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[ 社会派 ]
告解
薬丸岳 出版月: 2020年04月 平均: 6.33点 書評数: 3件

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講談社
2020年04月

講談社
2022年08月

No.3 5点 E-BANKER 2025/03/02 13:42
久々の薬丸岳である。社会派風味の重厚なミステリ書き、という印象の強い作者。
本作もそのような作品なのだろうか?
単行本は2020年の発表。

~罰が償いでないならば、加害者はどう生きていけばいいのだろう? 飲酒運転中、なにかに乗り上げた衝撃を受けるも、恐怖のあまりそのまま走り去ってしまった大学生の籬(まがき)翔太。翌日、ひとりの老女の命を奪ってしまったことを知る。自分の未来、家族の幸せ、恋人の笑顔・・・。失うものの大きさに、罪から目をそらし続ける翔太にくだされたのは、懲役4年をこえる実刑だった。一方、被害者の夫である法輪二三久は、「ある思い」を胸に翔太の出所を待ち続けていた~

正直、もっともっと重い話かと予想していた。
飲酒運転でひとりの老婆を轢き殺した男。刑期を終えて、世間から隔絶された暮らしを始めた男と、その原因の一端をつくった元恋人の女性。そして、轢き殺された老婆の夫。
この三人を軸に物語は進み、動いていく。

紹介文のとおり、本作の一番のポイントとなる謎は、夫・二三久が命を賭してまで、何を加害者の男に伝えたかったのか。ほぼ、この一点に尽きる。
話の流れからすると、恐らくこういうことではないかと考えていたものと、結果として、あまり違いはなかった。
そういう意味でも、本作のキーポイントで今ひとつノレなかったなあーという感覚になってしまった感はある。
認知症を発症して、自分の子供にさえ「どちらさまですか?」という老人が、死ぬ間際に、そこまで明瞭に自らの思いを伝えられるというところにも、どうにも違和感は感じる。(認知症のふりをしていたというような表現はないしね)
ハッピーエンド風のラストも、ややチープかと・・・

尺の問題かもしれないけれど、ここは“もうひと山”“もうひと掘り”が必要だったんじゃあないかな・・・
もちろん、よくまとまってるんだけどね。
個人的には、そのまとまり具合が、今回は高評価にはつながらなかった感じ。

No.2 6点 パメル 2023/08/07 06:45
「今すぐ会いに来てくれなければ別れる」という恋人からのメールを見て、大学生の翔太は深夜、車を飛ばす。先程まで酒を飲んでいたが、もう終電がなかった。だが、運転中の何かに乗り上げた衝撃を覚える。恐怖で走り去るが翌日、自分が老女の命を奪ったことを知る。翔太は警察に逮捕され、懲役4年10カ月の判決を受ける。一方、被害者の夫である法輪二三久は、ある意図をもって出所後の翔太に近づいていく。
服役しても罪は償えない。ならばどのように生きていけばいいのかと苦悩する。その贖罪を問い掛けるうえで重要なのが、翔太に接近を図る法輪の存在だろう。法輪が望むものとは何なのかが終盤、前面にせりだしてきて、驚きとともに感動を呼ぶ大きなうねりを作り上げる。
エピローグでさらに静かに盛り上げて、優しく力強い台詞を出して、温かな余韻を味あわせる。罪と罰をめぐる物語の構図が複雑かつ重層化されて、キャラクターの輪郭が一段と際立ち、テーマが鋭く強く打ち出される。犯した罪は一生消えない。しかし、その罪を抱えて前向きに生きていくことは出来るはず。翔太のある言動を身勝手ととるか、リアルととるかで評価が分かれるかもしれない。最後に、何よりもタイトルがもつ深い意味が分かり、作者の意図が明確になる。

No.1 8点 HORNET 2021/07/10 21:43
大学生の翔太は、飲み会後に彼女に「今すぐ来てくれないと別れる」とメールを受け、飲酒運転で向かう途中に一人の老女を撥ね、命を奪ってしまうが、そのまま走り去る。ひき逃げ犯としてすべてを失った翔太は4年の服役となり、刑期を全うするが、出所後に待っていたのは被害者の夫である法輪二三久との意外な出会いだった―
 最近よく見られる、犯罪被害者と加害者とのやりとりを描いた作品だが、非常にひねりのある面白い展開で、読まされた。読後感もよく満足できた一冊。


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