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[ 本格/新本格 ]
盗作・高校殺人事件
スーパー&ポテト・シリーズ
辻真先 出版月: 1976年09月 平均: 5.83点 書評数: 6件

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朝日ソノラマ
1976年09月

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1990年04月

東京創元社
2004年06月

東京創元社
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No.6 5点 まさむね 2024/06/23 19:14
 「スーパー&ポテト」シリーズ第2弾。密室等のトリックは肩透かし気味だけれど、メタ的要素は作者らしいと言えましょう。
 ちなみに、「作者は 被害者です/作者は 犯人です/作者は 探偵です」という謳い文句は、ちょっと盛りすぎかも。

No.5 6点 2021/05/15 22:06
 新宿駅爆破事件で知り合った三組の高校生カップルが鬼鍬村を訪れたとき、ふくべの鬼が笑い、少女の幽霊が霧に消えた。そして、死体が密室に残った。カップルの一組、ごぞんじ牧薩次と可能キリコは推理を展開するが、作者は終幕でこう主張する。
 "作者は 被害者です 作者は 犯人です 作者は 探偵です
  この作品は そんな推理小説です"
 『仮題・中学殺人事件』から四年の歳月を置いて発表された、シリーズ第二長編。同時期のアニメ担当回は『一休さん』『マシンハヤブサ』など。密室殺人二つを始めかなりトリックを盛り込んでいますが、読み返すと両方ともやや小手先っぽく、その上メタな趣向を成立させる為に色々付け足しました、という作品構造なのでどうにもバランスが悪い。密室トリックがアレなのでメインはストーリーを貫く動機云々になるのですが、これもタイトルからある程度察せてしまいます。ラストで『獄門島』ばりに動機が崩壊しちゃうのは良かったですけど。
 悪い作品ではないのですが、再読するとどうしてもギスギスした所が目立ってしまいますね。設計自体が欠陥建築で、逆に買えるのは継ぎ接ぎ要素による齟齬の面白み。〈密室を完成するのに、凶器は必要ないのだ〉とか、ミステリとかに無関心な昔のおっちゃんなら、確かにそう思ってもおかしくはないのかも。
 以前は次作の『改訂~』でガクッと落ちる印象でしたが、今評価すると初期三作のうち若干凹むのはコレ。と言っても二度に渡るいとこの幽霊目撃から引っ張る展開は快調で、ストーリー的には楽しませてくれます。それなりに思い出のある作品なので、採点は5.5点~6点の間。

No.4 6点 nukkam 2017/04/08 23:03
(ネタバレなしです) 1976年発表のスーパー&ポテトシリーズ第2作の青少年向け本格派推理小説です。松本清張の「高校殺人事件」(1961年)を意識していることが作中でちょっと触れられていますが別に清張作品を「盗作」しているわけではありません(笑)。連作短編集風な構成のシリーズ前作「仮題・中学殺人事件」(1972年)と違いこちらは普通に長編作品となっていますが、幽霊トリックや最初の密室トリックなどいくつかの謎が早い段階で解明される展開は似ていますね。本書も「仮題・中学殺人事件」と同じく大胆な仕掛けを用意していますが「終幕」の説明のインパクトが弱く、蛇足にしか感じられませんでした(私の理解力が弱いんでしょうけど)。個人的には「終幕」の前まで読んだところで終了です。

No.3 4点 E-BANKER 2016/06/25 21:52
「仮題・中学殺人事件」に続く、“スーパー&ポテト”シリーズの二作目。
今回も前作に引き続き“凝った”プロットが仕掛けられている模様。
1976年発表。

~新宿駅の九番線ホームで電車を待っていた牧薩次の後ろで鈍い爆音とともに売店から黒煙があがった。パニック状態になった群衆は階段に殺到し、折り重なって転落した。病院に担ぎ込まれた薩次は同室の若い被害者ふたりと意気投合し、その中のひとり、三原恭助の実家の温泉旅館にそれぞれのカップルで出掛けることになった。だが、そこで密室殺人事件に巻き込まれることになる・・・~

刊行当時、本作の帯に謳われていたのは、
『作者は、被害者です。作者は、犯人です。作者は、探偵です。この作品はそんな推理小説です』という言葉。
前作(「仮題・中学殺人事件」)では、読者=犯人という趣向に取り組んだ作者だったが、今回は更に難度が増したこととなる。
ただ、正直言って前作のトリック&プロットもかなり微妙だったし、無理矢理感たっぷりだった。
(読者=犯人というと、深水黎一郎の「ウルチモ・トルッコ・・・」の方が数段マシだった気が・・・)

で、本作なのだが・・・予想どおりの微妙さ。
タイトルからして堂々と「盗作」と謳っているし、途中の「幕間」パートで「作中作」っぽい仕掛けが見え隠れしている。
残りページが少なくなるなか、いったいこれをどんな具合に収束させるかという不安がよぎるのだが・・・
「なんじゃこりゃ?」というラストに突入することになる。
ちょっと表現しづらいけど、「分かりにくいし、小手先」という感じか?
密室トリックも二種類登場するけど、同様に「分かりにくいし、小手先」。

ちょっと辛い評価をしてしまっているけど、時代性も含めれば致し方ないのかも。
こういう“凝った”仕掛けにチャレンジすること自体を評価すべきなのだろう。
でも、面白いか面白くないかという二者択一なら、「面白くない」方に軍配を上げざるを得ない。
(実家がスーパーを経営しているからあだ名が「スーパー」って・・・安易すぎだろ!)

No.2 5点 江守森江 2009/09/09 10:59
このサイトで書評を始めた頃に再読したが、作品登録が無かったのでスルーしていた。
前作同様に仕掛けの為にスッキリさに欠けた印象が拭えなかった。
発表当時にジュヴナイルで、これだけ試した事が現在の本格ミステリ大賞受賞に繋がって嬉しい思いはある。

No.1 9点 あるびれお 2009/09/09 04:11
リアルタイムよりはちょっとだけ遅れてソノラマ文庫で読みました。わたしが中学~高校生の頃、本格ミステリとしてのトリックがきちんとしていて、時にメタの要素が入っていて、そして何より稚気に富んでいる作品を書いてくれる作家って、ほかにほとんどいませんでした(岡嶋二人さんとか、数えるほど)。もちろん、今この作品を読まされても時代遅れの感はあるのでしょう。でも、当時楽しませてもらった辻さんの作品の中でも、「ローカル線に紅い血が散る」とともに一番印象に残っている作品です。


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