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虫暮部さん
平均点: 6.22点 書評数: 1756件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.24 4点 網走発遙かなり- 島田荘司 2024/03/09 13:54
 二回読んだがピンと来ない。登場人物達の素性・つながりが少しずつ明らかになって、しかしだからと言って各話の謎に深く関わるわけではなく、それで? と言う感じ。謎そのものもあまり面白いとは思えなかった。
 悪戯で玩具の銃で、結果として人が死んだのに、当事者が平然としているあの場面は何なのだろう。起訴するなら何罪?

No.23 5点 消える「水晶特急」- 島田荘司 2023/09/22 12:52
 この真相、“何かズルい” と感じてしまった。
 ハウダニットに見えて、実はホワイが問題で、そこを隠す為に視点を転換。と冷静にまとめればそこまで珍しくもないし、類例に対していちいちそう感じるわけでもない。
 結局、“島田荘司には物理的な大技をかまして欲しい” と言う私の願望に上手くフィットしていないせいだろうか。いや、本作も大技と言えば大技である。但し、“方法としては判るけど、普通そんなことするか!?” ってとこがポイントでしょ。この作者には、“トリック自体の驚きのメカニズム” を期待してしまうので……。

 弓芙子と夜片子。
 こういう頑張ってる感じのネーミングは好き。でも島田荘司の中では唐突。何か思うところがあったのか?

 どうでもいいことだが、島田荘司の登場人物はしょっちゅう狐につままれるなぁ。

No.22 6点 殺人ダイヤルを捜せ- 島田荘司 2023/09/07 13:10
 最初から最後までズ~ンと沈んだ気分で、語り手にも共感しづらく、しかし話は割と最初から走り出すので、さほど楽しくはないのについ乗せられちゃった感じ。

 勢いで殺してしまい、即興的にあのトリックを思い付いたと言うことは、犯人達は事前に語り手の行為についての情報を共有してたんだろう。“こういうトリックを思い付いたんだけど、知り合いにイタズラ電話をしてる奴いない?” って順序ではないだろう。
 他人の秘密をペラペラ喋る慎みの欠けたパートナーは嫌だな~。犯人(女)はそういう品の無さを男に見せて平気だったんだろうか。犯人(男)は新旧どっちの女を選んでもガッカリなんじゃないだろうか?
 あまりナイスなペアには思えないんだよね。一時的な愛人関係ならともかく、捕まらずに一緒に暮らしたら、いずれ男が女を殺したのでは……?

No.21 7点 高山殺人行1/2の女- 島田荘司 2023/08/31 12:24
 自動車やファッションのネタはピンと来なかったが、次第に泥沼化して行くサスペンスには引き込まれた。愛らしくない間抜けな人物を一人称でこれだけ書けるのはなかなかなもの。
 細かいことだが、ミステリ界には強引な聞き間違いが多いけれど、靴屋の発言を取り違える部分は自然で上手いと思う。

 しかし真相は……そんなことで(別れるでなく)殺そうとするか? バイカーも何故ああまでしつこくした? 隠されたホワイがあれば良かったのだが。

No.20 8点 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 2023/08/26 13:12
 まずツッコミ。妻二人の死体発見の状況がきちんと書かれていない。
 藤倉兄弟が、妻が一晩戻らないと言って警察に捜索願を出した。妻達は同じマンションの加納通子の部屋へ行くと言っていた。
 それだけの根拠で第三者の部屋に無断で踏み込むのは、正当性が弱いと思う。作者の書き忘れか。いや、これはわざとじゃないかな~? 具体的にどういう成り行きで錠を開けさせるか思い付かず、伝聞なのをいいことに曖昧に誤魔化した、とつい邪推してしまう。

 吉敷襲撃事件もやや不自然。
 彼の言動、そんなに脅威だろうか? 寧ろあのタイミングで襲撃したら自白みたいなものだ。証拠能力は無くても、当事者同士では通じ合っちゃったんじゃないだろうか。
 確かに、謎解きはともかく、通子を確保されるリスクはあった。但し、吉敷が牛越に期限付きで頼み込んだことを犯人は知らない筈。なのにまるで犯人が読者視点で吉敷の思考を読んで襲撃したようじゃないか。

 共犯者へのフォローが無さ過ぎ。被害者との関係性を鑑みれば当然疑われるポジションなのに。アリバイを偽証するくらい出来ると思う。

 現場で共犯者が悲鳴を上げた意味が判らない。“隣室の者が不審がってやってきたらどうするのか” と疑問を呈しておきながら(私もそう思う)、解答を示していない。

 “保険金の額の差” はあまりにわざとらしい。

 と色々思うところはある変な話だけれど、このトリックは馬鹿馬鹿しくて好き。また、再読で流れは知っていたのに、武者の写真のくだりはゾーッとした。
 島田荘司の文章を上手いと思ったことはあまり無いが、本作は全体的に迫力があり驚いた。

