皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 森江春策の災難 森江春策シリーズ |
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| 芦辺拓 | 出版月: 2022年09月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 行舟文化 2022年09月 |
| No.1 | 5点 | nukkam | 2025/12/24 11:06 |
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| (ネタバレなしです) 冒頭の「開幕前のご挨拶」で「未収録作品のコレクション」と紹介されていますが、森江春策の登場する短編、ショート・ショート、他の名探偵との架空座談会など2003年から2020年までに新聞や雑誌に発表された13作品と書き下ろしの戯曲1作を追加して収め、「日本一地味な探偵の華麗な事件簿」というサブタイトルを付けて2022年に出版されたシリーズ第5短編集です。寄せ集め感は否めませんが、4つのPARTに分けてPARTの間には「幕間がわりのあとがき」を挿入して各作品を作者が解説紹介し、人物イラストや(戯曲には)写真も挿入するなど単行本の付加価値を付ける努力をしています。これはという傑作はないように思いますが、個人的に印象に残ったのは1990年代の某国内本格派推理小説の仕掛けを連想させる「読者よ欺かれておくれ」(2009年)と、作中時代(何十年も昔)にそんな技術的トリックが可能だったのかと驚かせる「解凍された密室」(2020年)です。横山光輝(1934-2004)のSF冒険漫画の鉄人28号が登場する「寝台特急あさかぜ殺人事件」(2012年)は「読者諸君への挑戦」を付けた本格派ですが、低温・低気圧の空を鉄人28号の手のひらに乗って飛行した人間(防護服の着用なし)が五体満足なんて設定がまかり通っている世界とはいえ、何でもあり的な真相は読者の賛否両論かも。 | |||