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ミステリの祭典

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mediocrityさんの登録情報
平均点:6.23点 書評数:286件

プロフィール| 書評

No.26 9点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術
泡坂妻夫
(2019/03/03 04:05登録)
この本の仕掛けは、無理に解こうとしないで最後まで読む方が「しあわせ」な気がする。
ミステリファンなら解きたいと思うだろうし、そんなに難しいわけでもないから10分も考えれば多くの人がわかってしまうだろうけど、解けた時の喜びよりも、知らずに事実を知らされた時の驚きの方が「しあわせ」だと思うから。
ストーリー自体は、シリーズものにありがちな、前の本を読んでいないと魅力半減みたいなこともなく楽しく読めました。凄みはないけど丁寧に書かれた作品です。
作者だけでなく編集者の方にも頭が下がりますが、一つだけ文句言うとすれば、解説者空気読めや!てことでしょうか。


No.25 8点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2019/03/02 04:30登録)
若干ネタバレあり



最後、どんでん返しが2回あった(と私は感じた)。
2回目のどんでん返しは好きだ。まんまと騙されたし、騙されて嫌な気がしなかった。
その前のどんでん返しは好きでない。名前と「血」の問題。
鹿谷門美の性別についてはどちらなのか考えながら読み進めていたが、まさかそちらが問題になるか。
あの名前でそれは流石に無理があるような。
「血」は可能性としては考えたが却下した。対策をしていたら漏れ出るとは思えなかったから。
あと、乱歩や正史の作品ですら今のところ遭遇していない「時代のせいで意味がよく分からないトリック」に30年前の作品で初めて出会うとは思ってもみなかった(wwhの件です)。

全体としては楽しめました。面白かったです。


No.24 7点 七人の証人
西村京太郎
(2019/03/02 04:28登録)
よくこんな異常な設定を思いつくもんだ。半分あたりまでは文句なく楽しく読めた。
途中から話が停滞気味になってグダグダしてくるが、なかば強引に終了。
帰りの合図が何なのか知りたかったんだけど・・・
気になった点は、1年前の殺人の動機が弱い気がするのと、いくら喉が渇いていたからと言ってあの状況で果物屋に入るかということ。
前半9点、後半5点てことで


No.23 5点 邪馬台国はどこですか?
鯨統一郎
(2019/03/01 02:51登録)
自分の知識が多い章は楽しめなかった。この本に載ってない考慮すべき事実(単純に調査不足なのか、都合が悪いのでわざと避けたのかは不明)も考慮するとその結論は無理があるな、と感じてしまうから。
逆にあまり興味のない章は楽しめたが、その章関連の話題に詳しい人には突っ込みどころ満載なんだろうなあ。


No.22 7点 下り特急「富士」(ラブ・トレイン)殺人事件
西村京太郎
(2019/02/28 00:23登録)
最後に、橋本は、霊安室に、足を運んだ。

読みにくい!読点の多さがよくネタにされてるのは知ってたけどここまでとは。慣れるまでの冒頭30ページくらいは内容が頭に入ってこなかった。気にならなくなると、字数が少ない分、350ページの長編と言っても実質中編くらいの感覚で1時間半くらいで読了。
ストーリは、予想していたよりはるかに面白かった。何だか意味不明なことがどんどん起こるので、こちらもどんどん読み進めていくしかない。更によくわからない状況に陥るので頑張って付いていく。で、7割くらい読み進めてやっと十津川警部登場、そして意外な事実が明らかに・・・
最後ちょっとドタバタするけど、無事事件解決。読後感もさわやかだ。
文章はちょっと稚拙だし、設定もちょっと?な所もあるが、読者を強引なまでにグイグイと引っ張って行く能力はすごいと思った。


No.21 2点 崇徳伝説殺人事件
内田康夫
(2019/02/27 21:43登録)
テレビでは何度となく見てる浅見光彦シリーズだが読むのは初めて。
タイトルを見て一番面白そうなのを選んだが、これはタイトルに偽りありだ。崇徳(上皇の)伝説(をちょっと絡めた京都老人ホーム)殺人事件て感じ。
歴史ミステリでもトラベルミステリでもなく、これは社会派ミステリだと思う。それでも面白ければ別にいいのだが、犯人は予想通りだし、動機もなんだか取ってつけたような感じ。
途中、崇徳上皇の像にロープで体をくくりつけられて、ある人物が死んでいるのが発見されますが、なんと何のトリックもありません。崇徳上皇の祟りのように見える、ただそれだけです。
作者の政治信条を登場人物に語らせる形で所々に挿入していて更にウンザリ。
大外れを引いたのか、それとも全部こんな感じなのか。


No.20 10点 獄門島
横溝正史
(2019/02/27 21:42登録)
何かが突出しているのではなく、登場人物の魅力、島の雰囲気、ストーリ運び、トリック、犯人の意外性、殺人動機、読みやすさ等々全項目において95点くらい付けたい作品。
私には欠点らしい欠点が見つけられない。


No.19 4点 心理試験
江戸川乱歩
(2019/02/26 15:19登録)
思ったより評価が高いのに驚いた。
途中にある表を5分くらい眺めれば、ほとんど答えが書いてあるようなものだと思った。
屏風の件もよくあるパターンという気しかしない。


No.18 9点 りら荘事件
鮎川哲也
(2019/02/26 15:16登録)
まず大学生7人という数は絶妙です。これ以上多いと覚えられません。登場人物の性格、外見描写がくどいくらいですが、シリーズ物でないならこのくらいくどくてちょうどよい気がしました。全ての登場人物の個性がはっきりしています。
また随所に散りばめられたユーモアが作品に花を添えています。読んでいて何度もクスッとしてしまいました。
綾辻作品の大学生には何だか色々と違和感を感じたのですが、この作品ではそれを感じなかったのは時代が離れすぎているからでしょうか。

