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ミステリの祭典

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Tetchyさんの登録情報
平均点:6.73点 書評数:1603件

プロフィール| 書評

No.843 3点 創元推理16
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/09/08 21:17登録)
巻を重ねるごとに内容が乏しくなっていき、単なるマニアの会報になってきた。休刊になるのもむべなるかなといった感じだ。
本巻で定期購読は打ち止め。その後の内容は知らない。


No.842 4点 ミステリー&エンターテインメント700
事典・ガイド
(2010/09/07 21:49登録)
非常に薄味なガイドブック。作品に対する“愛”が感じられないなあ。その後創元推理誌上で増補されていたが、何の意味があるのやら。


No.841 3点 創元推理15
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/09/06 21:21登録)
セイヤーズの評論が抜群によかったのだが、クリスティの『アクロイド殺し』のネタバレが何の注釈もなく、されていたのがorz


No.840 7点 創元推理14
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/09/05 21:53登録)
久坂恭氏(森英俊氏)の「謎ときの王国」が毎度面白いが、この巻も鉄板。
また名作館の佐藤春夫に拍手を贈りたい。


No.839 7点 同級生
東野圭吾
(2010/09/02 21:45登録)
てっきり学園青春ミステリとは縁を切ったと思っていた東野圭吾が久々に学生、しかも高校生を主人公にして書いたミステリ。
ただ非常に危うい設定の作品であると云わざるを得ない。主人公の行動に矛盾がありすぎる。
しかしこれらは推理小説として捉えればの話であり、青春小説として捉えれば、この主人公の行動も理解が出来る。
しかし毎回思うがこの作者の筆致の淀みの無さはいったい何なんだろう?全く退屈を感じさせること無く最後まで読ませる。しかも巧みに物語に謎を溶け込ませ、読者に推理を容易にさせない。推理するためにページを繰る手を止めるよりもストーリーが気になって先に進めることを選択せざるを得ないのだ。そして最後の一行のカッコ良さ。青臭さを感じる生意気な高校球児である主人公西原荘一のお株をグンと挙げるキメ台詞だ。
成熟の域に達した東野が久々に放った青春学園ミステリは、やはり上手さの光る逸品であった。


No.838 5点 創元推理13
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/09/01 21:18登録)
探偵小説名作館は好企画。時々こういう面白企画があるから止められなかった。
河田陸村の論文がけっこう面白かった。


No.837 5点 本格ミステリー・ワールド2010
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/08/31 22:26登録)
相変わらず島田荘司監修と銘打たれているが、島田は冒頭に巻頭言を捧げるだけで、象徴的存在に過ぎない。今まで二階堂黎人の俺ミスと云われるほど、独裁的な内容で、むかつくことばかりだったが、今回は独裁的発言がなくなったことは喜ばしいものの、逆に毒気が無くなってしまった。まあ、非常に贅沢な感想ではあるが。

しかしこのムックはもう少し一般人に門戸を開いてもいいのではないか?コラムが学術的に富んでてとっつきにくい。装丁も特集の作家以外は一色刷りでなんとも味気ない。
よくこれで商売が成り立つなと余計な心配をしてしまうほど、硬派なムックだ。


No.836 7点 ボビーZの気怠く優雅な人生
ドン・ウィンズロウ
(2010/08/29 21:20登録)
いやあ、すごいね、これは。題名は「気怠く優雅な人生」だが、中身は全く正反対。ニール・ケアリーシリーズと違って死体が出るわ出るわ。たった310ページ強の作品なのに、今までの作品よりも出てくる死人の数が多い。

しかしやはりニール・ケアリーシリーズを比べるとくいくい読めるものの、心に何かを残すのには軽すぎたように思う。
だがこの作者の作品が面白くないわけでは決してない。寧ろ何も考えずに面白い話を読みたいという人や時には最適の一作だろう。


No.835 6点 最後の一球
島田荘司
(2010/08/28 21:28登録)
この頃の島田は物語の復興を唱えていた。ミステリはトリック、ロジックも大事だが、まず小説でなければならない、コナン・ドイルの時代から描かれてきた物語がなければならない、確かそのようなことを提唱していたと記憶している。

ミステリとしてどうかと云われるとその出来映えについてはやはり首を傾げざるを得ない。御手洗が登場するのは全277ページの物語のうち、たった76ページぐらいで、その後はある野球選手の半生と事件に至るまでの経緯が手記の形で語られるのである。したがって御手洗の推理らしきものはほとんどない。まあ、確かに御手洗は超人型探偵で事件に遭遇しただけで全て見極めてしまうのだが。

