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[ 日常の謎 ] 化学探偵Mr.キュリー 化学探偵Mrキュリー |
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喜多喜久 | 出版月: 2013年07月 | 平均: 5.25点 | 書評数: 4件 |
中央公論新社 2013年07月 |
No.4 | 7点 | バード | 2020/12/02 03:09 |
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読む前は、東野さんのガリレオシリーズのパチモンというレッテルを張っており、それほど期待していなかったというのが本音なのだが、良い意味で裏切られた。『容疑者x』越えとまではならなかったが、ガリレオの短編よりも、本作の方が好みである。
本作の良い点は ・化学の扱いが読者をしらけさせない程度に留められている ・各話がフェイクの解決→真相と二段構えの構成で、単純になりすぎないよう配慮されている といったところ。一つ一つのクオリティは安定して良かった。ただ、これだ!という仕掛けが一つも無く、そこは惜しいと感じた。(私は短編集の評価項目として、個々の話のアベレージだけでなく、その短編集を代表する話があるかないかも重視しているので。) 最後に各話で印象に残った点を挙げる。 ・埋蔵金の暗号 周期表の暗号が好き。ただ、科学者探偵に暴かせるオチが研究捏造というのはひねりが無さすぎな気も。 ・奇跡の治療法 現実でもこの手の詐欺師まがいが幅をきかせていると思うと腹が立つ。 ・人体発火の秘密 トリックは仕込んでいた発火装置という面白みの無さだが、最後まで読んだ後第1章を読み返したら丁寧に書いてあり、好印象を抱いた。 ・悩める恋人たち ストーカーとの肉弾戦で発せられた「弱っ!」が本書全体の中で一番笑った箇所。 ・冤罪の顛末 ゲイオチは予想の斜め上だったので素直に笑った。ただミステリとしては他の話より一段落ちる。 |
No.3 | 5点 | まさむね | 2019/02/28 22:12 |
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大学随一の秀才准教授(科学者)と大学の庶務課に配属された新人女子職員のコンビというのは、シリーズ化も想定すれば、確かに使い勝手のいい設定と言えます。庶務課長も含め、キャラ的にも嫌いじゃないし、ユーモアも盛り込まれています。
一方、ミステリーとしては弱目で、多少の食い足りなさも残ります。まぁ、スラスラと読み進めやすいし、軽く楽しむ分にはいいのではないか、といった印象ですね。 |
No.2 | 5点 | makomako | 2015/10/12 09:46 |
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科学探偵ミスターキュリーと、彼に厄介な話を持ち込むとんでもなくおせっかいでやたら図々しい舞衣という女の子の連作推理。
キュリー氏も嫌がっているように見えるが、結局は舞衣の押しの強さに押し切られていやいや推理するが、これが見事に的中ばかりというある面でお定まりのお話ではあります。 新しいところは科学探偵らしく科学にのっとった解決方法なのでしょう。 登場人物がこんな図々しい娘というのはあまり好みではないのですが、読んでみると意外に嫌味な感じはなく、すらすら読めました。 まあ暇つぶし程度なら悪くはないかな。 |
No.1 | 4点 | E-BANKER | 2014/11/06 21:06 |
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第九回「このミステリーがすごい大賞」を「ラブ・ケミストリー」で受賞し、デビューした作者が贈る連作短篇集。
東京大学大学院修士課程(薬学)修了という華々しい学歴を有する作者のバリバリの理系ミステリー。 果たして素人(経済学部卒業)の私がついていけるのか? ①「化学探偵と埋蔵金の暗号」=まずは連作の初っ端ということで、探偵役の沖野准教授とワトスン役の七瀬舞衣が紹介される冒頭。でも埋蔵金の暗号って・・・これではショボすぎるのではないか? ②「化学探偵と奇跡の治療法」=ガン治療に絡む奇跡の治療法、それが今回の謎。明らかに怪しい民間療法なのだが、なぜか完治した患者がいる・・・? 結果は予想の範囲内。 ③「化学探偵と人体発火の秘密」=大学内で催されたパーティーの席上、突如燃え上がった主催者の髪の毛・・・というのが今回解き明かされる謎。人体発火などというと、いかにも化学ミステリーらしいけど、どうにもショボイ真相がイタイ。 ④「化学探偵と悩める恋人たち」=同棲を始めた二人なのだが、どうにも彼女の様子がおかしい。そしてなぜか彼の方にはストーカーの影がちらついて・・・。という展開の本編なのだが、結末は十分に予想の範囲内。でもストーカーのくだりって必要だったのか? ⑤「化学探偵と冤罪の顛末」=①~④までも緩い作品が並んでいたが、最後の本編もかなり緩~い展開。ミステリー部分よりは、沖野と七瀬の仄かなラブストーリーっていう方向でまとめたかったんだな。 以上5編。 前言撤回。化学素人でも全く大丈夫です。ノープロブレムっていうか、これでは「理系ミステリー」と呼ぶのはおこがましい。 東野圭吾の「ガリレオ」シリーズに触発されたのか、化学や物理学を応用したトリックをテーマにした作品が増えている昨今。 これもその流れのひとつなのは間違いないだろう。 ちょうど森博嗣「すべてがFになる」が地上波ドラマ化されたけど、本作もそのセン狙ってんじゃないのーと邪推したくなる。 (続編も出されたことだしね) どうもその辺りがハナについて仕方がない。 ミステリー的には殆ど見るべきものがなかったし、これでは学歴が泣いているじゃないかねぇ・・・ (別にやっかみではない) 続編は多分読まないな。 |