皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ クライム/倒叙 ] 福家警部補の挨拶 福家警部補シリーズ |
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大倉崇裕 | 出版月: 2006年06月 | 平均: 6.60点 | 書評数: 10件 |
東京創元社 2006年06月 |
東京創元社 2008年12月 |
No.10 | 6点 | まさむね | 2024/01/08 15:46 |
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倒叙形式の短編集。刑事コロンボファンを公言する作者だけあって、コロンボ愛に溢れています。マイベスト短編は、科警研OBとの対決「オッカムの剃刀」でしたが、解決シーンはコロンボの名作「逆転の構図」を思い出しましたね。
犯人は、私設図書館長、科警研OBの大学講師、女優、酒造会社社長といった一筋縄ではいかなそうな人物で、福家警部補との知的対決が楽しめます。どの短編も、最後のシーンは古畑任三郎のテーマ曲が耳に響きそうな感じ。倒叙形式はあまり好まないのだけれど、このシリーズは好きになりそう。 |
No.9 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2023/05/13 12:31 |
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前半に提示される現場の矛盾点とは別にラストで犯人の致命的なミスや証拠を指摘するところがいい。
①最後の一冊 6点 オーナーが図書館を売却しようとしていた。それを防ぐため女性館長は・・・本棚の事故 ②オッカムの剃刀 6点 元警察官の大学講師はある秘密を握られていた。連続強盗事件に見せかけ・・・未解決の白骨死体 ③愛情のシナリオ 5点 女優のマリ子はライバルである恵美を一酸化炭素中毒による事故死に見せかけて・・・携帯電話 ④月の雫 6点 佐藤酒造は谷元酒造を乗っ取りを計画。それを阻止するため谷元社長は、真夜中、酒蔵に佐藤社長をおびき出し・・・夜勤社員の飲酒 |
No.8 | 7点 | 青い車 | 2016/02/21 19:02 |
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刑事コロンボの大ファンで有名な作者が生み出した女性刑事・福家警部補の、シリーズ第一短篇集。パラパラ読み返してみると、ところどころにコロンボの諸作品を想起させる手がかりやネタが散りばめられており、楽しい発見が多いです。どの犯人にも何らかの魅力があるのが素晴らしいです。
以下、各話の感想ですが刑事コロンボのネタバレも含まれています。注意してください。 ①『最後の一冊』 本を愛する犯人の心理から必然的に生まれた決定的証拠が鮮やか。ひとつひとつの手がかりは小粒ですが、シリーズ第一作としてはよくまとまった良作です。 ②『オッカムの剃刀』 口封じの第二の殺人という展開は『構想の死角』や『二枚のドガの絵』を想起させます。決め手は『逆転の構図』に近いパターンで、メガネやタバコなど緻密な推理の積み重ねも似ています。 ③『愛情のシナリオ』 飼っていた小鳥がポイントとなるところは『黒のエチュード』のオマージュでしょうか。本作では決め手もその小鳥絡みのもので、電話の証拠は手堅いです。 ④『月の雫』 酒蔵を守るための殺人、というテーマは『別れのワイン』のオマージュでしょうが、決め手は『祝砲の挽歌』に近いです。この犯人も魅力的。 |
No.7 | 8点 | ロマン | 2015/10/21 09:44 |
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冒頭で犯人視点で犯行の一部始終を描く倒叙形式のミステリ。物語の主役は犯人であり、捜査を担当する福家警部補はいつの間にかそこにいて、あらゆる情報を握り、淡々と犯人を追いつめるだけ。その姿は機械のようで人間味も現実味もない。実は良心の呵責に苦しんだ犯罪者達が福家という幻覚を見て自首して自白しているのではないかとすら思えてくる。警察という組織を知り尽くした元科警研主任の犯罪「オッカムの剃刀」、稀覯本への愛と献身故に施設図書館長が犯した「最後の一冊」が特に面白かった。 |
No.6 | 6点 | E-BANKER | 2011/03/09 21:12 |
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「刑事コロンボ」シリーズをこよなく愛する作者が贈る短編集。
全作「倒叙」形式。コロンボ&古畑系統がお好きな方には恐らく「ド・ストライク」でしょう。 ①「最後の一冊」=異常なほどに本を愛する図書館司書が登場。凶器&小道具がなかなか効いてます。 ②「オッカムの剃刀」=これは犯人のキャラ設定が秀逸。福家警部補が犯人に迫る際のロジックもよく練られます。 ③「愛情のシナリオ」=動機はどうかと思いますし、ロジックというよりは犯人側のミスにより真相に到達するというプロットになってる。 ④「月の雫」=アリバイ崩しのロジックが面白い。 以上4編。 まさに、刑事コロンボシリーズを読んでるような感覚。探偵役は、本家の中年男性から年齢不詳(?)の女性に変わってますが、軽妙な筆致は共通。いつも刑事に見られず、事件現場で足止めをくってしまう場面などは、思わず「ニヤッ」とさせられます。 倒叙形式らしいロジックも練られており、その辺りは好印象。 ただ、倒叙形式自体、フーダニットというミステリー最大の面白さを放棄しているわけで、その点を差し引きすればこの辺の評価かなというところに落ち着きました。 (中では②がダントツで面白い。あとの3つは同レベルかなぁ) |
No.5 | 6点 | ウィン | 2010/09/25 12:13 |
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古畑っぽい・・・。
これが第一印象である。 実際には、「刑事コロンボ」好きの著者が、コロンボのような倒叙ミステリをまねて書いたものらしいのだが、残念な事に俺は「刑事コロンボ」シリーズは未読である。 予想外だったのは、福家警部補が女性だったということ。 俺は紳士っぽい男性だと勝手に思い込んでいた。 その点では驚いた。 タイトルに「~挨拶」とあるからには、当然のように続編もあるのだろう、と期待してみる。 |
No.4 | 7点 | makomako | 2010/07/18 07:39 |
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4つの中篇すべてが倒叙小説。作者らしく犯人はその道に執着を持つために殺人まで犯してしまうという設定。どろどろとしたところは全く無くさらりと読めて後味もよい。福家警部補がかわいい小柄な女性であることにまずびっくりさせられるが読んでいくうちにこの警部補が好きになってきた。ちょっと作品ごとに出来不出来はあるがこのシリーズの続きも出ているので読んでみよう。 |
No.3 | 6点 | kanamori | 2010/07/03 16:00 |
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女性警部補・福家を探偵役にした倒叙形式の連作短編集。
刑事コロンボのプロットを忠実に継承した正統派の倒叙ミステリで、作品に出来不出来がありますが、「オッカムの剃刃」はなかなかの傑作。 コロンボや古畑任三郎に比べて、探偵役に強烈な個性がないのが残念。 |
No.2 | 6点 | 江守森江 | 2009/05/22 16:00 |
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コロンボ、古畑好きなら外れ無し。
大倉作品群で唯一一般受けが狙えるシリーズ。 |
No.1 | 8点 | なの | 2008/04/15 21:06 |
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コロンボマニアの大倉氏らしい作品です。
話の展開は当然フォーマット通りなんですが、それも芸のうち。 ミステリーズ!の連載も楽しいですね。 |