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[ サスペンス ]
妄執の影
ウィリアム・アイリッシュ 出版月: 1955年02月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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1955年02月

早川書房
1955年02月

No.1 6点 人並由真 2016/05/25 14:47
(ネタバレなし)
 ポケミス(世界探偵小説全集)から刊行された短編集で、翻訳は黒沼健。
 収録作品は表題作のほか「さらばニュー・ヨーク」「ガラスの目玉」「影絵」「義足をつけた犬」「爪」の6編。
 創元や晶文社などで読める作品も多く、すでにいくつかの作品は当然既読だったが、それらのものも歳月を経ての再読だったので、十分に楽しめた(初読だと思うのは標題作と「ガラスの~」「義足~」だと思うが、これらもすでに読んでいて忘れている可能性もある)。
 このところ不眠症ぎみだった(今はだいぶ改善)ので、こういう時にアイリッシュ(ウールリッチ)の短編集はとても良い。1~2本じっくり物語につき合わせてくれて、読了後の程よい充足感のなかで眠りにつくことができる。

 訳者の黒沼健は、言うまでもなく『幻の女』ポケミス元版の翻訳も担当(最初に邦訳された同作の「宝石」掲載版もこの人が担当)。さらには東宝怪獣映画『ラドン』『バラン』の原作(原案)の提供や秘境実話、怪異譚の著作でも有名な人物である。
 そんな所以ゆえからか、数年前に逝去した特撮研究家(香山滋の研究家でもある)の竹内博などは黒沼版『幻の女』を絶賛し、後続の新訳・稲葉明雄版『幻の女』をクソミソにけなしていた(記事の出典は特撮誌「宇宙船」の連載記事)。
 個人的には、名翻訳家だった稲葉明雄に対してよく言うわ、と苦笑するしかないが、まぁ今回、本書を読んでみて、黒沼健の翻訳に、時代を超えたある種の魅力があるのは、それはそれで改めてよく理解できた。当時としては翻訳文のなかで登場人物の口語などの演出も意識し、緩急の効いた和訳を心がけているのも感じられたし。


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ウィリアム・アイリッシュ
1980年01月
私が死んだ夜(早川ポケミス版)
1977年04月
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1955年02月
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平均:6.00 / 書評数:1