 加納通子のキャラクターは好きになれないな~。主体性の無さ。別れた相手に対する中途半端な期待感。自分にも相手にも無駄なコストを強いる感じが苦手。吉敷は重い鎖を背負ってしまった。公私混同も甚だしい。
 しかし、それ故に彼の無駄にエモーショナルな刑事としての生き方が推進されたような側面もあるし、そのストレスへの反発が熱い描写を生んだのかも知れない。だから一概に否定も出来ないのである。作者はどこまで意図してこの人をこの段階で投入したんだろうか。

No.19 6点 ローズマリーのあまき香り- 島田荘司 2023/07/07 12:21
 ネタバレしつつ文句を色々:
 プリマドンナの唯一性について、“誰も代わりにはなりえない” と神格化せんばかりに前半で述べておいて、結局あの真相。二重基準ではないか。私の心情的には限りなくアンフェアに近い。
 トリックの目的はアリバイ工作だけれど、死亡時刻(=犯行時刻)を誤魔化せていないのだから意図通りに機能はしていないよね。あのまま放置して逃げても、密室状況は成立し、セキュリティの彼が疑われる成り行きは変わらない。単に、“死後も踊った” 伝説を図らずも作っただけだ。
 摩天楼のこういう感じの仕掛け、タイトルは忘れたけど以前にも読んだ気がする。
 休憩時間と言っても出演者にしてみれば本番の一部であって、そのタイミングであんな話を携えて訪れるなんて、犯人側はそもそも舞台表現を全然尊重していないんだな~。それはそれでリアルか。
 ところでキヨシ、事実が告白の通りなら、罪状はマンスローターに該当するのでは。

 でも面白かった。と言うか面白さとつまらなさが幾重にも重なり合ったミルフィーユ。そしてそれこそまさに島田荘司の作風である。

No.18 9点 暗闇坂の人喰いの木- 島田荘司 2021/05/01 12:39
 島田荘司作品で一番好きかも。
 私は、物理的な偶然には寛容なので、あのトリックはOK。但し位置関係が把握出来ず、あまり驚けなかったきらいはある。あと、水の溜まった空間が火事で熱せられたら水蒸気で破裂しない?
 死刑談議がいいね。私も将来ギロチンに掛けられることがあれば実験に協力したい。
 もとより名文美文の人ではないが、英国紀行はなかなか健闘していると思う。

No.17 7点 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 2020/11/18 11:11
 洒落のめしつつもなかなか巧みに模倣しており感心した。
 犯人が不可解な状況を演出した動機が明快なのも良し。
 但し、犯行全体の動機には法律上の疑問が残る。あの人とその人の続柄でそういう権利が成立する? 死んでいないのに財産の移動が発生する?
 寧ろ、あっちの彼こそ正当な地位を得る可能性があるのだから、退場させずに関係を維持するほうが得策では。でも正体がばれるリスクもあるか。うーむ。
 
 それはともかく、ミステリとして洗練されたストーリー(或る程度は後発組のアドヴァンテージ)に、強烈なキャラクター(やったもん勝ちなので先人の方が有利)をぶち込めるわけで、シャーロック・ホームズは原典よりパスティーシュのほうが面白いんじゃないの?

No.16 3点 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 2020/11/11 11:00
 何か変だ。 
 そもそも被害者が身許不明なら犯人は疑われない。しかし一応アリバイ工作をしておく。するとアリバイ工作のせいで(大豆と麦)被害者の身許が割れた。
 恣意的に要約すればそういう話だ。非常に不自然な犯行計画だ。余計なことしなければ良かったんじゃない?
 動機が怨恨なので、“死体に穀物を添える” とか “路線図でヤマタノオロチを描く” とかはその恨みの象徴であり犯人はどうしてもそれをやりたかった、みたいな雰囲気だが、そんなことはどこにも書かれていない。これは重要なことなので “文脈から読み取れ” では通らない。ことミステリの場合、きちんと記述してあることが重要(な事柄もある)と私は思う。
 死体のばら撒きは身の安全の為の手段だった筈が、いつのまにか目的みたいになっていないか。
 犯人にたった一言 “それをやりたかったんです” と言わせてくれれば、強引にでも納得したのになぁ。

No.15 8点 嘘でもいいから殺人事件- 島田荘司 2020/11/05 11:42
 あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。

No.14 7点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 2020/11/03 11:34
 母親はあれっぽっちの追加情報で事件の裏事情をどのように推察したのか。関係者を直接知っているが故の思い込みが、たまたま正解だった、って感じ。
 結末で吉敷が殺意の理由について語るが、“感情のもつれのケースAは納得出来ないがケースBなら判る”と言う言説は説得力に欠ける。

No.13 7点 死者が飲む水- 島田荘司 2020/06/18 12:20
 この動機は単なる八つ当たりでしょう。但し、それゆえの“殺人者になどなりたくはなかった、運命にあやつられているような気がした”と言う心情は、さほど緻密ではない計画をその場の流れで決行したような犯人に見合っている気がした。
 “実の子だから”との理由で容疑者から外すのは作者の手抜きだな~。きちんとロジックを考えるのが面倒だった?

