皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 『ギロチン城』殺人事件 |
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北山猛邦 | 出版月: 2005年02月 | 平均: 5.58点 | 書評数: 12件 |
講談社 2005年02月 |
講談社 2009年03月 |
No.12 | 5点 | ミステリ初心者 | 2020/08/10 01:18 |
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ネタバレをしています。
買ったのは正月前後ですが、城シリーズ最初がクロック城だったことをしり、クロック城からよみました。しかし、wikiによると、作品毎に世界観が独立しているシリーズとのことなので、今回はギロチン城を読みました。 とても読みやすい文章であり、クロック城よりも専門用語もなく、とっつきやすいです。首切り人形の伝説から始まり、頼科のナコが登場してからすぐに城までたどり着きます。登場人物紹介はないですが(というか書けない)、認証システムでの表がその役割をしてしています。名前も覚えやすいですね(笑)。 推理小説部分に関しては、大掛かりな城の仕掛けを利用した密室殺人と、読者をだますために用意された叙述トリックがあります。 密室殺人に関しては、状況が完璧すぎたため、まるでわかりませんでした。回廊の廊下が円形になっていることが示される前まで、犯人との共犯を疑っていました(共犯でも密室の謎は解けませんでしたが…)。回廊の廊下が円形であるとわかってからは、動くことは予想できたのですが、やはり完全にはわかりませんでした。 叙述トリックに関しても全く予想できませんでした。確かに悠は存在が薄すぎましたが(笑)。頼科たちが藍と初めて会うシーンを読み返しましたが、なるほど藍はしゃべるが悠はしゃべったと書いてはありません(笑)。ただ、首から上と下とで名称が違うなんてことは、通常この世にありえないので、このページを読んで「同一人物だ!」なんて思う人間はいないでしょう(笑) 以下、好みではない部分 ・登場人物は人形を意識してなのか、大量殺人が起こっているにもかかわらず、あまり感情を表しません。一族の血なのでしょうか。そのため、クローズドサークル特有のサスペンス感や緊張感は感じられませんでした。 ・スクウェアの儀式を行う回廊での廊下が動く仕掛けですが、似たようなトリックの作品をいくつか見たことがあります。しかし、それを見るたびに、移動していたら体感でわかるのではないか?と疑問に思ってしまいます。トリックに必要な回転速度も完全にはわかりませんし、人間が動いていると知覚できないくらいの速度って結構遅いものだと想像しますが…? ・一人の人物を小説上二人に見せるという仕掛けもたびたび見ます。しかし、やや強引すぎる気がしますし、小説上効果的でもないと思います。 |
No.11 | 4点 | ia | 2015/02/19 23:17 |
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世界観の構築が出来てない。
ギロチン城の存在自体にツッコミどころがありすぎる。 物理トリックの説明が何言ってるかわかりづらい。 せっかくの叙述トリックも頭にあまり入ってこなかった。 理解できたあとも、トリック自体いまいちだと思った。 アリスミラーみたいに一発ネタに特化した方がいいと思う。 キャラ描写は10年前のアドベンチャーゲームのような古臭さがあったけどそれが逆に良かった。 |
No.10 | 4点 | 蟷螂の斧 | 2014/12/11 21:19 |
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トリックの原理(既読分)は黒田研二氏(2000)歌野晶午氏(2004)東川篤哉氏(2005)などがありますが、本作が一番応用がきいていたとは思います。ただ、始めに物理的トリックありきで、物語性の面白味に欠けるという難点ががあるような気がします。また、もう一つのメイントリック?はいただけません。他の方も指摘されていますが、瑕疵があります。著者が叙述を意図するならばアンフェアな表現以下と言わざるを得ません。 |
No.9 | 6点 | 名探偵ジャパン | 2014/12/05 10:50 |
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前作「アリス・ミラー」で高度な文章トリックを使ってきた作者だったが、本作は、「俺たちの北山が帰ってきた!」と喝采を贈りたくなるガチガチの物理トリックものであった。
「ちょっとでも後ろを振り向いたら終わり」という薄氷を踏むようなトリックも、そのビジュアルを想像するとあまりに強烈で許してしまう。そして哲学的ともいえる犯人の正体。「アリス・ミラー」で培った叙述性と本来の物理トリックが合わさり、北山猛邦でしか成しえない怪作ミステリが出来上がった。 |
No.8 | 6点 | アイス・コーヒー | 2014/08/26 14:49 |
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〈城〉シリーズ第四作の舞台となるのは、処刑道具をモチーフにした『ギロチン城』。城主の道桐久一郎は密室の中で首を切断され、現在ではその一族がひっそりと暮らしているらしい。自称探偵のナコと学生の頼科はあるメッセージを受け取って城へ向かうことになるが…。
