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E-BANKERさん
平均点: 6.00点 書評数: 1845件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.85 8点 冤罪者- 折原一 2009/09/26 00:06
「~者」シリーズ第2作。シリーズ中では一番面白いと思います。
普通に読んでいれば絶対に騙されるでしょう。とにかく、途中から登場人物が入り乱れてきて、正直何が何だか分からなくなってきます。いったいどうなっているんだぁ・・・と思っているところへ、最後にどんでん返しがやって来て、なるほどねぇ・・・というラストです。折原作品としてはまとまった解決方法になっているでしょう。
ただ、ちょっと長いのが玉に瑕。途中、萎えそうになります。

No.84 6点 特急「白鳥」十四時間- 西村京太郎 2009/09/25 23:58
十津川警部物ですが、通常のトラベルミステリーとはちょっと違いタイムリミット・サスペンス風です。
十津川警部のパートナーとして欠かせない亀井刑事が命を狙われますが、彼はあえて自身を囮として特急「白鳥」に乗り込みます。「白鳥」が青森駅に着く十四時間の間に犯人を捕まえることができるのかというのが粗筋。
通常の謎解きものにはない緊張感があり、他のトラベルミステリーよりはお勧めです。ちなみに、現在の「白鳥」は八戸~函館間を走る列車に変わっています。

No.83 4点 そして二人だけになった- 森博嗣 2009/09/23 21:24
森氏の作品は、以前犀川&萌絵シリーズを何作か読んで以来でしたが・・・
途中二人になるまでは、どういう展開になるのか面白く読んでいましたが、ちょっと最後の方は理解できなかったですねぇ。
要はどこかで入れ替わりが発生しているのかなという予想はしてましたが、何か捻り方が違う方向というか違和感しか残りませんでした。

No.82 8点 ホワイトアウト- 真保裕一 2009/09/23 21:09
やっぱり今のところは作者の最高傑作だと思います。
日本版(またはダム版)「ダイハード」という見方は正しいと思いますし、そういう意味では二番煎じなのですが、テロ集団に一人で戦いを挑む主人公の姿はやっぱりかっこいいと言わざるをえません。
とにかく読み始めたら止まらない。それが、よいエンターテイメント小説の証拠だと思える作品でしょう。

No.81 7点 誘拐者- 折原一 2009/09/23 20:53
「~者」シリーズの第1段。(番外編ともいえますが)
新生児誘拐事件に端を発して、狂気に支配された2人の女の鬼気迫る姿がストーリーに何とも言えない緊張感をもたらしています。
話の視点(語り手)が次々変わっていくのは折原氏の十八番的展開ですし、最後の「やっぱりな」という感想もいつもどおりですが、本作は特に殺し屋・佐久間玉枝の描写が秀逸です。最後の年表(?)も分かりやすくて良いと思いました。

No.80 6点 犯人に告ぐ- 雫井脩介 2009/09/21 22:44
今までになかった「劇場型捜査」に挑む巻島警部を主人公にした警察小説?
買ったときはもう映画が公開されていたので、読みながら豊川悦司扮する巻島警部が頭の中で映像化されているような気にさせられました。もろに映像が嵌まりそうな展開です。
やっぱりうまいですね。話の盛り上げ方が。引っかかる部分もほとんどなく、最後まで一気読みしました。
ただ、ミステリー的にはこの点数ですかねぇ。ちょっと軽いですし。

No.79 6点 半落ち- 横山秀夫 2009/09/21 22:28
世間的評価の高さに引かれて読破。
確かに「良い小説」だと思いました。空白の2日間にまつわる話も納得いくものだという感じ。(まぁ、驚きはないですが)
ただ、ミステリーとしての評点はこんなもんかなぁ・・・
ほかの作品も多分面白いだろうとは思うんですが、他の読みたい作品に優先して読もうとはなかなか思えないです。