No.12 8点 盲剣楼奇譚- 島田荘司 2019/11/25 13:22
 差別云々が出て来て嗚呼またこの作者の悪癖が、と頭を抱えたものの、豈図らんや「疾風無双剣」の章が滅法面白い。ミステリの面白さではないんだけど面白いなら何でも良い。

No.11 6点 鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース- 島田荘司 2018/12/25 10:26
 単純なキャラクターばかり、なのはいつものことか。大傑作とは言えないまでも概ね面白かったが、プロローグの亡者の真相がアレというのはあんまりだ。
 しりとりや“オセンベ焼けたかな”について地の文で解説しているのは、海外の読者を意識してのこと? さすがぁ!

No.10 6点 Pの密室- 島田荘司 2018/12/17 10:53
 「鈴蘭事件」。とある知識を持っているから誰がどうだと言うのは論理的だとは思えない。かく言う私もこのネタは小学校の時に漫画で読んで知っていた。
 「Pの密室」。この偽装工作、本人は冷静なつもりでも実際は混乱していてだんだん何の為に何をやっているのか判らなくなっちゃったんじゃないの? と言う気がした(それはそれで面白い)。
 どちらもさほど高評価出来る謎ではないのだが、一方で紛れも無く島田ブシであって、ミステリとしての良し悪しだけでは評価しきれない気分である。

No.9 7点 斜め屋敷の犯罪- 島田荘司 2018/11/15 13:39
 跳ね橋が上がった状態で壊れたら、斜塔に閉じ込められてしまう。こんなリスキーな屋敷には住みたくないなぁ。
 必要以上に戯画化された俗物的な登場人物がギャグにしか見えないのが難点。太鼓持ちのお追従とか、女性同士の確執とか。紋切り型のキャラクターには却ってそんな奴いないだろと感じてしまうのだ。その意味で、特に前半もう少し作品世界に入り易い書き方なら良かったのに。

No.8 5点 屋上の道化たち- 島田荘司 2016/09/30 11:48
 私は、風圧か電気による事故だと予想したんだけど……。 

 銀行強盗の夜の出来事だが、トイレのドアがこじ開けられる→外壁から屋上にダイヴ→サンタがジャンプし電線が切れる、という成り行きなのだから、“ドアを開けた瞬間に停電”ではない筈。秒単位の時間差であって同時だと認識しても現実としてはおかしくないが、小説の文章なのだから“瞬間”という言い方についてフォローすべきだと思う。

 過剰に俗物的な登場人物の会話は、たとえ作者の意図だとしても、私には笑えなかった。

No.7 7点 占星術殺人事件- 島田荘司 2016/07/29 11:16
 島田荘司には長文の偽書をトリックに使う作品が複数あるけれど、私はどうも好きになれない。それをやったら何でもアリになってしまうじゃないか。本作で“接着剤”としてアゾート幻想が必要なのは判るし、アンフェアとは言わないが、舌先ならぬ筆先三寸で丸め込まれた印象。
 この謎が“ブームになって議論百出、出版物がどしどし世に出るも、40年以上解かれなかった”と言う設定は強気に過ぎると思う。文次郎手記の内容(死体を配るのは他者にやらせる、精液を残すだけなら女でも出来る)を想像することは可能だから、手記は推理に必須ではない。登場人物が少ないし、順番に疑って行けば真犯人もすぐ俎上に上がる。つまり“解けなかった”とは“決め手に欠ける”ということではないか。では御手洗の場合の決め手は何かといえば、トリックの解明よりも“予想される土地に犯人が居た”ことであり、犯人の後半生を鑑みるにそれは僥倖である。犯人が店を構える以前に謎を解いて嵯峨野をウロウロしていた早過ぎる名探偵がいたかもね。
 中盤の推理合戦で、“血縁者に対して害をなすか?”について、場合によって肯定的だったり否定的だったり、ダブルスタンダードなのが気になった。
 ということで、初めて読んだ時(30年位前!)にはとにかくメイン・トリックに驚愕&興奮したものだが、読み返したらやや冷静な評価に落ち着いた。

 サイコロって吉田拓郎「落陽」へのオマージュ?それは流石にこじつけ過ぎか。

No.6 5点 新しい十五匹のネズミのフライ- 島田荘司 2016/01/26 11:43
 バウチャーことメリーウェザーが親しく付き合い始めた女性がワトソンの義姉だった、という偶然は許容範囲内か? ちょっと受け入れがたいなぁ~。

No.5 4点 幻肢- 島田荘司 2015/01/27 15:02
 精神状態が不安定なひとに対して周囲の者たちが口裏を合わせ一芝居打つ、という設定、島田荘司は4作目か(?)。割と何でもアリになっちゃう、ユメオチに準ずるもので、あまり褒められたものではないと思う。
 前半は医学小説(?)。予想出来る後半のどんでん返しは幾つかあったが、その中で最も平和な結末に落ち着いた、という感じ。

 ところで、大学生が同乗者を巻き込む事故を起こして、親が何の対応もしていない?
 “ドッペルゲンガー”ってちゃんと雅人の口から聞いていたじゃないか。
 通俗的な恋愛模様もいただけない。結局、小暮さんはどういうポジション?

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虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.22点   採点数: 1756件
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