皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.826 | 6点 | 見えないグリーン- ジョン・スラデック | 2010/07/22 18:34 |
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素人探偵サッカレイ・フィン登場のシリーズ第2作。
70年代の米国では珍しい真っ当な不可能犯罪ものの本格ミステリで、最初のトイレの密室トリックなどユニークだと思います。 日本の新本格風のテイストもあるので、本格マニアには一定の評価を得られるのでは。 |
No.825 | 7点 | 別れを告げに来た男- ブライアン・フリーマントル | 2010/07/22 18:22 |
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チャーリー・マフィンシリーズの数年前に書かれた著者のデビュー作。
今作も、英国政府がソ連情報部に出し抜かれる様を描いたエスピオナージュの傑作で、短めの長編だけにキレは抜群。 ソ連からの亡命を求める二人目の科学者の目的はうすうす分かりますが、その方策が謎で物語のキモ。伏線がきっちり張られていて、まるでハウダニットの本格ミステリを読んだような感覚だった。 |
No.824 | 7点 | 復讐法廷- ヘンリー・デンカー | 2010/07/21 21:55 |
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スコット・トゥローの「推定無罪」以降、90年代に続々と出た法廷物のサスペンスですが、本書は、その数年前に出たリーガル・サスペンスの先駆的作品といえます。
これらは、いずれもメッセージ性を持つのが特徴で、本書のそれは”法で裁けない罪人”殺しでしょうか。被告人のリオーダン、青年弁護士ゴードンを始め裁判官、陪審員など造形も確かで、やはり法廷ものは人間ドラマの縮図を見るようで面白い。 |
No.823 | 5点 | トレント最後の事件- E・C・ベントリー | 2010/07/21 21:29 |
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本格ミステリに恋愛を持ち込んでプロットの綾としたという事ですが、現在読めばごく普通のミステリ。
とりたてて、優れたアイデアはありませんでした。 |
No.822 | 6点 | 大穴- ディック・フランシス | 2010/07/21 21:21 |
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「東西ミステリーベスト100」海外編の73位は、競馬スリラー・シッド・ハレー初登場作品。
完成度では「利腕」に一歩譲るとしても、持ち前の英国冒険小説のテイストは同じで、”不屈の精神”を描いています。今作でのハレーが受けた肉体的苦痛はちょっと退きますね。 |
No.821 | 6点 | ディミトリオスの棺- エリック・アンブラー | 2010/07/21 21:03 |
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トルコを訪問中の英国人作家が、死亡した国際的犯罪者・ディミトリオスの過去に関わるうち、謀略に巻き込まれるというストーリーでまずまず面白かった。
ディミトリオスの造形が少しづつ明らかになるにつれ、人間としてのスパイ像が浮き上がってきます。 荒唐無稽でないスパイ小説の先駆的作品。 |
No.820 | 5点 | タイタニックを引き揚げろ- クライブ・カッスラー | 2010/07/21 20:39 |
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肩が凝らないスーパー・ヒーローものの冒険小説ですが、劇画ちっくでご都合主義のプロットは、ややシラケル。 |
No.819 | 7点 | 悪魔の選択- フレデリック・フォーサイス | 2010/07/21 20:31 |
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近未来ポリティカル・サスペンスの傑作。
ソ連の食糧危機に乗じた米欧の駆け引きから、KGB議長の暗殺を絡めた国際謀略を描いています。 今読むと、もはや「近未来」でないので、IF小説として古びれて緊迫感に欠けるきらいがあるのは止むを得ない。 しかし作者の緻密な取材力には感心します。 |
No.818 | 6点 | シンデレラの罠- セバスチアン・ジャプリゾ | 2010/07/21 19:09 |
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「東西ミステリーベスト100」海外編の67位はフランス・ミステリの異色作。
「私はこの事件の探偵です、被害者です、目撃者です、そして犯人なのです。私は一体だれでしょう・・・」という惹句で話題をさらったサスペンス。今考えてみれば、主人公を記憶喪失にして、××ネタを使えば、この一人四役のプロット創作はわりと簡単だと分かりますが、当時は結構衝撃的でした。 |
No.817 | 6点 | 警官嫌い- エド・マクベイン | 2010/07/21 18:53 |
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ロングランの警察小説「八七分署」シリーズの第1作。
今作は、刑事たちの群像を描くことより、フーダニットの色合いを強く感じる。 ある意味、意外な犯人像ではありました。タイトルが巧いミスディレクションになっています。 |
No.816 | 6点 | ホッグ連続殺人- ウィリアム・L・デアンドリア | 2010/07/21 18:43 |
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この当時の海外本格は低迷していたので、本書は一部で話題になったと思いますが、ミッシング・リンクものを逆手にとったアイデアは面白いものの、結末はどうしても拍子抜けの感を拭えない。 |