しかしそんな構成上の不満はあるものの、やはり島田のストーリーテラーぶりは素晴らしい物がある。少しの才能でプロ野球選手を目指した貧しき男と、天性の才能で見る見るうちに球界を代表する選手にまでなった全てを手に入れた男の友情物語は、はっきり云ってオーソドックスな浪花節以外何ものでもないが、くいくいと読まされる。作者の揺ぎ無い創作姿勢とも云える弱者への優しい眼差しも一貫されている。つくづくこの作家は物語を語るのが上手いと感じた。

ただ現代本格ミステリ界の巨人としてはやはり上記の理由から凡作といわざるを得まい。100ページ足らずの短編をエピソードで無理矢理引き伸ばした長編、もはやテクニックだけで書いている作品だなぁと一抹の寂しさを感じてしまった。


No.834 7点 砂漠で溺れるわけにはいかない
ドン・ウィンズロウ
(2010/08/27 23:02登録)
毎回このシリーズには印象的なキャラクターが登場するが今回は何といってもニールが家へ連れ戻す老人、元コメディアン、ナッティ・シルヴァーことネイサン・シルヴァースタインのキャラが秀逸。
今までの作品でのウィンズロウのウィットに富んだ文体で彼のユーモアのセンスは解っていたつもりだが、コメディアンをメインに据えた本書ではそれが全開。今まで我慢していたギャグを大放出しているかのようだ。そしてそれがほとんど面白い。それがまたナッティのキャラクターの造形を色濃くしている。そしてその飄々とした好々爺の風格が古き良き時代のアメリカン・コメディアンそのものであり、眼前にナッティがしたり顔でジョークを連発するのが目に浮かぶくらいの存在感を放っている。


No.833 3点 大富豪殺人事件
エラリイ・クイーン
(2010/08/20 22:11登録)
※ネタバレあり
表題作は大富豪の被害妄想が現実になって殺人事件に発展するという趣向を取ったのだろうが、非常にオーソドックスな内容になっている。明かされる犯人は実は怪しいと思っていた人物だが、その動機―遺言執行人報酬として得られる1000万ドルのうち1%の10万ドルを狙ったもの―は確かに今までにないものだろうが、犯人の背景にお金に困っているという叙述が全くないだけに唐突な感じを受ける。辛辣になるが単純に法律の知識を活かした作者の自己満足に終わっていると云えない訳もない。

もう1編の「ペントハウスの謎」は創元推理文庫の『エラリー・クイーンの事件簿Ⅰ』で既読。

元々この作品は買う予定ではなかった。表題作は創元推理文庫の『エラリー・クイーンの事件簿Ⅱ』に収録されているが長らく絶版状態だったので手に入れた次第。
内容的には薄味だったので本書がクイーンファンにとってマスト・バイであるとは正直お勧めできない。とはいえ、ここはこの作品を絶版にせずに今なお目録にその名を留め、書店の棚に収めている早川書房の志を敢えて褒めるべきだろう。


No.832 6点 創元推理12
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/08/19 20:59登録)
「1万円で選ぶベストミステリ」の企画は面白い!
これは今やってもいいくらい。本書が発行された96年に比べ、本の値段は高騰しているから挙げられる冊数も減ってくるだろう。それがゆえに呻吟して選びそうな気がする。
あと戦前・戦後の本格推理小説の紹介には疑問を覚える。埋もれさせてはいけないという小説史的に価値はあるかもしれないが、現在読む価値があるかというとはなはだ疑問。
まさにマニアの為の雑誌だな、こりゃ。


No.831 5点 創元推理11
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/08/18 21:24登録)
当時本格ミステリを極めんと定期購読していたのがこの雑誌。初めて買ったのがこの号だった。
とにかく高度というか、次元の違う話が展開されててビックリした記憶がある。各書評家の言葉を理解することからまず始まった。
今読んでどう感じるかはあるが、まあ若気の至りということで。


No.830 9点 ミステリ・ベスト201
事典・ガイド
(2010/08/17 21:29登録)
1ページにぎっしり書かれた内容の濃い書評にまだ見ぬ傑作に思いを馳せたのがこの1冊。瀬戸川氏、池上氏を筆頭に現在斯界を代表する書評家が存分に愛情を持って語るその内容は今なお色褪せない。
さすがに今では手に入らない本も多くなったが、これも未だに読み返している1冊。


