皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] あやかしの裏通り オーウェン・バーンズシリーズ |
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ポール・アルテ | 出版月: 2018年09月 | 平均: 6.80点 | 書評数: 5件 |
行舟文化 2018年09月 |
No.5 | 8点 | 蟷螂の斧 | 2023/10/27 17:36 |
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「路地の消失」と「過去と未来の幻影」という謎で引っ張って行きます。それが5人も体験しているとなると結構難題となりますなあ。犯人が誰?なんかは頭の中からすぽっと抜けてしまったため、ラストの真相はインパクトがありましたよ。 |
No.4 | 6点 | E-BANKER | 2023/06/10 12:59 |
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ツイスト博士シリーズに続いて発表されたのは「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズ。で、その発表第一弾が本作。
名探偵と助手が活躍するというクラシカルなスタイル、そして舞台は辻馬車が行きかう古き良きロンドン。 2018年の発表。 ~ロンドンのどこかに霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」があるという。そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時にそのまま裏通りに吞み込まれ、行方知らずとなる・・・。単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフは、まさにたった今、自分は「あやかしの裏通り」から逃げて帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフはそこで奇妙な殺人を目撃したと言い・・・謎が謎を呼ぶ怪事件!~ 本作一番の謎は、他の方も書かれているとおりで、「路地そのものが忽然と消失してしまう」というもの。 しかも、この謎はひとりだけではなく、都合五人の大人が体験することとなる。 今までも何かが「消える」ミステリーはいろいろとお目にかかっってきたけど、こういう方向性は初めての趣向かもしれない。 例えば、列車まるごとを消して見せた? 阿井渉介作品などが思い浮かぶのだが、あの”無理矢理感”というか「消すことが目的なんです」という感覚が本作にも共通するのかなとは予想していた。 で、結論から言うと・・・同じです。やっぱり無理矢理です。消す動機も・・・どうかなあ? そこまで大掛かりなことをしてまで消す必要性があったのかとういうと、ほぼないように思う。 まあそれを言ったらおしまいかもしれんが、真犯人の意外性についてはなかなか。 まさか、そんな段階から罠が仕掛けられていたとは・・・ トータルではさすがにポール・アルテ。ケレン味たっぷり、サービス精神たっぷり。 古き良き時代の本格ミステリーを大いに彷彿させる作品には仕上がっている。 ツイスト博士シリーズも、随分と時代錯誤なことをやってくるなあーというシリーズだったが、本シリーズも負けず劣らずなのだろう。他のシリーズ作品も読みたいというのは確か。 |
No.3 | 7点 | レッドキング | 2023/05/18 22:59 |
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迷い込んだ裏路地。奇怪な男女と謎の建物。室内から窓越しに見える幻の光景。逃走し、かえり見れば・・路地自体が消えていた・・・。ドイル・カー風怪奇叙景の合理的解決で、フレンチ風に洗練された(島荘だとウルトラ野暮になる)Who・Why・Whatミステリ調理が完成、見事。 |
No.2 | 7点 | 人並由真 | 2019/01/22 13:35 |
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(ネタバレなし)
「消える裏通り」という大ネタに「その向こうは××××の世界」という味付けまで加えるサービス精神はとても嬉しい。さすがに謎の解明はしょぼいものだろうと思っていたら、そっちはそこそこの手応えがあった。 とはいえ確かに、ここまでの大仕掛けの手間は作中のリアルで考えるなら、(中略)にとってかなり割に合わない作業でしょうね。 カーを敬愛する一方でクリスティーを愛読していたという作者の素養は、本編を読むとよく実感できる。推理というより小説の組み立てで真犯人が見え見えなのもどこかクリスティーに似て無くもないが、全体としては手数の多さで十分に楽しめた。フィニッシング・ストロークも気が利いていてニヤリ。 翻訳は総じて読みやすかったが、ワトスン役のアキレスの地の文での一人称「ぼく」が序盤の一部だけ「わたし」になっているのは素人臭いミス。助詞の脱字も目に付いた。インディーズ出版さん、応援してますので編集も頑張ってください。次作も楽しみにしております。 |
No.1 | 6点 | nukkam | 2018/08/31 23:13 |
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(ネタバレなしです) 芦辺拓が「アルテのベスト5に入るとも言われる傑作」と高く評価した2005年発表のオーウェン・バーンズシリーズ第4作の本格派推理小説です。謎づくりの上手さに定評ある作者ですが、本書ではロンドンのどこかに忽然とあらわれまた姿を消す裏通りの謎を扱っています。幻の路地というとジョン・ディクスン・カーの「絞首台の謎」(1931年)を連想する読者もいるかもしれませんが、本書では何人もの証人を登場させたり路地で起こった不思議な体験を語らせたりと謎をどんどん膨らませるところはカー以上に手が込んでます。26章の最後でオーウェンが犯人に浴びせる痛烈な皮肉も効果たっぷりです。そもそもあんな複雑な仕掛けは必要ないのではと思う読者もいるでしょうけど、個人的には謎解きを面白くするための作者のサービス精神として賞賛したいです。 |