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メルカトルさん
平均点: 6.03点 書評数: 2036件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.33 6点 世にも奇妙な物語 小説の特別編 再生- アンソロジー(出版社編) 2026/06/28 22:44
タモリがストーリーテラーで有名なTVオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』は1990年に始まったそうです。私はそんなに観ていませんが、京極夏彦原作の『厭な扉』にはおっ、そう来たかと思ったものです。しかし未だに続いているのはそれなりに視聴率を稼げる番組だからでしょう。本作にもノベライズされた作品は結構ある様で、ごちらも一定の需要があった為と思われます。

『友達登録』 短大生の小百合は友達がいない。或る日初めて買ったケータイに『あなたも友達登録してみませんか』というメールが届く・・・。物語に動きが感じられずオチも予想が付きやすいのが欠点ですかね。
『株式男』 事務機器会社に勤める高桑喜一郎は冴えないサラリーマン。彼は自分の知らないうちに自身の株が売買されているのを知り、人生が一変する。これは面白い、ブラックなラストも私好みでホラー色が濃いです。
『太平洋は燃えているか』 最初これは私の苦手なタイプのSFかと思いました。が緊迫の雰囲気の中で初めて遭う祖父と孫の会話が感動的で、一番の出来だと思いました。オチはちょっと辛いものがありますが。
『心臓の思い出』 心臓移植を受けた女性のその後を描いた異色作。どこか既視感があるものの、ミステリ色は最も濃く最後まで読むと単なるサスペンスではないことが判ります。

全四作、なかなか読み応えがありました。ドラマも面白かったのだろうと想像が付きます。ドラマのノベライズ物としてはかなり優秀な部類だと思います。

No.32 6点 3分で読める!人を殺してしまった話- アンソロジー(出版社編) 2026/06/15 22:34
累計140万部突破!宝島社の大人気ショートショートシリーズ最新刊。
「人を殺してしまった」の書き出しから始まる物語を“チーム・バチスタ”海堂尊、
“さよならドビュッシー”中山七里ほか『このミス』大賞作家が全作書き下ろし!
ゾクッとするどんでん返しから意味が分かると怖い話まで超ショートストーリーを25作品収録。
Amazon内容紹介より。

これまで『このミス』出身作家とは相性があまり良くないと、自分で勝手に決めつけていましたが、本書を読んでその考えを改めなければならないかも知れないと思い直しました。人を殺してしまった話が全方位に広がり、瞠目せずにはいられません。
特に前半の中山七里、佐藤青南、小西マサテル、堀内公太郎、三田市零、高野結史、桐山鉄也、貴戸湊太辺りまでは良作揃いでかなりの好印象でした。特に桐山鉄也の『侵入者』と堀内公太郎の『穴』には痺れました。

その後はややトーンダウンするものの、中には秀作も含まれていて、全体としては7点も吝かではない気もしましたが、読み終えた時の気分で6点に。余計なお世話かも知れませんが、『3分で読める!』のは余程の速度で読める人に限ると思います。私は最低でも5分は掛かりました。確かに私は読むのが遅い方ですが・・・それにしても、ねえ。

No.31 6点 それはそれはよく燃えた- アンソロジー(出版社編) 2026/06/13 22:17
『黒猫を飼い始めた』『嘘をついたのは、初めてだった』『これが最後の仕事になる』『だから捨ててと言ったのに』『新しい法律ができた』に続く、会員制読書倶楽部:Mephisto Readers Club(MRC)で配信(公開)された大人気ショートショート集第六弾!
Amazon内容紹介より。

海外が舞台の作品は面白くない法則は一体どいう訳でしょう。短編集としては普通の出来だと思います。混交玉石というか、これだけ多くの作家が書けば出来不出来の差が出るのは仕方ない事ですね。

個人的に良かったのは歌野晶午、米澤穂信、島田荘司、市塔承、黒澤いずみ、秋吉理香子、矢樹純、三津田信三です(登場順)。女性陣頑張ってますね。こうして見ると一人を除いてやはり著名な作家が並んでます。私は解り易い作品が好きなんだと改めて思いました。優勝は秋吉理香子の『ファンの鑑』でしょう。短い中にも起承転結がはっきりしていて、オチが素晴らしいです。みなさんこういうのを求めているのだと思いますよ。

