皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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[ 本格/新本格 ] ヴァンプドッグは叫ばない マリア・ソールズベリー&九条漣 |
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| 市川憂人 | 出版月: 2023年08月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 8件 |
![]() 東京創元社 2023年08月 |
![]() 東京創元社 2026年07月 |
| No.8 | 6点 | パメル | 2026/09/21 08:19 |
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| U国MD州で発生した現金輸送車襲撃事件。襲撃犯が乗り捨てたワゴン車がA州で見つかり、マリアと蓮はフェニックスに向かう。現地では警察と軍による厳戒態勢が敷かれていたが、真の目的は収容先の施設から脱走した殺人鬼(ヴァンプドッグ)を捕まえることだった。
厳戒態勢の都市と、密室となった隠れ家という「二重の密室」の中で繰り広げられる連続殺人の謎が本書の読みどころとなっている。バイオホラーと本格ミステリが融合しており、特定の感染症・変異ウイルスという特殊設定をロジックに組み込んだところに魅力を感じる。息つく暇もない展開とスケール感が素晴らしい。終盤で明かされる複雑に絡み合った謎の全貌とタイトルの意味が判明した瞬間にカタルシスを感じる。 |
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| No.7 | 7点 | makomako | 2026/09/09 16:56 |
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| このシリーズはもともと現実世界からちょっとひねった、パラレルワールドのお話となっているのですが、本作品はことにそれをうまく利用したエンターテインメントであり本格推理もどきでもあります。
ある面で実に都合が良い設定ですが、それをずるいと思わせないのが作者のすごいところなのでしょう。 アリバイ崩しなんかでは、こんなのインチキだといわれかねない設定なのですが、読んでいるとそんな感じを受けないのです。 お話のスケールも大きく、ついに日本でも欧米の劣らないエンターテインメントが書ける作家が登場したと感じさせます。 登場人物も一人日本人風の人物以外は全員外国人風。その日本人も性格は全く欧米人の感覚です。 スケールの大きなエンターテインメントの中に本格推理を混ぜ込んでいるのですから、こういった作品が好きな方には楽しめること請け合いでしょう。 |
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| No.6 | 6点 | ミステリ初心者 | 2026/08/26 23:34 |
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| ネタバレをしております。また若干の過去作のネタバレもしてしまっているかもしれません。
アメリカの映画やドラマの雰囲気と、すこしSFの要素が入ったシリーズです。特に今作は事件の規模が大きく、スピード感があり、より映画のような趣があるような気がします。とても読みやすく、あまり時間がかからずに読了できました。 20年前の連続殺人鬼で狂犬病の変異種の感染者・ヴァンプドッグが施設から脱走し、ヴァンプドッグの犯行と思われる遺体が多数見つかります。また、時を同じくして現金輸送車が襲撃される事件も起こります。2つの事件は一見すると全く関係がないように見えますが、徐々に関係性が明らかになっていき、最後には犯人が仕掛けた壮大なトリックが判明します。 推理小説的要素について。 ミステリとしてはかなりの変種です。物語終盤までDウイルスの特徴がつかめません。また、死後に甦る?ゾンビ映画のような要素もあり、本の前半で捜査や推理に使われた死亡推定時刻などの情報がひっくり返りますw 私は何をもとにして考えたらよいのかわからず、パニックになってしまいましたw 部分部分は論理的なところもありましたが、果たして読者に解かせる気があるのかわからないぐらい細かく、大部分でDウイルスによる特殊設定が絡まってきます。私は解ける気がしませんでした…。 また、今回の叙述トリックはやや小粒であり、プロットで魅せるタイプのミステリでした。大きな叙述トリックを期待していると肩透かしを食らうかもしれません。 総じて、非常に読みやすく、読んでいる間は楽しめました! ただ、本格推理小説か?というわれると少し自信をもってそうといいえるかわかりません; 読み物として好きだが、推理小説としては微妙…というのが感想ですw |
