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[ 警察小説 ] プリンセス刑事 白桜院日奈子&芦原直斗 |
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喜多喜久 | 出版月: 2018年10月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
文藝春秋 2018年10月 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2018/12/12 00:09 |
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(ネタバレなし)
2000年以上の長きにわたって歴代の女王陛下に統治されている、もう一つの日本。都内の三鷹大学の周辺に、被害者の死体から血液を抜く謎の連続殺人鬼「ヴァンパイア」が出没していた。捜査に当たる三鷹警察署の青年刑事・芦原直斗は、ある日上司から同事件の捜査と並行して特別任務を命じられる。それは王位継承権第五位の高位にありながら、なぜか警視庁の警部補として捜査の前線に立つ若く可憐な王女・白桜院日奈子のパートナーとなることだった。 文芸設定も表紙ジャケットのビジュアルもまったくふた昔前のラノベ風だが、webでの世評のとおり、どっちかというとライトノベルというよりはキャラクターものの警察小説っぽい。 作者は漫画チックな設定と題材を必要以上におふざけに料理せず、基本的にマジメに向かい合って語っている(現実の一般人の皇室ミーハー的な視線をよく心得ながら、普段の描写に取り込んでいる)。 ある動機から刑事に憧れて無辜の国民を守ろうとする主人公ヒロインのイノセントな真っ直ぐさも、そんな彼女とラブコメチックなナイト役を演じる男子主人公の献身ぶりもフツーに微笑ましい。これはこういうものとして、よく出来ている。 ミステリ的には登場人物の整理が行き届きすぎてもうひとつ容疑者の幅が広がらず、どんでん返しの先に明かされる真犯人の正体に意外性が薄いのはナンだが、なぜ犯人が毎回の犯行で血を抜いたかのホワイダニットはちょっと面白い。ここが気に入る人は、ミステリとしてもそれなりに悪くない点をつけるだろう。 魅力的なキャストと外さない演出スタッフを揃えれば、23時深夜枠の連続6回一時間TVドラマとかの原作にぴったりな作品。 作者は続編を書く用意もあるようで、出たらまた読みます。 |