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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2426件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.566 4点 退職刑事5- 都筑道夫 2010/06/28 18:25
シリーズ第5弾の初出時タイトルは「退職刑事4」。
「健在なり」がシリーズに挿入されて、徳間と創元社でナンバリングがずれています。
このころの作品は、ロジック重視の姿勢が崩れてしまって、人間性などの観点からの「推測」に止まっているのは辛い。

No.565 5点 退職刑事4- 都筑道夫 2010/06/28 18:15
シリーズ第4弾の初出時タイトルは「退職刑事健在なり」。
番外編のような感じを受けるのは、謎自体があまり魅力をうけないのと、いずれも被害者などの事件関係者が残した謎の言葉を解き明かすというパターンが繰り返されているためか。

No.564 6点 退職刑事3- 都筑道夫 2010/06/28 18:08
安楽椅子探偵シリーズの第3弾。
この設定からマンネリは当初から作者も自覚的なものなので、読む方も心地よいマンネリ感に浸って読むのが正解です。
7編ともタイトルが「・・・死体」で統一されているのは海渡英祐の吉田警部補シリーズを連想してしまう。
「大魔術の死体」は珍しく正統派の不可能犯罪もので印象に残りました。

No.563 6点 退職刑事2- 都筑道夫 2010/06/28 17:56
シリーズ第2作の初出時タイトルは「四十分間の女」。
今作も現職刑事の息子が持ち込む7つの不可解な謎を安楽椅子で解いていきます。
「なめくじ長屋」(少なくとも初期の作品)は不可能犯罪を中心に据えたハウダニットの面白さで読ませますが、退職刑事シリーズは純正ホワイダニットという感じでしょうか。

No.562 7点 退職刑事1- 都筑道夫 2010/06/28 17:40
「なめくじ長屋」と並ぶ著者の看板シリーズ全6冊中の第1弾。
国内の安楽椅子探偵ものの代表格の連作ミステリで、ロジック重視の姿勢は「三番館」シリーズなどと比べても突出しています。
「かつての硬骨の刑事が、いまや恍惚の刑事」という繰返し使われるフレーズがなつかしい。
奇抜な謎の割に真相を全く覚えていないのは、推理のプロセスのみ楽しむ作品ゆえでしょうね。

No.561 5点 弓弦城殺人事件- カーター・ディクスン 2010/06/27 22:24
怪奇性とか古城での密室殺人という点で初期作らしい雰囲気が漂っているのはいいんですが、密室トリックは「夜歩く」と同様のちょっとアンフェアな証言内容が関わっているのがすっきりしません。
本作限りの探偵役・犯罪学者ジョン・ゴーントも個性がなさすぎですね。

No.560 4点 騎士の盃- カーター・ディクスン 2010/06/27 22:07
H・M卿ものの最後の長編ミステリ。
密室の中の<騎士の盃>をだれかが動かしている、というだけの短編ネタの謎で、マスターズ警部に任せて、H・M卿は歌の練習に専念というのも分かります(笑)。

No.559 5点 赤い鎧戸のかげで- カーター・ディクスン 2010/06/27 21:57
前作の「魔女が笑う夜」と本書でバカミス作家の地位を不動のものにしてしまいました。
H・M卿もモロッコまで来てこんなバカ騒動を起こす必要もないと思うんだが・・・。
怪盗アイアン・チェストの鉄の箱の真相も脱力ものです。

No.558 5点 魔女が笑う夜- カーター・ディクスン 2010/06/27 21:46
ある村での「悪意の手紙」をテーマにしたH・M卿もの。
クリステイやセイヤーズならともかく、このテーマをカーが書くとは思わなかった。
<後家>と称する犯人が、ある女性の部屋から消失するトリックのバカバカしさは有名になってしまいましたが、前段のドタバタ喜劇の中にキッチリ伏線を張っているのはさすがと言うべき。

No.557 5点 墓場貸します- カーター・ディクスン 2010/06/27 21:30
カー名義の作品ではいくつかありますが、アメリカを舞台にした唯一のH・M卿ものです。
プールからの人間消失というミステリのネタは、H・M卿が現地で引き起こす珍騒動の前にかすんでしまいました(笑)。
トリックの原理は、再三使われた自身の初期作と同じです。

No.556 4点 時計の中の骸骨- カーター・ディクスン 2010/06/27 21:17
怪奇趣向とドタバタ喜劇が錯綜するユニークなプロットですが、ミステリとしてはあまり見るべきところのない凡作ですね。
ただ、H・M卿と宿敵ブレイル伯爵夫人との数々のバトルが爆笑もので、唯一の読みどころかな。

