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[ 本格/新本格 ]
十角館の殺人
館シリーズ
綾辻行人 出版月: 1987年08月 平均: 7.92点 書評数: 278件

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講談社
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No.218 9点 misty2 2011/01/03 17:42
とにかく、拝読して良かった。
犯人を確知したうえで、再度楽しんでも良さそう。

No.217 7点 kanamori 2011/01/03 17:29
新本格派のレビューの一番手といえば、やはりこの人のこの作品ということになりますねぇ。当サイトでも書評数がダントツの200件越え、恐るべし。
うっすらした記憶とは違って、館ミステリの王道とはいえないし、孤島ものでもなかったです。多くの方が書かれている「あのひと言」はサプライズというより、フェイントに引っかかった感じでした。これは著者のパターンですね。

No.216 8点 Q-1 2010/12/21 21:26
今更私如きが評するまでもない傑作ですが思い出したので...
ある時点で真犯人の目星はつきましたが
ページ数の割りに文字数が少なく何より物語が面白かったので、
スラスラ読めた記憶があります。
吉田さんの「守須くんも面白い名前だな」という発言がなかったら
もっと早く犯人に気がつけたと思うので、こういった辺りにも感心しました。

No.215 9点 ムラ 2010/12/12 18:36
この小説を始めてみたときは感動しました。抜け道がある推理小説は邪道を軽く覆してくれたんじゃないでしょうか。
叙述トリックを巧みに使う綾辻の作品の中でも、最高峰だと思います。(思い出補正かなりあるけど) 
唯一の問題は動機の弱さですね。それだけが引っかかってしまう。それ以外は文句なしに名作中の名作。
なによりも自分がミステリ小説の世界に入って行くきっかけとなった作品でした。

No.214 9点 seiryuu 2010/12/05 11:16
本家より好きだったりする。
完全犯罪を天に委ねるところもにくい演出だわ。

No.213 6点 レイ・ブラッドベリへ 2010/06/05 12:38
【おもいっきり ネタバレしています】

 とりとめのない感想ですが、この作品の犯人にふれていますので、未読の方はご注意下さい。
(…でも「未読の人」っているのかな?)


1.体を張った、大がかりな「アリバイ作り」の話だと思った。

 「江南くん。ボクがこちら側にいた事は、きみも知っているよね」というわけだ。
ただし、探偵役が鮮やかなアリバイ崩しを見せてくれるわけではない。解明のための手がかりは殆どなく、むしろ真相から遠ざけようとする作者の企みがあるからだ。

だから江南くんには、
「キミはこのところ、すごく疲れているみたいだけど、ちゃんと寝ているのかい?」位の台詞を言わせれば良かったのに(笑)

2.「隔絶された孤島で、不気味な予言に従って何者かに一人ずつ殺されていく」という設定は、クリスティの大発明だそうだ。

 これを踏襲して面白くないわけがない。
ましてや登場人物はアパートに住み、ティーバッグの紅茶を何杯も飲みながら、夜を徹して友だちと語り合う学生たちだ。
そこに重厚なドラマがなくとも、読む者の充分な共感を得るに違いない。
 そういえば「十角館」は “Ten Little Niggers” と 数をそろえてあるのだな。
もっとも十角館は満室ではなかったけれど。

3.嵐の孤島に閉じ込められた者は、誰もそこから脱出することはできない。

 同様に島外の人たちも、救援に向かうことは出来ない。
豪雨と強風、逆巻く波が両者を隔てているからだ。
でもこのときの状況は「嵐の孤島」ではなかった。
閉じ込められたのは、ただ単に船がなかったためだ。

4.最初に読んだとき、エピローグの内容が理解できなかった。

 島の外にいる人間には、島での出来事は分らなかったはずだ。
事件の経過を書いた記録が見つかったわけでもないし…。
それなのにエピローグの中で、探偵役が、いろいろと思わせぶりなことを言うのだ。
だから「こいつ、島にいなかったくせに何がわかったというのだ!」と思ったのだ。
…でも今はこう考えている。
探偵役は桃太郎の話から、事件の構図を連想したのではないかと…。