儀式中に起きた首切り四重密室をはじめとする不可能犯罪の連鎖は実に本シリーズらしい展開で、当然物理トリックも健在。久一郎殺害の密室トリックに関してはある程度予測できたが、四重密室と首切りの理由に関しては流石に驚かされた。国内本格の某名作に似ていなくもないが、実に独創的かつ斬新な手法であることは間違いない。(ただし、いくつかの点で無理があるためバカミスに近い部分もある。これは物理トリックを肥大化させすぎた副作用の一つであり、是非とも次回作で解決していただきたい。) また、フーダニットに仕掛けられた強烈な一撃も印象的だ。見事に世界観を回収したトリックであることは云うまでもなく、(少なくとも文庫版では)伏線もしっかりと張り巡らされている。「『アリス・ミラー城』殺人事件」のアレがパクリだとかアンフェアだとか散々罵った方にも認めていただけるのではないだろうか。 ただ、そのトリックに重きが置かれすぎたために肝心の物語としての魅力が損なわれているという点は残念だ。従来の〈城〉シリーズらしいラブストーリーなども描かれているが、やや消化不良気味。特にラストの怒涛の展開は駆け足過ぎたように思う。 さらに、文庫版解説で霧舎巧氏が「名前が数字でしかないキャラクターもしっかり描かれている」と述べているが、私にはそうとは思えない。はっきり云って三と四あたりの区別も良くわからなかったし、五に至ってはほとんど印象がない。ストーリーとしては〈城〉シリーズの中でも最悪だ。 明らかに進化は見られるものの、まだまだ改善の余地がある作品だった。中々困難なことだろうが、『石球城』でのさらなる進化を期待したい。 |
No.7 | 5点 | メルカトル | 2014/02/04 22:37 |
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再読です。
プロローグは確かに惹かれるというか、のめり込める、いい雰囲気を持っている。が、約100ページくらいまで殺人が起こらず、正直ダレる。そこからは一転急展開が始まるのだが、どうにもその文体に馴染めなかった。 メイントリックはなかなか良く考えられているとは思うし、犯人の行動に矛盾はなさそうである。しかし、現実的にはまず成立しえないだろう、どう考えてもトリックに気づかれてしまうはずだ。まあしかし、そんなものかもしれないね、物理トリックというのは。 一方、真犯人の正体は、少しだけ読み返したが、はっきり言ってアンフェア。ノベルズの72ページは私の読みが足りないのかもしれないが、地の文の記述におかしな点がある。これには、いくら温厚な私でも一言言わずにはいられない。ここに関してだけは破綻していると思う。だが、それで評価が低くなったわけではない。 |
No.6 | 7点 | mozart | 2012/08/07 17:23 |
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「アリス・ミラー城」同様、これもまた、ちょっとあんまりじゃないかと思って何度も読み返したけれど、反則ギリギリのところで、何とか踏みとどまっている感じです。でも、あの物理トリックは現実味が薄いんじゃないかと思います。
とは言え、自分の好みにはフィットする作品でした。 |
No.5 | 5点 | yoneppi | 2011/04/29 20:39 |
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占星術というよりウェディング・ドレス的バカミスかな。それにしても知らない間に回りすぎだろ。 |
No.4 | 5点 | seiryuu | 2010/09/23 16:31 |
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冒頭はよかったけれど途中から中だるみ。
トリックは複雑ですごいと思うけれどストーリーが面白くなかった。 |
No.3 | 5点 | いけお | 2009/06/10 09:11 |
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どのトリックもすごいがもっと効果的な使い方・見せ方があったと思う。
なんとなくデビュー作っぽい雰囲気で上手く入り込めなかった。 |
No.2 | 6点 | シーマスター | 2009/04/19 20:34 |
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現実味皆無の城と浮世離れした住人たち、唯我独尊の探偵とワトソン的なその相方、スポンスポンと人の首が刎ねられズブズブと刺し殺されていく展開・・・・
そう、teddhiriさんが仰るとおり「翼ある闇」を彷彿させるテイストで話は進む。(それは別としても、この人なんとなく「麻耶寄り」だよね) だけどメイントリックはちょっと苦手だなー。こういう「仕掛け」は今時流行らないんじゃないのかね。 無⇔有を可能たらしめる、その「使い方」は面白いけどね。 フーダニットに関しては・・・ミステリとしてはいささかカタルシスに欠けるが、その特異性は単なる「驚き」のみならず哲学的な様相すら帯びてくる。登場人物の多くが記号化された設定などからも、本作を読むとこの作者は単なる物理トリックオタクではなく「人の存在」に関する独自の意味論を内包している気がしないでもない。 |
No.1 | 9点 | teddhiri | 2009/04/04 11:25 |
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個人的には前作をも超えた大傑作。
「翼ある闇」を思わせる世界観に強烈なサプライズを仕掛けている。スクエアの4重殺人も面白いが、やはりメインとなる犯人の正体に関する謎は前代未聞のアイデアではないか。しかもそれが強引でありながら、不自然ではないと思わされた。また城自体の仕掛けも強烈なインパクトがあった。惜しむらくは城の仕掛けをもっと強く出して欲しかったくらいか。その点を考慮して1点減点。ただし犯人の正体、城の仕掛け、4重殺人のどれをとってもメインを張れるネタのような気がする。それがこの薄さで読めるのだから大変お買い得でしょう。 |