No.30 5点 みんなの少年探偵団2- アンソロジー(出版社編) 2026/05/12 22:33
江戸川乱歩生誕120年を記念して刊行され、テレビや新聞など様々な媒体にも紹介されて話題にもなったアンソロジー『みんなの少年探偵団』。
2015年は江戸川乱歩没後50年ということで、市場も盛り上がりを見せているが、その最後の締めくくりとしての『みんなの少年探偵団』第2弾企画。
第2弾も、子供時代に少年探偵団と怪人二十面相の息詰まる対決に胸を躍らせた過去を持つ作家陣が集結。
今作では、有栖川有栖、歌野晶午、大崎梢、坂木司、平山夢明という豪華5人が「少年探偵団」オマージュに挑む!
Amazon内容紹介より。

5作品の中では有栖川有栖の『未来人F』が頭抜けて面白かった。流石としか言いようがありません。オマージュとしては勿論、やはりミステリですからそこに最も比重を置いているのが有栖川でした。又メタミステリにもなっている辺りが凄いです。その点歌野晶午は記憶に残りませんでした。他の三人はそれぞれが自身の色を出していて、比べてみるとなかなか興味深いものがありますね。

平山夢明なんかを読むと、「少年探偵団」って何でもアリなんだなと思います。グロさを抑えきれず思わず書いてしまった感が半端ないです。物語として破綻はしてませんけど。坂木司はそう来たかって感じで、ちょっとだけ意外性を楽しめました。全体的に目立つのは、怪人二十面相がどんだけ変装するんだよって事でした。そんなに変装してたかなあって。

No.29 5点 だから捨ててと言ったのに- アンソロジー(出版社編) 2025/06/07 22:26
こんなことになるなんて!
1行目は全員一緒、25編の「大騒ぎ」。

早起きした朝、昼の休憩、眠れない夜ーー。
ここではないどこか、今ではないいつかへ、あなたを連れ出す7分半の物語。
Amazon内容紹介より。

最初の一行は飽くまで書き出しであり、それをテーマにした作品は多くなく、ストーリーがどう転ぶかは書き手次第です。強く印象に残るものはあまりありません。最後の作者のプロフィールを読むとほとんどがメフィスト賞受賞作家でした。そんな事は考えるまでもない事ですが、だからイマイチ面白くなかったのかと納得しました。別に皮肉で言っている訳ではありません、まあ偶々だと思いますけどね。しかし他の黒猫?シリーズのアンソロジーと比較すると多少レベルが低いと言わざるを得ません。

まずまずだったのは麻耶雄嵩の『探偵ですから』、荒木あかねの『重政の電池』、にゃるらの『ネオ写経』の三作。いずれもメフィスト賞作家じゃないじゃん。メフィスト賞に肯定的な私ですが、何だか鼻白む思いです。もう少し本気を出して頂きたいですね。

No.28 6点 黒猫を飼い始めた- アンソロジー(出版社編) 2025/04/30 22:19
ルールは一つ。全作家が「黒猫を飼い始めた」の書き出しで始めること。秘密の手紙を運ぶ猫、悪神が乗り移った猫、猫ではないかもしれない猫……。二行目から一変する世界に息を呑み、結末に言葉を失う。愛も驚き恐怖も全部詰まった、会員制読書クラブMRCで大好評のショートショート企画が待望の文庫化!
Amazon内容紹介より。

最初の三編目まで読んだ時点で7点は堅いかと思いました。作家で言うと潮谷験、紙城境介、結城真一郎。しかしその後なにこれ?って感じのものがあったり、平均点位のまずまずの掌編が見られ、この点数に落ち着きました。ミステリ作家が多い事もあり、叙述トリックや最後の一行、ダイイングメッセージなど、ミステリ的ガジェットが結構駆使されている作品がありました。掌編とは言えバカに出来ません。

幾つかこれは!と思われる作品があったり、記憶に残りそうな作品があったり、結末が判然とせずあとは想像に任せます的なものがあったり、とにかく色んな味を楽しめるのは間違いありません。以前読んだ『これが最後の仕事になる』よりはレベルが上がった感じがしました。黒猫とミステリは相性が良いのでしょうかね。