No.829 10点 ミステリ・ハンドブック
事典・ガイド
(2010/08/16 17:52登録)
これが刊行された当時、世には今のようにミステリガイドブックがほとんど出ていなかった。したがってこの本は世のミステリファンの眼を開く一冊となった。
時の書評家たちを中心にアンケートを取り、オールタイムベストミステリを選出し、さらに各ジャンルに分かれて各書評家がエッセイを書くという、まさに現在の定型を作ったのではないか。手探り状態でミステリを読んでいた私にとってまさにバイブルのようなガイドブック。未だに手元に置いてある。


No.828 3点 LIMIT
フランク・シェッツィング
(2010/08/15 19:07登録)
合計約2280ページの四分冊。長い。長すぎる。
情報小説というジャンルがあるが、これは情報過多小説だ。
物語に関係する全ての分野について事細かな情報を盛り込んでいるがためにこれだけの分量にまで膨らんでしまっている。
ストーリーの本筋である3つの事件に焦点を当ててこれらの情報をほんの彩り程度に語れば、もっとスピード感も増したことだろう。
恐らく実際取材に当たり、執筆に5年費やした作者にしてみれば、これでも泣く泣く削らざるを得なかったエピソードがあったのだとのたまうことだろうが、それは己が調べて得た知識を披露したいという自己顕示欲に過ぎない。つまりこの1巻平均570ページの4分冊という大作になった時点でこれは読者の目を無視したほとんど自己満足の領域に入ってしまっている。もし作者がさらに語りたいことがあればそれらはまた別に本書で書けなかった情報を集め、本書を補完する形のガイドブックのような物を出版すればいいのだ。

このくらいの長さになると大きく1つの話という括りにしLIMIT4部作としてシリーズ物として出版し、1冊ごとに小さな事件の結末を描いて最終巻で全体を貫く大きな事件の結末を描くという構成にした方が読者にも優しいだろう。

これほど徒労感が残る小説も珍しい。誰かシェッツィングにもっと刈り込むようにアドバイスしてくれ!


No.827 5点 海外ミステリ探偵ベスト100
事典・ガイド
(2010/08/09 21:27登録)
仁賀克雄氏の海外ミステリガイドブックシリーズ3弾で、これが最終巻かな。
探偵でくくるというのは正直ガイドブックとしては有用性がない。実際これを参考にして本を買ったことがない。
また取り上げられている探偵も100人だけだから結構省かれているのも多く、帯に短し襷に流しといったところか。


No.826 8点 戦場の夜想曲
田中芳樹
(2010/08/08 20:03登録)
作者がまだ若かりし頃のSF短編集。しかしこれはSFの意匠をまとったミステリ・エンタテインメント小説集と断言したい。
この頃本当に才気迸っていたんだなぁというのが判るクオリティの高さ。特にハードボイルドやスパイ小説をこの作家に書いて欲しかったと読んでて思う。
アイデアも秀逸で、いやあ冒険家だったなあ、この頃の田中氏は。


No.825 8点 現代海外ミステリ・ベスト100
事典・ガイド
(2010/08/05 21:27登録)
まだミステリ初心者だった頃に読んだ本書は非常に参考になった。
今読むと文庫の版型で上下二段組に見開き2ページで1作を紹介している内容は実に消化不足で食指をそそられないところがあるが、当時はこれだけで読書欲の渇望感が満たされたものだ。
刊行当時に最新刊として刊行された海外ミステリが俎上に載っており、今では絶版のものの多いが、今でも貴重な資料の1つとして座右に置いている。


No.824 1点 世界の名探偵50人
事典・ガイド
(2010/08/03 21:07登録)
こうさん、江森さんに激しく同意!
全ミステリファンにとって後々トラウマとなって残るであろう反則本です。
こうさんのおっしゃるとおり、古本屋でこの藤原宰太郎の名を冠したガイドブックを目にしたら、その興味を誘うような題名に騙されて決して手にとってはいけない!
ミステリ初心者にとって読書の足がかりとなるガイドブックだがこれを読むことで歴史に残る名作のほとんどがネタバレされているという凶器本。
実際A辻氏は子どもの頃この人の本を読んだことが最大の災厄だったといったようなコメントを残している。
私もこれで記憶に残ったトリック・犯人は数知れず、クリスティのアレとかカーの『爬虫類館の殺人』とか大人になった今でも覚えてしまっている。
とにかく最低の本だ。絶版していることを寿ぎたい。

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