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[ サスペンス ] サスペンス篇「夜よりほかに聴くものもなし」 山田風太郎ミステリー傑作選 |
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山田風太郎 | 出版月: 2001年05月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
光文社 2001年05月 |
No.2 | 8点 | 斎藤警部 | 2019/08/29 06:00 |
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鬼さんこちら 8点
風の底意地悪さが際立つ、業の深いサスペンス逸品。 目撃者 8点 これも風の底意地悪さが光る、不条理味濃いサスペンスフル・ファンタジー 跫音 10点超え こりゃやべえ。12点も超えました。。。。 (不似合に落語風な最後のオチはまあ、構築美を整えるためのピースか) とんずら 8点 風の短篇の毒は、久しぶりに読むとほんとすぅ〜っと体に入ってくるな。オチ単体は軽いもんだが、風の因業ずっしりな筆で書かれるとここまでヤバい小説に化ける。 飛ばない風船 9点 風ならではの殺伐力躍動、学問の神通力も借りた意思ある殺人の末、、、、、 このオチか!死ねや!! コントラストの残酷さこそたまらない。 鮎哲のチャンチャン系倒叙を風の疾風スパルタヨットスクールで更生させ尽くした、がオチだけはわざとそのまま放置で実験してみたような剛力作。眩しいぜ。 知らない顔 8点 殺伐ユーモア+慰めペーソスの到達点は思慮唆る重いオチ。 不死鳥 8点 完璧な建築のようでどこか甘いエグ味が光りやがるなと思ったら。。。そういうこと。。いつもの風にも増して動きが速く構成の面白い濃短篇。重要物件に単行本「誰にも出来る殺人」が登場しやがった。最後の台詞、最高だね。。 サザンオールスターズ「栞のテーマ」が頭をよぎります。 ノイローゼ 7点 何気に単純な真相を、毎度馬鹿馬鹿しい小咄でサンドイッチしたしたところ、この面白さですわ。 動機 7点 タイトルとカチカチ進む内容でもってそこまで引っ張っておいて、そんな身勝手なチャッチャカ終わりかー でも途中は面白かった! 吹雪心中 8点 転倒に次ぐ転落、麻痺、死神相撲。極限段階で艶も情も奈落まで吹っ飛んだ男と女の最悪譚。イヤサスの理想地獄がここに。 環 6点 哀れなるユーモアサスペンス。表題に謳うほどクルリと一周などしてないんじゃ。。 寝台物語 8点 いくつかの予見を孕みつつ、最後はカチカチと直角毎に半反転を続けこの終結! いやあ沁みた。そしてあの端緒に戻るのか、戻りたくない。。。。 夜よりほかに聴くものもなし(連作短篇) 7点 単品で書評済み(一篇ずつではないけど)。 いかにも風らしい人間の業の深さを随所に垣間見せつつ読みやすい、面白い連作でサクサク行けますが、例の決め台詞「それでもおれは、君に手錠をかけねばならん」で締める趣向ならばもっと”渋い”雰囲気のディープ人情譚で行ってくれたらなあ、と思わなくはない。意外と心理の飛び道具が露悪的にギラギラ飛び交うよな、渋くない話が多い。あと、唐突にガチガチの本格(トリッキーで面白い)が登場したりもする。読む価値はじゅうぶんありますよ。 |
No.1 | 6点 | ボナンザ | 2014/05/12 00:59 |
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山田風太郎のサスペンス作品を収録した珠玉の短編集。
どの作品もアイディアは眼中の悪魔や十三角関係に及ばないが、実に人間模様が秀逸に描かれている。奈落の底への転落は自然に、避けようもない。 表題の連作もやるせなさに満ちた傑作だ。 それでも。 俺はこの作品集をミステリとして高評価するわけにはいかぬ。 |