No.27 6点 有栖川有栖に捧げる七つの謎- アンソロジー(出版社編) 2025/01/28 22:46
真正面から挑戦する超絶技巧の本格ミステリから、
女子高に潜入する火村とアリスや
不可解なダイイング・メッセージに挑む
江神たちEMCの面々まで。
Amazon内容紹介より。

青崎有吾は火村シリーズ、無難に纏めた感じ。シリーズ物の空気感は出色。
一穂ミチも火村シリーズ、日常の謎。文芸作家の香り、直木賞受賞者。
織守きょうやも火村、最も異色の怪談話。質より量で勝負も真相は拍子抜け。
白井智之も火村シリーズ、有栖不在のアリバイトリック。出来としては最高。
夕木春央は作家有栖川有栖が嫌いなのに全作読んでいるのは何故?の謎に挑む。動機が弱くイマイチの出来。
阿津川辰海は山伏地蔵坊が登場。なかなか面白い。蝶の標本が死体の周りに埋め尽くされて・・・
今村昌弘は江神先輩が久々に登場。大学のメンバーが揃って、懐かしさ溢れた好編。

最も優れていたのは白井智之の『ブラックミラー』でしょう。短編とは思えないぎっしり中身の詰まった傑作だと思います。
次点は今村昌弘の『型取られた死体は語る』ですね。学生向けの事件で、ダイイング・トリックかと思わせておいて、という趣向が粋です。
あとは5~6点で、まずまず。夕木春央にはがっかりでした。

No.26 6点 誘拐- アンソロジー(出版社編) 2024/11/01 23:36
誘拐、誘拐、また誘拐。これでは流石に飽きるのではないかとの不安を、本書は吹き飛ばしてくれました。誘拐のみに特化したこの作品集は多少の瑕疵はあるものの、様々なバリエーションを見せており、それぞれが一捻りしてあり、尺は短いけれど各々違う楽しさを味わわせてもらえます。

どの短編が突き抜けている訳ではなく、平均的によく出来ていると思います。印象深いのは、五十嵐均、折原一辺りでしょうか。有栖川有栖は懐かしい面々が登場しますが、ストーリーとしては小粒で期待通りとはいきませんでした。あと香納諒一の逆転の発想が面白かったですね。
読む前はそれ程とは思いませんでしたが、想像以上に良作揃いでした。

No.25 6点 ドッペルゲンガー奇譚集- アンソロジー(出版社編) 2024/10/22 23:03
ミステリ作家ら10人によるドッペルゲンガーをテーマにした短編集。
作風は真正面から取り組んだもの、変化球、SFに重きを置いたもの等様々でそれなりに楽しめます。一応角川ホラー文庫ではありますが、あまり怖いとか驚かされる印象はありません。
誰か一人でもドッペルゲンガーに対する正当な解答を科学的見地から書いてくれているかと期待していましたが、やはりそれは難しいようで、はぐらかされている様な感じの作品が多かったですね。ただ、辻褄を合せようと苦労の後は見られます。

最も短いながら面白かったのは、名前も知らなかった増田すず子という作家の『分身』であり、次点は生島治郎の『誰……?』でしょうか。しかし、全体的にそれぞれの持ち味を出してまずまずの佳作が揃っているので、合格点だと思います。それにしても、読んでみてドッペルゲンガーという超常現象の不可解さ、それを扱う難しさを思い知りました。

No.24 5点 これが最後の仕事になる- アンソロジー(出版社編) 2024/10/02 22:27
最初の1行は全員一緒。
1編6ページ、24種の「最後の仕事」。

早起きした朝、昼の休憩、眠れない夜ーー。
ここではないどこか、今ではないいつかへ、あなたを連れ出す7分半の物語。
Amazon内容紹介より。

これが最後の仕事になる、から始まる24の掌編。
ミステリ作家が結構多い割りにはミステリっぽいのが少ないです。人情物、最後に一捻りしてくるもの、1ミリも理解できないもの、反転物、切ない話、犯罪小説など様々な作品が楽しめます。ああ、楽しめないものも何割かは混じっていて、正に玉石混交です。

まあ流石にプロの作家が書いているだけに、作風が被っているのはほぼありません。しかし、なかなか心に刺さる作品は少ないですね。すぐに忘れてしまいそうな話が多い印象です。その中でも異色と言えるのが呉勝浩でしょう、アイディア勝ちで二度読みさせられ、その瞬間唖然となりました。物語自体は他愛ないものですが・・・ここから先はネタバレになるので割愛します。詳しくは書店で立ち読みでもして下さい。