No.555 5点 青ひげの花嫁- カーター・ディクスン 2010/06/27 21:06
行方をくらませた連続殺人鬼探しが主題のH・M卿もの。
ある俳優がいかにもそれらしく描かれているのがミスディレクションなのか、それとも裏の裏なのかの興味で物語を引っ張っていますが、不可能殺人ものでないためか、H・M卿に精彩がないですね。

No.554 5点 爬虫類館の殺人- カーター・ディクスン 2010/06/27 20:41
この目張り密室は結構有名で、これまたトリックは事前に知っていました。
戦時下のある状況を利用したという点も評価されているようですが、物語そのものは面白味に欠け、トリックだのみのところがあるので、ネタを知った上で読むと厳しいです。

No.553 4点 仮面荘の怪事件- カーター・ディクスン 2010/06/27 20:28
ポケミスの「メッキの神像」の方を読んだのですが、原型の短編(こちらはフェル博士が探偵役)を読んで間がなかったので、ネタがすぐに分かり楽しめなかった。
H・M卿が奇術に興じている間に重要証人が死んでしまったりで、長編化のために付け加えたエピソードは冗長なだけで意味がないでしょう。

No.552 5点 かくして殺人へ- カーター・ディクスン 2010/06/27 18:02
ベストセラー女性作家への連続襲撃事件を扱ったH・M卿ものの第10作目。
怪奇趣向やファース、密室殺人などの作者らしさが出ていないスマートな本格編で、犯人の動機が一番のキモである点など、クリステイの作品を彷彿とさせます。

No.551 7点 読者よ欺かるるなかれ- カーター・ディクスン 2010/06/27 17:42
挑戦的なタイトルから、久々の自信作という作者の自負が覗われるH・M卿ものの第9作。
怪しげな心霊術師による念力予告殺人を前作「五つの箱の死」に登場したサンダース博士の視点で描かれていますが、途中に何度か挿入される博士の注釈や連続殺人自体が巧妙なミスディレクションになっています。
ハウダニットを追っていくとまんまと作者の術中にはまる構成はさすがです。

No.550 3点 五つの箱の死- カーター・ディクスン 2010/06/27 17:21
本書は著者の全盛期に書かれた作品の中では一番の問題作(失敗作?)でしょう。
おそらく、意外な犯人像を突きつめていくうちに、このような設定を考えついたのではと思いますが、実際にH・M卿から真犯人を指摘されても、驚きより戸惑いのほうが大きかった。「えっ、それ誰?」という感じです。
「貴婦人として死す」の真犯人の設定は、この趣向を改良したものじゃないかと思います。

No.549 6点 孔雀の羽根- カーター・ディクスン 2010/06/27 17:00
H・M卿の探偵譚第6作は、一転して怪奇趣向もドタバタもない、ストレートな不可能殺人ものに回帰しました。
警察が環視する空家の2階での射殺事件を描いていますが、マスターズ警部などによる事情聴取が延々と続くなど、中盤の物語に起伏がないので、ちょっと冗長なところがあります。
解決編は、32個の手掛かり索引を提示したり、密室構成の動機を分類するなど読み応えがありますが、トリックが拍子抜けの感は否めません。

No.548 4点 パンチとジュディ- カーター・ディクスン 2010/06/27 16:43
本書は前作「一角獣殺人事件」の後日譚になっていて、陸軍情報部が絡む冒険スリラー風の物語です。
元情報部員のブレイクなど登場人物も前作と重なり、彼の一人称でドタバタ・コメデイを描きながら、全体の構図に仕掛けを施していますが、不可能興味のない凡作となってしまいました。
最後のH・M卿の行動は愉快で、事前に伏線が張られていたのはさすがですが。

No.547 4点 恐怖は同じ- カーター・ディクスン 2010/06/26 17:14
ディクスン名義では唯一の歴史ミステリ。
現代で殺人事件に巻き込まれた男女が150年前のロンドンにタイムスリップするが、そこでも事件に遭遇し150年前も「恐怖は同じ」という話。
冒険ロマン風で、今回は剣劇ならぬボクシングの決闘が楽しめます。またまたタイムスリップを使用していますが、「ビロードの悪魔」と違ってミステリの趣向と結びついていないです。

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kanamoriさん
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