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[ クライム/倒叙 ] 福家警部補の考察 |
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大倉崇裕 | 出版月: 2018年05月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
東京創元社 2018年05月 |
No.1 | 6点 | E-BANKER | 2024/03/10 14:30 |
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「挨拶」「再訪」「報告」「追及」に続き、はやもう第五弾となった人気シリーズ。
刑事コロンボ、古畑任三郎の系譜を受け継ぐ「正統派?」倒叙シリーズとして著名になった感がある。今回もいろいろな「お約束」を踏まえながらになるのだろうか? 単行本は2018年の発表。 ①「是枝哲の敗北」=最初のお相手は、いつも沈着冷静な皮膚科医の男。冷静沈着なはずが、福家警部補のトリッキーな言動を前に徐々におかしくなってしまう。「犯罪者はしゃべり過ぎる」を地でいく失敗! 当然の「敗北」でしょう。 ②「上品な魔女」=次のお相手はまさに「魔女」、っていうか「毒婦」。しかも「美しい」。こういうキャラはよく登場するので、あまり新鮮味はない。で、福家警部補の前にあっけなく陥落・・・(あーあ、あっけない) ③「安息の場所」=お相手は孤高の女性バーテンダー。緻密な計算のもと、師匠の敵(かたき)を取るために殺人を犯してしまう。福家警部補がこんなにお酒の蘊蓄があるなんて初めて知ったよ。 ④「東京発7:00のぞみ1号博多行き」=まったくトラベルミステリーではありません。なんと、たまたま殺人犯の隣席となった福家警部補。しかし、ここまで神業級の推理と直観力を見せられるとはなあー。もはやすごすぎて、福家警部補が神格化されすぎた感もある。これはあまり宜しくない。 以上4編。 いい意味では安定感たっぷりの倒叙シリーズでシリーズファンにとっては堪らないかもしれない。 ただし、シリーズの経過とともに、悪い意味での「慣れ」と多少の劣化を感じるようになった。どうしても形式が固まってしまうので、変化をいろいろと付けにくい部分はあるのだろう。 それに④のように、あまりに超人化させるのもネガティブである。(御手洗潔が典型例だと思うが・・・) ただ、トータルで評価すればまだ十分に「面白い」作品ではある。 そろそろ長編も書いてみてはどうだろうか? 福家警部補の人間味をいろいろ見せていく手もあると思うけど。 (個人的ベストは③かなー。他はほぼ同等) |