海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

nukkamさん
平均点: 5.45点 書評数: 2753件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.44 4点 亡霊たちの真昼- ジョン・ディクスン・カー 2023/03/04 23:59
(ネタバレなしです) 1969年発表のニュー・オーリンズ三部作の第2作の歴史本格派推理小説で、作中時代は1912年です。主人公のジム・ブレイクが特派員として下院議員候補のクレイ・ブレイク(ジムとの血縁関係はなし)を取材するためにニュー・オーリンズへ向かうという序盤がミステリーとしては盛り上がりを欠いています。政治スリラー要素を織り込もうとしたのならこの作者には合わないですね。何者かに尾行されたり列車内で人間消失があったりと強引に謎づくりしてはいますが、18章で明かされる前者の真相、10章で明かされる後者のトリック、共にがっかりレベルです。そして中盤に起きたメインの事件が一見自殺風ながら凶器が現場から消えており、しかし殺人なら凶器だけでなく犯人も消えたことになる不可能犯罪風なところがカーらしいですが、この真相がまた脱力ものでした。伏線の張り方に巧妙さを感じるところもありますが、この作者としては下位レベルの作品だと思います。

No.43 5点 悪魔のひじの家- ジョン・ディクスン・カー 2021/08/07 05:48
(ネタバレなしです) 「雷鳴の中でも」(1960年)以来久しぶりの1965年に出版されたフェル博士シリーズ第21作の本格派推理小説です。不可能犯罪の本格派を得意としたクレイトン・ロースンに献呈されており、アントニー・バウチャーが「探偵小説の黄金時代のうれしい復活」と評価を寄せ、タイトルに使われている<悪魔のひじ>と呼ばれる岬に建つ緑樹館(Greengroove)が舞台と読む前から何ともわくわくしましたが...。会話はちぐはぐで説明は回りくどく、おまけになかなか事件が起きないじりじり展開に私の期待値はだんだん下がっていきます(笑)。幽霊の正体見たり枯れ尾花なのは合理的な解決を用意すれば多かれ少なかれそうなるので仕方ないと思いますが、幽霊の目撃談の段階から既に枯れ尾花です(笑)。それでも色々な謎解き伏線を回収しながらの推理説明はこの作者らしいし、不可能犯罪トリックはkanamoriさんのご講評にあるように過去作品からの流用ではあるのですが複数作品のトリックを組み合わせて過去作品を読んでいる読者でも簡単には見破られないように工夫の跡が見られます。

No.42 5点 震えない男- ジョン・ディクスン・カー 2020/06/12 21:56
(ネタバレなしです) オカルト演出を織り込んだ本格派推理小説を得意とした作者のことですから幽霊屋敷を舞台にした作品もあるだろうと思ってましたが、1941年発表のフェル博士シリーズ第12作の本書がそれでした。ちなみに作中時代は1937年で第二次世界大戦の少し前ですがプロットの中で上手く時代性を活用しています。いくつもの謎が提示されますが大きなのは2つ。1つは17年前の1920年に老人がシャンデリアの下敷きになって死んだ事件ですが、状況証拠から判断すると彼が椅子を置いてその上からシャンデリアに飛びつき、ぶら下がりながらぶらんこのように身体をゆすっていたのではというシュールな推理が披露されます(真実ならなぜそんなことを?)。もう1つの(メインの)謎は壁にかかっていたピストルが誰も触れていないのに空中に浮かび上がって被害者を射殺したというものです。ハヤカワポケットブック版が半世紀以上前の古い翻訳というのも問題ですが、ちぐはぐな会話や質問に質問を返してはぐらかしたりと物語のテンポがよくありません。肝心の射殺トリックはユニークではありますがあのトリックで銃を空中に浮かせる、弾丸を発射させる、相手に命中させるを全て実現可能と計画するのはあまりにも無理筋ではと頭の中で疑惑の渦がぐるぐる...(笑)。とはいえ最後にとんでもない秘密が明かされるなどなかなか凝った謎解きの作品ではあります。しかしこのタイトルは何とかならなかったのでしょうか。「震えない男」とは被害者を指していますがほとんど印象に残りません。「絶対に偶然を当てにしない男」の方がよほど個性的です。

