5点 | 毒を食らわば- ドロシー・L・セイヤーズ | 2013/09/19 18:04 |
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| 英米ベストランクイン作品。やや納得性に欠ける点は、主人公の直感で、被告が犯人でないことと、犯人の目星をすぐつけてしまったことです。よって、メインは、動機探しと、ハウダニットに絞られてきます。ハウダニットについては、伏線があまりにもアカラサマすぎましたね。これがミスリードであれば、やられた感があるのですが・・・。犯人の努力?は面白いアイデアでした。サブストーリーとして、主人公が被告人(女性推理作家)に恋をするのですが、この行方が気になるところです。 | |||
| No.484 | 8点 | 狙った獣- マーガレット・ミラー | 2013/09/11 12:19 |
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| 英米ベストランクイン作品。1956年MWA最優秀長編賞受賞作。著者は、ロス・マクと結婚後、ノイローゼで入院の経験があるとのこと。その経験があるためか、崩れかけた精神状態を非常にうまく描いています。単なるサイコ・サスペンス系と思って読んでいたので、まさかエンディング・サプライズが用意されていたとは!!。 | |||
| No.483 | 6点 | 死のようにロマンティック- サイモン・ブレット | 2013/09/06 17:23 |
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| 3人の主な登場人物の性意識をメインに語られ、特異な感じのする叙述サスペンスでした。プロローグで、殺人が語られ、誰が殺されたのかは推測できません。(ある程度のミスリードはあるのですが・・・)ラストは、皮肉が利かされていました。 | |||
| No.482 | 4点 | 玄武塔事件- 太田忠司 | 2013/09/03 22:14 |
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| 著者のあとがきに「嵐によって隔離された村、怪しげな屋敷、泣き喚く老婆、薄幸の女性、過去の陰惨な事件、密室状態での犯人消失、意外な犯人・・・(中略)口当たりをあっさりに仕上げ、さくさくと召し上がっていただけるよう心がけました」とあります。題材は面白いと思いますが、中身が本当にあっさりしていて拍子抜けしてしまいました。ジュブナイルなので、致し方ないのかもしれません。 | |||
| No.481 | 8点 | 日本で別れた女- リチャード・ニーリィ | 2013/09/01 20:48 |
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| (タイトル・女27)ニーリイ節炸裂といったところです。巧みなプロットと何本かのサプライズが仕掛けられています。折原一氏が、本著者から多大な影響を受けていることが覗えますね。氏の作品(翻訳)は7冊と少なく、残り1冊で完読となります。寂しい限りです。 | |||
| No.480 | 7点 | 幽霊の2/3- ヘレン・マクロイ | 2013/09/01 10:16 |
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| 人気作家がパーティで毒殺されるが、参加者に動機のある者が見当たらない・・・。題名、動機隠し(真相)は、うまいと思いました。難を言えば、人気作家の過去を調べることに重点が置かれているため、警察の捜査状況(毒殺方法)にほとんど触れられていない。従って、犯人からの立場で、いつバレるのかという緊迫感が伝わってこなかった。作家の処女作を加筆訂正する(読者は内容を知っている)のですが、評論家にその加筆訂正した部分を酷評される(原作の方がよい)点など笑ってしまいました。この辺も伏線の妙で感心しました。 | |||
| No.479 | 6点 | 不自然な死- ドロシー・L・セイヤーズ | 2013/08/29 17:44 |
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| (ネタバレあり)倒叙に近い形で、ハウダニット、ホワイダニットに重点が置かれています。ホワイダニットは理解できますが、ハウダニットについては、現在では不可能なはず。しかし、当時としては斬新な手だったと思います。犯人の描写(特に心理描写)がほとんどなく、それがなんとも不気味な感じがします。伏線の扱い方が面白かったですね。バイク事故の修理場面(伏線とは分かりませんでした)や、有閑マダムの誘惑後のキスシーン(これはピンときました(笑))。1作目は、バンター(従僕)がいい味を出していましたが、本作はクリンプスン(女性・聞き込み代理人)の行動(懺悔のメモを読むべきか読まざるべきかなど)が楽しめました。表紙(創元推理文庫)を読後(決して前はダメです)じっくり見ることをお勧めします。あることがわかります。 | |||
| No.478 | 6点 | 本格ミステリ鑑賞術- 事典・ガイド | 2013/08/28 18:14 |
