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ミステリの祭典

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ガダラの豚

作家 中島らも
出版日1993年03月
平均点8.40点
書評数5人

No.5 8点 zuso
(2023/10/15 22:20登録)
超人対魔人の派手な呪術合戦は、伝奇バイオレンスの特色のひとつだが、それをヒロイック・ファンタジーやSFの設定によらず、現代日本の日常世界を舞台に描いたのが本作。
前半で開陳されるオカルト批判が、呪術合戦の伏線として効果的に効いているのも見事。

No.4 10点 mediocrity
(2019/02/24 18:38登録)
文庫3巻もので購入。
日本推理作家協会賞受賞作とのことだが推理小説なのかこれ?
まあ既にページが存在したので感想を書きたい。
点数はあくまで小説として面白かったから。9点(満足)より絶対に上、大満足なので10点。
ミステリーを読み始める少し前に読んだがその後に読んだどの小説より細かいところまで思い出せる。
1巻は新興宗教教祖による超能力をあばく。オウム事件の前に書いていたということで驚きだ。随所に散りばめられた冗談で長さを全く感じさせない。教祖の風貌を桂枝雀似とはっきり書いたのは大成功。一気に頭の中の映像がクッキリした。
2巻はアフリカ呪い合戦。登場人物の生命力がすごい分、味方が死んだ時の喪失感が大きい。
欠点は3巻。1、2巻は一見非現実的だが実は逆ということが多かったが、3巻は少ないページ数の中で非現実的なドタバタ劇と化してしまった。ただしオチは面白い。
1巻冒頭の僧侶をもっと活躍させたりして、もう少し長く書いてもらいたかったなと感じる。

No.3 9点 TON2
(2012/12/28 18:17登録)
集英社文庫
 第一部はエセ超能力者・エセ新興宗教対マジシャンによるトリックあばき、第二部はアフリカ・ケニアでの祈祷師による超常現象、第三部は東京で殺人につぐ殺人のスプラッターと、盛りだくさんの内容です。
 作者は薬物中毒かつアルコール依存症でしたが、この作品はそうした自らの体験も土台にしているようで、大変面白かったです。特に、主人公たちが基本的に善人で、ユーモアがあり、頭のよい人間ばかりであることが心地よい作品です。
 主人公の大学教授が何度も繰り返す「学者は嘘はつかない。ただときどき間違えるだけだ。」という科白がたまらなくおかしい。

No.2 7点 makomako
(2010/10/10 07:56登録)
 盛りだくさんの内容をうまくミックスした小説。第1部の超能力とそれを暴くマジックが興味深くどんどん読んでいくと第2部はなんとアフリカの秘境冒険小説風となってこれまた大変面白い。第3部はまた舞台は日本。ケニヤの呪術者はとんでもない能力を発揮して主人公たちはとても太刀打ちできそうにないと思っていたらめちゃくちゃに近い展開となりめでたく終了。
 おもしろかったね。かなり長い小説だが長さは全く感じさせない。最後の展開があまりに非現実的なのが欠点かな。

No.1 8点 kanamori
(2010/09/21 18:00登録)
超能力と新興宗教にアフリカの呪術、怪しげなアイテムを次々と繰り出して、読者を躁状態のまま最後まで引っ張っていく、この筆力はすごい。宗教・民俗学的な記述も多いが全く退屈と感じなかった。
超常現象の仕掛けを暴くトリック小説であり、アフリカに舞台を移した秘境冒険小説であり、オカルト紛いの呪術師との対峙によるホラー要素もある。超大作ながら途中で本を置くことが出来なかった、まさに総合エンタテイメント小説の傑作。

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