No.41 2点 エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件- ジョン・ディクスン・カー 2017/06/12 17:16
(ネタバレなしです) 1936年発表の歴史ミステリーで実際に17世紀の英国で起こったゴドフリー卿暗殺事件(犯人は不明)に作者が挑戦した作品です。本書に影響を受けてリリアン・デ・ラ・トーレが「消えたエリザベス」(1945年)を、ジョセフィン・テイが「時の娘」(1951年)を書いたことでも有名で、ミステリー史上の重要作ではあるのですが感想に悩んだ作品でした。登場人物がやたら多いうえに彼らの直接的な言動描写も物語としての展開もほとんどなく、小説というよりも研究論文というべき内容です。後年のトーレは本書よりも小説としての趣向を増やし(但しまだ論文要素の方が強い)、テイに至ると小説といえる内容に発展しているのがわかります。とても低い採点にしているのは小説としての面白さを放棄していることが理由です(おまけに私の知能水準では論文としてどうかという評価もできません)。できれば別名義で発表してほしかったですね(推理「小説」を期待する読者ががっかりしないように)。

No.40 6点 魔女の隠れ家- ジョン・ディクスン・カー 2016/09/10 06:20
(ネタバレなしです) 1933年発表の長編第6作である本書はヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)と共に登場回数が最も多いシリーズ名探偵フェル博士のデビュー作でもある本格派推理小説です。作者得意のオカルト雰囲気は本書でも見られますがこれまでの作品と大きく違うのは陽気な巨漢というフェル博士の造形が作品に明るさを与えるようになったことでしょう。明るい部分と暗い部分の対比がプロットにメリハリを生み出しています。謎解きを押しのけない範囲内でロマンス描写に力を入れたのも作者に余裕が出てきたことを感じさせます。謎解きのまとまりもよく、カー入門編として勧められる一冊です。

No.39 6点 絞首台の謎- ジョン・ディクスン・カー 2016/09/07 11:24
(ネタバレなしです) 1931年発表のアンリ・バンコランシリーズ第2作は不思議な魅力を持った本格派推理小説です。夜と霧を効果的に使うためでしょうか、舞台は前作「夜歩く」(1930年)のパリからロンドンに移っています。欠点も非常に多く、死人の運転する自動車トリックはひどいトリックだし、miniさんのご講評にもあるように霧の中に出現する絞首台の謎及び謎解きは文章説明だけではわかりにくいです。しかし幻想的怪奇的な演出に優れており、犯人逮捕場面のサスペンスも素晴らしく最後の一行も衝撃的です。結果としては雰囲気のみで勝負したような作品になっていますがこれだけ雰囲気豊かな作品はなかなかお目にかかれません。

No.38 5点 死者のノック- ジョン・ディクスン・カー 2016/09/02 10:08
(ネタバレなしです) 1958年発表の本書は「疑惑の影」(1949年)以来久しぶりのフェル博士ものです(シリーズ第19作)。アメリカを舞台にした作品なんですがあまりそれらしさは感じられませんでした。英国作家のウィルキー・コリンズが構想したミステリーが謎解き議論で採り上げられているからかもしれません。内容的には密室の謎、図書館での追跡劇のサスペンス、膨れ上がる疑惑など結構盛り沢山です。しかし登場人物に生命感を感じられず全体的には物語としての盛り上がりに欠けているように思います。フェル博士も謎は解くものの最後は情けない役どころを演じているのが気に入りませんし、強引な締め括りもあれで本当に丸く収まるのかすっきりしませんでした。

