皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 社会派 ] 籠の中のふたり |
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薬丸岳 | 出版月: 2024年07月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
双葉社 2024年07月 |
No.1 | 8点 | HORNET | 2024/08/25 18:07 |
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父親を亡くしたばかりの弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は川越の家で暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るくてお調子者の亮介と交流することで人として成長していく。だが、ある日、母が結婚する前に父親の安彦に送った手紙を見つけ、衝撃の事実を知る。母は結婚前に快彦を妊娠していて、快彦に知られてはならない秘密を抱えていた。そして、出生の秘密は亮介の傷害致死事件とも繋がっていく。二人は全ての過去と罪を受け入れ、本当の友達になれるのか――。(出版社紹介より)
従弟・亮介が居酒屋で起こした傷害致死事件の真相、亮介と、快彦の父・安彦との約束、快彦と元カノ・織江の行く末―など、複線的に進行するそれぞれのストーリーがどれも目を離せず、興趣が尽きない展開。謎解きとしての興趣はもちろんだが、亮介に心を解かれ、次第に変容していく快彦の人間的成長や、そのことにより距離が縮まっていく二人の様子がヒューマンドラマとして非常に魅力的。着地点の読後感もよく、非常に充実した読書体験だった。 |