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[ 本格/新本格 ]
十三回忌
海老原浩一シリーズ
小島正樹 出版月: 2008年10月 平均: 5.50点 書評数: 6件

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原書房
2008年10月

双葉社
2013年07月

No.6 5点 okutetsu 2022/09/15 00:01
ハウダニットに重きを置いた作品だと感じたがいくらなんでも大味すぎてあまり好きにはなれない解答だった。
とはいえそこまでは楽しく読めたのでこの点数。

No.5 5点 メルカトル 2015/11/20 22:12
第一から第三までの殺人の概要はよく分かるが、警察の捜査をやや端折り過ぎの感がある。警察関係者は幾人か登場するわりには、そちらからのアプローチが足りていないと思われる。
それぞれのトリックはなかなかの奇想が感じられるが、偶然に頼ったものがほとんどで、現実味は薄い。ただ、壁を隔てた死者の声の仕掛けは面白い。
全体として盛り上がりに欠けるきらいはあると思うが、本格の王道を行こうとする作者の姿勢は買える。しかし、なんと言うかワクワクやドキドキとは無縁だし、探偵の海老原もイマイチ魅力的とは思えない。その辺りも含めて、もう一息な感は否めない。

No.4 6点 nukkam 2015/02/27 23:01
(ネタバレなしです) デビュー作で海老原浩一シリーズ第2作が2008年発表の本書です。デビュー作なのにシリーズ第2作?、と疑問に感じる人がいるかもしれませんが、シリーズ第1作の「天に還る舟」(2005年)はあの島田荘司との共著です。ちなみに本書の双葉文庫版の巻末解説で島田がその経緯を説明していますが、わかるようなわからないような...。さて本書の感想ですが、豊富なトリックを駆使した謎解きは本格派好きにはたまらない魅力で一杯です。謎を盛り上げる演出は意外とあっさりしていますが、代わりに話のテンポが早くて読みやすい展開となっています。この「あっさり」は時に弱点でもあり、特に人物描写は10年以上にまたがる物語なのに年齢の積み重ねを全く感じさせません。感情描写場面もほとんどないので、これだけの犯罪を起こした動機も読者には伝わりにくいです(説明はしています)。しかし本格派好き読者のみにしか受けないであろう執筆姿勢はある意味いさぎよささえ感じさせます。

No.3 6点 yoneppi 2014/12/14 09:25
串刺しはかなり無理があるがそれも島田流。その後の作品も読んでみる。

No.2 5点 E-BANKER 2013/09/29 20:11
師匠・島田荘司との共著「天に還る舟」でデビューした作者が発表した実質の処女長編がコレ。
2008年発表。師匠譲りの大トリックに拘った作品との世評だが・・・

~自殺とされた資産家夫人の不審な死。彼女に呼び寄せられるかのごとく、法要のたびに少女が殺されていく。一周忌には生きながら串刺しにされ、三周忌には首を持ち去られ、七周忌には唇を切り取られていた。そして迎えた十三回忌。厳しい厳戒態勢のなか、またもや事件は起きた・・・。巧みな謎と鮮やかな結末に驚愕必死の長編ミステリー~

何ともたどたどしい・・・そんな感想になった。
今や小島正樹といえば、島田荘司直系で、これでもかというほど大掛かりなトリックを詰め込む作家という評判が固まってきた。
実質のデビュー作である本作も例外ではなく、紹介文のとおり不可能趣味溢れる連続殺人を題材に、作者の自由奔放なトリックが登場する。
ただ、島田荘司というよりは、どちらかというと阿井渉三を思わせるプロット&作風で、特に列車事故が絡む二つ目の殺人事件などはもろに阿井氏の作品を思い出してしまった。
(阿井氏も島田荘司から強い影響を受けたと自身で語っていたから、似てくるのは自明なのかもしれない)

確かにトリックは大掛かりで、大ラスで判明する真犯人の正体にも結構サプライズ感はある。
「見立て」ではないのだが、猟奇的な死体にも理由付けが成されていて、この辺りもまさに“ミニ島荘”という感じ。
けど、これでは正直「つまらない」という感想を持った方が多いのではないか?

敢えていうなら、トリックが浮いているのだ。
島田荘司であれば、トリックのリアリティを補強するため、地の文に多様な工夫を凝らし読者を巻き込んでいくのだが、さすがに如何せん現時点の作者では役不足ということだったのだろう。

文庫版巻末で師匠・島田荘司は、「天に還る舟」では文書の殆どを手直ししたという逸話を披露しているが、本作を発表前に読んだ際には文書の上達に驚いた旨書かれている。
直近の作品を読んでないので、もしかすると文書が相当うまくなっている可能性はあるが、本作では「まだまだ」という評価になるなぁ・・・。

No.1 6点 江守森江 2010/02/05 15:05
作者単身でのデビュー作。
師匠・島荘との共著「天に還る舟」では師匠の持ちキャラ中村刑事の助手役だった海老原を今作では名探偵役にした。
これでもか!と言うくらいに不可能な謎が提示され、一部は中盤であっさり解決する。
「串刺し」「首切り」2つの謎での師匠譲りなバカミス的大技物理トリックに、密室に見せた物理トリックの先に心理的時系列トリックを絡める等々、盛り沢山なハウダニットが楽しめ強調される(ここまで高評価)
※要注意!!
ここからネタバレします。
しかし、この作品の狙いは前記を捨て駒に、プロローグと幕間から仕込み、倒叙物的犯人にダミー犯人までも用意した‘最後の一撃’的フーダニットにある。
しかし、プロローグからの仕込みは新本格以降ありふれていて小賢しく、世評ほど評価出来ない(私は、これで狙いを察してしまった)
又、犯人の人物設定とトリックの現実味が乖離し過ぎで、水準レベルなバカミスの域を越えられず惜しい。


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