皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 東海道新幹線殺人事件 ミステリー作家・朝倉聡太 |
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葵瞬一郎 | 出版月: 2017年10月 | 平均: 6.67点 | 書評数: 9件 |
講談社 2017年10月 |
No.9 | 5点 | E-BANKER | 2021/07/01 20:53 |
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令和のご時世でこのタイトルなんて、かの西村御大でも付けないだろうよ。
でも、本サイトでの思わぬ評価を見て、手に取ることになったのだが・・・ 2017年発表。 ~新横浜⇔小田原間ですれ違った新幹線のぞみとひかりから、ほぼ同時に頭部切断死体が発見された。だが事件の異常さはそれだけに留まらず、頭部が互いにすげ替えられていたことが判明する。死体の上にあった「鬼は横道などせぬものを」という地文字のメッセージが意味するものとは。創作意欲を掻き立てる刺激を求めて、放浪を続ける人気ミステリー作家・朝倉聡太が難事件に挑む~ まずは本作の肝となる、トランク・新幹線を使ったアリバイトリックから。 他の方も触れているとおり、コペルニクス的発想の転換が光る。「頭部切断+頭部入れ替え」などという大掛かりな仕掛けなのだから普通は・・・という発想からの逆転。 終盤、探偵役の朝倉があっさりと解き明かす真相は、なんて言うんだろう・・・とっ散らかったパズルのピースがピッタリと嵌まるときの感覚とでも表現すべきか。 しかし、トランクの移動によるトリックなんて久しぶりだなぁー。当然「黒いトランク」を思い出す方が多いんだろうけど、個人的には島田荘司の「死者が飲む水」が一番近いのではないかと思う。(「死者が-」も終盤、殺害〇場に関する逆転の発想が解決の糸口となるからな) いやいや、冒頭でも書いたけど、令和の時代でも列車トリックはまだ創造可能ということなのかもしれない。 で、ここまで褒めてきたけど、正直なところ、一冊の読み物として「面白いか」と問われたなら、「面白くはない」と答えなくてはならない。 この書きっぷりはいくら何でもいただけない。無味乾燥とまでは言わないけど、編集者もこれでよくOK出したなと言いたいくらいだ。探偵役の朝倉・・・魅力度ゼロだ。 そして、フーダニットも工夫なさすぎだろ。勘の鋭い方なら、序盤で凡その察しがついてしまうほどの分かりやすさ。 中盤の捜査行にしても、読み飛ばしてもいいくらいだし・・・ ということで、本作はずばり「トリック一点集中」。それだけの作品。 |
No.8 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2021/04/03 19:27 |
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「鬼は横道などせぬものを」という血文字のメッセージの”意味合い”がどうも解せません。犯人は○○の事件のヒント(警察に対する)のつもりであったが、結局、それが原因で最終的に墓穴を掘ってしまったわけですから・・・。なお、トランクの移動は図解入りで、非常に分かりやすく好感が持てました。もし、読者に考えさせるような時刻表が出てきたらほっぽり出したかも(笑)。同じ新幹線ものでは、森村誠一氏の「新・新幹線殺人事件」のほうが上回っているかな?。 |
No.7 | 9点 | 測量ボ-イ | 2021/01/31 09:21 |
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いや、これは満足満足。小生の嗜好ほぼど真ん中の良作です。
謎の設定がわかりやすく、且つ魅力的。 無駄な記述もほとんどなく、解決までスッキリです。 謎解きも図解入りでわかりやすいですしね。 (こういう話しを文章だけで説明する作家さんがいて、本当 理解できなくて困ることが多い) こんな作品そうそう出会えないので、おそらく今年読む作品 ではピカ一でしょう。次回作も期待。 |
No.6 | 7点 | 名探偵ジャパン | 2021/01/08 21:19 |
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本サイトの皆様のレビューで興味を惹かれて読んでみました。これは確かに「隠れた名作」と呼ぶにふさわしいかもしれません。このタイトルからこの内容はちょっと想像できませんでしたね。逆に、このタイトルを信じて買って、「もっとユルいのを読みたかったんだ!」という逆クレーム(?)が来てもおかしくありません(笑)
続編もあるようなので読んでみたいと思わせる、思わぬ拾い物の逸品でした。 |
No.5 | 7点 | メルカトル | 2021/01/03 22:03 |
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新横浜‐小田原間ですれ違った新幹線のぞみとひかりから、ほぼ同時に頭部切断死体が発見された。だが事件の異常さはそれだけに止まらず、頭部が互いにすげ替えられていたことが判明する。死体の上にあった「鬼は横道などせぬものを」という血文字のメッセージが意味するものとは。創作意欲を掻き立てる刺激を求めて、放浪を続ける人気ミステリー作家・朝倉聡太が難事件に挑む!