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| 第13回(2013年)本格ミステリ大賞・評論・研究部門受賞作。「フェア・アンフェア」「伏線」「叙述」に興味があったので拝読。伏線のネタバレ例示があり、わかりやすいし、面白い。結局は読者がどう判断するかということになるのでしょう。読者にはマニアックな人から普通のファンまでいるので、作者はどの辺まで記述するのか苦労するのだと思います。個人的には伏線がしっかりしていればOKなタイプです。本書にも「いかに奇抜な発想やトリックを盛り込み、アンフェアでない形で記述したところで、伏線が弱ければその効果は弱まるだろう(それはフェアプレイに値しないともいえる)」とあります。同感で普通のファンである私的には「ハサミ」「容疑者」がこれに該当し(2作品のファンには失礼します)、「葉桜」はまったくOKということになります。・・・著者の「ミステリ史に残る最後の一行」として~「○○を殺した犯人は?」これを逆から読むと犯人の名前がわかる~これは単なる言葉遊びで言い過ぎでしょう(笑)。 | |||
| No.477 | 6点 | 雲なす証言- ドロシー・L・セイヤーズ | 2013/08/27 14:00 |
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| アメリカ探偵作家クラブの「史上最高の推理小説100冊」(1995)の77位。1924年の作品なので、現在の本格物の定義らしきものに当てはめるのは酷なような気がします。結末は、前例(1922)があるものの、当時としては面白いアイデアだったと思います。探偵小説を装った「喜劇」であるような気がして、この評価とします。 | |||
| No.476 | 5点 | このミステリーを読め![海外編]- 事典・ガイド | 2013/08/25 19:42 |
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| 海外ミステリー100冊の解説本。内訳は、「本格物」30、「ハードボイルド」23、「警察小説」15、「法曹物」8、「サスペンス」9、「冒険・スパイ物」12、「その他」3となっています。好き嫌いの分野があるので、この分類は、役に立ちますね。特に苦手な分野は短編ですが、~「ブラウン神父の童心」を読まない読者はモグリ!~などの文句に釣られ読もうかな?という気にさせられます(笑)。また苦手のハードボイルド系~読まずに死ねない!現代の超一級品「さむけ」~等々に煽られています(苦笑)。あらすじと作者紹介のほか、4~5行の解説があるのですが、もう少し思い入れがあってもいいのかなと思いました。 | |||
| No.475 | 7点 | 太陽がいっぱい- パトリシア・ハイスミス | 2013/08/25 08:33 |
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| 英米ベストランクイン作品(日本の東西ベストランク外)で映画化された主なものに、「太陽がいっぱい」(本作)「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「007/ロシアから愛をこめて」「第三の男」「見知らぬ乗客」「ナヴァロンの要塞」「「ゴッドファーザー」「レッド・オクトーバーを追え」「ローズマリーの赤ちゃん」などが挙げられます。英米と日本との嗜好の差が、かなりあることがわかりますね。特に日本で人気のエラリー・クイーン氏の作品が英米推理小説ベストに1冊もランクインしていないことは驚きでした。さて、本作は映画(アラン・ドロン主演)のラストシーンに強烈な印象が残っているため、若干物足りなさを感じました。しかし、前半の、富豪の息子ディッキーとその恋人マージの間に主人公リプリーが入り込み、奇妙な三角関係が生じていく様や、心理描写は読みごたえがありました。また、後半はサスペンスフルな仕上がりになっていました。 | |||
| No.474 | 5点 | 九マイルは遠すぎる- ハリイ・ケメルマン | 2013/08/20 18:52 |
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| (東西ベスト68位)序文の抜粋「古典的推理小説は、本質的に短篇であると感じていた。~人物や設定は不随物~長編小説の長さに引きのばすことは、~長々しい退屈な描写~うんぬん」。この逆を望む者にとっては、あらすじを読んでいるようで味気ないと感じてしまいます。人物描写(たとえ人間が描かれていないと批判されても)や、伏線の提示、サスペンス感などを期待するので、どうしても短編は苦手となっています。ただし、好みの’奇妙な味’は短編に限ると思いますが。推理過程は楽しめましたが、好みの問題でこの評価としました。 | |||
| No.473 | 5点 | グランドマンション- 折原一 | 2013/08/19 18:47 |
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| 2008~2013に発表された連作短編に、新たに書き下ろした「リセット」「エピローグ」を加えたもの。いつもの叙述ものが多い中で、ブラック的な要素の強いものもありました。高齢者の悪意・犯罪が、一つの読みどころかもしれません。 | |||
| No.472 | 6点 | 誰の死体?- ドロシー・L・セイヤーズ | 2013/08/15 21:05 |
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| 初のドロシー・L・セイヤーズです。東西ベスト100の45位に「ナイン・テイラーズ」が入っているので、いつかは著者の作品は読もうとは思っていました。今回のきっかけは、英米の各ベスト100にアガサ・クリスティと並び5作品(英4、米5)が入っていたことです。お恥ずかしい話ですが、こんな人気作家とは知りませんでした。絶版後、1990年代に翻訳されたようなので止むを得ないか(言い訳・笑)。本作は、1923年の作品で著者の初長編ということです。犯人はすぐわかり、その点は物足りないかもしれませんが、ウィットに富む会話や、犯人との対決など読みどころはかなりありますね。 | |||