さてストーリーですが、8割読み終わった時点で何も解決していません。そしてやっと探偵登場。遅い!てっきり2人の刑事が協力して解決するものだとばかり思っていました。
この作品ではかなりの人数が殺されるのですが、大小様々なトリックがこれでもかというばかりに贅沢に使われます。量産作家ならこれだけで5冊くらい書けそうです。特に「最初から想定されていた殺人」に使われたトリックの数々は驚愕でした。

気になった点は、最初の殺人の事実がちょっと偶然すぎるのと、いくらなんでも行きずりの殺人が多すぎること、トリックの数に比して、謎解きがあまりにも駆け足すぎることくらいでしょうか。(先に書いたように探偵登場が遅く、そこから更に色々と準備をしてからやっと謎解きが始まるので)


No.17 10点 ガダラの豚
中島らも
(2019/02/24 18:38登録)
文庫3巻もので購入。
日本推理作家協会賞受賞作とのことだが推理小説なのかこれ?
まあ既にページが存在したので感想を書きたい。
点数はあくまで小説として面白かったから。9点(満足)より絶対に上、大満足なので10点。
ミステリーを読み始める少し前に読んだがその後に読んだどの小説より細かいところまで思い出せる。
1巻は新興宗教教祖による超能力をあばく。オウム事件の前に書いていたということで驚きだ。随所に散りばめられた冗談で長さを全く感じさせない。教祖の風貌を桂枝雀似とはっきり書いたのは大成功。一気に頭の中の映像がクッキリした。
2巻はアフリカ呪い合戦。登場人物の生命力がすごい分、味方が死んだ時の喪失感が大きい。
欠点は3巻。1、2巻は一見非現実的だが実は逆ということが多かったが、3巻は少ないページ数の中で非現実的なドタバタ劇と化してしまった。ただしオチは面白い。
1巻冒頭の僧侶をもっと活躍させたりして、もう少し長く書いてもらいたかったなと感じる。


No.16 3点 人形館の殺人
綾辻行人
(2019/02/24 17:57登録)
このオチは苦手。そこに至るまでの小さな謎の数々も別段面白いものではない。
あと細かいことだが、「京都の百万遍にある大学」、「帝国大学の博士」みたいな記述があるのに「K***大」てぼかす必要があるのか。


No.15 6点 D坂の殺人事件
江戸川乱歩
(2019/02/24 17:38登録)
これトリックはものすごく簡単なんですけど、恥ずかしながら全く分かりませんでした。
そういう行為が完全に頭の中から抜け落ちていた。作者が羽田圭介先生なら一瞬で分かったでしょうけど。


No.14 8点 蝶々殺人事件
横溝正史
(2019/02/24 17:30登録)
『黒いトランク』のあとがきで当作品への言及があったので購入。
トランク移動の緻密さでは『黒いトランク』に及ばない気がした。何か無駄な動きがあるような・・・
犯人の意外さはこちらが上、というか向こうは0なんだけど。
一番の疑問点はビル落下のトリック。物理的に本当にあんなにうまくいくのかというのもあるが、それ以上に、予定にない殺人の後であんな大掛かりなトリックができるのだろうかと突っ込みを入れたくなった。


No.13 9点 黒いトランク
鮎川哲也
(2019/02/23 00:03登録)
鉄道を利用したアリバイトリックは緻密だが平凡に感じた。正直16章を読み終わった時点では過大評価小説なのかと心配していた。
しかし最終章、トランク周りで一体何が起こっていたのかの謎解きでそんな心配は一気に吹き飛んだ。


No.12 7点 ロシア紅茶の謎
有栖川有栖
(2019/02/22 00:27登録)
『動物園の暗号』これ、暗号を解こうとした人は怒ったでしょうねえ。こんなのわかりません。
『屋根裏の散歩者』の「太」の点のある理由には爆笑しました。
表題作の犯人の勇気には感動。


No.11 10点 鉄鼠の檻
京極夏彦
(2019/02/22 00:11登録)
もう素晴らしいの一言。面白すぎて2日で読了。長すぎるどころかもう少し読んでいたかった。
魍魎の匣も10点にしましたが、個人的にはこちらの方が上です。
あの1行は十角館のあの1行よりも驚きました。声が出てしまった。
ただし魍魎の匣以上に「全く面白くない」という人がいるのも納得できます。


No.10 8点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2019/02/21 23:42登録)
魍魎の匣、鉄鼠の檻を先に読んだので問題なく楽しめたが、この作品から読んでたら2冊目に進んでいなかった気がする。というのはこの手のオチが大嫌いだから。先の2冊でとんでもない(褒めてます)作家だと認識していたので許せてしまえましたが。
この作品が発売当時評価二分だったというのは理解できます。


No.9 8点 パノラマ島奇談
江戸川乱歩
(2019/02/21 23:20登録)
バッドエンディングと化した理由が何とも皮肉だ。
パノラマ等の幻想的な描写が美しい。


No.8 7点 二銭銅貨
江戸川乱歩
(2019/02/21 23:15登録)
デビュー作と知らずに読んだ。名人がサッと書き上げたような老獪な作品のように感じた。


No.7 3点 十角館の殺人
綾辻行人
(2019/02/21 22:08登録)
こいつが犯人の気がするけど、まさかこいつが犯人じゃないよね、こいつが犯人だったら流石にちょっと問題だよね、と思ってた人物が犯人だったのでこの点数。

追記
他の方の書評を見る限り、推理小説をほとんど読んだことがない時点でこの作品を読んだので、あまり面白くなかったのかもしれない。もっとも、初心者でもあの1行にはビックリしましたよ。それを加味してこの点数です。いずれ再読の必要あり。

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