皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ ホラー ] 変な家 |
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雨穴 | 出版月: 2021年07月 | 平均: 4.57点 | 書評数: 7件 |
飛鳥新社 2021年07月 |
飛鳥新社 2021年07月 |
飛鳥新社 2024年01月 |
No.7 | 6点 | 斎藤警部 | 2024/08/19 23:13 |
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掴みは迅く、展開も速く、結末には想定外の深み。 中古住宅の奇妙な間取り図を巡り「筆者」と「相談相手」が様々な考察を巡らす。それが犯罪への妄想にまで発展した頃、現実の迷宮入り殺人事件との連関が明らかになる。事件関係者との面会を繰り返すうち、更に奥深い真相の沼へと「筆者」達は引き摺り込まれて行く。
いくつかの、よく見ると不可解な「間取り図」を対象に、何故そのような設計になったのか、また「間取り図」上には現れない住宅の構造までをディ――プに推理しながら進行する物語には、淡々とした語り口ならではのスリルとサスペンスが充満。 作者の妄想インフレ爆発記録ドキュメントみたいな一面もあるけれど、常に見取り図(時に◯◯図)を携えて静かに進行する不思議な落ち着きがバランスを取り、それなりのリアリティの重みを持った仕上がりとなっている。 いやはや、ここまで業の深い(ちょっと大風呂敷でもある)エンディングに至るとは、まったく感服しきりでございます。 娘の買ったお気に入り本を読ませてもらいました。 |
No.6 | 6点 | ミステリ初心者 | 2024/05/08 18:49 |
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ネタバレをしております。
雨穴さんはyoutubeでたびたびお勧めに上がってきて知ってはいましたが、私が見た動画は2つぐらいでそこまで詳しくは知っておりませんでした。変な家の動画もその時は見たことが無かったです。しかし、雨穴さんのパロディ動画(察しが悪いやつ)を視聴してから興味が湧き、本家変な家の動画を視聴後、この小説も読みました! とんでもなく読みやすかったです。一晩で読了したのはいつ振りか思い出せませんw 不動産ミステリーで間取り図に関する話が多いのですが、その都度間取り図が示されていてページを巻き戻さなくても話が理解できます。さらに間取り図のアップやマークで今どこの部分の話をしているのかを丁寧に表現してくれます。これは本格推理小説作家も見習うべきですw また、登場人物が発言する際は文章の最初に名前が記されていて、とても理解しやすいです。戯曲に近いものを感じますが、戯曲って読みやすいんですよね。それによるトリックも疑いましたが、それはなかったです(なかったはずw) 本格推理小説ではないので推理小説として評価するのはどうかと思いますが、二転三転する展開と意外な結末、ラストのドンデン返しは推理小説ファンでも楽しめる趣向だと思います。 以下、難癖点。 不動産ミステリーで間取り図が肝のミステリかと思いきや、ページ半分辺りであまり間取り図が関係なくなっちゃいましたw 後半は民俗学とか因習とか、旧家の骨肉の争いとか、ミステリによくある感じが強くなります。 また、ラストのドンデン返しは魅力的ではありますが、黒幕の狙い通りに人が動くかというと疑問です。ホラーだから論理性はいらないのかもしれませんが。 総じて、書評点が低かったので不安でしたが、読みやすく楽しめる作品でした。推理小説を読んだことがない人はおろか、本を読まない活字離れした人にもお勧めです。一方で、本格推理小説を愛するミステリマニアには物足りなさも感じるかもしれませんね。 |
No.5 | 4点 | バード | 2024/05/06 15:07 |
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最近広告で見かける本作。映画の脚本のような読み心地で、一小説としては力不足感あり。
特殊建築物ものは既に世に沢山ある。事件の動機も古臭く微妙。どんでん返しも過去の良作と比べて突出していない。 上記のように既視感のある要素が多く、ミステリ好きには勧め難い。普段活字を読まない層や、ミステリに慣れていない読者なら楽しめそう。 |
No.4 | 4点 | makomako | 2024/04/09 07:31 |
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何度も家の構造が出てきて、分かりやすいといえば分かりやすいのですが、実際に読むところが極めて少ないお話です。どっちかというと謎の絵本のような感じ。
読み始めればあっという間に読めてしまい、中身が薄い。 お話の内容もちょっと悪意的であまり気分がよくない。 こういた感覚の小説があることは認めますが、私の好みからいうとダメでした。 |
No.3 | 4点 | まさむね | 2024/02/21 23:06 |
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作者の作品は「変な絵」を先に読んでいて、意外に?楽しく読ませていただいたことから、話題のデビュー作もそのうち読んでみようか…と考えておりました。最近文庫化されたことを機に、ようやく手にした次第です。
で、正直、積極的な評価はしにくいですねぇ。間取り図が関係するのは前半だけで、後半は親族関係が複雑化されたたうえ、単に結論を読まされただけという感じ。内容的にも強引すぎはしないか。文庫版では、栗原設計士による「文庫版あとがき」も追加収録されていたのですが、これまた微妙でした。 一方で、冒頭で触れたように、2作目の「変な絵」は良かった。ということは、この間で確実な進化があったとも捉えられる訳で、最新作「変な家2~11の間取り図~」に手を出してみる価値はあるのではないかと、考えているところです。 |
No.2 | 3点 | HORNET | 2022/05/04 21:16 |
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家の間取りから隠れた謎を暴き出す…という冒頭はかなり興味深かったのだが、次第に呪いやら掟やらでありがちなB級ホラーに帰結してしまった印象。
出典はインターネット連載?なのかな? 2時間もかからず読めてしまう。 どんどんぶっとんだ話になって行くに従い、人物関係も伯父叔母やらいとこやらで複雑になっていき、その両面で興趣は右肩下がりだった。 |
No.1 | 5点 | sophia | 2021/11/11 23:49 |
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本作は人気のYouTube動画を書籍化したものだとか。「不動産ミステリー」の謳い文句に相応しく、話の折々に間取り図が挿入されるという親切設計です。しかし「不動産ミステリー」だったのは第二章まで。第三章はもはや単なる隠し部屋・隠し通路捜しミステリーになってしまい、あまつさえ第四章は家系図ミステリーになってしまいました。こういう無理に長編に仕立てたものではなく、独立した複数の短編が読みたかったですね。真相の現実味のなさは棚に上げておきます。 |