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[ SF/ファンタジー ]
レベル3
異色作家短編集
ジャック・フィニイ 出版月: 1961年01月 平均: 6.00点 書評数: 2件

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早川書房
1961年01月

早川書房
1974年01月

早川書房
2006年09月

No.2 7点 クリスティ再読 2022/10/22 14:45
さてこっちがフィニイの第一短編集。もちろん「ゲイルズバーグの春を愛す」より前の作品になるわけだけど、ほとんどの短編がこの人お得意のタイムトラベル物とその変形。甘口恋愛小説の「雲のなかにいるもの」「青春一滴」と、高所恐怖との闘いで日常冒険系の「死人のポケットの中には」以外の8作すべてにタイムトラベルが関わるのが固執的と言っていいくらい。

まあだから全体の印象としては「ゲイルズバーグ」と比較すると「多彩さ」には欠けるかな。でも、ギスギスした現代からタイムトラベルでどんどんと過去に人間が逃げ出して現代文明が崩壊する「おかしな隣人」の奇想は長編化したらいいんじゃないか....と思うのだけど、フィニイだとそういう感覚とも思えないか。要するにタイムトラベルというアイデアを介して、実存的な「選択」を省みるというのがフィニイの狙いかつ、らしくて魅かれるあたり。mini さんもご指摘だけど、SFとしての扱いじゃないんだよね。
それでもちょっとパラドックス的なオチがつく「潮時」とか「第二のチャンス」といったあたりに、「選択したこと」「選択できなかったこと」がもつれあって、後悔しつづけたことが不思議にも実現されてしまい、それによる「満足感」みたいなものが漂うのが、一番のフィニイらしさであり、泣かせどころ。センチメンタルにイイところがあるし、そんな甘さが女性ファンのココロを鷲掴み?

まあだけど、とりあえずこんなところでフィニイも打ち止めにしようか。ミステリ系・異色短編はすべて済、ファンタジーに傾いた作品は、また別の機会に。

No.1 5点 mini 2010/02/27 10:16
異色短篇作家ジャック・フィニイは長編も書いているが、いづれにしてもファンタジー系作家と認識されることが多い
特に得意なのが過去への郷愁で、都会を舞台にしながら昔の田園生活にあこがれるような人物がよく登場する
本格編愛読者には時間SFを好む読者がたまにいるが、大抵はその手の読者が好むのはタイムパラドックスであって、SFを読むときでさえパズル的要素ばかり求めるのだろう
私はそういう読者にはなりたくないが、その手の読者にはフィニイは物足りないに違いない
なぜならフィニイの作品にはタイムトラベルはあってもパラドックスを論考しようなどという意図は無いからだ
フィニイはロジックを展開する作家ではなくて、あくまでも物語の顛末や流れを描く作家である
私はミステリー小説にパズル要素だけを求める姿勢は嫌いだから、本来ならフィニイは合うはずなんだけどねぇ、どうもアイデア自体が格別優れているわけでもないのでね
早川のこの全集の中でもフィニイは特に人気のある作家だが、ずらりと並んだ短篇の名手の中で、フィニイの人気というのがどうも良く分からないというのが正直な感想なのであった
ただしもう一つの得意技として、冒頭の引き込みの上手さには脱帽せざるを得ない
この事は解説の恩田陸も強調しているが、さり気ない文章なのに読み出したら読者の興味を掴んで離さない


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ジャック・フィニイ
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