皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 月灯館殺人事件 |
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北山猛邦 | 出版月: 2022年06月 | 平均: 7.40点 | 書評数: 5件 |
星海社 2022年06月 |
No.5 | 7点 | 虫暮部 | 2023/08/31 12:25 |
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こんな風に自作のトリックをネタバレ&リユースしちゃうのはアリなの? あっちも既に読んでたから被害は無かったが、是非はともかく、そういうことをやっている、と言う事実のせいで以降ちょっと斜に構えた読み方になってしまった。それさえなければ。 |
No.4 | 7点 | mozart | 2023/07/26 07:19 |
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これは…。
北山「節」炸裂といったところでしょうか。 本作者の過去作同様随所に散りばめられた「違和感」に何ら疑念を抱くことなくラストのアレまで読み進んでしまいました。まさに術中にはまりまくってしまった、と。 |
No.3 | 8点 | みりん | 2023/07/26 00:45 |
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【ネタバレがあります】
怪しげな館に集う7人の本格ミステリ作家。晩餐パーティで起こる罪の告発テープ。連続密室・首無・見立て殺人。 で、登場人物はというと 変な館で変な企画する奴・お嬢様言葉の奴・父親殺されたのに冷静に推理してる奴・明らかに頭悪そうな口調の奴・ストレス発散に斧振り回す奴・バラバラ殺人現場で一晩中探偵小説読む奴。 こんなの現実にいないだろうって奴しかいなくてまさに"人間が描けていない"と揶揄されるであろう小説。そうこれこそが本格ミステリ、大好き。ホントこういうのでいいんだよこういうので…まあこういうのばかりだと胃もたれするけど。本作品のような物理トリックは加賀美雅之の作品くらいしか読んでいない私にとって新鮮でした。 『本格ミステリなんて同じことの繰り返しだ。何処かで見たような設定。何処かで見たような登場人物。何処かで見たようなトリック。何一つ、新しい価値なんて見出せない。』 『本格ミステリは、あくまでアポトーシス的な役割しか持ち得ない。百年前にすでに完成された様式、すでに完成された作品を、美しいまま次の百年へと導くために、あらかじめ死ぬことを約束された細胞の一つ一つでしかないのだ。』 この作品はアンチミステリとして楽しめるだけでなくて、ちゃんと密室の謎解きがあることが素晴らしい。古典作品の焼き直しと自虐しているが、同作者の『瑠璃城』殺人事件は未読だし、他の3つの密室トリックも古典を読んでないので普通に感心(笑) すべてに図が載っていて物理トリックなのにわかりやすいのもありがたい。そしてなによりこの密室動機はマジでぶっ飛んでるしユニークすぎる。 あの有名作を彷彿とさせるラストの1行は「本格ミステリは過去作品の焼き直しだ」というテーマに適したオチだと思います。この作品がアポトーシスにならないことを祈ります。 |
No.2 | 7点 | メルカトル | 2023/05/01 22:46 |
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「本格ミステリの神」と謳われる作家・天神人(てんじん・ひとし)が統べる館、「月灯館(げっとうかん)」。その館に集いし本格ミステリ作家たちの間で繰り広げられる連続殺人! 悩める作家たちはなぜ/誰に/何のために殺されるのか?
絢爛たる物理トリックの乱舞(パレード)とともに読者を待ち受ける驚愕のラストの一文(フィナーレ)に刮目せよ!! Amazon内容紹介より。 外連味たっぷりの殺害状況は余りにも人工的過ぎて、これだけ盛り込んで大丈夫なのだろうかと心配しましたが、大丈夫なのでした。実際密室+首なし死体という本格ミステリの王道とも言える状況に加えて舞台がクローズドサークルで、館ものとして大いに作者の本領を発揮していると思います。つまり、得意の物理トリックを幾つも駆使して綱渡りの様な芸当を仕掛けるというもの。現時点でこの人の最高傑作ではないですかね。 ただ特に終盤十分に説明されていない部分があり、その辺りモヤモヤした感じが残りました。更に最終局面での「アレ」は一体何だったのだろうと・・・まさか、そんな馬鹿な事が、いやある筈がないと思いましたが、ネタバレ感想で検索したらやはり私の考えは間違っていませんでした。 これから読む人は細かな伏線や違和感に注意して読み進める事をお勧めします。兎に角悪魔的な作品であり、ある意味アンチミステリと呼んでも良いでしょう。やや不満なのは探偵役が弱いというか、名探偵と言い難いのは確かだと思います。 |
No.1 | 8点 | 人並由真 | 2022/08/03 06:06 |
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(ネタバレなし)
2016年11月。奥羽山脈の森の中にあり、冬には豪雪で外界と閉ざされる洋館「月灯館」。そこは「本格ミステリの神」と呼ばれた巨匠ミステリ作家、天神人(てんじんひとし)が買い取り、ミステリ作家たちの執筆活動の場として用意した、本格ミステリ作家たちのためのトキワ荘だった。2年前の第一作が反響を呼びながらも、その後の新刊を上梓していない22歳のミステリ作家・弧木雨論(こぎうろん)は、そこでお世話になればいいという編集者の紹介を受けたのち、くだんの月灯館に赴く。だがその直後、館では不可解な血の惨劇が。 スラスラ読めるが、終盤で、そして……。 あ~~~~……。 とにかく、あんまり何も言わない方がいい作品である。さっさと読んでしまって良かった。 とはいえ正直「はあ!?」とも思ったところもあり、webなどで先に読んだ他のファンの読解を拝見して、う~ん……と唸らされる(アア、ソウイウ、イミダッタノネ)。 ただまあ、ギリギリな部分はあるし、さらに今回は……(中略)。自分は支持派につくけれど、アンチ派の人もそれなりに出そうで、たぶんその論拠は(中略)と(中略)の二点に置かれそうな気もする。 すでに巷のネットでは大騒ぎになりかけていて、今年のベストワン候補との声も多いようである。 (ただし、先述の通り、否定派も相応に生じそうと観測するが。) いずれにしろ、アレコレ、色々とスゴイ作品。 で、できればこれまでの主要な北山作品、具体的には特に「城シリーズ」は嗜んでいた方が良い(この話題はギリギリここまで)。 ともかく、ネタバレを食らわないうちに、とっとと読んじゃうのをお勧めします(笑・汗)。 |