『BOOK』データベースより。 これはなかなかの作品じゃないでしょうか。アリバイ崩しはあまり好きではないのですが、本作は楽しめました。ハウダニット、ホワイダニットは申し分ないです。フーは・・・ですが。冒頭の超刺激的で不可解な頭部すげ替え事件が簡潔に纏められていて、とにかく興味を惹きます。なぜ犯人はこのような面倒な事を犯したのか、そして鉄壁と思われたアリバイの謎、これに尽きますね。 旅情ミステリの雰囲気も濃く、各地方の郷土料理などもふんだんに盛り込まれています。しかしそれは一面だけで、立派な本格ミステリとしても十分成立しています。 タイトルに関して取り沙汰されていますが、これはこれで良かったのではないかと私は思います。ストレートでいかにも鉄道ミステリ然としていて、好感が持てます。真相については、図解入りで非常に解りやすくてすんなり頭に入ってくる感じです。本格ミステリファンは読んで損のない作品だと思います。秀作ですね。 |
No.4 | 6点 | nukkam | 2020/04/06 21:52 |
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(ネタバレなしです) 葵瞬一郎の2017年発表のデビュー作で朝倉聡太シリーズ第1作の本書は京料理の丁寧な紹介など観光要素もありますが謎解きに力を入れている本格派推理小説で、mediocrityさんのご講評でコメントされているようにタイトルで損した印象は否めません。すれ違う新幹線でほぼ同時に首を切られた死体が発見されるのですが何と上り線の首と下り線の胴体が、そして下り線の首と上り線の胴体が同一人物という奇怪な事件で、島田荘司の「出雲伝説7/8の殺人」(1984年)や阿井渉介の「終列車連殺行」(1990年)を思い出す読者がいるかもしれません。最後まで残った容疑者数が少ないので犯人当てとしては容易過ぎに感じられるかもしれませんが、首(または胴体)の移動トリックは大変よく考えられており、推理説明が図解入りでわかりやすいのも好ましいです。それにしても西村京太郎の「寝台列車殺人事件」(1978年)以降、膨大な数のトラベルミステリーが書かれてますが日本最初の新幹線を使ったこのタイトルが本書の登場まで出版されていなかったのは意外ですね。 |
No.3 | 7点 | まさむね | 2020/03/18 21:03 |
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図書館で書架を眺めていたところ、結構新しい本であるにもかかわらず、今時では珍しい昭和感あふれるタイトルに目が留まりました。「俺は試されているのか?」という、そこはかとない不安を抱きながらあらすじを拝見しますと、謎自体は結構好みのタイプっぽい。では読んでみるか…といった流れで手にした次第です。これも出版社の戦略なのでしょうか。結構リスキーだと思うのですがね。
で、読後の第一印象としては、何気にいいモノ見つけちゃった、って感じ。序盤のアリバイトリックは、なぜに警察が気付かないのか?といったレベルのもので、まさかコレで引っ張り続ける訳ではないよな…と不安だったのですが、ソレは単なるストーリーの一部というか導入部であって、中盤以降の展開が結構面白い。前の評者の方がおっしゃるとおり、トリックとしては、私も「黒いトランク」と「マジックミラー」を思い浮かべましたね。そして、作者は、おそらく西村京太郎と内田康夫のファンなのでしょうね。 一方で、文章は決して上手とは言えないかな。サクサクと面白く読ませてはいただいたのですけれどもね。 |
No.2 | 7点 | mediocrity | 2019/09/17 23:26 |
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2年前の作品。この作家のデビュー作とのこと。
タイトルを見た時は、西村京太郎氏の後継者を狙いに来たのかと思ったが、この作者、もっと欲張りなのかもしれない。読みやすさ、本の薄さ(1時間半で読める)、事件が起こったのと同じ電車にやたらと乗りたがるあたりは西村京太郎風だ。利根川警部補なんてキャラまで出てくるし。酒呑童子伝説を絡めて旅情風景満載なのは内田康夫風だ。推理作家探偵が酒呑童子にゆかりのある神社を訪ねて周ったり、酒呑童子ゆかりの神社で殺人が起こったりする。やっていることがほぼ浅見光彦だ。まさか一気に両方の後継者狙ってる? ここまで読むと軽い感じの作品なのかと思われそうだが、本書は実はガチガチの鉄道アリバイものである。トリックは鮎川氏『黒いトランク』と有栖川氏『マジックミラー』のハイブリッドのような感じで、結構うまくできてると思う。最終盤で明らかになる、犯人がどう動いたのかの説明もなかなかいい。 やはりタイトルが悪いですね。このタイトルじゃ本格ミステリファンは絶対買わないでしょ。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2018/02/09 13:51 |
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全然ノーチェックだったが、「このミス」のアンケートで誉めてる人がいたので気になって読んでみた。WEBでのレビューの鮎川調とかなんとかいうのも興味を惹かれた理由のひとつ。
それで2つの死体の首を切った理由は、説得力があるようなあまりにも強引な行為をしたような感じで頗る印象に残る。 犯人に関しては物語の構造とキャラクター配置から早々と見当がつくが、まずは丁寧に作られた佳作~秀作。次作にも期待したい。 |