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ミステリの祭典

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平均点:5.70点 書評数:192件

プロフィール| 書評

No.132 7点 さらわれたい女
歌野晶午
(2010/04/22 18:26登録)
自らが誘拐されることを依頼するという
あまり聞いたことのない始まり、
意表をつく真相、
そして勧善懲悪的なラスト。

大がかりなストーリーではないが
サクサク進む話は読みやすく、
後味も良い、佳作ミステリといった印象。


No.131 7点 慟哭
貫井徳郎
(2010/04/15 11:50登録)
こういった、「2つの物語が同時進行的に進む」形式の場合、
かなりの確率でこのトリックが使われるので、きっと何かあるんだろうな、と
思いつつ、あえて深く考えないようにして読んだ。

軽くなく、かつ読みやすい文章構成は素晴らしいと思う。
ミステリを読みなれてしまうと、このトリック自体の衝撃は
さほどでもなく、それよりは主人公が破滅へと向かうストーリー自体に
引き込むものを感じた。

ただ、自分に娘がいるのでこうした事件を扱う小説はどうしても
抵抗を感じてしまうことと、バッドエンドが好きでないことという
ごく個人的な理由で-1点。


No.130 5点 死体を買う男
歌野晶午
(2010/04/13 10:37登録)
みなさん仰るように、ミステリとしてはごく平凡。
乱歩や朔太郎の名前と雰囲気を楽しめるかどうかでしょう。
わたしは今ひとつでした。


No.129 5点 同級生
東野圭吾
(2010/04/09 19:26登録)
結局、あの女の子が近づいてきたのは贖罪のためだった
わけで、それで主人公が納得してしまうのが納得いかない。
また、妊娠の件についても、なんだかんだと理屈をつけて
いるが、結局は性欲に負けて避妊具もつけずにやっちまった
ことに変わりがない。
主人公に感情移入ができないままだった。

一番印象に残ったのはあの「遺書」。隠蔽工作せざるを
得なくさせるあのアイデアは秀逸。オリジナリティも
インパクトも十分。
この点で+1点。
全体には大きな印象は残らない。


No.128 8点 イニシエーションラブ
乾くるみ
(2010/03/29 21:34登録)
ミステリとは何ぞや?と考えさせられてしまった。
叙述トリック一発勝負の作品をミステリと呼んでいいのだろうか・・・
また、解説サイトを読まなければ理解しきれないような、
或いはその時代を知らなければわからないような
細かすぎる伏線(例:男女7人、BOOWY)も
いかがなものか、という感じ。

その他突っ込みたいところはたくさんある。
が、それでも今の感想は『こんなの初めてだ!すごい!』
このオリジナリティだけでも高得点に値する。


No.127 5点
荻原浩
(2010/03/26 20:57登録)
冗談のようですが、「噂ほどではなかった」というのが印象。
ラスト1行は、確かにショッキングではあるが、正直
あれで読後感がすごく悪くなった。

全体に比較的ライトな文章で、内容も明らかに本格ものでは
ないのだから、無理やりあんな要素を用意せずに、
両家族の明るい未来を暗示する程度のエンディングでも
よかったんじゃないかなぁ・・・


No.126 8点 ハサミ男
殊能将之
(2010/03/19 11:32登録)
その口調はありえないだろ、という思いもなくはないが、
それ以上に展開の上手さに魅かれた。
ひさびさに気持ちよく、綺麗に騙されました。

犯人が2人登場するが、どちらも意外性に富み、一粒で2度おいしい。

しかし一番印象に残ったのはエンディングの一言ですね。こわすぎる・・・
いつか必ず来るであろうハサミ男の破滅を見てみたい気もします。


No.125 4点 ガラス張りの誘拐
歌野晶午
(2010/03/14 19:09登録)
びっくり、というより、ふーん・・・という感じしか
残らなかった。


No.124 5点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2010/03/13 15:05登録)
館シリーズに(しようと思えばできそうなのに)しなかったのは、
論理で全てを説明できる本格ミステリではない、という認識があったということですかね。

その点がやはり引っかかってしまった。

何の因果か、これを読む一週間前に、
「吹雪の山荘、探偵役が犯人を特定したが、真犯人は探偵役」
という小説を読んだばっかりだった・・・orz


No.123 7点 七人の証人
西村京太郎
(2010/03/08 19:41登録)
この人の本は読んだことがなかった(読む気もなかった)のですが、
人に薦められて初めて読んだ。

なんかこう、余計な文章をいれずにサクサクと話を進める人ですね。
比喩による感情描写とかが全くない(笑)。直前に浅田次郎を
読んだだけにギャップが面白かったです。

この本については、獄死した犯人(?)の父親の論理の進め方が
かなり強引な印象を受けましたが、それを差し引いてももう設定の
勝利でしょうね。こんな設定見たこともない。
楽しめました。


No.122 5点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2010/03/08 19:29登録)
<<ネタばれ有り>>

うーん…人間歳はとりたくないもんで、余計な知識が頭にあるせいで
「もしかしたらこいつか?」「いや、こいつなのか」なんて
ついつい考えてしまう。
この結末と、主人公犯人説、ヒロイン犯人説、を
想定して読んでしまったために、驚きが薄まってしまった。
十角館を読んでびっくり仰天していたころに戻りたい…(涙)

それはともかく、全体にキャラ付けもはっきりしすぎるくらい
はっきりしているし(そもそも人数が少ないし)、状況も
わかりやすいので、分量の割に読みやすい。
トリック自体もまぁ面白いかな、という「佳作」といった印象。
やっぱり、十角館や殺戮に至る病などと比べると破壊力は
劣る。

他の方も指摘にもありますが、消去法で犯人を絞るときに、
「言い争う声を聞いたので主人公は消去」という部分について
明らかに客観性を欠く(他に誰も聞いていない)内容なのに
消去してしまうのはおかしいのでは?という点が気になって
しまった。

それから、犯人の故郷で起きた事件って結局どうなるんだろ。
あれ自体作り話?

