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[ 本格/新本格 ]
改訂・受験殺人事件
スーパー&ポテト・シリーズ
辻真先 出版月: 1977年03月 平均: 5.80点 書評数: 5件

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朝日ソノラマ
1977年03月

東京創元社
1990年04月

東京創元社
2004年08月

東京創元社
2023年11月

No.5 6点 nukkam 2021/03/24 21:52
(ネタバレなしです) 1977年発表のスーパー&ポテトシリーズの青春三部作の最期を飾る本格派推理小説です。創元推理文庫版で300ページに満たないですが仕掛けは一杯です。今回はキリコ(スーパー)の視点と薩次(ポテト)の視点で交互に物語を語らせる構成を採用し、両者が何を考えているかも読者に明示しながら真相は最後まで伏せる芸当をやってのけています。この青春三部作は実験的手法を取り入れていることでも有名ですが、最後に紹介されている海外古典ミステリーの引用で何を狙っていたかをきちんと説明しています。とはいえ引用が抜粋形式ということもあってこの古典ミステリー(ややマニアックな作品です)を読んでいないと何が実験的なのかわかりくいと感じる読者がいるかもしれませんが。

No.4 6点 2021/02/01 10:33
 世田谷の私立・西郊高校きっての秀才、有原秀之の死にざまは、まさにエドワード・D・ホックの "長い墜落" だった。自殺を予告して三階の校舎の窓から飛び降り、実際に死体が発見されるまでの四時間のあいだ、彼はどこに消えていたのか? 有原の死を殺人と考える牧薩次と可能キリコは、同級生の父親で出版社社長・田辺充の求めに応じて事件の詳細を小説にするが、その中に第二、第三の仲間の死が加えられることになろうとは、名探偵コンビの思いも及ばぬことだった。
 校歌に見立てたかのように繰り返される連続殺人。高校生探偵スーパー&ポテトが活躍する、青春三部作完結編!
 『盗作・高校殺人事件』に続いて発表された、シリーズ第三長編。同時期のアニメ脚本担当回は『超電磁ロボ コン・バトラーV』『ジェッターマルス』など。今回は再読ですが初読の際はメタ趣向の強引さのイメージが強く、前2作よりワンランク落ちると思ってました。が、改めて読み返すと悪くないかも。事件は全部で三件ですがホックに挑戦した墜死よりも、路地に面した喫茶店とパチンコ屋コンパチの、細長いパーティー会場が舞台となる撲殺事件の方が面白い。シチュエーションや小道具の使い方にも面白みがあり、結構考えてあります。雲泥の差とまでは言いませんが、約二年のインターバルを置いて発表された四作目の『SF~』とは大違い。波が激しいのはやはり兼業作家の宿命でしょうか。
 辻氏の早書きは有名で、喫茶店でコーヒー飲みながら雑談してる間に、アニメ1話分の脚本を書き上げたこともあるそうですが、そんなとんでもない人でも、コンスタントにミステリの良作を提供するのは難しいのかもしれません。ただジュブナイルなのに本歌取りされるミステリ作家がホックやロースンと渋く、相当の年季が窺えます。
 校歌の歌詞に従った全三部を、それぞれ前半スーパー後半ポテトで物語る構成。これを「犯人のはしがき」「犯人のあとがき」が、匿名でサンドイッチしています。おおまかな狙いは予想出来ますが、手口がムリヤリ過ぎてやっぱり感心しないなあ。前二作でああ持って来てるから仕方ないんだけど。
 作中でもポテトが(なんだってこんどの事件は、やたらにトイレの話が出てくるんだろう)なぞと回想しておりますが、そのトイレに絡んでの伏線もなかなか。意外な犯人も用意されていて、ストーリーも軽快。内容的には前作と同等か、あるいは凌ぐかも。メタ的な部分以外は手抜き無く作られた作品で、採点は6点。三部作の中でも突出して胡散臭いカバーですが、見た目ほどアレではありません。

No.3 6点 あるびれお 2009/09/09 04:17
「仮題・中学~」「盗作・高校~」ときて三作目。前の二作のような圧倒的な面白さは感じなかったな。たぶん、これを読んだのが、だいぶ「辻真先」という作家に馴染んでしまった後だったからだと思う。「犯人=読者」「作者は被害者かつ犯人かつ探偵」に続く設定として、ちょっと地味だったせいもあるかもしれない(「読者は被害者かつ犯人かつ探偵」という設定の「宇宙戦艦富嶽殺人事件」を先に読んでしまっていたし)。
もちろん、楽しく読んだのだけれど、比較の問題です。

No.2 6点 江守森江 2009/05/24 20:57
これも推理クイズ番組の影響で再読。
この作品の仕掛けは読みにくくはならず楽しめた。
作者の若さの秘訣は遊び心なのか。

No.1 5点 こう 2009/01/21 00:04
 ポテト、スーパーのシリーズ第三弾です。ここまでの3作品は主人公が高校生という設定です。
 恐らくジュブナイルでありポテト、スーパーの関係も今読むとこっぱずかしい印象ですがこのシリーズは全作メタ要素が強い作品なので一読の価値はあるかと思います。
 主人公の通う高校きっての秀才が飛び降り自殺を遂げるが殺人事件の疑いが強まり更に第二の殺人も起こり、というストーリーです。
 殺人の方はそんなにうまくいくとは正直思えませんが真犯人の隠された動機に趣向があり30年前ですと早すぎた印象があります。逆に現代だと読者が身構えて驚きは小さいかもしれませんが一読の価値はあるかと思います。作風としては全編ジュブナイル調なのでそれが大丈夫ならお薦めできます。いずれにしろさっと読める作品です。


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