No.37 6点 ビロードの悪魔- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/31 09:50
(ネタバレなしです) 1951年発表の本書は歴史ミステリーの大家リリアン・デ・ラ・トーレ(1902-1994)に献呈されただけあってカーが実に丹念に歴史を研究した様子が伺えます。前作「ニューゲイトの花嫁」(1950年)と同じく本格派推理小説と冒険小説のジャンルミックス型ミステリーですが本書は冒険小説要素がより強くなってアクションシーンのスケール感、緊迫感は際立っています。その分謎解きに費やされるページは減っていますが結末にはかなり驚かされる仕掛けが用意されています。極めて特殊な条件下で成立させた仕掛けなので、伏線を周到に張ってあるとはいえ人によってはこの結末は拒絶反応するかもしれませんが。

No.36 6点 囁く影- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/29 00:17
(ネタバレなしです) 1946年発表のフェル博士シリーズ第16作は作品全体を覆う暗いトーンと不気味さ、そして悲哀を帯びた結末が印象に残ります。但し「仮面劇場の殺人」(1966年)では本書の意外な後日談が語られていますが。会話中心の展開なのにサスペンスが強烈な地下鉄の場面など演出が巧いです。トリック的には(実際に使われたトリックの流用だそうですが)ロンドンの事件のトリックが珍しいです(読者が解決前に予測するのは難しいと思いますけど)。あと本筋とは関係ありませんが冒頭で紹介されている「殺人クラブ」が結局名前のみの出番だったのはちょっと残念でした。

No.35 10点 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/27 08:49
(ネタバレなしです) 1935年発表のフェル博士シリーズ第6作で、最高傑作とも評価されることもある本格派推理小説です。これでもかといわんばかりの謎の提示と圧倒的なまでにスケールの大きな謎解きの前にはため息が出るばかりです。確かに問題点も多いです。アンフェアっぽいところもある、ご都合主義もある、証拠として弱い手掛かりもあるなど気になる点がぞろぞろです。これが合わないという読者がいるのも納得です。しかしながらよくぞここまで考えたものだと私は感心しました。完成度の高いミステリーはもちろん大好きですが、本書のように完成度を超越した魅力をたたえた作品も私は大好きです。

No.34 6点 死時計- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/23 19:14
(ネタバレなしです) 1935年発表のフェル博士シリーズ第5作の本格派推理小説で作品全体を重く暗い雰囲気が覆っています。この時期によく書いていたオカルト・ミステリーの要素は全くないのですがほとんどの登場人物が悪意を秘めているように描かれていてオカルト・ミステリー以上に息詰まるようなサスペンスを生み出しています。ボナンザさんのご講評で指摘されているように整理が上手くないとか、読者に対してアンフェア気味の箇所が目だってしまったとかの問題もありますが非常に緻密に考えられた謎解きで、中でもフェル博士とハドリー首席警部の二人法廷の場面は本書の白眉ともいうべき面白さです。できれば現場見取り図は添付してほしかったですが。

No.33 6点 髑髏城- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/19 14:54
(ネタバレなしです) 1931年発表のバンコランシリーズ第3作はライン河にそびえる古城、その名も髑髏城を舞台にした怪事件を扱い、ドイツの名探偵フォン・アルンハイム男爵との探偵競争を織り込んだ本格派推理小説です。この設定の妙だけでもどんな物語になるのだろうとわくわくする本格派好き読者も少なくないと思いますが、「夜歩く」(1930年)や「絞首台の謎」(1931年)と比べると謎を盛り上げる演出が弱く謎解きも意外と小ぢんまりした印象を受けます。二階堂黎人が「人狼城の恐怖」(1998年)を、加賀美雅之が「双月城の惨劇」(2002年)を書いたのは本書に微妙な物足りなさを感じてもっと舞台設定を活かした派手な作品を自分で書いてみようとしたのではと推測したくなります。私は本書を先に読んでそこそこ楽しめたのですが、二階堂作品や加賀美作品を先に読んでから本書を読んだ読者には凡作に映ってしまうかもしれません。