 「鬼が島で、大量の鬼の死体が見つかった。どうやら鬼どもの内紛があったらしい。
でも本当は内紛ではなく、外から桃太郎がやって来たのではないのだろうか。
もしそうだとしたらその詳細……どのように殺したのか、その理由は何なのか、
(…それは鬼退治のためである…)
については、後からゆっくり桃太郎に問いただせばよい。」

(島外の人間にとって、この島は閉ざされた空間ではなかったことを思い起こして頂きたい。
また、普段は無人のこの島で、合宿している者たちがいることを知っている人間は限られている)
そこで探偵役はカマをかけてみる。「〇〇くん、キミは桃太郎なのだね…」

5.あの一言も、「あれ?同じ名前のヤツが二人いたのか?」としか思わなかった。

 ぼくは「名前なんて他と識別するための記号だ」、位にしか考えていないカタブツなので、こんな所に仕掛けがあるなんて思いもしなかったのだ。後でこのことを聞いて、「そんな所から仕掛けてくるのか。油断も隙も無いな」と思った。

 でも読み直してみると「明礬」「鉄輪」「安心院」など、地元の人でないと読めないような地名や、「金雀枝」「雪柳」「更紗木瓜」という難しい植物名が、読み仮名をふられて出てくる。
(「いや、私は全部、すらすら読めました」という人もいると思うが、今回もご容赦願うことにして……)。
 この流れの中では、ふり仮名つきの変てこな名前の人物が出てきても「そんな人もいるのか」と何となく受け入れてしまう。

 だいたいK**大学ミステリ研究会の連中も、根性がないのだ。
こんな「日本姓名大事典」(そんな事典があるのか?)にも絶対に載っていないヘンな名前の新人が入ってきたのだぞ。
たとえ本人が、「ベンスンがどうした、グリーン家がこうした」と熱く語ったとしても、
「いーや、お黙りなさい!何と言おうと、お前さんは〇〇〇〇でキマリです!」と決めつけるくらいの気概がなくてどうする!

6.このミスリードには、今までのミステリにはない軽快さを感じた。
だが、決して本格的とは思わなかった。

 子供のころ流行ったクイズに、こんなものがある。
「ある春の日のことです。太郎君はカゼを引いて寝込んでいました。
その窓辺に牛がやって来て“モー”と鳴きました。そこへ蝶も飛んできました。(なんかシュールな光景だ)
さて太郎君の病名はなんでしょう?」

 空さんの書評によると、ゴメスの名はゴメスだが、乱歩氏の本名は平井太郎だそうだ。 
筆名は推理小説の始祖といわれる“アラン・ポー”に因んだのだという。
ネーミングとは本来、そのようなものなのだろう。
決して「モーチョウ」なんかではないのである。

No.212 7点 清涼水 2010/02/19 23:31
いろいろ意見はあるだろうけど、驚きたい人にとっては楽しめる娯楽じゃないかな。

No.211 1点 あやと 2010/02/19 11:23
クリスティの「そして誰もいなくなった」のような名作と比較するなんてとんでもない暴挙。2時間ドラマと同程度のトリックを使っている本作品を賞賛している人がいるとは信じられない。

No.210 8点 STAR 2010/02/14 21:40
(ネタバレあり!)
叙述トリックと知らず予備知識がなく読んだので、幸せでした。アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」の先入観があったので、最後に「やられた!」となりました。
ただ前半は長くダラダラした印象。
動機もなんだか人を殺す動機としては弱い感じがしました。

No.209 9点 まさむね 2010/02/14 11:52
やはりあの1行は,極上級。
1点マイナスしたのは…結末に関する個人的な印象(好み)によるもののみ。限りなく10点に近い9点ということで。

No.208 6点 文生 2010/01/20 16:54
氏の代表作というだけあってメイントリックはよく出来ているが、小説としてはまだ稚拙で青臭い登場人物の言動にはイライラして感情移入がしがたいものがあった。

