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[ 警察小説 ]
仮面の復讐者 浜中刑事の逆転
浜中康平シリーズ
小島正樹 出版月: 2022年06月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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南雲堂
2022年06月

No.1 7点 人並由真 2022/12/13 14:58
(ネタバレなし)
 群馬県にある、 経営者夫婦を含めてわずか社員4人の輸入会社「桧垣商会」。その社員のひとりが自殺とも事故とも未詳な転落死を遂げた。それから一年、今度は同会社の社長で30歳代の桧垣伸幸が何者かに殺害される。会社の周辺には、殺人とは別個の、とある犯罪の影が浮かび上がった。県警捜査一課の捜査官で、本人の思惑以外で手柄を立ててしまう「ラッキー刑事」浜中康平はこの殺人事件の捜査に参加。相棒の夏木大介や、同僚の女性刑事でガールフレンドの希原由未とともに遊軍チームとしての活動を許可される。

 浜中シリーズ(というかすでにもう浜中&夏木シリーズ)の長編第五弾。
 警察小説プラスパズラーっぽい流れで開幕し、途中である方向に転調。(中略)ものの趣が強くなるが、序盤~前半からの大きな複数の謎の興味は、後半~終盤まで維持される。
(ジャンル登録は、その辺の作品の構造が見えにくい、そして間違いではない「警察小説」ということで。)

 特に、さる事情から24時間ずっと人間の動きを監視カメラで注視・記録されていた犯行現場に、どうやって殺人者は侵入し、脱出したのかという、広義の密室・不可能犯罪の謎は、なかなか魅力的(真相は、早めに読めてしまうところもないではないが)。
 さらに、個人的にはもうひとつの殺人トリックの方がなかなか印象的だった。犯行時の光景は結構、鮮烈なビジュアルで、その辺はいかにも小島作品らしい。

 ヒューマンドラマ、警察内の組織もの、さらにはある文芸設定にからめたサスペンススリラーの要素も盛り込まれ、軸は謎解きパズラー、または(中略)ものだが、全体にジャンル越境的な雰囲気もある佳作~秀作。
 
 まったくの新刊ながら今回も評論家、ミステリ研究家による解説が巻末についているが、そこでは副主人公の夏木の活躍ぶりがどんどん目立っていく現在のシリーズの今後を独自の視点で展望していて、ちょっと興味深い。


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小島正樹
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