犯行動機も唐突かつ陳腐だし。いや、十角館の動機も十分に
唐突かつ陳腐なんですけどね、それを気にさせないエネルギーが
あるかどうかの差というか。
この作者は本格を愛していないのかな、という気がちょっとしました。


No.121 6点 弥勒の掌
我孫子武丸
(2010/02/26 22:14登録)
トリックを読んですぐ思い浮かんだのは、真弓、若菜(元野球選手)。
あとは、いずみ、あさみ、みさき、まどか…なんかもあるかな。

全く意外なところからやられた感じで清々しい…はずなのだが
みなさんおっしゃる通り後味は悪い。殺戮よりはるかに
悪いですよ、これは。


No.120 4点 フェティッシュ
西澤保彦
(2010/02/16 10:18登録)
登場人物が変態ばっかり(この作者の場合珍しくはないが)。

それはいいとして、主人公クルミの非現実的な特異体質に
関する説明もなく、犯人グループの動機もよくわからない。
結末の後、主人公がどうなってしまうのかも暗示すらされて
いないし、とにかくもう全てとっ散らかして終わった印象。

わざとそうしたのかな…。
こんな奇妙な読後感(悪い意味で)も珍しいです。


No.119 5点 予知夢
東野圭吾
(2010/02/10 16:47登録)
全体に1作目より読みやすかった。
その理由は、科学トリックが少ないから。

要は、湯川助教授が「単に推理の鋭い人」になってしまっていて、
科学的専門知識を必要としない謎ときが中心であった。
これはいいのか悪いのか…。


No.118 4点 「白鳥」の殺人
折原一
(2010/02/10 16:42登録)
いくら日本の鉄道が正確とはいえ、上り下りそれぞれ30秒ずつの
狂いも許されないトリックというのはありなのかどうか。

登場人物が少なく、話が一直線なので読みやすいと言えば読みやすいが、
犯人に意外性を持たせようがないので驚きもない。

かといってハウダニット、ワイダニットも特に趣向なし。
作者の本は3冊目だが一番つまらなかった。


No.117 8点 悪魔の手毬唄
横溝正史
(2010/01/23 21:17登録)
序盤、金田一と老婆が峠ですれ違うとこで、なんか名作の予感にぞくぞくした。
やっぱりこの人には、瀬戸内の村が一番似合う。

本よりテレビで先に見た(古谷一行のTVドラマ)ので、本を読みながら頭の中に
テレビの映像が甦ってきて、読み進める手助けをしてくれた。
見立て殺人の現場もくっきりと浮かぶし、土蔵の壁にうつった犯人の影も覚えていた。
さらには手まり唄のメロディーもはっきりを覚えていて、「うち~の裏の~」と頭の中で
唄いながら読むことができた。テレビで見たのは30年も昔のことなのに…

欲を言えば、最後はできれば金田一らしく、関係者を全員集めて犯人当てを
してほしかったかな~。
犯人が何も語らずじまいだったのが少々残念。


No.116 7点 赤い指
東野圭吾
(2010/01/07 17:47登録)
現代の家族事情を鋭く抉る、ってとこでしょうか。

なんの予備知識もなく読み始め、どうにも欝な話しだな~
と思いながら読み進めましたが、
最後、共犯者が自供してからの流れは圧巻でしたね。

親の愛とは、親の介護とは…同年代の子を持つ父親として
考えさせられました。
推理小説が読みたいだけだったのに…


No.115 4点 探偵ガリレオ
東野圭吾
(2009/12/28 08:08登録)
うーん…ひたすら How done itのオンパレード。
推理しようもなく、理屈を聞かされて「ふーん、そーなんだ」と
思うしかないので、何とも爽快感は今ひとつでした。


No.114 6点 さまよう刃
東野圭吾
(2009/12/15 19:24登録)
途中で考えました。
これ、主人公が復讐を果たせなかったとしたら、すごく
すっきりしない気持ちになるだろうな…。
でも、仮に主人公が復讐を果たしたとしたら、それはそれで
すっきりした気持ちになれないんじゃないかな…。

結果、予想通り、もやもやの残る読後感でした。

正義はどこにあるのか。
法を犯してでも復讐を果たそうとする男か、
感情を押さえてレイプ犯を(結果的に)守ろうとする警察か、
未成年の更生を錦の御旗に掲げる少年法(及び弁護士)か…

答えのでない物語にあえて挑むのが、この作者らしいです。
ただですね、この話、まるっきりミステリーではないですよ。


No.113 4点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2009/12/06 15:41登録)
まぁキレイにやられました。思わず「えーー!!」っと声を出しそうに
なった(笑)。叙述トリックは嫌いではないです。

が、それでも結局この作品はどうも好きにはなりきれません。
最大の理由は「読後感が『キモイ』である」ことですね^^;

まぁそれはともかくとしても、叙述トリック自体、ストーリーの進行や
謎解きと一切、全く、なんの関係もないというのはどういうことでしょう。
ただひたすら読者をひっかけるためだけのトリック。しかもイメージすると
ムリがあるだろ、という場面もチラホラ。

十角館や殺戮に至る病と比較し、驚きの大きさは同じようなものだと思いますが、
驚きのあとにきたのが、この2作品では「呆然」だったのが、
本作品では「失笑」でした。

読後感として、過去「もやもやした」「ぐろい」などはあったものの
「きもい」「汚らしい」というのは初めてだなぁ・・・

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