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| No.5 | 8点 | E-BANKER | 2025/05/17 13:03 |
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| 大好評の「マリア&漣シリーズ」も重ねて五作目。作品集を挟んだ第五弾は、シリーズ正調の本格ミステリ。
ヴァンプドックと呼ばれる吸血鬼をめぐる大事件に挑むのは、マリア&漣。そして、お馴染みとなったメンバーたち。 単行本は2023年の発表。 ~U国MD州で現金輸送車襲撃事件が発生。襲撃犯一味のワゴン車が乗り捨てられていたのは、遠く離れたA州だった。応援要請を受け、マリアと漣は州都フェニックス市へ向かう。警察と軍の検問や空からの監視が行われる市内。だがその真の理由は、研究所から脱走した、二十年以上前に連続殺人を犯した男『ヴァンプドッグ』を捕らえるためだった。しかし、『ヴァンプドッグ』の過去の手口と同様の殺人が次々と起きてしまう。一方、フェニックス市内の隠れ家に潜伏していた襲撃犯五人は、厳重な警戒態勢のため身動きが取れずにいたが、仲間の一人が邸内で殺されて…!? 厳戒態勢が敷かれた都市と、密室状態の隠れ家で起こる連続殺人の謎。マリアと漣が挑む史上最大の難事件!~ これは・・・今まで以上にスゴイ作品に仕上がってる。スケールの大きさでいえば、シリーズNO.1だろう。 紹介文のとおり、同じフェニックス市内で発生するふたつの連続殺人事件。1つは市内を舞台とした広域で、もうひとつは一軒家というCCという狭い空間で発生する。いずれにも見え隠れするのが「吸血鬼」=ヴァンプドックという存在。 連続殺人はごく短い時間帯で次々と起こっていて、それこそ人知を超えた存在でないと、物理的に無理だろ!というレベル。そこまで大きく広げてしまった風呂敷を、どのように作者は回収するのか? そこに興味の焦点が当てられることになる。 で、今回の解決編がかなりのボリューム。真犯人指摘の時点で、まだかなりのページを余していたので、どんでん返しが繰り返されるのかと予想したけど、その中身の大半は、この現実性を超越した物語を、いかにして現実的なレベルの解法に着地させるのかに費やされている。 正直、ここは相当に我慢のいる読書になった。(ネタバレかもしれんが)本作の裏のキーワードとなる「狂犬病」について、本作中のフィクションでの変異株の話など、これは相当に作りこまないと、読者の納得感は得られないだろう。 では私自身納得したのか?と問われると・・・ そこは微妙・・・ではある。 「あとがき」は真犯人の動機面を補強するためにはマストだったのだろうが、確かにこれがなかったら、少なくとも襲撃犯事件の筋は納得できなかったに違いない。 で、最後の最後で語られる、もうひとつの裏のストーリー。恐らくこんなことじゃないかと想像していたけれど、次作以降どのように関わってくるか? 興味は尽きない。 いずれにしてもスゴイ作家だったんだなあと再認識させられた本作。五作目でパワーアップというのがスゴイこと。 |
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| No.4 | 6点 | 虫暮部 | 2023/11/10 15:54 |
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| 最初からパラレル・ワールド設定とはいえ、大胆な世界改変だ。
面白いんだけど楽しみ切れなかった。ウイルスの謎云々は、題材について考え抜いた作者には下地があったのだろう。が、殺人事件を追ってきた私にしてみれば、ベクトルが明後日の方へ振られたようで頭が切り換わらないよ。“アウトサイド” の連続殺人は動機が弱いし、“本格” の看板を掲げるよりもノン・シリーズの医療系SFスリラーとして書いた方が良かったのでは。 シリーズの世界が今後どのように変貌するか、期待が半分、整合性を失くしてグダグダになってしまわないか心配が半分。 初版にミスあり(知らない筈の名前を呼んでいる)。版元に報告したが、首尾良く修正されるかな? |
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| No.3 | 7点 | mozart | 2023/11/01 16:32 |
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| マリア・ソールズベリー&九条漣の「○○は~ない」シリーズの中でも読みやすさ、伏線の回収、(数度にわたる)どんでん返し等のレベルは出色だと思います。途中インサイド、アウトサイド、インタールードに分かれたストーリーがどのように収束していくのかワクワクしながらページを繰る手が止まらず一気読みしました。