No.32 6点 夜歩く- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/17 14:26
(ネタバレなしです) 米国のジョン・ディクスン・カー(1906-1977)は不可能犯罪トリック、オカルト趣味、強烈なユーモア、歴史ロマンなど沢山の引き出しを持っていて今なお本格派推理小説家に強い影響を与えている巨匠中の巨匠です。米国人といってもヨーロッパに長く滞在し、ヨーロッパを舞台にした作品が多いためか同時代のヴァン・ダインやエラリー・クイーンの(当時としては)モダンなスタイルとは対照的に古きロマンのようなものを感じさせます。1920年代に限定出版された中短編もありますが1930年に発表された本書が実質的にはデビュー作にあたります。早速密室殺人事件が扱われており、トリックは偶然に頼ったようなところがありますが暗い幻想性に満ち溢れた独特な雰囲気がなかなか個性的です。多くの方々が粗削りだけどカーらしさは十分に発揮されているとご講評されていますが私も賛同します。

No.31 5点 猫と鼠の殺人- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/15 08:13
(ネタバレなしです) 1942年発表のフェル博士シリーズ第14作の本書はカーの多くの作品で見られる怪奇趣味や不可能犯罪とかいった派手な演出はなく、ユーモアも控え目で(プールでの飛び込みの場面なんかは結構楽しいですけど)ごく普通の本格派推理小説といった印象を与えますが、実はかなり大胆なトリックが使われていてどんでん返しが効果的な作品です。このトリック、実際の事件でもあったトリックだそうですが専門的知識のない一般読者にこれを解決前に予見するのはちょっと無理じゃないかと思います。了然和尚さんのご講評で的確に指摘されているように、カーがどれほど好きなのかによって本書の受け容れられ方は異なると思います。

No.30 5点 帽子収集狂事件- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/10 11:08
(ネタバレなしです) 江戸川乱歩が絶賛した1934年発表のフェル博士シリーズ第2作の本格派推理小説です。帽子が盗まれては思わぬ所で発見されるという事件が頻発し、ちょっとした社会問題になっていたという風変わりな謎で幕開けしているのはつかみとしては効果的だと思うし、(他作家による類似の前例があるとはいえ)緻密に組まれたトリックも印象的です。しかし密室とか足跡がないとか突然の出現(或いは突然の消失)とかのような演出高価の高い謎が提示されていないのでトリック説明のインパクトが弱く感じられます。第2の事件の真相も腰砕け感があり、私は残念ながら乱歩ほどの感激を得られませんでした。

No.29 5点 テニスコートの謎- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/05 08:32
(ネタバレなしです) 1939年発表のフェル博士シリーズ第11作です。足跡のない殺人がテーマですがトリックメーカーとして名高い作者だけあって「三つの棺」(1935年)ともカーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」(1934年)とも「貴婦人として死す」(1943年)とも異なるトリックが用意されているのはさすがですが、実行面で難易度が高そうだし何よりもリスクが大きすぎるような気がします。あと犯人を追い詰める最後の証拠は確かに決定的だと思いますがプロット上必要だったのでしょうか?いきなりこれを犯人に突きつけて解決していたら本格派推理小説のお楽しみである推理による謎解きが台無しになるので後出しにしているのですが、どこか不自然を感じますね。

No.28 5点 ヴァンパイアの塔- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/02 06:26
(ネタバレなしです) カー(1906-1977)の死後にダグラス・G・グリーンによって編集された1983年発表のラジオ・ドラマ脚本集で、降霊会の参加者が互いの手を握り合っている際中の殺人事件をフェル博士が謎解く「暗黒の一瞬」、郊外の住宅街が丸ごと消えてしまった「亡者の家」など1940年代から1950年代にかけて書かれた9編の脚本が収められています。創元推理文庫版には独自ボーナスとして短編小説「刑事の休日」が追加されていますが、どうせならラジオ脚本だった方が統一感があってよかったような気がします。謎解き自体は平凡だったり小説からのアイデア再利用もありますがラジオを意識してか高い演出効果を狙ったようなところがあります。特に「悪魔の使途」と「プールのなかの竜」は結構怖い結末で、小さいお子さまにはちょっとお勧めできないな(笑)。謎解きとして面白かったのは「暗黒の一瞬」で、トリックは専門的知識が使われていて感心しませんが謎解き伏線の張り方が巧妙です。

