皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] マーブル館殺人事件 スーザン・ライランドシリーズ |
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| アンソニー・ホロヴィッツ | 出版月: 2025年09月 | 平均: 7.67点 | 書評数: 3件 |
![]() 東京創元社 2025年09月 |
![]() 東京創元社 2025年09月 |
| No.3 | 7点 | makomako | 2025/10/26 16:49 |
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| カササギ殺人事件以来ホロヴィッツ氏の作品は出るたびに読んでいますが、今回も期待にたがわず面白かった。
名探偵ピュントのシリーズとしては3作目。探偵が不治の病とのことなので、このシリーズはもうおしまいと思っていがうれしいことに3作目が出版されたのですぐ買って読みました。 翻訳もこなれていて読みやすい。面白い。ピュントが活躍する作中作とスーザンが主人公の現実のお話が複雑に絡み合って興味が尽きない。 名前を覚えるのが苦手な私は常に二つのお話の登場人物のページを見比べながら読みました。 作中作のピュントのほうは引き継いだ作者が途中で死んでしまう。まだ全く犯人がわからないのに、これではどうしようもないのではと心配になるのですが、なんと思わぬ後継ぎが思わぬ方向から出現。最後はめでたく解決してすっきりします。 ただ主人公のスーザンが初めよりちょっと嫌な女性になってきている気がするのですが。 |
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| No.2 | 8点 | HORNET | 2025/09/27 21:49 |
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| 作家・アラン・コンウェイは、探偵・アティカス・ピュントのシリーズで人気を博しながら、殺されてこの世を去った。その続編を別の作家が引き継いで書く、という企画が立ち上がり、アランを担当していたスーザン・ライランドが担当編集者に指名された。アランの作品には二度と関わらないと決めていたスーザンだったが、編集者としての今後を考えて渋々引き受けることに。ところが、続編を書く作家・エリオット・クレイスには、小説を通じて世間に暴露しようとしていることがあった―
「作中作」という二重構造はこれまでのシリーズ作品と変わらないものの、その仕掛けが毎回違っていて飽きさせない。そもそも、シリーズ一作目「カササギ殺人事件」でアラン・コンウェイが死んでいるのに、まさか3作目まで来るとは!それだけでも作者のアイデアには脱帽である。 世界的なベストセラー児童文学作家・ミリアム・クレイスを祖母にもつ作家エリオットが、世間に流布している祖母のイメージとは真逆の一家の実態を、小説を通して暴露することを企む…という構成で、作中作の「ピュント最後の事件」と、現実世界のクレイス一家とが照応しているのだが、誰が誰と対応しているのか、登場人物表で確かめながら読み進める苦労はあった(笑) が、もちろんその作中作と真実はそのままトレースされているものではなく、現実世界での真相はさらに一堀りしたところにある。よく考えられているなぁと素直に感心した。 十分に堪能した。 |
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| No.1 | 8点 | nukkam | 2025/09/21 19:31 |
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| (ネタバレなしです) 2025年発表のスーザン・ライランドシリーズ第3作の本格派推理小説で創元推理文庫版が上下巻合せて750ページを越す大作です。「カササギ殺人事件」(2016年)のネタバレがあることが冒頭で告げられていますが(犯人名も明かしています)、そのネタバレが本書のプロットの中で大変重大な役割を果たしています。「カササギ殺人事件」を未読のままで本書を読むことも可能ですけど、ぜひとも先に読むことを勧めます。過去の2作ではアラン・コンウェイによる名探偵アティカス・ピュントシリーズの作品を作中作として挿入し、作中作の謎解きと現実世界の謎解きの2段構えを楽しめました。本書では別の作家がこのシリーズ続編を書くことになっており、まだ執筆中の作品原稿をフリーランス編集者のスーザンがチェックしていくという趣向がとても斬新です。果たして新作は無事完成できるのかという興味を絡ませつつ、作中作の謎解きと現実世界の謎解きも充実の内容です。巻末解説によると元々は「カササギ殺人事件」のみでシリーズ化は考えていなかったのを周囲の説得でさらに「ヨルガオ殺人事件」(2020年)と本書が追加で執筆されて三部作として完成されたはずなのですが、何とさらにシリーズ第4作も準備中とか。本書の締めくくりでスーザンがアティカス・ピュントとは手を切ると宣言してますが果たしてどうなるのか、わくわくが止まりません。 | |||