ただ登場人物間の関係等への理解とかを考えると(多少こみ入った感があるので)一連の過去作には目を通しておいた方がより楽しめると思います。マリアが途中のダメダメ状態から最後になって急に「名探偵」ぶりを発揮して(?)真犯人を糾弾するというパターンにも慣れるし。特に今作以降(?)のことを考えると例の人物の絡みでは「ボーンヤード~」は先に読んでおいた方が良いかも知れません。 |
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| No.2 | 8点 | HORNET | 2023/10/26 22:00 |
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| 現金輸送車襲撃事件への捜査応援要請を受け、出動したマリアと漣だったが、現地は警察と軍が総出で市を包囲する異常なまでの厳戒体制が敷かれていた。その真の理由は、20年以上前に連続殺人を犯した男『ヴァンプドッグ』の脱走。現金輸送車の事件との関わりも分からず捜査が迷走する中、近辺で『ヴァンプドッグ』の手口と同様の殺人が次々と起きていく―
マリア&漣が難事件に挑む、大人気本格ミステリシリーズ第五弾。 「咬まれた者がヴァンパイアになる」という、ゾンビの連鎖に似たSF要素を組み込んだ、ある意味特殊設定のミステリ。その設定を存分に生かした謎解きの仕掛けは、作者の卓越した技量を感じる。 言うまでもなく、設定に立ったうえで推理はロジカルに組み立てられており、物語終盤の、スケープゴートとされた教授の逮捕から一気に真相へと踏み込む件は圧巻だった。 マリア&漣 両キャラクターのコントラストによる相乗効果は相変わらず小気味よく、物語のリーダビリティに大きく貢献している。 シリーズ中でも良作に位置づけられる作品であることは間違いない。 |
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| No.1 | 8点 | 人並由真 | 2023/10/04 06:33 |
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| (ネタバレなし)
この世界の1984年2月上旬。一年前のジェリーフィッシュ事件以来、複数の怪事件を解決してきたA州フラッグスタッフ署の刑事コンビ、マリア・ソールズベリー&九条漣は、なじみのフェニックス署刑事ドミニク・バロウズの応援に向かう。ドミニクがひそかに協力を願う案件とは、さる国立医療機関から逃げ出した、かつて吸血鬼のごとき連続殺人を行なったという秘密の病理患者についてだった。それと同じころ、同じA州では現金輸送車を襲撃した強盗殺人事件が発生。逃亡した犯人たちはさる隠れ家に潜伏するが、やがてその外部からの侵入がないはずの屋内では、怪異な連続殺人がスタートした。 おなじみマリア&漣シリーズの最新作で、長編第4弾(シリーズ全体としては、中短編集をふくめて5冊目)。 先にちらりと見かけたAmazonのレビューですんごく評判がいいようなので期待して手に取ったが、割と小さめの級数でぎっしり二段組の文字組に、一瞬、う……となる。 しかしいったん読み始めると、これまでに勝るとも劣らないリーダビリティの高さであっという間に一気読み。 ちなみにシリーズ5冊目ということで、これまでのマリア&漣ものに登場したキャラクターたちも続々と登場。 極端な話、本書で初めてシリーズを読み始めてもこれまでの作品のネタバレにはならないように配慮はされているけれど、シリーズの流れにもとづいた趣向を満喫するなら、やはり既刊分は読んでおいた方がよろしいでしょう。 特に中短編集の『ボーンヤードは語らない』はぜひとも先に目を通しておいた方がいい。 で、本作そのものの感想だけど、いやはや……シリーズの中でもどでかい種類の反転の構図が用意されており、同時に(中略)のサプライズも強烈。犯人像も相当にインパクト大で、マリア&漣ものの中でもたしかに上位にくる出来ではあろう。 (個人的に、実は……の事件の構造が、すごく好みじゃ。) まあ解決に関してはよく練られていると思うものの、一方でかなり(中略)ではあるので、<その時点>でダメな人はもしかしたら、すでにもうダメかもね。 それでもロジカルで、伏線拾いまくり、かつトリッキィなパズラーにはなっているはずだ。 良くも悪くもシリーズのうねりも劇的で、次回はますます一見さんには敷居が高くなりそうだけど、その辺はこの作者のことなので、単品でも楽しめるようにうまく捌いてくれるでしょう。たぶん。 でもなんか、後発の別の作家の(中略)シリーズと、作劇の構造が似てしまうんだよな(汗)。いやまったく、ソノ辺は、こっちのシリーズのせいじゃないんだけれどね。 |
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