No.23 7点 決戦!忠臣蔵- アンソロジー(出版社編) 2024/02/16 22:42
夢枕獏が、山本一力が、諸田玲子が……「忠臣蔵」を描く! いままで戦国時代を舞台にすることが多かった「決戦!」シリーズだが、今回の舞台は江戸は元禄、テーマは「忠臣蔵」。当代きっての名手・七人が、日本人が愛し続ける物語に挑む。義挙を前にした人々の悲哀、本懐を遂げた男たちの晴れ晴れとした思い。そして、主君を守れなかった吉良方の無念……。今までにはない、”涙”の「決戦!」シリーズの誕生。
Amazon内容紹介より。

各賞を受賞した手練れの時代作家達がそれぞれの『忠臣蔵』を、思いを込めて書き上げた決戦!シリーズのひとつ。無論、真正面から描くには短編では容量が足りないので、スピンオフではないけれどサイドストーリーとなっています。主人公は大石内蔵助、不破数右衛門、内蔵助の妻りく、神崎与五郎の妻ゆい、吉良側のお抱え武士清水一学ら。勿論他の赤穂浪士の名前も色々出て来ます。その中で目立っているのは堀部安兵衛、小野寺十内、大高源五辺りか。

いずれも史実を基にしたフィクションでありながら、そんな事もあったかも知れないと思わせるだけのリアリティは持っています。全て佳作揃いで、中でもラスト二作は思わず落涙させられてしまいました。ありきたりな忠臣蔵には飽きた方にも珍品として重宝されそうな短編集です。

No.22 5点 厭な物語- アンソロジー(出版社編) 2024/02/14 22:11
誰にも好かれ、真っ当に生きている自分をさしおいて彼と結婚するなんて。クレアは村の富豪の心を射止めた美女ヴィヴィアンを憎悪していた。だがある日ヴィヴィアンの不貞の証拠が…。巨匠クリスティーが女性の闇を抉る「崖っぷち」他、人間の心の恐ろしさを描いて読む者をひきつける世界の名作を厳選したアンソロジー。夢も希望もなく、救いも光明もない11の物語。パトリシア・ハイスミス、モーリス・ルヴェル、ジョー・R.ランズデール、シャーリ・ジャクスン、フラナリー・オコナーらの珠玉のイヤミス集。翻訳文学未体験者もゾクゾクしながら読める短篇揃い。有名作から、隠れた衝撃作まで、一人では抱えきれない「厭な」ラストを、ぜひ体験してみてほしい。
Amazon内容紹介より。

印象に残ったのはパトリシア・ハイスミスの『すっぽん』(既読)、シャーリィ・ジャクソン『くじ』、ローレンス・ブロック『言えないわけ』位です。『くじ』は有名作で期待していましたが、それ程でもありませんでした。いずれも先が読める作品なので、評価としてはあまり高得点は付けられないですね。他は訳が分からないものとか、退屈さを覚えるもの等、とても褒められたものではありませんでした。

こう云うのを読むにつけ思うのは、やはり日本のミステリは世界一だという事です。あくまで個人の感想ですので、お前が言うなというご意見は甘んじて受けますが、日本を除いた全世界が束になってかかっても日本のミステリには勝てないと思います。特に本格ミステリに関してはレベルが違い過ぎると言っても過言ではないです。古典はその限りではありませんけどね。
本作品集もジャンル的にはイヤミスになるかと思われますが、日本のイヤミスの方が洒落の効いた粋な短編が多いですよ。何度も言いますがあくまで個人の感想です。

No.21 6点 名著奇変- アンソロジー(出版社編) 2023/10/03 22:28
教科書に載る誰もが知る
あの名作が現在に舞台を遷し、
奇怪な物語として蘇る! 

