皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 青春ミステリ ] オーダーメイド殺人クラブ |
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辻村深月 | 出版月: 2011年05月 | 平均: 5.67点 | 書評数: 6件 |
集英社 2011年05月 |
集英社 2015年05月 |
No.6 | 5点 | パメル | 2020/04/27 10:12 |
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主人公は中学二年生の小林アン。クラス内ヒエラルキーの女子上位グループに属し、勉強も部活も頑張っているリア充型の女子。そんな彼女だが、実は同じ年頃の子が起こした自殺や殺人や事件に関する記事を読んでは、自分は遅れているんじゃないかと焦っている。
読みながら不健全と感じる人が多いと思います。自分もそうでした。ただ、経験不足から視野狭窄に陥りやすく、それ故に些細なことが重大な事に思えたり、すぐ傷ついたり、自信のなさが攻撃性に転じたり、そんな十代の「あるある」がリアルに描かれており惹きつけられる。 最後に見せてくれる光景には心が震えた。ただ、これはミステリとはいえないですね。ミステリ要素を期待して読むと肩透かしを食らうと思います。ちょっと異質な青春小説という感じ。 |
No.5 | 7点 | メルカトル | 2017/06/07 22:24 |
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無自覚なリア充少女アンと目立たない「昆虫系」少年徳川のまわりくどい恋愛小説。
青春小説でもあり、ミステリの側面も備えています。しかし結局は恋愛小説だったのかと思わせますね。分類は難しいです、様々な要素が混然一体となって進行しますので、一言で語ることは難しいと思います。 それにしても二人の関係はもどかしくも歯がゆい。アンは徳川に自分を殺してほしいと訴えます。それもありきたりではなく、歴史に残るような事件にしたいと望みます。何がそこまで少女を駆り立てるのか、理解に苦しむところもありますが、この世から消えたい、でも自殺はいやという我儘な希望を叶えられるのは徳川しかいないというのはよく解ります。徳川にはそれだけの残忍さが宿っているわけですから。 実にブラックな青春ミステリですよ。勿論アンの内面は非常に克明に描かれており、その変態性までも浮き彫りになります。どこにでもいそうな中学生がここまでの変わった嗜好を果たして持っているものだろうか?それに合わせたように登場する徳川の特異性。やはり凡百のラノベなどと比較にならない、異形の小説と言わざるを得ません。 【ネタバレ】 結末は落ち着くところに落ち着きます。読者によっては不満を覚えるでしょうが、これでよかったのだと私は思います。行くところまで行ってしまうのを避けるのが、この作家の良心であり、優しさなのではないでしょうか。 物語の重要なポイントの一つである写真集「臨床少女」ですが、普通写真集は店頭では中身が見られないようになっているのではないと思いますが、どうなんでしょう。ちょっと気になります。 |
No.4 | 7点 | 風桜青紫 | 2015/12/20 02:18 |
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アン、嫌なリア充女なんだけど、ところどころ優しさが見えるのがいいんだよね。周りの人間を馬鹿にしつつも、なんとなく優しくするところ。作中のシーンでいえば、「あの子が泣く」な思想なんだろうけど、なんだかんだで子どもっぽい優しさが見えてくるから、嫌なリア充女でも憎めない。辻村さんはこのあたりのキャラ作りが良くできてるね。でもストーリーはどちらかといえば、いまいちな気が。掴みはいいんだが、結末がどうにも唐突な感じがして消化不良だった。とはいっても、中学生主人公の青春小説としてはかなり面白い部類なんで7点。しかし、アンのおかあさん、愉快でいい人だww。娘からするとうっとうしいかもしれないけど、ろくな奴がいない辻村ワールドの母親じゃ随一のいい人に見える。 |
No.3 | 7点 | 虫暮部 | 2013/06/17 13:04 |
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語り手である小林アンのキャラクター設定が絶妙である。或る程度の共感は覚えつつ全面的に好きにはなれない彼女の内面描写は、私の中にもある自意識過剰や差別意識を容赦なく浮き彫りにする。アンのモノローグに頷くことは同時に、イタい自分を直視させられることでもある。
作者はこれをきっと意図的にやっていると思うのだ。なぜなら、このタイトルであの表紙の本を選ぶ時点で(というかそれ以前にミステリの読者という時点で?)、読者の小林アン度は結構高い筈だから。作者から読者への挑発である。 そしてその向こうにあるのは、“それでも、精精楽しんで、生き抜け”というメッセージに他ならない。 |
No.2 | 4点 | HORNET | 2012/01/29 11:06 |
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クラスのヒエラルキー内で、「リア充女子」のアンと、「昆虫系男子」の徳川。どこを立ち位置として自分を保っていくか、そのために乗り越えなければいけない女子の陰湿な権力闘争。そういうリアルな中学生の現実がよく伝わり、臨場感もあって面白い。が、その中で生きていくのか、それを超越したいのか、中途半端な主人公にだんだんとやきもき(イライラ)してくる上に、肝心のオーダーメイド殺人も結局は・・・って感じでラストに消化不良の思いが残った。ミステリと言うよりはブラックな青春小説という感じ。 |
No.1 | 4点 | 白い風 | 2011/10/20 20:03 |
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題名どおり中学校の”クラブ”活動みたいな作品だったな。
内容もミステリと云うより、淡い恋愛・友情やイジメを扱った思春期の中学生の青春小説の意味合いが強かった気がしますね。 だから、ちょっと期待はずれだったかな。 |