皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ ハードボイルド ] サマータイム・ブルース ヴィク |
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サラ・パレツキー | 出版月: 1985年06月 | 平均: 5.40点 | 書評数: 5件 |
早川書房 1985年06月 |
早川書房 2010年08月 |
No.5 | 6点 | レッドキング | 2024/01/04 06:52 |
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サラ・パレツキー処女作。薄汚れ私立探偵、皮肉たれ一人称、行方不明捜し依頼、殺人事件遭遇、怪しげな依頼者関係者と裏社会勢力、分かりやすーいミステリ、効果的にバイオレンス・・主役探偵とトビキリ情人の男女をチェンジした、絵に描いた様な、お手本ハードボイルドと思いきや、結末は如何にも米国好みハリウッド - ディズニー系ハッピーエンド。ヒロインの挑発、「おまえ、タタないから拳銃握ってんのよ」に激昂する殺し屋(^o^)。 女医・警部(補)はじめ「気のいい」保護者協力者に恵まれすぎで・・・ハードボイルドっちゅうのは、もっともっとハードでビターでダークでありたい・・・まあいいや、新年初採点なんで、点数大オマケ。 |
No.4 | 7点 | クリスティ再読 | 2021/11/07 10:00 |
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いいじゃん。いや評者前から読みたいと思ってたシリーズなんだけど、未読作家なので後回しにしていた。シリーズ自体全くの初読である。
事件自体は、社会派的な内容で、パズラー好きな読者がそもそも面白いと思うようなものではない。でも労組+損保+信託銀行というこの背景のシブさは、ちょっとデビュー作とは思えないくらいのもの。1982年出版で、当時まだあった学生運動の残り火と、既成労組の腐敗(いわゆるダラカンってやつ)の対比とか、明白に70年代的なネオ・ハードボイルドの流れを受け継いでいるのがわかる。評者ご贔屓なモーゼズ・ワインに近いポップなテイストも感じるんだよ。フェミだってさあ、やはり70年代の空気感からやはり育ってきたものだしね。 ふつうはイニシャルを使っているわ。弁護士として働きはじめんたんだけど、同僚や相手方の男性弁護士というのは、わたしのファースト・ネームを知らないときのほうが、横柄な態度に出ないものってことに気づいたの これが実にV.I.ウォーショースキーのキャラを如実に示していると思う。 女はナメられる、それにムカツきながらも、それをカワす知恵を駆使して、オトコたちとワタりあうヒロイン像。しかも、ヴィクが女性差別にムカついているのを、直接描写ではなくて、チャンドラー風の警句にうまく昇華しているあたりが、「おお!」と膝を打たせるようなうまい「ハードボイルドの使い方」なんだ。フェミの声高さをハードボイルドに昇華したあたりで、リアルというよりも「ポップ」という方向に向かっているのが、この作品の良さなんだと思う。 だからかな....ヴィクのファンタジーの中だと、ピーター・ウィムジー卿が白馬の王子様なのが、微笑ましくも許せる(苦笑)。 |
No.3 | 5点 | YMY | 2020/02/26 20:46 |
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移民が作り上げたシカゴという街の闇の部分が興味深く、70年代のアメリカにおける時事問題を反映しているのも面白い。
しかし、最も魅力的なのはヒロインのヴィク。行動もさることながら台詞がタフで、クールでしびれる。 |
No.2 | 5点 | 空 | 2016/11/11 22:30 |
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ヴィクを空手の達人とするシリーズ作品についての文章を時たま見かけていたものの、そんな場面には今までお目にかかったこともないしなと不思議に思っていたのですが、この第1作を今回初めて読んで、なるほどと納得しました。ヴィクに手刀をくらった悪党が「カラテの達人だってことまでは聞いてなかったぜ」と言っているのです。つまりあくまで彼の主観なわけで、実際のところ、本作のアクション・シーンを読む限りでは、ヴィクには空手の心得もあるといった程度です。それなのに本作のカバーでの紹介文を始めとして、勝手に事実みたいに書かないでもらいたいですね。
ハヤカワ・ミステリ文庫の訳者あとがきでも、筋書きは複雑でないし、特に目新しい領域に踏み込んでもいないなんて書かれているように、真相は初めから見えていて、ひねりが全然ありません。しかしハードボイルド的には、ラスト・シーンもよかったですし、まあまあでしょうか。 |
No.1 | 4点 | mini | 2008/12/07 10:33 |
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クリスマスの時期なのに季節外れの題名の書評で恐縮
読んだ時は真夏だったので(苦笑) ハードボイルド作家は案外とインテリが多いが、パレツキーは女性作家団体の会長も務めたりと作家活動以外の分野でも中心人物で4Fの中でも功労者と言えるだろう 現代私立探偵ものを書くならこうだよな、っていうイメージ通りで、ものすごく面白いわけでもないが決してつまらなくもない ちなみに江口寿史のカバー画も結構イメージ通り 文章は上手く個人的には文体だけならグラフトンよりパレツキーの方が好き ただ主人公ヴィクを取り巻く人達を都合良く配置しているのがちょっと気になった |