海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
三百年の謎匣
森江春策シリーズ
芦辺拓 出版月: 2005年04月 平均: 6.33点 書評数: 3件

書評を見る | 採点するジャンル投票


早川書房
2005年04月

角川書店
2013年09月

No.3 6点 nukkam 2020/10/06 23:07
(ネタバレなしです) 作者自身が「長編なのか短編集なのか自分でも考えるたびに違ってくる」という2005年発表のユニークな本格派推理小説です。プロローグに相当する章で袋小路の道で周囲に犯人の足跡が(そして被害者の足跡も)見つからない状態で発見された死体という、ジョン・ディクスン・カーの「三つの棺」(1935年)に出てくるカリオストロ街の殺人を連想させる魅力的な謎で始まりますがこの謎解きは中断され、その後に6つの手記が続きます。この手記は時代が18世紀前半から20世紀前半までとばらばら、舞台もアジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカとばらばらの物語です。一応は短編物語として完結しますが解けない謎が残っており、それらは最終章で森江春策によって殺人事件の謎と共に解決されるのです。つまり手記だけでは真の意味での完成品でないため、個人的には本書はシリーズ第11長編と評価したいと思います。歴史と異国情緒を感じさせる手記に力が入っていますが、ページ数の制約のためか描写や説明が駆け足気味で焦点ボケをしばしば感じてしまうのが惜しまれます。トリックにもひどいと思わせるのがありますし。とはいえ大胆な構成に挑戦した作者の意欲は称賛に値すると思います。⇒【後記】その後、「千一夜の館の殺人」(2006年)の「好事家のためのノート」で同書がシリーズ長編としては(シリーズ第10作の)「グラン・ギニョール城」(2001年)以来と紹介されているのを知りました。つまり本書はシリーズ長編第11作でなくシリーズ第3短編集ということになります。いい加減な感想であったことをお詫びします。

No.2 7点 makomako 2014/01/31 20:46
 一つの物語の中に連作と歴史を取り入れた贅沢な構造を持つ意欲作だと思います。それぞれの話が興味深くしかも最後にみごとに終結した結末となる、そういった点では素晴らしい作品だと思います。最後に森江俊作が謎を解き明かすのですが、それはもう凄い博覧強記で、いくらなんでもここまで頭に入っている人はいないのでは。
 解決まで余分でいやみな話がだらだらと述べられているのもどうかと思いますが、ここまで簡略された解決編を見せられるとどうも問題の回答を盗み読みしているような感覚にとらわれてしまった。もうすこし解決に至るまでの過程が書かれていたほうが良かった。

No.1 6点 江守森江 2009/05/23 18:32
森江春策シリーズ
最後の解釈以外は個別の短編としても楽しめる二重構造だが・・・
もっと森江君に活躍してほしい。


キーワードから探す
芦辺拓
2024年09月
明治殺人法廷
2024年01月
乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび
平均:7.00 / 書評数:3
2022年09月
森江春策の災難
2022年04月
名探偵は誰だ
平均:5.00 / 書評数:3
2021年10月
大鞠家殺人事件
平均:8.00 / 書評数:1
2020年06月
鶴屋南北の殺人
平均:6.00 / 書評数:2
2018年10月
新・二都物語
平均:6.00 / 書評数:1
2018年08月
帝都探偵大戦
平均:5.00 / 書評数:3
2016年12月
ダブル・ミステリ (月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー)
2016年02月
金田一耕助、パノラマ島へ行く
平均:5.00 / 書評数:1
2014年09月
金田一耕助vs明智小五郎 ふたたび
平均:7.00 / 書評数:1
2014年08月
異次元の館の殺人
平均:4.60 / 書評数:5
2013年09月
時の審廷
平均:6.00 / 書評数:1
2013年07月
奇譚を売る店
平均:6.00 / 書評数:4
2012年09月
スチームオペラ
2012年03月
大公女殿下(プリンセス)に捧げる密室
2011年10月
七人の探偵のための事件
平均:4.00 / 書評数:1
2011年09月
黄金夢幻城殺人事件
2010年04月
綺想宮殺人事件
平均:4.78 / 書評数:9
2009年08月
少女探偵は帝都を駆ける
平均:6.00 / 書評数:1
2008年10月
彼女らは雪の迷宮に
平均:4.50 / 書評数:4
月蝕姫のキス
平均:4.50 / 書評数:2
2008年02月
裁判員法廷
平均:6.43 / 書評数:7
2007年01月
殺しはエレキテル 曇斎先生事件帳
平均:4.00 / 書評数:1
2006年08月
探偵と怪人のいるホテル
2006年07月
千一夜の館の殺人
平均:5.40 / 書評数:5
2006年03月
少年は探偵を夢見る
平均:7.00 / 書評数:1
2005年05月
電送怪人
平均:5.00 / 書評数:1
謎のジオラマ王国
平均:4.00 / 書評数:1
2005年04月
三百年の謎匣
平均:6.33 / 書評数:3
2004年12月
切断都市
2004年06月
妖奇城の秘密
平均:5.00 / 書評数:1
2004年05月
紅楼夢の殺人
平均:6.86 / 書評数:7
2002年11月
明智小五郎対金田一耕助
平均:6.20 / 書評数:5
2002年04月
メトロポリスに死の罠を
2002年03月
名探偵Z 不可能推理
平均:3.00 / 書評数:1
2001年11月
グラン・ギニョール城
平均:6.00 / 書評数:11
2001年07月
赤死病の館の殺人
平均:6.29 / 書評数:7
2001年02月
時の密室
平均:6.00 / 書評数:6
2000年07月
和時計の館の殺人
平均:5.89 / 書評数:9
2000年05月
怪人対名探偵
平均:6.67 / 書評数:6
2000年04月
真説ルパン対ホームズ
平均:6.33 / 書評数:3
1999年08月
不思議の国のアリバイ
平均:6.40 / 書評数:5
1998年09月
十三番目の陪審員
平均:7.20 / 書評数:15
1998年07月
死体の冷めないうちに
平均:6.33 / 書評数:3
1998年03月
探偵宣言
平均:6.17 / 書評数:6
1997年09月
地底獣国の殺人
平均:6.57 / 書評数:7
1996年09月
時の誘拐
平均:6.25 / 書評数:4
1995年08月
歴史街道殺人事件
平均:6.86 / 書評数:7
1994年02月
殺人喜劇のモダンシティ
平均:6.50 / 書評数:4
1994年01月
保瀬警部最大の冒険
平均:5.00 / 書評数:2
1990年11月
殺人喜劇の13人
平均:5.56 / 書評数:27