No.815 | 7点 | 試行錯誤- アントニイ・バークリー | 2010/07/21 18:30 |
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皮肉なユーモアが全編を覆う、倒叙ミステリとアンチミステリを融合させたバークリーの集大成といえる傑作。(別題は「トライアル&エラー」)
まず、主人公トッドハンター氏の犯罪を後押しする輩の言い分が(笑うところでないが)笑える。また、物証に別の意味を持たせるのは、「毒チョコ」と同じ多重解決ものの理屈といえる。 中盤なかだるみの展開があるが、最後までブラック・ユーモアが効いていて楽しめた。 |
No.814 | 7点 | 黒後家蜘蛛の会1- アイザック・アシモフ | 2010/07/21 17:30 |
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安楽椅子もののバー・ミステリは好みで、提示される謎や推理が薄味でも、その雰囲気で心地よい読書を提供してくれる。
鮎川哲也の「三番館」や北森鴻「香菜里屋」、鯨統一郎「森を抜ける道」(笑)まで、もはやミステリの一つのジャンルでしょう。 本書は、知的エリートのメンバーを差し置いて、給仕のヘンリーが名探偵役というのが痛快で、収録作のなかでは「会心の笑い」が印象に残っています。 |
No.813 | 6点 | 813- モーリス・ルブラン | 2010/07/21 17:30 |
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アルセーヌ・ルパンの長編だと、冒険小説風の「奇岩城」とか「水晶栓」が代表作かもしれませんが、個人的には本書が気に入っています。
ネタバレ気味ですが、これを比較的最近読んで、あるミステリの趣向に騙されてしまいました。ルパンものの定番のトリックなんですが、ルパン=公爵が明白だったので、作者のミスリードにまんまとはまったようです。 |
No.812 | 5点 | もっとも危険なゲーム- ギャビン・ライアル | 2010/07/21 17:30 |
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「東西ミステリーベスト100」海外編、ギャビン・ライアル2作目の登場は、もっとも危険なゲーム=マンハントを扱った冒険サスペンスです。
普通の狩猟に飽きた大金持ちが、人間を標的にした狩猟ゲームを画策する。死力を尽くした一対一の銃撃戦が読みどころでしょうが、嗜好から外れた作品でした。 |
No.811 | 7点 | 野獣死すべし- ニコラス・ブレイク | 2010/07/21 17:30 |
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私立探偵ナイジェル・ストレンジウェイズが登場するシリーズ第4作ですが、本作はプロットが凝っていて、従来とテイストが違う異色作です。
前半は、息子をひき逃げ事故で亡くした推理作家の手記で語られる復讐サスペンス、一転して後半が本格ミステリ。 現代では、斬新な叙述ネタとはいえないかもしれませんが、心理描写の精緻さと先駆的な試みは評価できると思います。 |
No.810 | 8点 | ギリシャ棺の秘密- エラリイ・クイーン | 2010/07/21 17:29 |
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パズラーとしての出来はともかく、国名シリーズの中では本書が一番楽しめた。
これまでのロジック重視の作品は、小説として味気ない感じを受けるものもあるが、本書は”名探偵の失敗”を始め、二転三転するプロットがリーダビリティを高めている。 まあ、意外な犯人像のための、無理をしたどんでん返しという感じもありますが。 |
No.809 | 7点 | ウィチャリー家の女- ロス・マクドナルド | 2010/07/20 21:38 |
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「さむけ」と並んでロス・マクの代表作といわれることも多い作品ですが、個人的にはちょっと落ちるかなという印象。
やはり、よく指摘されるメイン・トリックが力技過ぎる点がひっかかり、それまでの家系の悲劇的メロドラマと相容れない感じがしました。しかし、作者の作品の上位に位置する秀作には違いありません。 |
No.808 | 8点 | 災厄の町- エラリイ・クイーン | 2010/07/20 21:26 |
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国名シリーズなどのロジック重視のパズラーになんとなく小説としての物足りなさを感じていたので、クイーンがライツヴィルを発見したのと同様に、本書で新しいクイーンを発見した気分だった。
初期の作品群に比べればプロットも単調で真相も分かり易いですが、人間の謎に踏み込んだ内容は厚みがあり、読み応え充分でした。 |
No.807 | 7点 | 百万ドルをとり返せ!- ジェフリー・アーチャー | 2010/07/20 21:00 |
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ベストセラーとなったコンゲーム小説の古典が「東西ミステリーベスト100」海外編の52位に。
この原題もしゃれていて面白い。"Not a Penny more,Not a penny less"、石油開発の投資詐欺に遇った4人が、首謀者からきっちり百万ドルを取り戻す、そう1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく。 しかし、作者の実人生のほうが、小説より波乱万丈でスリリングだった気がする(笑)。 |