国民的ベストセラーが持つDNAを
次世代の小説家がさらに
進化させた第一級のホラーミステリ。

謎解き、考察…。どんでん返し! 
読書に馴染みのない方も
ぐいぐい一気に引き込まれる!
Amazon内容紹介より。

6編の中で元ネタを読んだのは『走れメロス』だけ。葉山嘉樹って誰?位の知識しか持っていない私に読む資格があるのか、とも思いましたが、問題なく読めました。更に著者は初めましての方ばかりで、大丈夫なのかとの不安もあったりしました。でもそれぞれが味を出していて結構楽しめました。一概にホラーと言っても、おそらくみなさんが想像している様なものとは違うと思います。それだけ日本のホラー小説も進化しているのかも知れないですね、人間の暗部を描いたものが多かったです。

中にはミステリっぽい作品もありますし、どんでん返しも。どれも一定の水準に達していますが、敢えて好みを交えて選ぶとすれば、相川英輔『Under the Cherry Tree』、大林利江子『せりなを書け』のツートップとしましょうかね。このお二方は文章がこなれており読みやすく、意外性もあり大変面白く読ませていただきました。

No.20 6点 怖い食卓- アンソロジー(出版社編) 2023/09/26 22:31
筒井康隆作〈定年食〉が物語るように、定年を迎えた男は最後に一家団欒の食卓上にて家族の胃袋へと消えて役目を終える。美味に酔う家族の笑顔が祝祭日にふさわしい。エロスの根源から湧き起こる人肉食への快美な誘惑。
『BOOK』データベースより。

カニバリズムばかりかと思いきや、そういう訳ではありませんでした。人肉かと思わせておいて実は・・・だったり、逆に植物に人間が取り込まれたりと様々な食に特化したホラー・アンソロジー。
当初7点にしようかと迷いましたが、意味不明なのが何作か混じっているので、その分を差し引いて6点としました。

印象に残っているのは最初の筒井康隆『定年食』、これは短い中にもストーリー性や家族間の機微を重視しながら、ストレートな表現力が生きています。他に作者らしいファンタジー色の強い、安倍公房の『魔法のチョーク』。流石の文章力とエンターテインメント性が前面に押し出された、谷崎潤一郎の『美食倶楽部』。ウルトラQ的な怪奇譚、ジョン・コリア―の『みどりの想い』。これは訳者が数多のミステリを翻訳した事で有名な宇野利泰であり、ここでも見事な仕事ぶりを見せています。他に既読ながら水谷準の『恋人を喰べる話』、村山槐多の『悪魔の舌』も良かったですね。

No.19 7点 ベスト本格ミステリ2018- アンソロジー(出版社編) 2023/06/18 22:33
本格ミステリ作家クラブが選んだ2017年のベスト本格ミステリ短編&評論のすべて!

小説◎
夜半のちぎり 岡崎琢磨
透明人間は密室に潜む 阿津川辰海
顔のない死体はなぜ顔がないのか 大山誠一郎
首無館の殺人 白井智之
袋小路の猫探偵 松尾由美
葬式がえり 法月綸太郎
カープレッドよりも真っ赤な嘘 東川篤哉
使い勝手のいい女 水生大海
山麓オーベルジュ『ゆきどけ』 西尾維新
ヌシの大蛇は聞いていた 城平京

評論◎
吠えた犬の問題 有栖川有栖
Amazon内容紹介より。

人気作家による、本格ミステリ作家クラブが厳選した2017年の短編アンソロジー。
全般的に高い水準を誇っており、それぞれが捻りの効いた、反転や意外な結末が味わえる本格ミステリに仕上がっていると思います。白井智之の『首無館の殺人』は荒さが目立つし、西尾維新の『山麓オーベルジュ「ゆきどけ」』はホワイダニットに拘っていますが、どうにも納得できない感があります。それ以外は特にこれといった欠点は見当たりません。各作家の特色がよく出ているのも好感が持てますし、十分満足のいくアンソロジーと言えると思います。

有栖川有栖の評論ははっきり言って余分だったですね。個人的にはいりませんでした。
尚、余談ですが読んだばかりの『バカミスの世界』に掲載されていた、霞流一の『わらう公家』が02に載っていたのはちょっと驚きました。しかし、この本格ミステリ作家クラブ、分かっているじゃないかと感心したのは確かです。

No.18 6点 賭博師たち- アンソロジー(出版社編) 2022/12/27 22:42
平穏な日々を嫌い、明日を拒み、ときには愛するものさえ裏切り、賭博師たちは凌ぎのために、一切の感情を捨て去る。己の神経を極限にまで研ぎ澄まし、“勝負”というただ一点のみに真実を見出そうとする彼らの生き方とはいかなるものなのか。人生の深淵を知り尽くした八人の作家が、非情の世界に生きる男たちの栄光と破滅を描破したベストアンソロジー。
『BOOK』データベースより。