No.207 10点 こみめたる 2009/12/28 10:34
推理小説を読み漁っていた高校時代、この本をなぜか手に取り、それまで読んでいた推理小説が色褪せてしまうほどの衝撃を受けました。あえてクリスティの某作品に挑戦し、人物設定、次々と起こる殺人への恐怖感、予想しえない驚愕の結末(伝説に残る名台詞)、殺人動機、最後のエピローグまで、全てにおいて見事に本家を凌駕することができた推理小説史に残る傑作!
本格推理物として、今もこれを越える作品には出会っていません。

No.206 8点 band box 2009/11/17 20:40
あの一言に尽きる。
小説という媒体でしか表現できなかったであろう、あの華麗な荒技。
「傑作のミステリ」以前に「傑作の小説」ではないだろうか。

No.205 3点 パピルス 2009/10/24 20:56
多くの人が傑作、名作と言っているがそれほどすごいとは思えない。あの「一言」は驚いたが犯人の独白で終わるのが納得できない。
人物描写も深みがない。

No.204 6点 江守森江 2009/10/19 23:14
島荘の推薦文付きノベルス出版時に初読。
※以下ネタバレ御免!
「そして誰も〜」を土台にした作品で‘本土’が平行して描かれた点に違和感を感じ、推理が飛躍し作者の狙い(犯人)に到達してしまい'例の一行'に驚きが無かった。
更にC・C設定なくせに犯人だけC・Cでない結末に(密室の解決が秘密の抜け穴だった位)落胆し館シリーズから離れた。
自分の認識を再確認する目的で約二十年振りに再読してみた。
本格ミステリにシフトする事で「そして〜」ほど登場人物達の生き残り本気度も気にならず(かえって笑えた)、緻密でロジカルな構成を思いの外楽しめてしまった。
しかし、上記の不満に加え、エピローグに物足りなさも感じ微妙な評価に留まった。

No.203 8点 ZAto 2009/10/17 13:52
読者の先入観までも巧みに伏線として取り入れているのではないかと気づき始めるに至って、俄然、活字を追う目が冴えはじめてきた。
優れたミステリーとは作者が読者をいかに掌の上で遊ばせられるかにつきるのだとすれば、これは傑作といってもいいのではないか。

No.202 9点 (^^) 2009/10/04 20:56
自分が本格にハマるキッカケとなった思い出深い作品。
当時はとにかく「やられた!」の一言だった。

No.201 5点 りゅう 2009/10/04 17:28
 採点数の多さ、平均点の高さから、かなり期待して読み始めたのですが・・・・・・。期待の割には、イマイチでした。最後にあっと言わせる仕掛けはあるのですが、犯人の必然性に乏しく、謎解きとしては楽しめませんでした。エピローグは余韻があって、良かったと思います。

No.200 10点 りんちゃみ先輩 2009/09/23 13:19
とにかく、この後の綾辻作品に引込んでくれた作品です、10点以外にありません。感動しました。

No.199 6点 E-BANKER 2009/09/03 22:47
「館」シリーズ第1作というよりも、「新本格」というミステリーの一大ムーブメントの端緒となった記念すべき作品。
現代日本のミステリー界にとっても、重要な作品という位置付けでしょう。
今回、新装版で久々に再読。
~十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリー研究会の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて、学生たちを襲う連続殺人の魔の手。ミステリー史上最大級の、驚愕の結末を読者が待ち受ける。1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作~

本作の評価なんて「今さら」なのでしょうが・・・
個人的には、世間的な評判ほどの評価はしていないといういのが本音。(もちろん、歴史的な価値については別にして)
確かに、ラストの衝撃(例の人物のセリフですよね)については、「驚愕」という形容詞がピッタリかとは思うし、処女作とは思えないほど練られたプロットなのは間違いないところでしょう。
ただねぇ、「いかにも」という感じで呈示された「十角館」が、トリックに何の関係もなかったり、「動機」の件はいくらなんでも不自然。
(それだけの事件が過去に起こっていたなら、普通気付くだろ!)
「館」シリーズでいうなら、個人的には「時計館」の方が何倍も面白かったし、評価すべき作品だという気がします。

というわけで、あくまでも平均点というのが、本作に対する評価になってしまいますね。
(「エラリイ」や「ポオ」なんていうニックネーム、恥ずかしいだろ!)


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