No.78 6点 風果つる館の殺人- 加賀美雅之 2009/09/21 22:17
ベルトラン判事シリーズの第3作目。
ある資産家の女主人の死による骨肉の相続争いをベースに、殺人事件が不可能状況で次々に起こります。
作者によれば、本作は「犬神家の一族」へのオマージュ(骨肉の相続争いにまつわる連続殺人ですから・・・)ということですが、島田氏の「魔神の遊戯」ともスコットランドの巨人伝説で被っています。
大掛かりなトリックということではこれまでの2作と変わらないですが、”迫力”という点では劣りますかねぇ。そのトリックもちょっと分かりにくい。(特に最初のやつ)
ただ、雰囲気は相変わらず好きです。

No.77 7点 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記- 折原一 2009/09/19 21:36
連作短編集(?)
叙述トリック云々というより、単純に読み物として面白い作品。こういう作品は、あら探しをあれこれするよりも、単純に展開を楽しんでしまいます。
読んでいくうちに、どんどん不思議感は広がっていくんですが、ちょっと最後のオチはいただけなかったですね。「それかよ!」という感じ。
でも、初期作品は最近の作品にない明るさやマヌケさがあって好きです。

No.76 5点 魔神の遊戯- 島田荘司 2009/09/19 21:24
普通の作家だったらもっと高い評点でもいいと思いますが、島田氏の作品なのでこの点数です。
読んでいる間ずっと御手洗に違和感を感じてましたが、なるほどそういうラストが用意されてましたか・・・という感想です。
スコットランドの大男伝説については、某加賀美氏も作品の中で引用していましたが、加賀美氏の方がむしろ往年の島田氏を彷彿させるトリックだったような気がします。(あまり成功したとは言えませんが・・・)
やっぱり、近年の氏の作品は何か「キレ」が足りないですね。

No.75 7点 扉は閉ざされたまま- 石持浅海 2009/09/19 17:18
賛否両論いろいろある作品みたいですが、素直に作品世界に浸れば、かなり面白い作品じゃないかというのが感想。
よく言われている「動機の弱さ」は気になりませんね。本作の試みに「動機」は特別重きは置かなくてよいでしょう。
倒叙形式の場合、犯人の心理描写に関してで如何に読者を引き付けるか、という点が大事だと思いますが、そういう意味で伏見氏の心理描写(徐々に追い詰められていく)も十分楽しめました。

No.74 5点 焦茶色のパステル- 岡嶋二人 2009/09/19 17:00
競馬の世界で言う「生産牧場」の不祥事に殺人事件を絡めた作品。競馬+ミステリー好きの私にとっては興味のある作品でしたが・・・
殺人の方はなにかすっきりしない印象。最後にちょっとしたドンデン返しがあるんですが、とって付けたような真犯人みたいで、2時間ドラマのラストシーンみたいですねぇ。
その代わり、パステルにまつわる謎についてはなかなか面白く読ませていただきました。遺伝の件(くだり)も思わずニヤツ。

No.73 4点 千一夜の館の殺人- 芦辺拓 2009/09/15 22:36
実際、あまり氏の作品は読んでいないんですが、「うーん、何か印象に残らない」というのが正直な感想ですねぇ。特にラストが。
本作も謎の提示はいいと思うのですが、いかんせん途中から急にトーンダウンしたという感じです。森江春策もどうも人物像が想像しにくいんですよね・・・
他に評価の高い作品もあるので、決め付けず読んでみようとは思います。

No.72 7点 終戦のローレライ - 福井晴敏 2009/09/15 22:28
太平洋戦争を舞台とした一大スペクタクル小説。
まさに福井版「沈黙の艦隊」といった趣きで、読んでいる間、自分がまるで当時の潜水艦の中にいるかのような臨場感を味わえます。
「亡国の・・・」は上官と部下の信頼・友情をテーマにしていますが、本作はラブストーリー的要素も結構入っています。(映画では妻夫木と香椎由宇でしたね)
個人的には、「亡国」の方が好みなのでこの点数としましたが、時間のあるときに一気読みすることをお勧めします。

No.71 8点 亡国のイージス- 福井晴敏 2009/09/15 22:14
乱歩賞受賞後第1作目。圧倒的スケールで描く、エンターテイメント小説の秀作。
日本推理協会賞受賞作。
~自らの掟に従い、15歳で父親を手にかけた少年。1人息子を国家に撲殺され、それまでの人生を投げ打ち鬼となった男。祖国に絶望して謀反の牙を向く孤独な北朝鮮工作員。男たちの底深い情念が、最新のシステム護衛艦を暴走させ、1億2千万の民を擁する国家が成すすべなく立ち尽くす。圧倒的筆力が描き出す、慟哭する魂の航路~