No.27 8点 盲目の理髪師- ジョン・ディクスン・カー 2016/08/01 00:21
(ネタバレなしです) アントニー・バウチャーが絶賛した1934年発表のフェル博士シリーズ第4作です。カー全作品の中でもファルス(笑劇)要素の強い作品で、まるで映画のように派手などたばたが繰り広げられます。あまりのどたばたぶりに筋についていくのが精一杯で私は謎解きに集中できませんでしたが、本格派推理小説としても緻密に作られていて最後の謎解きシーンでは手掛かり脚注まで用意されています。事件は航行中の豪華客船の中で起きるのですがフェル博士はこの船に乗ってはおらず、乗船客の1人から事件のあらましを聞いて真相を当てるという安楽椅子探偵役です。死体なき殺人(創元推理文庫版の登場人物リストに被害者の名前は載ってません)の謎解きというのも珍しいです。

No.26 5点 アラビアンナイトの殺人- ジョン・ディクスン・カー 2016/07/30 05:05
(ネタバレなしです) 1936年発表のフェル博士シリーズ第7作の本格派推理小説です。タイトルからアラブ風とかペルシャ風の異国情緒を期待する読者がいるかもしれませんがそういう雰囲気は全くありません。カー全作品中でも屈指の大作で、「千夜一夜物語」のように語り手(3人の捜査官のリレー形式)による説明で事件のあらましがフェル博士に伝えられます。物語の大半はこの捜査官の「語り」に終始しており、クロフツ風に捜査をじっくりと書き込んでいるのが特徴ですが伝聞形式ゆえのまわりくどさという弊害も生じていて読みにくい面もありました。謎解き手掛かりのばらまき方のバランスが悪くて無駄なページが多いという印象も強く、実際の長さ以上に冗長に感じました。

No.25 5点 引き潮の魔女- ジョン・ディクスン・カー 2016/07/21 15:30
(ネタバレなしです) 1961年発表の本書はシリーズ探偵の登場しない歴史本格派推理小説ですが、空さんのご講評で指摘されているように1907年という作中時代は歴史を感じさせるのには中途半端で、現代を舞台にしたミステリーと大差ないように感じました。そしてこれも空さんのご講評の通りですが、出てくる人物がそろいもそろって筋が見えにくい話ばかりするので特に序盤は非常に読みにくかったです。探偵競争的な要素を織り込んだ後半はサスペンスがそこそこありますが。カーが得意とする不可能犯罪(足跡のない犯罪)を本書でも扱っていますが現場見取り図はできれば付けてほしかったです。なおTetchyさんのご講評にあるように、作中にガストン・ルルーの「黄色い部屋の謎」(1907年)の露骨なまでのネタバレがあり、本書に手を出すような読者ならこの有名な古典的作品を既読でもおかしくないとはいえちょっとマナー違反行為ではないかなと思います。密室トリックから犯人の名前までばらしていますので。

キーワードから探す
nukkamさん
ひとこと
ミステリーを読むようになったのは1970年代後半から。読むのはほとんど本格派一筋で、アガサ・クリスティーとジョン・ディクスン・カーは今でも別格の存在です。
好きな作家
アガサ・クリスティー、ジョン・ディクスン・カー、E・S・ガードナー
採点傾向
平均点: 5.45点   採点数: 2753件
採点の多い作家(TOP10)
E・S・ガードナー(78)
アガサ・クリスティー(55)
ジョン・ディクスン・カー(44)
エラリイ・クイーン(41)
F・W・クロフツ(30)
A・A・フェア(27)
レックス・スタウト(26)
ローラ・チャイルズ(24)
カーター・ディクスン(24)
横溝正史(23)