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[ SF/ファンタジー ] メランコリイの妙薬 異色作家短篇集 |
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レイ・ブラッドベリ | 出版月: 1974年09月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 早川書房 1974年09月 |
![]() 早川書房 2006年10月 |
No.2 | 6点 | クリスティ再読 | 2025/04/01 15:21 |
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ブラッドベリって「すごい!」とは思うけど、評者は「好き」とはならない作家だったりする。少数派かな。何となくその理由というのも了解しかけてきた。
いやある意味ブラッドベリって「異色作家」らしい切れ味の作家ではないんだよね。「切れ味」のシンプルさではなく、矛盾する方向に引き裂かれて読後ハタと当惑しつつ「じわじわと感じる」タイプの作家だろう。 一年中雨が降り続く惑星金星の子供たち。七年ぶりに晴れ間が見え太陽が見えるという予報があり、子どもたちは太陽を見るのを待ちわびていた。 太陽は花だとわたしは思います。 一時間だけ、ひらく花です。 この詩を書いて太陽を待ちわびた少女マーゴウ。しかし、最近金星に移民してきたマーゴウは同級生から孤立しており、やっかみから貴重な「太陽の時間」のあいだじゅう、戸棚に閉じ込められてしまう.... 「すべての夏をこの一日に」はこんな話。この短編集ではベストと思う。 センチメントを超えた感覚の「爆発」、絵画的な描写力が凄すぎて圧倒されるのだが、これをイジメを背景にした「こころの痛み」と一緒に語る。この矛盾がやはりブラッドベリなんだろう。太陽による束の間の解放とそれを奪われた少女の痛み。感覚と感情が矛盾する中間で宙ぶらりんに立ち尽くす姿。これがブラッドベリ独特の「ムード」とでも呼ぶべきものなのだろうか。 都会的なポオ的な幻想には、周到なまでにトムソーヤー的な野人が異を唱えるべく待ち構えている。火星に圧倒される開拓者地球人は、知らず知らずのうちに「火星人」に自身が「侵略」されていく「金色の目」の逆説。 こんなムードの「矛盾」がブラッドベリらしさのように感じる。 (まあ素直に宇宙旅行をクリスマスストーリーにした「贈りもの」みたいな作品もあるんだけどもねえ。あ、あと砂浜で無心に砂絵を描くピカソに遭遇する「穏やかな一日」はいいな) |
No.1 | 5点 | mini | 2010/06/26 09:59 |
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昨日発売の早川ミステリマガジン8月号の特集は”異色作家の最新潮流”
全然最新潮流じゃないけど、異色作家短篇集全集から1冊 異色短篇作家ブラッドベリはSF作家との認識の人が多いみたいだが、本質はSFじゃなくてダークファンタジーとかの方が近いと思う しかし『メランコリイの妙薬』はそのどちらとも違って、この作者にしてはミステリー色が強い この短篇集なら当サイトで採り上げても何ら違和感が無いだろう ただ悪く言えば、ブラッドベリ独特の暗さが無い 一応"SFの叙情詩人”と異名を取る作者らしい叙情性はあるものの、ちょっと本領とは方向性が違うかなぁとも思える 余談だが3戦目デンマーク戦での快勝は、メランコリイを吹き飛ばす妙薬だったな |