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[ 本格/新本格 ]
浜中刑事の妄想と檄運
浜中康平シリーズ
小島正樹 出版月: 2015年04月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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南雲堂
2015年04月

No.2 5点 nukkam 2025/08/07 06:22
(ネタバレなしです) 海老原浩一シリーズの「龍の寺の晒し首」(2011年)で脇役だった浜中康平を主人公にした本格派推理小説の中編「浜中刑事の強運」と「浜中刑事の悲運」の2作を収めて2015年に発表された中編集です。海老原は登場せずシリーズ番外編かと思ってましたが新たなシリーズとして本書以降も作品が発表されています。浜中はとてもお人好しで出世志向など全くなく、のんびりした駐在所勤務に憧れていますが幸運(本人には不運)で次々に手柄をたててしまい、若くして県警本部の刑事に抜擢されています。「浜中刑事の強運」は最初から犯人を明かしている倒叙本格派、「浜中刑事の悲運」は家族を殺された男の復讐計画から始まる半倒叙本格派です。幸運での解決といっても何もしないで棚ぼたがあるわけではなく、ちゃんと捜査と推理もしています。読者側はある程度真相をわかっているのですが、そうでない浜中の推理は時に飛躍過ぎではと感じるところがありました。ほほえましい場面もありますけど「浜中刑事の悲運」の第3章の悲劇描写はとても沈痛でした。

No.1 6点 HORNET 2016/02/07 13:38
群馬県警の浜中康平刑事は、難事件や大きな事件の解決に何度も寄与し、数々の輝かしい実績をもって若くして捜査一課配属となった。・・・ただ、本人は全くそのような上昇志向はなく、鄙びた片田舎での駐在所勤務を切望している。普通の刑事なら「やった!」と小躍りするような手柄も、彼にとっては「また夢(駐在所勤務)が遠ざかる・・・」という悲劇でしかない。人が良く、望んでもいないのに手柄が「転がりこんでしまう」という一風変わった刑事を主役としたシリーズ中編2本立て。
 どちらも、犯罪の場面から物語が始まる倒叙法で、その真相に浜中刑事らが迫っていく展開のお話だが、ただ犯人VS刑事のせめぎ合いが描かれいてるだけでなく、ちゃんと仕掛けも施してある。ただ、1作目も2作目も、伏線の張り方がややわかりやすく、何となくわかってしまう感じはしたが、それなりに真相には納得させられ、面白いと素直に感じた。
 氏の作品は初読。基本的に本格王道タイプの方らしいので、そっちのほうをまた読んでみたい。


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