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[ 本格/新本格 ] パレードの明暗 座間味くんの推理 座間味くんシリーズ |
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石持浅海 | 出版月: 2016年10月 | 平均: 4.33点 | 書評数: 3件 |
光文社 2016年10月 |
光文社 2019年05月 |
No.3 | 4点 | E-BANKER | 2023/04/23 14:06 |
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長編「月の扉」、短編集「心臓と左手」「玩具店の英雄」に続く、“座間味くん”シリーズの第四弾となる短編集。
前回は警視庁科学捜査官の津久井がレギュラーとして加わっていたが、今回は女性機動隊員「南谷結月」巡査が新たにレギュラーとして加わっている(代わりに津久井は退場) 「小説宝石」誌に2015年から2016年にかけて断続的に連載されていたものをまとめた作品集。単行本は2016年の発表。 ①「女性警察官の嗅覚」=子連れの女性警察官がスーパーでお買い物中、物が買い占められたような不審な棚を複数目にする。そんな彼女がとった行動とは・・・。今回も、「謎の提示役」である大迫警視長と「解決役」である座間味くんという役割は不変。新たに加わった南谷巡査がそれを見て右往左往する。 ②「少女のために」=母ひとり娘ひとりの母子家庭。生活に窮した母親が取った行動は娘の体を使ったある商売。そのために娘は・・・という謎。逮捕された際の母親と逮捕した女性警察官のやり取りが問題となるのだが、うーん。ピンとこない。 ③「パレードの明暗」=文京区は白山にある大学(モデルは東〇大学か?)の学祭で行われたコスプレパレード。そのパレードを敵視する大学関係者がパレードをやめさせるため実力行使に出た! それを止めようとした一組の男女がとったそれぞれの行動が問題となる(→それが「明」と「暗」ということ)。見た目「暗」と思われていた女性の行動も、座間味君の頭脳によれば「明」に変わる。 ④「アトリエのある家」=アマチュアだが玄人ばりに人気のある画家の自宅にあるアトリエ内で事件は発生する。盲目的なファンが売らない「絵」を持ち去ろうとすることでナイフを使った殺傷事件に発展してしまう。その際の妻の行動が今回の謎。そんなことまで一瞬で考えたのなら、こんな女性、おっかなくて逆に嫌だ! ⑤「お見合い大作戦」=「お見合い」かぁー。経験ないけど、してみたかったなぁー。今はマッチングアプリで用は済むかもしれないけど、場合によってはスゴイ女性と知り合えるチャンスだもんな・・・。で、そんなお見合いの席での男と女のやり取りが問題となる。ってことは、大迫警視長は会話の詳細まで聞いたってこと? スゴイ情報網だね ⑥「キルト地のバック」=とあるアジアの小国の大臣が来日し、同胞たちに会いに行く。ただし、某大臣はテログループに狙われており、当然その警備が問題となることに。要人警備というと、昨今非常に問題となっていますが、コストを考えればあまりウロチョロしてほしくないというのが本音じゃないか。で、本作でもやっぱり事件が起こる。 ⑦「F1に乗ったレミング」=本筋とは関係ないけど、本作のゲスト?となっていた南谷巡査がアメリカ研修の内示を受けるところから始まる本編。いいな、長期のアメリカ研修! で、本筋は・・・まぁそうかもねというお話。 以上7編。 シリーズ短編集としても三作目となった本作。もうすっかりフォーマットは定着してしまった感じだ。大迫警視長と座間味くんとゲスト(本作は南谷)が新宿・紀伊国屋書店の雑誌コーナーで待ち合わせをし、大迫の旧知の料理屋へ移動して過去に発生した事件を語る。もうカタがついた事件なのだが、座間味くんが新たな切り口から推理を働かせ、大迫を驚かす・・・いつもこのパターンだ。 ただ、座間味くんの推理も「プロバビリティ」の域を出るものではなくて、「恐らくこうじゃないか、真相は分かりませんけどね」というもの。 だから、読者としては結局真相はどうなんだ?っていうもどかしさも若干感じてしまう(残尿感?) どうしても小粒感から逃れられないところもあって、まぁ時間つぶしとしてはいいかなという程度の評価になってしまう。 そろそろ、「月の扉」以来の腰の据わった長編に取り組んでも良いのでは? (個人的ベストは、うーん。特になし。どれも小粒。) |
No.2 | 4点 | まさむね | 2017/05/09 21:16 |
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作者の代表作のひとつ「月の扉」の探偵役・座間味クンが登場する短編集の第3弾。
「月の扉」から登場している大迫さんは毎回偉くなっていて、何と今回は警視長だそうです。今回のゲストは、女性特別機動隊所属で羽田空港保安検査場に勤務する警察官で、毎回、大迫さん、座間味クンと3人でお食事します。その席で、大迫さんが過去の事件や出来事について話すと、座間味クンが新たな解釈を出して…という典型的な展開。 この展開自体は過去の2短編集と同じなのですが、スケールがどんどん小さくなっています。全話とも転換が用意されてはいるのですが、如何せんこれも小さいのですよねぇ。ゲスト役の女性警察官の魅力も小さいし、女性警察官の成長譚っぽくしようとしているのも、はっきり言って片腹痛い。また、恒例の食事シーンも薄く、そんなにおいしそうに感じられない。何よりも、全話ともパターンが同じだけに、途中から飽きてしまいました。 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | 2016/11/18 16:42 |
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(ネタバレなし)
警視庁特別機動隊の女子隊員で、羽田空港の保安検査場に勤務の南谷結月。日々の仕事に弛緩し、上司である向島教官から、ある飲み会に参加するように指示を受けた。そこに待っていたのは、警視庁ナンバー3の高官・大迫警視長と、その友人で警察内でも伝説的になっている民間人「座間味くん」だった…。奇妙なしかし和やかな雰囲気のなかで大迫は警察組織内や市井で生じた事件や珍事を話題にするが、座間味くんはそれらのなかに潜む、意外な真実を言い当てる。 『月の扉』は既読だが、この路線は初めて読んだ。全7本の連作短編は日常の謎寄りで、殺人事件のような強力犯罪は一編しかない(テロみたいなのもあったけど)。 つまらなくはないが、達者な作家が話術の器用さで捌いた感じの連作でもあり、大きな声で「あっ」といいたくなるような内容のものはそうない。大半の話でそれなりの逆説が楽しめる。 一本くらいレギュラー登場人物の3人が「ゾ~~~ッ」となって終わるような幕切れのものも欲しかった気もするが、たぶんそういうものを求めてはお門違いのシリーズなんだろうな。 |