黒岩重吾と樋口修吉(誰?)以外は十分楽しめました。それにしても八人の作家の中の二人が阿佐田哲也を主人公に持ってきているのには、流石に博打の神様、雀聖と呼ばれた男だと感じ入りました。その二人、生島治郎と清水一行は明らかにノンフィクションらしき短編で、阿佐田哲也の魅力を遺憾なく描写しています。特に有名なナルコレプシーという突然眠ってしまう奇病について両者ともページを割いています。何だかんだ言いながら最後にはかっぱいでしまう強者として描かれていて、又氏の意外は素顔をも知れます。

伊集院光はヒリヒリした博打と言うより官能小説の体を成しています。黒川博行はバリバリの麻雀小説で1ページ目から牌図が出て来ます。しかし、プロの主人公が簡単な絡繰りに気付かないのは不可解でした。佐藤正午は博打と恋愛を天秤にかけた様な作品で、最も小説らしい小説です。ただその分博打の醍醐味は味わえませんでした。

No.17 6点 ウルトラQ dark fantasy- アンソロジー(出版社編) 2022/08/01 22:53
憧れのマイホームを手に入れた主婦・加代子だったが、街のいたるところに書かれた“らくがき”に悩まされていた。消しても消しても翌日には再び現れる奇妙ならくがきは、いつしか加代子の家の中にまで現れて―「らくがき」。ほか、異星人との不思議な交流を描く「ウニトローダの恩返し」、失踪した人間たちの行き着く先は?「楽園行き」、連続変死事件の鍵を握る黒頭巾の男の目的とは!?「送り火」。あなたをアンバランスな世界へ導く4つの物語。大人気ドラマが完全ノベライズで登場。
『BOOK』データベースより。

2004年4月からテレビ東京で放映された作品の中から2話、6話、8話、10話の四篇をチョイスしてラベノイズ化された短編集。脚本、監督、作家が全て違うので、テイストの違う作品が味わえます。SF、ホラー、ファンタジーの要素が入り混じったものばかりで、ジャンル分類不可です。担当作家が皆ラノベ出身者ばかりで、ややクセ強めの文体が特徴ではあると思います。

個人的ベストは『らくがき』ですね。テンポよく話が進み、先が読めません。目まぐるしい展開にワクワクさせられ、突如驚愕に襲われます。オチもなかなか気が効いていると思いますね。他の作品も総じて面白く、心に残るものばかりです。最後の太田愛が脚本を書いた『送り火』が一番ウルトラQらしくないなと感じました。これは普通のファンタジーですね。ドラマの脚本を描き慣れているだけに、逆にそれが災いした気がします。

No.16 6点 平成ストライク- アンソロジー(出版社編) 2021/04/30 22:48
JR尼崎駅で通勤電車を待っていたカメラマンの植戸は電車脱線の報せを受ける。その後、ホームで見かけた高校生が事故の取材現場にも現れて…(「加速してゆく」青崎有吾)。私は悪を倒すため、正義のために、彼のブログに殺害予告を書き込み続ける(「他人の不幸は蜜の味」貫井徳郎)。平成に起きた、印象的な事件や出来事をテーマに9人の注目作家が紡ぐ衝撃のミステリ。今を手探りで生きる私たちの心に刺さる、珠玉の競作集!
『BOOK』データベースより。

青崎有吾の『加速してゆく』を読んだ直後は、なるほどそう言えば尼崎でマンションに突っ込んで、多くの犠牲者を出した電車脱線事故があったなと久しぶりに思い出しました。そしてこの作品がこのアンソロジーの規範となっていれば良いなと思うほどの良作でありました。しかし、他は平成という時代を振り返って、膝を打つような事件を扱ったものは天祢涼の東日本大震災のその後を描いた『From the New World』くらいです。あと消費税導入もありましたね。