これはスゴイ小説だ!
とにかく、何とも言えないパワー。これでもかというように、読者に迫ってきます。
イメージ的には、イージス艦版「ダイ・ハード」というのが分かりやすい(?)かもしれませんね。
(とすると、「ホワイトアウト」とも同種?)
紹介文にもあるとおり、登場人物たちそれぞれの思いが、最新鋭のイージス艦という舞台でぶつかり合う、そして・・・ドラマだよねぇ。
そして、たった1艘のイージス艦を前にきりきり舞いさせられ、立ち往生させられる政府。これなんて、現実に起こっても多分こうなるんだろうと思わされる。

終盤にかけては、圧倒的スピード感で、感動のラストまで一直線。
(これなんて、なんだかハリウッド映画を見てるようです)
とにかく、時間を忘れてのめり込んでしまうこと間違いなしの作品。お勧め。
(ただ、まぁミステリーとは呼べないなぁ)

No.70 5点 螺鈿迷宮- 海堂尊 2009/09/13 18:04
本作はこれまでの田口医師は登場せず、代りに医学生、天馬を主人公に話が展開します。
「終末医療」という本来は重いテーマを主軸としていますが、作品のタッチは相変わらずギャグを織り交ぜながら、スピーディーに進んでいき、新しいキャラ“氷姫”の初登場など、読者へのサービスも忘れていません。
ただ、いわゆる「謎解き」の要素はほとんどなく、作者の導く方向へ読み進めていくだけ、という感想。読み物としては水準以上ですが、点数はこれくらいが妥当ではないでしょうか。

No.69 8点 シャイロックの子供たち- 池井戸潤 2009/09/13 17:53
作者得意の連作短編集。
とある銀行の1支店の中で、つぎつぎと事件?が起こっていきます。
氏の作品のほとんどは銀行を舞台としており、本作もそうですが、テーマとしては「ごく普通の人間が持っている嫉妬や欲、狂気という感情を要因として起こる事件・犯罪」であり、それが銀行という組織や銀行員という人間性というフィルターを通すことで、一層魅力的な作品になるんじゃないか・・・という感想です。
本作は一気読み必至の良作という評価でいいと思います。

No.68 7点 硝子のハンマー- 貴志祐介 2009/09/13 17:38
防犯コンサルタント・榎本を主役とするシリーズ第1弾。
ホラー小説の雄である作者が初めて書く「本格ミステリー」。
~見えない殺人者の底知れぬ悪意。日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。弁護士・青砥は久永の無実を信じ、防犯コンサルタント・榎本ももとを訪れるが・・・~

「よくできてる」ミステリー。
ここまで堅牢な「究極の密室」。それも、現代科学の粋を集めたセキュリティ技術で作られた「密室」。
これまでよく出てきた「準密室」といった中途半端なものではありません。
そこに、作者独自のアプローチを感じ取るわけです。

終盤、突然犯人側視点に切り替わるのがどうかというところですが、そんなに違和感なく読めるのでは?
防犯コンサルタントという探偵役の設定もいいトコロ突いてるでしょう。
まずは、作者の力量を十分に感じさせてくれる良作。

No.67 2点 新・寝台特急殺人事件- 西村京太郎 2009/09/12 23:41
トラベルミステリーの元祖とでもいうべき、氏の「寝台特急殺人事件」刊行25周年を記念して発表された作品。(だから、「新」がついてます)
はっきり言って、読むだけ時間の無駄でしょう。旧作とは比べ物になりません。

No.66 6点 光る鶴- 島田荘司 2009/09/12 23:29
短編集。何かしみじみした作品。
表題作は、これまで何度もあった「冤罪事件&吉敷刑事」の組み合わせですが、このペアの相性の良さを感じさせます。
「吉敷竹史の肖像」はミステリーというか、青春小説という趣き。吉敷ファンにとっては、若き日の彼の姿を知ることができて良いのではないでしょうか。
「電車最中」はおまけみたいな短編。

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