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[ 本格/新本格 ]
顔のない敵
石持浅海 出版月: 2006年08月 平均: 4.80点 書評数: 5件

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光文社
2006年08月

光文社
2009年01月

No.5 5点 いいちこ 2024/02/08 15:33
各短編とも、それなりに考えられているのだが、少しずつ違和感や無理を感じ、完成度としてはいま一つ。
4点も頭をよぎったものの、それほど批判的なスタンスに立つべき作品でもなく、5点の下位

No.4 6点 パメル 2023/12/20 06:50
対人地雷を小道具にし、本格ミステリの要素として組み入れた地雷シリーズ6編と処女編1編からなる短編集。
「地雷突破」イベントで爆発しない、安全な使用に作り替えられた地雷原を歩いたスタッフが、なぜか爆死した。読者の裏をかき続ける展開に前向きな結末。
「利口な地雷」対人地雷にも様々な種類があり、本編で出てくるのは、地面に埋めれば時間とともに消える地雷。犯人を絞り込んでいくプロセスに作者らしさが感じられる。
「顔のない敵」地雷その物が生み出す悲劇をここまで切なく描いたミステリも珍しいのではないか。犯人を絞り込むロジックそのものは単純ながら、ロジックがさらに悲劇性を高めている。
「トラバサミ」地雷除去NGOのメンバーの一人が交通事故で死亡した。彼はトラバサミを持っていた。地雷代わりにどこかに仕込んだらしいが、本人が死んだ今、どこにあるか見当がつかない。ちょっとした会話から手掛かりを拾い出し、場所を特定する様は本編の真骨頂。
「銃声でなく、音楽を」NGOのスポンサーの元に赴いた二人。そこで偶然、銃殺事件に遭遇する。説得の論理に一見身勝手だが、それ故に説得力を持つ。
「未来へ踏み出す足」地雷除去装置を以て日本へ来た面々のメンバーが奇妙な格好で死んでいた。シリーズのフィナーレにふさわしい、実に前向きな作品。
「暗い箱の中で」本書のボーナストラック。エレベーターの中で起きる殺人。なぜ犯人はこの場所で人を殺さなければならなかったのか。真っ暗になったエレベーター内での殺人という設定が新鮮。動機は少々無理があるが、瑕疵というほどのものでもない。

No.3 5点 メルカトル 2020/05/04 23:30
1993年、夏。カンボジア、バッタンバン州。地雷除去NGOのスタッフ・坂田洋は、同僚のアネット・マクヒューと、対人地雷の除去作業をつづけていた。突然の爆発音が、カンボジアの荒れ地に轟く。誰かが、地雷を踏んだのだ!現地に駆けつけた坂田とアネットは、頭部を半分吹き飛ばされたチュオン・トックの無惨な死体に、言葉を失った。チュオンは、なぜ、地雷除去のすんでいない立入禁止区域に踏み入ったのか?そして、これは、純然たる事故なのか?坂田の推理が地雷禍に苦しむカンボジアの哀しい「現実」を明らかにする―。表題作を含め、「対人地雷」をテーマにした、石持浅海の原点ともいうべきミステリー6編と、処女作短編で編まれたファン待望の第一短編集。
『BOOK』データベースより。

確かに地味ではありますが、作者の良心と意識の高さが伺えます。デビュー作の『暗い箱の中で』以外の六篇は全て対人地雷を扱ったものとなっており、それぞれが特徴のある本格ミステリです。時系列がバラバラな上、罪を犯した人間が探偵役になってみたり、登場人物が重なるのでやや混乱しがちな面もあります。
全体的にトリックとしては小粒だと思います。しかし、提示される謎はなかなか興味をそそるものが多いですね。
そもそも地雷は何のために埋め込まれているのか、そしてそれを製造する一方で除去装置も開発するという歪んだ企業の形体にも一石を投じています。

デビュー作は若書きのせいもあってか、かなりアラが目立ちます。何故わざわざエレベーターという密室の中で殺人がおこなわれたのかというホワイダニットも、動機としてはかなり弱いように思います。一瞬の判断で殺人を実行してしまうような大胆な人間がいるというのも、リアリティのない話でしょう。

No.2 4点 いけお 2009/02/26 07:41
楽しめたけどかなり地味。
違うテーマの短編集も読んでみたい。

No.1 4点 こう 2008/06/22 23:57
対人地雷をテーマに地雷除去NGOのメンバーの周囲で起こる殺人事件を中心とした6編と作者の処女短編「暗い箱の中で」が収められた短編集です。
 対人地雷をテーマに選ぶ辺りは石持浅海らしいと思います。所謂メッセージ性は強くなく本格ミステリの土俵として選んでいると思います。殺人事件が多いせいか、ロジックも他作品よりは受け入れやすいものが多かったです。
 ただ「暗い箱の中で」は会社の同僚のみが乗ったエレベーターの中で起きた殺人事件を扱っていますがロジックは良いと思いますが「何も起こらなければ飲み会(送別会)に一緒に行く筈だったメンバー」を殺害する動機が納得いきませんでした。
 推理の過程には文句はありませんがそんな簡単に人を殺すものかな、と思ってしまいます。


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