本アンソロジーに寄稿している9人の作家は、全て平成デビューらしいですが、井上夢人は岡嶋二人として昭和デビューなので要らなかったかなと思います。作品自体もあまり印象に残らなかったですし。遊井かなめは平成の流行を散りばめただけの凡作だし、白井智之は相変わらずエログロ全開でやりたい放題だし。小森健太郎は唯一書下ろしではないので、ほとんど平成とは関係ありません。バカミススレスレのトリックはあまり感心しませんが、意表を突かれたのは確かです。
玉石混交であるのは間違いないですが、総じて楽しめたのでこの点数にしました。結構豪華な作家陣だったので期待し過ぎた私がいけなかったんです。

No.15 5点 金田一耕助の新たな挑戦- アンソロジー(出版社編) 2021/03/27 22:48
ぼさぼさの髪、よれよれの袴、人なつこい笑顔が印象的な、色白で内気な好青年…。横溝正史が生んだ日本を代表する名探偵『金田一耕助』が歴代の横溝賞作家たちの手によってよみがえる―。戦後の混乱時に起こった哀しき犯罪をあざやかに解決する金田一耕助。海外で初の難事件に挑む金田一耕助。そして、現代まで生き、八十歳で事件に遭遇してしまう金田一耕助など様々なトリックが仕掛けられた事件に新たに挑戦!横溝ワールドへの入門書としても役立つベストアンソロジー。
『BOOK』データベースより。

横溝正史賞作家九名による、金田一耕助が活躍する短編パスティーシュ集。
亜木冬彦の『笑う生首』、姉小路祐の『生きていた死者』、藤村耕造の『陪審法廷異聞―消失した死体』以外は正直箸にも棒にも掛からない出来の作品ばかりです。とはちょっと言い過ぎかも知れませんが、まあ誉められたものではありません。それだけ横溝正史賞のレベルが低いって事でしょうかね。

霞流一の『本人殺人事件』は『本陣殺人事件』のトリックや犯人のネタバレを派手にしていますので、未読の方は要注意です。他作品にも『本陣殺人事件』に関する記述が多いですね。金田一耕助の人物像の描き方は、各作家により微妙に違っており、中には最後の事件と称するものや渡米してからの事件を描いたものもあり、枯れてちょっと不遜な感じの言葉遣いをしている金田一もいたりします。
それはまあ良いとして、全体的に探偵金田一の個性に頼った物語が多く、読み物として面白味のない作品が目立ちます。凝ったトリックもなく、猟奇事件の動機がありきたりだったり、ミステリとしてあまり感心しないですね。

No.14 6点 ミステリー傑作選・特別編5 自選ショート・ミステリー- アンソロジー(出版社編) 2020/07/20 22:31
赤川次郎から皆川博子まで、現代日本を代表する33名の作家が、自ら選んだマイ・ベスト・ショート・ショート。本格推理から幻想譚、変愛ミステリーにホラー等々、どこから読んでも面白い、何度読んでも愉しめる、絶対お得な超豪華アンソロジー。単行本未収録作品を多数収めた永久保存版。
『BOOK』データベースより。

様々な小説雑誌や機関誌などから集められたショート・ミステリ。寄せ集め感はあり、本格っぽい物からホラー、時代小説、サスペンス、ハードボイルドなどジャンルも色々。流石にこの枚数で本格ミステリはなかなか書けないものと見え、そちら方面を期待すると裏切られるかも知れません。

大御所から名前も知らなかった作家まで、幅広く収録されています。
あまりに短かいためネタバレになりますので、内容は紹介できませんが、個人的に良かったと思うのは、夏樹静子、はやみねかおる、霞流一、斉藤伯好、左右田謙辺りですかね。でもマイ・ベストという割りにはそこまで力作揃いとは思えません。

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メルカトルさん
ひとこと
「ミステリの祭典」の異端児、メルカトルです。変人でもあります。色んな意味で嫌われ者です(笑)。
最近では、自分好みの本格ミステリが見当たらず、過去の名作も読み尽した感があり、誰も読まないような作品ばか...
好きな作家
島田荘司 京極夏彦 綾辻行人 麻耶雄嵩 浦賀和宏 白井智之 他多数
採点傾向
平均点: 6.03点   採点数: 2036件
採点の多い作家(TOP10)
浦賀和宏(33)
アンソロジー(出版社編)(33)
島田荘司(25)
西尾維新(25)
綾辻行人(22)
京極夏彦(22)
折原一(20)
日日日(20)
中山七里(19)
森博嗣(19)